大本営第二特務課の日常   作:zero-45

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前回までのあらすじ

 南海怪獣大決戦開始。


 それでは何かご意見ご要望があればお気軽にどうぞ。


2018/07/11
 誤字脱字修正反映致しました。
 ご指摘頂きましたMWKURAYUKI様、K2様、有難う御座います、大変助かりました。


紅い瞳に銀色のお下げ

 (空母棲鬼)を中心に空母組が四方八方へ艦載機を送り出す。

 

 戦艦棲姫と死闘を繰り広げる突撃隊へ支援も出すが、その多くは周りを囲む有象無象に対する物が殆どである。

 

 

 当初は前に見る範囲で沸いていた筈の敵は、その数が余りにも多い為に処理が追いつかずに横へ横へと幅を広げ、現在は半包囲の形で援護隊を囲んでいた。

 

 命中率も撃破スコアも今までに無い程に高い水準になっている物の、それは余りにも密集した敵への攻撃の結果の事であり、裏を返せば戦艦棲姫の相手をしている彼女達を置いて退く事が出来ない現状ギリギリの戦いになっていると言わざるを得なかった。

 

 

 突撃隊が戦艦棲姫と本格的に戦いを始めた頃、海域の攻略に当たっているリンガの艦隊も丁度最後のボスと思われる艦隊と会敵、戦闘を開始したという報も受けており益々退く事もままならなくなった第二特務課艦隊は損耗こそ目立つ物が無い状態であるが、現況では日没までの時間を考慮しないとならない時間帯へ突入しようとしていた。

 

 戦艦や重巡を擁した艦隊なら通常それは問題にならない物であったが、今膨大な数の敵を押し留めている戦力は空からの攻撃に寄る処も大きく、もし夜戦に突入したなら航空戦力は(空母棲鬼)の持つ艦載機のみになる。

 

 更に今はまだ有象無象の小型艦は暗闇の中では戦艦ですら警戒しないといけない敵へと変貌する。

 

 

 勝敗の天秤は現在間違い無く第二特務課艦隊へ傾いているが、それは太陽が沈むまでの限定されたものであり、それまでには戦艦棲姫を仕留めた上、この包囲網を振り切った状態でなくてはならない。

 

 

「どこから、こんなにっ、沸いて……くるのよぉっ!」

 

 

 陽炎が放った酸素魚雷がヌ級(軽空母)の腹に突き刺さり、抱えているであろう艦載機ごと吹き飛ばす、普通ならしてやったりと笑顔の一つでも見せるのだろうが、既にそれはもうここ数時間の間嫌という程繰り返し見た光景であり、その向こうに見える敵の数を確認すれば悪態が口を吐いて出るという悪循環を生み出していた。

 

 

「そろそろ……標的を空母系から雷巡系に切り替えた方がいいかも知れない」

 

「そうね、でもそろそろこっちは弾薬切れになりそうだから、一度補給に戻りたいんだけど……無理かぁ」

 

 

 陽炎と時雨の航路が直線で重なり合う。

 

 互いはそのまま避けもせずに進み、互いの息遣いが聞こえる程の距離をすり抜ける。

 

 

「僕は弾薬の補給の必要は無いからこのままここで迎撃を続けるよ、陽炎は一旦下がって補給をしてきて」

 

「無理ね、ムリムリよ、今私が下がったら近接だけの時雨でこの範囲のカバーは不可能よ」

 

「…… ちょっと無理をお願いしちゃうかもだけど空母の誰かに援護をお願いしてみるしかないのかも」

 

 

 時雨が更に速度を上げ、すれ違うヘ級(軽巡)へ愛刀を叩き込む、イ級(駆逐艦)の上に歪な人型を乗せた形の異形は駆逐艦から見れば脅威の対象になり得る存在ではあるが、刀が武器の時雨にとっては水面を這う様に進む個体よりはむしろ与し易い相手である。

 

 歪であってもそれは人型であり、その形なら無理な姿勢での斬撃は必要なく、また刃を振るう位置()も迷う事が無くて済む、結果空母系を優先的に屠りつつ時雨が人型を、異形を陽炎が屠るという形での蹂躙が出来上がっていた。

