時雨さんの修行始まる、その時髭眼帯は不思議ちゃんとパイパイに囲まれデースは滑りギャグをブッパし、更に鹿島は新たなマシンをチューンするのであった。
それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。
2017/11/26
誤字脱字修正反映致しました。
ご指摘頂きましたリア10爆発46様、有難う御座います、大変助かりました。
「ある程度予想してたけど、やっぱりこういう形で落ち着いちゃったって感じですね」
執務机に着く髭眼帯は手元の書類に目を通しつつ、何とも言えない微妙な表情でその書類に記載されている物に対する感想を口にする。
それは大本営に召還された際に起こったあれこれに対する結末が綴られた書類であったが、内容としては髭眼帯的に予想していた物ではあったものの、それでも実際に決定事項として見れば溜息が出る程には微妙な内容になっていた。
「
「まぁ軍政に対して発言力がある家の出で、一連の計画に関しての物証も殆ど出てませんからね」
「三郎さん達が襲撃犯を拘束してなければ証拠不十分で逃げられた可能性もありますし、現状はそれなりに力を削いだという事で納得する他はありませんね」
髭眼帯の呟きに、本音としての現状を述べる吹雪はそれでも上出来だという答えを返す。
外患誘致罪とは国益を損ない、また戦時下に於いては皇室に対する罪であるという意味合いを含む物であった為、基本的には確定すれば死刑という一択しかされないという重犯罪に位置付けられていた。
それはまだ証拠が出揃っていないにも関わらず、将官という立場の者でさえ取り敢えず拘束されるという状態からも判る通り、艦娘という存在を巡る国同士の折衝は殊の外デリケートで、尚且つ厳しい状態なのが常識であった。
そんな時勢の中で行われた今回の事件は、結局
ただ行動に証言と一致する部分が多く、また吉野達を襲撃した者達が大陸系組織の関係者、かつその者達も野田が関係しているという証言をした為、外患誘致罪という罪の重さを背景に軍籍は剥奪され、引き続き事件は調査継続という事で一応の決着は見る事になっていた。
「自分の方も野田さんを立証する証拠を固め切れなかった訳ですし、ここはまぁ納得しとくしか無いのかなとは思ってますよ」
「何かを言いたければ自分で全てを用意する、それは
「ですね……詰め切れなかった時点でこの件に関して、自分には異を唱える資格はありません」
結局ある程度の落し処はあった物の、最後は中途半端になってしまった事に不安を残した事でまた何かしら起こる可能性があると考える吉野は、書類を机に投げて苦い相のまま頭をボリボリと搔いた。
「後は沖技術士官の件ですが……」
当日の会議にて、総武中将側がオブザーバーとして連れていた技本主査の名を口にしつつ、吹雪がスカートのポケットに手を突っ込みつつゴソゴソと何やら引っ張りだそうとしていた。
それはちょっと手を突っ込んだと言うには無理がある、肘まで手を突っ込んでゴソゴソするという姿に髭眼帯は例の四次元的なポケッツが関係しているのだろうと凄く真面目な表情でそれを眺めつつ待っていると、ズルリとそこからはA4の分厚いバインダーが取り出される。
一応言っておくと、スカートのポッケに収納するのにA4のバインダーというのはオーバーサイズなのだが、それは一応艦娘という存在のデリケートでアレな部分に抵触してしまうので、無闇にその辺りには触れないというのが提督の間では一般的な対応となっている。
「彼は黒に近いグレーではありますが、現在も技本の要職に就いており、現在はちょっとした計画の責任者でもありますので……」
「……なる程、今回は
「はい、三郎さん的には一番納得いかない結果だと思いますが、その埋め合わせと言う事で
「……人事異動ぅ?」
吹雪が殴打すれば死人が出そうな程分厚いバインダーより二枚の紙を取り出し、執務机の上に並べる。
それは大隅の署名捺印がされた着任命令書であった。
「今回の件で大本営の艦隊が万が一と言う事で大陸近くに展開していたのですが、その際僅かばかりの戦闘が発生しまして」
「あー……あの辺りは微妙に
「その辺りは現在軍極秘という扱いになっていますので、私の口から何かを言う事は出来ません」
「軍極秘ですか、それはまた大層な事になってますね……ってえっと……これは?」
机に置かれた書類に記載されている内容に目を通した髭眼帯は、凄く怪訝な表情で吹雪に視線を投げた。
「まだ他に確認されていない種の艦娘二人、取り敢えず大坂鎮守府に着任させるので性能評価、及び運用法を確立し、随時報告を上げよ、と、いう事です」
「……ちょっと吹雪さん?」
「何でしょうか?」
「この艦娘さんて、大陸近くで保護したんですよね?」
「そうですね」
「って事は
「
大本営が邂逅したという新たな艦娘、それらは大陸近海の公海にて迎えた艦娘であるという。
前世を調べれば所属も帝国海軍の艦に違いなく、そして本人達にしてもその認識であった為に現在は日本海軍の所属としてその者達は登録はされた。
しかし公海上であったとしても、自国に近い位置で出現した艦娘を持っていかれた、元々艦娘という存在を持たない
そんな艦娘が、例の会議に於いての落し処という名目で送られて来るというのは、色んな意味で髭眼帯の頭痛の種となってしまうという状況を生み出してしまった。
「……
「はい、既に三郎さんは睨まれている立場ですから、一つや二つそれが追加されたとしても別段問題は無いでしょう?」
「なんかもぉ面倒だから纏めてウチに投げときゃいいやって思ってない? その辺りさぁっ!?」
頭を更にガシガシして唸る髭眼帯の前にある書類。
それに記載されている新たな着任艦は二人。
