寧ろ平成最後の話がこんな物で良いのかという色々があったりしたり。
て言うかあれです、新たな時代に突乳してもどうか変わらぬご愛顧を、切に。
それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。
2019/08/05
誤字脱字修正反映致しました。
ご指摘頂きましたリア10爆発46様、水上 風月様、有難う御座います、大変助かりました。
『あ~やっと面倒な手間を掛けずに遠距離通話できるようになったってか? 長かったよなァマジで』
西蘭泊地
大坂鎮守府の指揮所を更に間違った方向で近未来化してしまったそこでは、髭眼帯が中空に映し出された四つのモニター映像を前に愛想笑いを振りまいていた。
右からクルイ基地、次に大坂鎮守府、その隣には舞鶴鎮守府にクェゼリン基地の順で映し出されるそれらは、漸く整備された衛星回線を利用しての拠点間同時通信を利用した遠距離会議の最中であった。
現況北方棲姫側との連絡用に元々の学術衛星が使用され、更に西蘭から打ち上げられた衛星が日本と西蘭を繋ぐ為に稼働中。
そして西蘭と日本の秘匿回線が開通したとなれば、大坂鎮守府を中心として元々敷設してあった物理回線を通じて各所へ秘匿通信が可能となる。今回はその通信網のテストを兼ねると共に、髭眼帯が居を移して以降初めてとなる派閥の全体会議の開催となっていた。
「まぁ暫くは大坂の施設を中心とした通信網となりますけど、リアルタイムに連絡がとれるのは結構重要と言いますか、漸くこれでスタートラインに立った状態かなとは思うんですよ」
『そりゃいきなり外地に派閥の中核が移動なんて、前代未聞を通り越して冗談じゃないっていうのがこっちの心境だったんだけどね』
髭眼帯の言葉にクェゼリン基地司令長官の飯野は苦虫を噛み潰したかの様な相を見せつつ、クルイの日下部が無言でコクコクと頷いているのが印象的な、余程不安だったのだろうという有様を見て吉野はハハハと乾いた笑いを口から漏らしていた。
吉野達が西蘭へ居を移してから早一年近く。拠点の整備から関係各所との調整、そして経済的な自立と様々な準備をしてきた訳であったが、その間も他の拠点への支援は滞りなく行えていたとは言え、正直それらはこれまでプールしてきた資金を切り崩す事で賄う状態であったのは他拠点の長の知る処にもなっていた。
更に直接回線が敷設されていない以上各所への連絡は必要最低限の物になっており、秘匿するべき内容の連絡は軍部の検閲の関係で中々やり取りができない状態にあった。
その状態で一年間。確かに要所ではやり取りがあったものの、内地を遠く離れたクルイとクェゼリンの二拠点に関しては支援以外のフォローが中々出来ず、日々不安を募らせる結果となってしまっていた。
『まぁまぁ飯野殿、普通なら瓦解してもおかしくはない厄介事を退けた上で、たった一年で現在のような以前よりも更に潤沢な支援が受けられる状態に持っていかれたのですから、その辺りの事も考慮して苦言は程々に』
『って言うかダンナはいつもいきなり過ぎンだよ、ちょいちょい連絡貰ってたこっちでさえどーなってンだって思ってたンだ、飯野さンと日下部に関しちゃ愚痴の一つも言いたくなるのァ仕方ねぇンじゃねぇの?』
『……聞く処によれば欧州連合との関係がややこしくなったとか、船渠棲姫と密約を交わしたとか、新たに北太平洋の首魁を麾下に置いたとか。詳細な説明もなくポンポンと結果だけ知らされてもこっちとしては混乱するばかりですよ……』
日下部が死んだ魚のような目で語る色々は他の者達からしても納得できる愚痴だったらしく、髭眼帯はじっとりとした視線に耐えられずプイッと視線を横に逸らしてしまう。
ここ一年各拠点に連絡があった諸々を時系列順に、簡潔に並べてしまうと─────────
