女神科高校の回帰生   作:Feldelt

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はい、今度こそ影君の過去編ラストです。

全てを知った明と女神達は何を思う。

では、どうぞ。


運命·生と死

「あ、かね...?おい、しっかりしろ!」

 

「あぁ、とーげつ君。えへへ、無茶し過ぎたかも。」

 

「お前なぁ、こんな状況でよくも笑ってられるな!?」

 

「そう?因みにどんな状況かはわかる?」

 

「左脇腹と右肩から流血してるような状況だ。」

 

「あ、そう...ごめんねとーげつ君。買い物行けなくて。」

 

「誘ったのはお前だろうが、ばか野郎...」

 

「酷いなとーげつ君...ただでさえ怪我人なのに...」

 

「ただでさえともいえど怪我人の領域を越えつつあるやつが言うな...!」

 

「わかっちゃう?流石だねとーげつ君...」

 

「もういい喋るな...大人しくしてろ...」

 

「無理な相談だなぁ...私は喋っていたいんだよ?君と。」

 

「...なんでだよ...茜...」

 

「だってとーげつ君、いつも話が難しいんだもん。」

 

「この状況なら簡潔にしてくれると?ふざけるな!良いから黙れ、そして死ぬな!」

 

「ふふ...とーげつ君、聞けない命令だよ...」

 

「あかっ...っ...そうかよ...」

 

「分かってくれてありがと...それにねとーげつ君。今君の腕に横たわっているのは

 個人的にはとても嬉しいんだよ?」

 

「怪我人だからだ。怪我人でもなけりゃこんなことはアイツにしかしない。」

 

「誰と聞いても分かんないし会えないよね...」

 

「茜...んあ?これは...涙...?」

 

「とーげつ君、そうだよ。それが涙だよ。」

 

「親が事故った時も流れなかったのに...何で今...」

 

「悲しいからじゃないの?そっか...私がこうなって、悲しいんだ...」

 

「悲しくない訳ねぇだろーが...!」

 

「そう思ってくれるの...とーげつ君が初めてかも...」

 

「は...?」

 

「私、捨て子なんだ...」

 

「おいおい、何言ってんだよ茜...捨て子って...」

 

「そうだよ。5歳の時かな。唐突に親に捨てられた。」

 

「...ほとんど...俺と同じ...!?」

 

「そうなんだね...とーげつ君。ありがとね、私を信じてくれて、

 私を心配してくれて...ありがとね、とーげつ君...」

 

「影でいいよ...茜...」

 

「そう、じゃあえい君...サヨナラ、だね...」

 

そう言って茜はぐったりと動かなくなった。

 

「茜...?嘘、だよな...なぁ、茜、返事しろよ、茜、茜ぇ!」

 

「仙道さん、凍月さん!無事ですか!?」

 

救助隊...戦闘部隊が今さら来た。

 

「遅ぇよ...おせぇよ...う、うぅ、うぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

「と、凍月さん...?」

 

「...明を俺の部屋へ...連れてってくれ...」

 

「分かりました。仙道さんは...?」

 

「......死んだよ...」

 

「そんな、仙道さんが...!?」

 

「しばらくこうしていたい...茜は...共倒れしてしまうような状況を打破してくれた...

 けど俺は...茜に何も出来ちゃいない...何を成しても無駄なのは分かってる...けど...!」

 

「分かりました、凍月さん。仙道さんのそばにいてあげてください...」

 

「ありがとう...うぅ、うぅ...」

 

 

----------

 

 

「...これが全ての真実だよ。」

 

「...てことはお兄ちゃん...私が、あかねぇを...この手で...?」

 

「あぁ、そうだよ。厳密には明じゃないけど。」

 

「そんな...そんな...っ...!」

 

「真実というのは残酷なものね...」

 

「明、もう昔の話だ、忘れてくれとは俺は言えない。けど、俺は明の兄だ。

 明の為なら出来ることは何がなんでもやり遂げる。だから全部話した。」

 

「てことは、影、これが明ちゃんの為になるって!?傷つけてるだけじゃない!」

 

「お姉ちゃんの言う通りです、これでは明が可愛そうです!」

 

「まぁまぁお二人とも、ここで言い争っても仕方のないことではありませんの。

 わたくしとしても、不愉快ではありますが...」

 

「うー、長いよ影...」

 

「相変わらずネプ子には処理しきれない文量ね...」

 

「ギアちゃんはどう思うですか?」

 

「どうって、言われましても...事実は不変ですし...私は半分ロムちゃんとラムちゃんの

 面倒を見ていたので聞けてないところもありますが...」

 

「すまないわね...」

 

「お兄ちゃん...私、どうすれば良いのかな...またあかねぇの時に暴走して、

 転化しちゃうのかな...私ね、記憶がないんだ...ゾディアックセンターに

 着いた後からお兄ちゃんの部屋で起きるまでの...」

 

「そういえば...私も転化したみたいだけど...その頃の記憶は無いわ...」

 

「...明、そんなことはさせない、しても俺が止める。だから明は...俺の妹でいてくれ...」

 

明を抱き締める。明を安心させるように、俺を安心させるように。

 

「...お兄ちゃん...ありがとう...」

 




いかがでしたか?
次回は女神派と反凍月派の派閥抗争が中等部で起こって...?

不穏ですねぇ、はい。

サブタイは「凍月抗争·第一幕」

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