 

 

『時雨、陽炎、一旦下がれ、交代要員が到着した』

 

「交代要員?」

 

 

 長門の指示に眉根を寄せて、時雨は離れた位置に展開している援護艦隊の方を確認する。

 

 そこには艤装に二号砲を満載した妙高と、魚雷管と電探を装備した不知火がこちらへ()しり来る姿が見えた。

 

 

「ちょっ、不知火アンタ何してるの!? それ雷撃兵装……」

 

『これだけ敵が濃いなら電探は一つで充分です、砲で相手を狙う事は出来ませんが魚雷なら電探で位置調整すれば良いだけの話ですし問題ありません』

 

「問題あるわよっ! 回避はどうするのよ、攻撃は出来ても相手の攻撃が見えないんじゃどうしようも無いでしょ」

 

『陽炎、不知火は今まで前線に出しては貰えませんでしたが、それは戦えないからでは無い(・・・・・・・・・・)事は知っているでしょう?』

 

「でも……」

 

 

 言葉を言い淀む陽炎の前には既に声が届く距離に不知火が近付いてきていた。

 

 陽炎型特有の武装が接続された艤装背面には二機の魚雷管が、更に太ももには本来懸架されてる筈の砲は無く、代わりに魚雷の予備が固定されていた。

 

 

「不知火は戦えない訳じゃありません、砲を狙う能力が無いだけです、回避もこの耳が目の代わりをしてくれます、それでももし心配というなら手早く補給を済ませて合流して下さい」

 

 

 不知火が言った言葉を証明するが如く、背後から飛来してきた砲弾を半身をズラすのみで躱すとそのまま一発魚雷を射出、それは小刻みに体を振り回避運動をしていたイ級(駆逐艦)に吸い込まれる様に命中し粉砕する。

 

 回避も雷撃も見る事はおろか、体すらそっちへ向いていない、それでも躱し、屠った。

 

 一発空いた魚雷管へ太ももから取り外した予備を装填しつつ、左の手袋を口で咥えて嵌め直す、その目には何も映っていなかったが艤装に積まれた二十二号水上電探改四を通して一帯に居る敵の位置を全て見ていた(・・・・)

 

 そんな姉妹艦の姿を苦い表情で見つつも陽炎は大きく溜息を吐くと、すぐ戻ると一言だけ言い残してその場を離脱した。

 

 

「時雨さんも疲れたでしょう? 一旦下がって休んで下さい」

 

 

 不知火の傍まで様子を見に来ていた時雨に妙高が飲み物を投げて寄越す。

 

 刀を握ったまま器用にそれを受け取る時雨だがその顔色は優れない。

 

 

「妙高さん、母艦(轟天号)の護衛は今どうなってるのかな?」

 

「それは…… 今は直掩(ちょくえん)無しで東へ45海里の位置で補給の為待機しています」

 

「え…… 直掩(ちょくえん)無し? (潜水棲姫)ちゃんも付いてないの?」

 

「はい、提督の指示で今は全力出撃状態です」

 

「提督の? 提督気が付いたの? 提督は……大丈夫なのかい!?」

 

 

 中身を飲み干した容器を投げ捨てつつ、旋回して妙高の元へ戻ってくる時雨は医務室へ収容された筈の吉野が指示を出したのかと口元を綻ばせて喜んだが、それに対して妙高の顔は険しい物で、接近してくる敵をなぎ払いながら唇を噛み締めつつ首を左右に振って時雨の言葉を否定した。

 

 

「この指示は予め出されていた物です、もし今の時間までに戦艦棲姫を鹵獲出来てなかった場合、それが難しいなら母艦(轟天号)を突出させての撤退支援を、勝ちの目があるなら援護の為に直掩の人員も全て投入しての出撃を、夜戦に突入する前に全てを終わらせる為にとの指示でした」

 

「それじゃ……」

 

「提督はまだ治療中で意識が戻っていません……」

 

 