先ず大坂鎮守府の総員が西蘭泊地へ居を移すという大事件が突然発生し、次いで経済面では吉野商事で内部抗争が発生したがいつの間にか沈静化していた上に役員全員が刷新され、更にはメタンハイドレートという降って沸いたエネルギー資源を巡って少なくない国々を相手に大立ち回り。
なんじゃそりゃと思っていたところにテロ組織と仁義なき戦いが勃発したと思いきや、軍務の面ではインド洋の首魁と怪しげな密約を結んでしまったらしいと連絡が飛び込み、一体何がどうなっているのかと確認しようとした矢先に今度は何故か攻略目標であった北太平洋の首魁を麾下に置いたという追加連絡が入るという始末。
吉野的には精一杯動いて諸問題の形をなんとか整えた状態であったが、聞かされる側としてはそれこそ一体何をどうしたらそんな事になるのかとワケワカメな状況だったに違いない。
そんな事情を一から説明するには時間的に無理があるので拠点間共用のデータベースに諸々を上げて各自に確かめて貰う事にした訳だが、それでも中間棲姫を釣り上げただの、
「いろいろあるんです。いろいろ……」
結局会議と言うより現状の説明に追われた結果途中で心が折れ面倒になってしまい、久しぶりに行われた派閥間会議は終始ゆーちゃんの常套句を口にして茶を濁す髭眼帯という場が暫く続くのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『ふむ、結局外に対してはメルボルンに窓口を設けてそちらで対応する事になるのですな』
「ですね、場所が場所だけに気軽に訪れる事は困難ですし、ある意味窓口の所在地その物が一定のふるい分けという機能を果たしてますから、これはこれで良かったのかなと」
半ば強引に現状に至る説明を終えた髭眼帯は、会議に参加する四拠点の司令長官へこれからの指針と、それについての説明をする為資料を其々の拠点へ電送していた。
そこに記されていた内容に輪島以外の者は訝しげな表情を浮かべ、モニター脇に記載されているであろう諸々に目を通していた。
『吉野君、ちょっと聞きたい事があるのだがいいだろうか』
「はい、なんでしょうか飯野さん」
『今貰ったデータには一旦中止になっていた北太平洋攻めの実施が記載されている訳だが、確か現在その海域の首魁である中間棲姫は現在君の麾下にあるのだろう? なら彼女に要請すればわざわざ海域の攻略をしなくとも上位個体の戦力化はできるんじゃないのか?』
「あー……それなんですが、
『うん? テリトリーの維持を放棄?』
「はい、詳しくは送ったデータに記載してあるのですが、現在北太平洋……正式呼称で言う処の西太平洋北部は、これまで我々が認識していた通り"首魁が存在しない無法地帯"という状態になっており、中間棲姫さんの管理から離れた状況になっているのは確かなんです。なので攻める事に何の支障もない状態にはありますが、同時に中間棲姫さんからの支援もあてにできない状態でもある訳です」
『……ふむ、能力の暴走? 随分と物騒な事がこれには記載されているが、そんな深海棲艦を取り込んで君の拠点は大丈夫なのか?』
「その備えとして
『その話よりもダンナ、戦力が足りないから太平洋攻めを実施するって話になってるみてーだがよ、
「戦力が足らないと言ったのは泊地の防衛に関してではなく、主に船渠棲姫の件に絡むものなんですけどね……」
『船渠棲姫? それってちくっと前に密約を交わしたヤツだったっけか? へっ……なんだよ結局そいつとドンパチすンのかよ、えぇ?』
「いやいやいや、そういう訳ではないんですけどね……」
狂犬が嬉し気に口にした言葉に場は一瞬緊張した空気に包まれるが、髭眼帯は慌ててそれを否定しつつも自身の考えを口にし、其々の拠点の長に意見を求める事にした。