それには秋月型 三番艦
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「まぁそういう訳で今回建造中の子に加えて、秋月型の駆逐艦と伊号型潜水艦の二人も着任する事になりました……」
「マジで? なんやえらいここんとこ一気にメンツが増えたなぁ」
「うむ、戦力の拡充は歓迎する処なのだが、寮の部屋が改築したばかりなのにまた手狭になってしまうな」
結局命令と言う形の着任は、先に建造した四人に加え、押し付け人事染みた形で更に二人加わった事で合計六人という事になった。
少し前に寮を改築してからというタイムスケールで言えば、北方方面からは十名の着任もあり、それも合わせれば既に十六人の着任となる。
ある程度の余剰は見ていたが、年末に新規教導受け入れも見越していた現状ではやや部屋数という物に余裕が無くなってきたという問題が発生し、急遽髭眼帯は長門、龍驤と共に鎮守府のお財布を握る大淀と、施工担当になる夕張を召還し緊急会議を招集する事になった。
「今教導受け入れが決定しているのは何人だっけ?」
「年末に二艦隊、十二名だが、年明けにももう一艦隊追加となるから都合十八名になるな」
「部屋の空き数は?」
「んっと、今んとこ二十部屋やったかな」
「て事は今回の新規着任を合わせると今年中に何とかしないと部屋が足りなくなると……」
「最悪
「……幾ら何でも部外者にラヴホに泊まってねって、提督口が裂けても言えません……」
基本的に教導活動が本格化すれば部屋数は足りない試算であった為一応の予算編成はしていたものの、それは次年度という段取りで進められていた。
それはつまり寮の改築は四月以降という段取りになっており、それを前倒しする為には施工という面では夕張が、予算面では大淀の承認が先ず必要となる。
施工面で言えば嘗て鎮守府施設全てを半月で竣工させた実績を夕張は持っていたのでそれは可能ではあったが、この半年で鎮守府主導の作戦を二回行った上に、友ヶ島警備府施設も新築した為、予算面で問題が出るのではと髭眼帯は危惧していた。
「もし施設の改築、若しくは増築となった場合、施工面ではどんな感じになっちゃう?」
「えっと、もう既に元々の寮は増築するには土地が手狭になってますし……新規にどこかへ建築となる感じですね」
「施工期間は?」
「あ、半月あれば大丈夫です」
あっさりと返って来た答えに髭眼帯は凄く真面目な相になる。
確かに今までの事を考えるとそれは予想出来た答えであった。
しかし鎮守府の施設を
そんな余計なアレコレがINされてしまうとまたプルプルする事になってしまう、そう思った髭眼帯は是が非でもそれは阻止しなければと意見を述べようと決心した。
「それじゃ予算は今ある寮の建築費と同額準備すれば大丈夫そうですね」
「ですね、提督のお部屋が無い分浮いた予算は別のシステムに食われると思いますし、取り敢えず大淀さんには後で詳細見積もりを出せば大丈夫です?」
「はい、それで問題無いですよ」
「スタップ! ちょっと待って君達!」
「え、何ですか提督」
「……今メロン子が言ったシステムってナニ?」
意見と言うより突っ込み染みた髭眼帯の言葉に対し、既に予算編成に移ろうとしていたメロン子とoh淀は首を傾げる。
因みに現在の艦娘寮は多少過剰と思われる娯楽系の施設は別として、秘密の通路や贅を尽くした造りをしているが結局カオスになってしまった髭眼帯の私室、そして例の魔の艦長席という碌でもない設備が目白押し状態になっていた。
そういうブツを鑑みた上でメロン子が言うシステムという言葉には、もう碌でもない設備が絡むのは間違いないと髭眼帯の嫌な予感ゲージはピコンピコンと反応していた。
「緊急脱出システムと防犯設備はまぁデフォですよね~」
「え、ここ鎮守府なのにナニをドコに緊急的に脱出するつもりなの? それってオカシクナイ!?」
「風呂も手狭になるだろうから、新たに設置するかどうにかする必要はあるな」
「今の風呂とその風呂の間をやな、ウォータースライダーなんかで繋いでみたらどうやろ?」
「なんでバスにINする行為にそういう娯楽をミックスする結論に到達しちゃう訳ドラゴン!?」
「そういう事なら食堂施設も拡大しないと、収容人数に対応出来ない可能性がありますね」
「ふむ、なら間宮も二階建てにしてしまうか」
「え、いつから間宮さんそこに居たの?」
「はい、何となく呼ばれる予感があったので」
「ナニソレ怖い、間宮さんってNEWTYPEだったの!?」
「まぁ、そうなるな」
「師匠もいつの間にか生えるのヤメテ! 提督ビクッてしちゃうからっ!」
「五航戦の子なんかと一緒にしないで」
「取り敢えず取ってつけた理由で会議にINするのヤメロ一航戦の青いの! oh淀っちヘルプ!」
こうして髭眼帯の突っ込みは大活躍するのだが、結局それだけで議論には微塵も反映されないという悲しい現実がそこに転がっているだけであった。
そうしてこの新規着任に端を発した施設全体の見直しという大改装は、またしても髭眼帯にとって色々な波乱と頭髪を禿げ散らかしてしまう結果を齎すのだが、その前に先ず建造と着任の儀の時点で色々が待ち受けているというのを髭眼帯はまだ知らない。
誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。
ただ言い回しや文面は意図している部分がありますので、日本語的におかしい事になっていない限りはそのままでいく形になる事があります、その辺りはご了承下さいませ。
また、拙作に於ける裏の話、今後の展開等はこっそりと活動報告に記載しております、お暇な方はそちらも見て頂けたらと思います。
それではどうか宜しくお願い致します。