 時雨の背後でまとめて数体の深海棲艦が水柱と共に吹き飛んでいく。

 

 爆発の規模からしてそれは航空魚雷の規模では無い、陽炎も補給の為下がっており他に雷撃を行える艦は不知火のみだが、彼女は離れた位置で別の標的へ雷撃を行っていた、目の前の妙高は砲撃体勢のままであり、現状時雨の援護へそれを行う存在と言えばもう一人しか居ない。

 

 

『無理良くない、おやびん心配してた』

 

(潜水棲姫)ちゃん……」

 

『シグレまで居なくなるの、や』 

 

 

 普段感情を表に出さない(潜水棲姫)が珍しく声色を硬くしていた。

 

 目の前で吉野が吹き飛ぶ炎に飲まれるのを見て、更にいつも一緒に居る時雨が血塗れになり敵の只中で一心不乱に刀を振るっているのを黙って見ていられない彼女の心情は、最後の言葉に全て集約されていた。

 

 

「うん……判った、一旦長門さん達の所まで戻るよ」

 

 

 雷撃が中心の攻勢になるなら時雨の様に近接主体の立ち回りだとかえって邪魔になるだろう、妙高に礼を言ってその場を離れ長門達が居る場所を目指す。

 

 ずっと緊張していた為だろう、体がだるく腕が重い。

 

 先に居る長門がこちらに気付く、とりあえずあそこまで行って少し休む事にしよう、本当なら自分はここに居るべきじゃないのに迷惑を掛けた、それも謝らないといけないなと自嘲の笑みを口に浮かべながら時雨は右手の愛刀(関孫六)を鞘へ戻す。

 

 誰かに名前を呼ばれた気がした、前を見ると長門が険しい相で時雨へ叫びを上げていた。

 

 

「……え?」

 

 

 轟音と衝撃、前に飛ばされる体。

 

 一瞬自分を追い抜き"金色の何か"が幾つか飛び去っていくのが見えたが、視界は赤く染まり、すぐに真っ黒になった。

 

 いつもは倒れると体に感じる抵抗が無く、そのまま纏わり付く様に水が体を包み、その存在を体全体で感じた。

 

 

「時雨ぇぇぇ!」

 

 

 ほんの一瞬、長門の前でそれは起きた、刀を鞘に納め手を挙げてこちらへ来る時雨。

 

 やっと頭が冷えたかと苦笑しこちらも手を挙げたその時、少女の後ろから迫る金色の機体、一瞬の事で理解が追いつかず、危機を感じその名前を叫んだ時には凶弾が時雨を捉え、紅蓮の炎がその身を包んでいた。

 

 後ろから纏めて叩き込まれた爆撃は艤装を跡形も無く吹き飛ばし、血飛沫を上げながら一瞬で時雨を水底へ沈めてしまった。

 

 

 ほんの一瞬、たった数秒の出来事、あっという間の出来事で幻でも見いてるのかと錯覚したが、今も赤と黒に染まった水面、上空を旋回する"金色の艦爆"がそれが現実だと長門に認識させる。

 

 

 艦娘には自然死という概念は存在しないが、損傷によってもたらされる終わりは存在していた。

 

 一つは艤装の完全喪失、それは武装を積み海を渡る為の物であったが、内部にはブラックボックス化された"艦の分霊"が収められており、艦としての記憶と艦娘として形作られている彼女達をこの世に定着させる役割を担っていた、それを失えば艦としてこの世に留まる楔を失い、彼女達は消え失せる。

 

 そして二つ目は生身の部分の頭部、若しくは心臓の喪失、他の箇所は欠損しても高速修復剤で回復は可能だが、この二箇所は失えば生命活動が停止し、生体部分の維持が出来なくなり修復が不可能になる。

 

 

 そして時雨は水面に倒れる事無く水中へ没した。

 

 それは艤装にある浮力が喪失した事を意味し、艤装核に内包された"海へ浮かぶ力"を無くした事を意味する。

 

 即ち船の分霊との繋がりが切れ、時雨は轟沈した事になる。

 