そもそも船渠棲姫が吉野と接触した目的の先にあったのは、ペルシャ湾から上陸し、その先にある何かを調べる事。その為に五年という限定された期間を設定した上で、お互い干渉しないでおこうという旨の密約を結んだのである。
これは逆に言えば船渠棲姫が何かを調べ上げる為には最長で五年という時間を要すると共に、その活動を行うには人類の介入が邪魔になるという事情が絡んでいるのではないかと吉野は予想した。
密約を交わした後、マッチポンプ染みた海戦が行われたのはアラビア海のほぼ中央。そこからペルシャ湾に侵攻するとなればある程度目的とする方向だけは絞られる。
そこから導き出される中でもっとも可能性が高い目標を挙げるとするなら地中海。現在船渠棲姫のテリトリーに一番縁深い欧州連合が多数集う海である。
だがインド洋側からそこへ至る為に必ず通過しなければならない紅海は、ヨーロッパ側からしてみても
これらの推察は一応の筋が通っていそうだが、後に吉野は
元々インド洋の首魁とされる船渠棲姫のテリトリーはアフリカ大陸の東側全てを抱える広大な物ではあるが、実は喜望峰を西進した向こう側、つまり南大西洋にも食い込んだ形となっており、もし地中海へ抜けるのが目的であるならわざわざペルシャ湾から上陸するよりもアフリカ大陸の西側を沿うように北上し、ジブラルタル海峡から地中海に入る方が都合が良いという事になるらしい。
しかも地中海は現在誰の支配下にもなく、独自の生態系が確立された謎の海域になっているという事であった。
この特殊な海域というのは地中海だけに留まらず、アメリカ大陸付近ではカリブ海、メキシコ湾、そしてカナダのハドソン湾と、大西洋と繋がっていながらもほぼ内海という形の場所が其々原初の者の支配下に治まらない独立した勢力が巣くう、
ならペルシャ湾から上陸した船渠棲姫はどこを目指すというのだろうか。
上陸した地点から言えばイラクやトルコ、それに隣接するイランという国がある訳だが、その辺りで何かを調べるのならわざわざ上位個体を含む連合艦隊を上陸させずとも人型個体を少数放てば戦力的に事足りるし、秘匿を旨とするなら尚更少数で行動する方が何かと都合が良い筈である。
だが敢えて国を相手取る程の戦力を投入するという事は、行動を露呈させてでもそれらの戦力を投入し、情報を確実に持ち帰る為の態勢を固めたと考える方が妥当である。
『吉野殿としては船渠棲姫の目的地は中東諸国や地中海辺りではなく、もっと北に存在する国家にあると睨んでいる訳ですな』
「アラビア海に面する国に対して戦闘行為を避けつつも何かを調べるというのなら、連合艦隊という大所帯で行動するのは色んな意味でおかしいと思うんですよね」
『ほう? と言うと?』
「先ず諸々が失敗し、彼女達が上陸したという事が露見した場合、それが単艦なのと艦隊という単位なのとでは侵攻された国家側の危機感という部分に大きな差が出ます」
『いやそもそも単艦だろうと艦隊単位だろうと、深海棲艦が陸上へ侵攻してくれば当該国家は相当警戒するのではないですかな?』
「そこなんですが、元々ヨーロッパ近辺では一時期集中して深海棲艦が陸上で鹵獲された前例があります。そして現在ヨーロッパ連合に関係する諸国家にはその辺りも情報の共有がなされていて、もし深海棲艦が陸上に侵攻した際は艦娘が派遣される取り決めになっているそうで」
『という事は、
「えぇ、そんな訳であの辺りの関係国では"既にそういう事案があった"という情報は周知の事実とされてます。ただ、この情報にある深海棲艦の侵攻とは単艦で行われたものであり、艦隊規模ではありません。更には嘗てその事案を引き起こしたのは恐らく組織的な情報収集が目的だったのではという見解を事にあたったドイツが出しています」
『成る程、それだけ事が人類側に露呈しているという事は、感知されずに情報を持ち帰る事に成功した深海棲艦もそれなりに居たと考えるのが妥当ですな』
「はい、なので情報収集を目的とするなら船渠棲姫がリスクを背負うのを前提としてウチに接触なんてしなくとも、それは達成可能な筈なんですよね」
なのに船渠棲姫は敢えて連合艦隊規模の深海棲艦を上陸させようと行動を起こした。
「何が目的なのか、どうして艦隊規模の深海棲艦を上陸させる必要があるのか。この辺りの予想は全然できませんが、船渠棲姫は人類側に気取られずに艦隊規模の深海棲艦を上陸させるのは……少なくとも資源環送航路を気取られずに通過するのは不可能と判断したんだと思います。特にあの辺りは海軍が最近制海権を奪取したばかりですし、欧州と日本との間で頻繁に物資を輸送する為行き来する船舶の往来が激しい状態にありますから」
『ふむ? という事は……船渠棲姫が持ち掛けてきた密約の意図する処とは、もしや……』
「自分は色々と深海棲艦と通じていますし、
『むぅ……それらを実行しようとするなら、欧州側と日本だけに留まらず、そこに中東を加えた国家間の関係を知っておかねばなりますまい。成る程……これまで深海棲艦が独自の情報収集を行うという話は眉唾と一笑しておりましたが、これは中々、油断のならん話ではありますな』
「まぁそんな訳で未だ船渠棲姫の目的が判明していない訳なんですが、どうにもこのままでは尻の座りが悪いと言うか、何となくこれを放置するのはマズいんじゃないかと思うんですよ」
『それは当然の話でしょう、寧ろ
「で、結果として言うなら、
『あぁ、戦力が足りないってのはそういう意味での話な訳か、ンで? 太平洋攻めが絡むって事は深海棲艦の鹵獲が目的なんだろ? ソイツらを探りに使う……ってのは無理な話か』
「ええ、幾ら姫や鬼さんでも人類の支配域で活動をするのは無茶ですし、必然的にその辺りは艦娘さんにお願いする形になります。一拠点で配備限界の人員は現在二百とちょっと、そこに加えウチは外事課を立ち上げメルボルンに人員を配置しないといけなくなりますから……」
『成る程、それの埋め合わせとして拠点の防衛や船団護衛の幾らかを深海勢に依存しようと?』
「ですね、まぁ取り敢えずはほっぽちゃんトコから来る方達で暫くは回ると思いますけど、恐らくそれじゃ最終的に足りないんじゃないかなーとか思ったりする訳で」
『なんつーか、外地に飛んだ途端色々と自重しなくなったよなァダンナはよ。まぁそういう事なら太平洋攻めはこっちが受け持つぜ? 代わりと言っちゃナンだけどいつもの如く
一時が万事ブレない狂犬のスタンスに他の者は苦笑しつつも、結局は派閥を立ち上げた当初の目的に立ち返る事になった吉野達。
この会合が持たれてから約一年後には舞鶴鎮守府を中心とした太平洋攻略艦隊が編成される事となり、その支援は主にクェゼリンが就く事になる。
またクルイは古巣であるリンガ泊地と連携して欧州資源環送航路を監視する任に就き、大坂鎮守府は物資や人員を其々の拠点に派遣する為の中継地として役割を果たす事となるのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「そんな訳で拠点整備は概ね整いましたので、現在我が夕張重工では鋭意建造を行っている状態にあります」
西蘭泊地工廠設備群、通称"夕張重工"
そこでは現在戦力の全力増強という命を受け建造ドックが絶賛稼働中の状態にあった。
取り敢えずは駆逐艦を中心とし、軽巡もそれなりに建造するという形で数を優先的に揃え、大坂鎮守府からの伝統である促成教導で一気に練度を上げておき、実戦は太平洋攻めが始まったらそれらに随伴させて経験させようという腹積もりで計画はある意味見切り発車の様相を呈していた。