 

 こうなっては体を引き上げたとしても生身は徐々に分解される為死は不可避の物となる。

 

 

「フザケンナよ…… 死んだんじゃ無かったのかよ」

 

 

 唇を噛み締め空を舞う"金色の艦爆"を睨む摩耶、その横では(空母棲鬼)が赤い瘴気を纏いながら一斉に空へ向け艦攻を放っていた。

 

 

「完全じゃないんだろうけど、まだ生きてるみたいね…… だからまだザコはここに集まってくるし、少ないけど艦載機を上げてこちらを狙ってくる」

 

「半身以上を失って尚まだ戦えると言うのか」

 

「……普通なら在り得ないけど、私達は怨嗟の固まりだからそれが強ければこんな無茶も出来るかも知れないわね」

 

(空母棲鬼)よ…… ヤツの位置は判るか?」

 

 

 静かに問い掛ける長門は、(空母棲鬼)には背中からしか見えてはいない、しかしそれを見た(空母棲鬼)は総毛立つ程の何かを感じた。

 

 其処に居るだけなのに自分()の内にある何かが警鐘を鳴らし続け、其処から離れろと体が拒否反応を示す。

 

 

「……これだけ敵が多いと無理、多分どこかに居るのは確かだろうけど本体も弱ってるんでしょ、気配があっても特定は辛いわ」

 

「そうか……」

 

 

 怒気とも殺意とも取れる何かが黒髪の戦艦から染み出してくる、静かに濃密なそれが目に見えるかの如く辺りを漂い、(空母棲鬼)だけでは無く並びに居る摩耶でさえその身を硬くして動けなくなっていた。

 

 

「なら、目の前に居る全てを薙ぎ払えばヤツも屠れるのだな」

 

 

 轟音と炎、41cm三連装砲が砲弾を吐き出す、そのどれもこれもが一発も逸れず手前から敵を屠っていき、長門を中心に屍の山を築いていく。

 

 淡々と、砲撃と轟沈が繰り返される様は異様であり、それを成す戦艦の眼は目に映る全ての異形に殺意を向けていた。

 

 

「む、長門が援護を止めて敵の掃討を始めおったぞ」

 

「"人修羅"が表に出ましたね、ああなると誰にも止められませんから……我々が代わりに突撃部隊の援護に回らないと」

 

「援護じゃと? 我輩の砲で長距離の援護は効果的ではないのだが……赤城の航空機もそろそろ尽きるのでは非効率なのでは無いか?」

 

「それじゃ利根さんが彼女を諌めて何とかして下さいますか?」

 

 

 利根が長門を一瞥すると、即座に向き直り青い顔のままプルプルと首を左右に振る。

 

 

「今装填しておる三式を撃ち尽くしたら通常弾に切り替える、我輩はまだ死にとうないからの」

 

 

 有象無象が集まる一角から不自然に空白が広がっていき、それは包囲の形を徐々に崩していく、湧き出る敵もまだ居たがその数を上回る凶弾が全てを切り崩していった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 暖かくも冷たくも無く、音も光も感じない。

 

 意識もふわふわした物で自分という存在もあやふやに感じる。

 

 

 体は静かに沈んでいるのが辛うじて判るがそれ以外は極めてあやふやで、体の感覚もほぼ無い今は何故か安堵さえ感じていた。

 

 

 最後の瞬間を何とか思い出し、自分は敵の攻撃を受けたのだという事は理解出来た、そして今この状況はもう終わりの時を迎えているのだという事実が確定したのだろうと少女は思った。

 

 

 終わりが近いと感じて先ず思ったのは初めて海に出た時、先に着任していた"妹の村雨"に手を引かれ、おっかなびっくりで立った海は寒くて、空は鉛色をしていて、でも、楽しかった。

 

 次に思い浮かんだのは大本営に召還され、不安なまま着任した時、あの時は判らなかったが初めて会った自分の上司になると言った男の顔はガチガチに緊張していた、ちょっと戸惑った。

 

 仲間が増えた、沢山笑った、色々振り回された。

 