「……ねぇ夕張君、ちょっと確認させて貰ってもいい?」
「はい提督、なんでしょうか」
「建造は先ず駆逐艦を中心にしてねって提督言ってなかったっけ?」
「はい、確かにそう伺っていましたね」
ビシリと敬礼をする夕張の向こうには、ここ数日の建造結果であろう髭眼帯が見覚えの無い艦娘が数名、装備の更新をする為であろう工廠に集っているのが見えていた。
「うーん、試製41cmも中々捨てがたいんだけど、この16inch三連装砲も最近のトレンドなのよね」
「ねぇ陸奥さん、ダメージは弾着観測射撃のブーストがある事ですし、砲自体は命中が上がる物を選択するべきじゃないでしょうか」
「あらあら鳥海は相変わらず手堅い選択をするのねぇ、まぁ言いたい事は判るんだけど、これだけより取り見取りならちょっと冒険してもいいとは思わない?」
「陸奥さん、まだ私達は着任して間もない新人ですし、ここは一つ先達である皆さんに相談に乗って貰ったらどうかと思うんですが……ねぇ雲龍姉さま……あら? 姉さまはどこに行ったのかしら?」
吉野は確かに駆逐艦と軽巡から建造に着手しろという命令を発布した筈である。だが現在工廠に集う新たなフレンズ達は、髭眼帯の見間違いでなければ長門型の二番艦、姉妹艦の次女はスケベボディという説を体現しちゃうむっちゃんと、キャラ付けは割りとまともなのに姉妹達全てが尖ったキャラの煽りを受け今一陰が薄くなってしまった不遇枠の鳥海。そして邂逅直後は大和撫子と評判の淑女と目されていた筈なのに、改装した途端はっちゃけ過ぎと言うかエロ枠上位に食い込んだと評判の天城であった。
そのフレンズ達は艦種で言えば戦艦に重巡、そして正規空母であり、吉野が所望した艦種からは一番掛け離れた大型艦であった。
「……何で駆逐艦や軽巡を建造しろって言ったら戦艦や正規空母が建造されちゃってるのかの訳を聞いても?」
「あー……それはですね、建造の効率を上げる為にドックを増設したんですが」
「あーそれね、申請があったから許可したのは確かに覚えてるけど……」
「で、妖精さんにお願いしたら盛大に張り切っちゃいまして、僅か二日で建造ドックが追加で三基完成したのはいいのですが、二徹のテンションのままノリノリでテスト建造を行った結果、陸奥さんと鳥海さん、そして雲龍さんと天城さんが建造されてしまいまして……」
「え、四人いっぺんに建造? しかもレシピが戦艦に空母っt」
徹夜テンションでガッツリ建造してしまったメロン子達にナニヤッテンノと突っ込みを入れようとした髭眼帯は、後ろからバイーンとバックアタックを食らってしまい前につんのめってしまった。
「……」
「……」
一体何事かと振り向く髭眼帯の目の前には、有志がデータを出し合って計測したという某乳図鑑で胸囲が脅威の113cm、艦娘中TOPで不動のOカップと判定された乳空母である雲龍が、何故か胸を強調したポーズで髭眼帯を見下ろしていた。
因みに例の平たい胸族の長であるドラゴンはAAカップであり、胸囲は71cmであるらしいのでその差は驚きの42cm。奇しくもグーグル先生に42cmというワードで聞けば検索結果ではこんなブツが上位に出てしまうという悲しい結末があったりしたりするのである。
「だから……飛行甲板は触らないでって。そんなに興味があるの? 仕方ないわね」
「……何と言うかこの新人さんの行動と言動が、何故か一航戦の青いヤツと被ってる気がするのは提督の気のせいでしょうか?」
「ああっ、雲龍姉さま提督に何してるんですか!? まだ着任の挨拶もしていないのにっ!?」
長女がいきなりやらかしたのを見て次女が慌てて駆けて来るのであったが、そこは属性的にやはり乳空母である。未だお淑やかな和装でありながらも、例の乳図鑑判定では胸囲もとい脅威の98cm、Iカップの天城である。盛大に一部を縦ゆれさせつつ走る様は正に圧巻としか言い様がない。
それは二人しかいないのに正に乳パラダイスと呼ぶべきワールドが展開された瞬間でもあった。
「工廠から姉さん達がロールアウトしたって連絡が来たから迎えにきたんだけど、ねぇ一体何をしてるのよ……」
そんな乳パラダイスに三女がINしてしまうという事案。それは本来姉妹が時代を超えて邂逅したという感動の対面になる筈であったが、悲しいかな人型となってしまった今世では性能が体格として反映されてしまい、持つ者と持たざる者(意訳)という格差が残酷な現実として姉妹の間に横たわっていたのであった。
因みに乳図鑑は大きいのだけを網羅している訳ではなく、公平にちっぱいのデータも詳細に記載されている。
その乳図鑑によると
寧ろフラット5の内
「これは……そう、雲龍型にのみ伝わる由緒正しい着任の儀よ、葛城」
「……そんなハレンチな儀なんて聞いた事ないんだけど、相変わらず適当ぶっこいてるわね雲龍ねぇ」
「フ……まぁ陽炎型航空母艦ではこの儀を行うのは無理だから、知らないのも当然」
「誰が陽炎型空母よっ! 私の缶は陽炎型のじゃなくて駆乙用機関なんだから! 変な風評被害を拡散しないでよねっ!」
無い胸を張って主張するグリーンの言葉。確かに嘗て彼女に搭載されていた缶は陽炎型駆逐艦の物という説がまことしやかに囁かれてきたが、近年ではそれではなく駆乙用機関が四機搭載されていたというのが定説となりつつあった。
しかし悲しいかな、駆乙用機関というのは所謂秋月型に搭載されていた物であり、結局は陽炎型航空母艦というレッテルからは脱したものの、訂正しても彼女は秋月型航空母艦というネクストステージに進んだだけだという結末が待ち受けているのであった。
「あら、あらあらダメよ姉妹で喧嘩なんかしちゃ。折角久しぶりに顔合わせしたんだから」
騒がしいと言うか姦しいと言うか、雲龍型の長女と三女が織り成すアレな舌戦に待ったをかけるむっちゃん。流石癒し枠だなと髭眼帯は感心したのであるが、そんな彼女は某乳図鑑によると姉の長門と並び胸部装甲は脅威のIカップ、数値もおそろの101cmである。
ビジュアル的にそれらの詳細を述べるなら、
因みにその場に参加するタイミングを逃し、所在無さ気にしている鳥海は例の乳図鑑によればEカップ、数値で言えば88cmを誇り、泊地の艦娘的な比較対象をすればグラ子とおっぱい風もとい浦風と同クラスであり、本来ならばご立派な部類にINする筈であるのだが、悲しいかなこの邂逅に限定してしまうと持つ者側でも持たざる側でもない、言ってしまえば尖った何かがない為にまたしても影が薄いという微妙なポジに収まってしまうのであった。
「ま……まぁそんな訳で建造ドックの稼動もつつがなく終えましたし、これからはハイペースでの建造が可能となった訳です」
「ふむ、まぁそれはなにより……と言うとでも思ったかこのユウバリンコ」
あの乳図鑑ではC判定であり、数値的には81cmと名称的にメロン詐欺に問われてもおかしくはない工廠の長を前に、物凄く良い笑顔で問い掛ける髭眼帯。
それはたゆゆんとそそり立つ山脈と、せせこましい平野の中間で生尻という小高い丘をペシペシするという罰が展開するいつもの工廠がそこにあったという。
・誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。
・誤字報告機能を使用して頂ければ本人は凄く喜びます。
・また言い回しや文面は意図している部分がありますので、日本語的におかしい事になっていない限りはそのままでいく形になる事があります、その辺りはご了承下さいませ。
それではどうか宜しくお願い致します。