 でも隣にはいつでも彼が居た、どこか間の抜けた困った様な頼り無い顔。

 

 

『楽しかったんだ…… 僕は楽しかった』

 

 

 色々辛い事はあったはず、死を望んだ時もあったはず、それでも少女が沈みつつ思い浮かべた物は楽しかった時の事ばかりだった。

 

 

『うん……楽しかったのならもう、いいのかな?』

 

 

 そうして心を閉じる、後悔はあったかも知れない、まだやりたい事があったかも知れない、しかしそれに惹かれれば自分は自分で無い何かになりそうな気がして、それだけは嫌だと心を閉じた。

 

 

 

───────── あの時託された言葉を届ける事は適わなかった

 

───────── あの男が老いていき、我を見て繰り返し呟いた後悔の想いは此処に刻まれている

 

───────── 再び舟として黄泉還り、友に報いようとしたあの娘の声無き願いを誰が無下に出来ようか

 

 

沈めて成るものか─────────()が心は死を願ってはおらず

沈めて成るものか─────────()が体は朽ちようとすれどまだ死してはおらず

 

 

 時雨の左手に握られたままの無銘の刀が淡く青い光を明滅させ、言葉にならない言魂を暗闇へ響かせる

 

 

汝が我を手にした時、舟の魂と結びついた時、心を振るわせたのを忘れまじ

 

海へ散っていった英霊が、仲間の鎮魂に尽くした男の想いが、再び還ってしまった娘の悲しみが

 

我と汝を邂逅させた事、忘れまじ

 

 

握れ、さすれば再び黄泉還る、あの海へ、その為に我は此処に在る

 

 

 時雨の中には時雨の物では無い記憶が静かに流れ込んでくる。

 

 まるで時代物のフィルムを見るように、それは色褪せ途切れ途切れの物。

 

 

 暗く狭い場所で、更に狭い場所へと身を押し込む青年の姿、優し気に笑う眼は前だけを見ていた。

 

 白い装束に身を包んだ老躯は、石畳の向こうにある鳥居を通して空を見上げていた。

 

 『ゴーヤの魚雷はおりこうさん(・・・・・・)なのでち』、そう呟く少女の言葉に込められた本当の意味を知った。

 

 

 左手に僅かに残った力を込めて。

 

 そこから糸の様な物が血管を辿り体へ広がるのを感じた。

 

 明滅する刀身の輝きが青から赤に染まり、血の色になった時。

 

 体が透き通る様に白く、黒髪が光を放つ銀色へ。

 

 

 刀身が周りに沈む魂を喰らい、取り込んでいく、海に眠る想念が体を上へ押し上げる。

 

 瞼を通し感じた光に目を開ければ、其処にあるのは赤い燐光が滲む紅い瞳。

 

 

 

 有象無象の只中、一際大きな水柱が上がる、それは姫が穿った砲弾よりも尚高く吹き上がる。

 

 夥しい海水が降り注ぎ、それが再び水飛沫を発生させる。

 

 そしてそれが収まり、飛沫がまるで海に降る時雨の様にパラパラと霞む只中には、白露型の制服に歪な砲を二つ背負い、紅く燐光を滲ませた銀髪の少女の姿があった。

 

 

「いい……雨だね」

 

 

 誰見る事なく彼女は空を仰いで、今もパラパラと降り注ぐ水滴に目を細めてそう呟いた。

 

 左手に握った刀を鞘に納める、背部にある二機の砲をアームが駆動して体の左右に押し出すと、それを両手で握り締める。

 

 対に並ぶそれは時雨が使っていた10cm連装高角砲に酷似した形状の5inch連装砲。

 

 

「駆逐艦時雨、出撃するね」

 

 

 周りに居る有象無象を吹き飛ばし、時雨と名乗った紅い眼の銀髪のお下げが蹂躙を開始した。

 

 

 




 誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。

 また、拙作に於ける裏の話、今後の展開等はこっそりと活動報告に記載しております、お暇な方はそちらも見て頂けたらと思います。


それではどうか宜しくお願い致します。

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