Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合)を略したそれは、簡潔に述べると目的に沿った行動を効率的な備えで行うという事になり、意識しながらも自然な流れになる様努力するという行為となる。
そんなTPOだが、マナーや常識を排せば極めて効率的な部分が際立ち、それは理に適った物事が根底にある、故に目的を同じくした者が集った時は、個々の色が多少あっても、結局は皆似た様な形になるのが当たり前と言えるだろう。
それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。
2017/10/05
誤字脱字修正反映致しました。
ご指摘頂きましたリア10爆発46様、yu saito様、有難う御座います、大変助かりました。
2017/08/24
一部方言のおかしな箇所修正致しました。
御指摘頂きました眞川 實様、有難う御座います、大変助かりました。
「うち、浦風じゃ、よろしくね!」
「霰です…んちゃ…とかは言いません…よろしく…」
大坂鎮守府執務棟執務室、夕張が漸くキリバステリトリーから帰還し例の毛生え薬の精製がされ、パゲ眼帯のスキンヘッズが解消された現在、鎮守府拡張計画の一端として長らく稼動させていなかったドックシステムを利用しての建造が行われた。
それは必要とされる数を建造率100%の確率で行い、数を賄うという計画の下順次建造を続けていく予定であったが、その作業を工廠へ伝えた結果、今まで認知されていなかった問題が浮き彫りとなった。
先ずその作業には建造に必要な資材の他に、適切なタイミングと"場"の安定が必要とされ、それが整わない限りは幾らドックを稼動しても何も建造されないか、艤装のみという失敗した結果しか得られないという事が妖精から時雨に伝えられた。
これは長らく確たるコミュニケーションが取れなかった妖精達という存在と、何故か彼女達とはある程度の意思疎通が取れる時雨という者が居るからこそ判明した建造のプロセスであるが、それでも詳細が判る程に理路整然と妖精達が意思を示す事が無いという状態にあった為に、恐らくや多分という言葉が端々に混じる、そんな不確定な意思疎通の末に得た情報を漸く解読した結果、とても不確定で不安定な建造というシステムの問題点が判明する事になった。
先ずタイミングと言うのは妖精にしか判らない物である為、基本建造の開始は妖精にお任せするしか無い。
次に場の安定とは、一度建造を行えば暫くインターバルを置かなければ建造が出来ないという事では無いかと予想された。
またその建造に於いて、必要とされる資材以外の"何か"という物は艦種によって必要量の差異があり、建造する艦娘の艦種によっては建造数に違いが出てくる事も判明した。
具体的に言えば駆逐艦の様に小型の艦なら数隻建造が可能であっても、戦艦や正規空母の様に"重い"艦種になればなる程一度に建造出来る数は少なくなる、そんな目に見えない"何か"を消費した建造というシステムは失敗こそ無いものの、成功させるにはそれなりの手間と時間が要する限定した物だと言う事が当初の増員計画を大きく遅延させる恐れが出てきた。
そしてこれらの情報は全て時雨が甘味を片手に懇切丁寧に時間を掛けて妖精さんから何度も聞き出そうと試みたが、やはり肝心の部分で情報の不確かさが目立ち、結局の処建造を行うにはある程度の期間と、それの多くは妖精さんお任せが基本という、そんな不便な現実が確定となってしまったのである。
そういう訳で現状戦力面では取り敢えず事足りている大坂鎮守府では、先ず業務に充てる頭数を確保する為の建造を優先する必要があった。
その為同じ時間でも一度に建造する数が稼げる駆逐艦を中心として暫く様子見と調整を繰り返し、鎮守府に於ける艦娘の数がそれなりの物になった時点で大型の艦を建造するという方針として艦の数を増やしていく事になった。
今回はその建造計画の第一陣、大坂鎮守府建造としては第三期の艦娘がロールアウトされた処であった。
それはタイミングが悪かったのか、場という謎の存在の安定が整っていなかったせいなのか、建造のオーダーを出した時点での妖精さんからの返答は、『駆逐艦クラスなら2~3、それ以上なら軽巡1がせいぜい』と言うものであった為、今回の着任は駆逐艦である陽炎型十一番艦 浦風と、朝潮型九番艦 霰が建造され、鎮守府に着任する事になったのであった。
「今度も陽炎型と朝潮型? 普通特型とか睦月型辺りが多くなるのが鎮守府あるあるなんだけど、うちはその辺逆転してない?」
「いや睦月型は今度友ヶ島警備府の人員がこっちに引っ越して来るから、逆にこの建造結果は有り難いと言えば有り難いんだけどねぇ」
「あの……提督さん? ちぃとええじゃろか」
「あーごめんごめん、浦風君に霰君……だっけ? ゴホン、あー……自分が当大坂鎮守府の司令長官をしている吉野三郎だ、我々は縁あって君達二人との邂逅が適った事を喜ぶと共に、呼び掛けに応じここに顕現してくれた事に心から礼を言う」
「あ、うん、ひょっとしてうちら必要とされとらんけぇ放置されとるって思うとったが、そうじゃのぉてえかったわいねぇ」
「無視……されてる訳じゃなかった」
「いやいやいや、そんなつもりは全然無いからね?」
「まぁ色々あってツッコミが最初になっちゃったわね、ごめんごめん、ようこそ大坂鎮守府へ」
「あーひょっとして陽炎姉さんか?」
「うん、久し振りね浦風」
「げに久し振りじゃねぇ姉さん、何となーくほうなんじゃないかって思うとったんよ」
「まー何でか判んないけど、姉妹同士って初対面でも何となくそうなんじゃないかって感じる部分はあるみたいね、でと、ここには不知火に親潮、それと……ちょっと訳ありだけど黒潮も着任してるわ」
「ほうほう、そりゃぁ会うのが楽しみじゃね」
「朝潮型だと朝潮と霞が着任してるわよ」
「そうなの? それじゃ後で……会える、かな?」
「うん、そっちは今訓練してるか業務に就いてると思うから、鎮守府の案内ついでに連れてってあげるわ」
「まぁそりゃええとして……提督さん?」
「うん? 何かな?」
「あー……うん、その、何とゆうか今時の海軍さんてそがぁな髪型が流行っとるん?」
嘗ての離別より時を経て姉妹が邂逅後の会話を交わす、そんな喜びを含む和やかな出会いになる筈が、何故か新たに着任した青色フレンチクルーラーと朝潮型不思議ちゃんという二人の視線が、チラチラと脇に立つ鎮守府司令長官の方に向けられているという不思議。
正確に言うとその視線の向う先は司令長官にというふんわりとした部分にでは無く、その司令長官の頭部という限定された部分に集中していた。
「いや
「……深い?」
「いやそれ全然深い理由も事情も無いから」
そんな真顔かつ怪訝な表情のニューフェイス達の前に立つ、乾いた笑いを口から漏らす大坂鎮守府司令長官の出で立ちは、白い二種軍装上下に珍しく軍帽を被った格好であったが、その帽子の側面360°からはワッサーとチリチリになったヘアーがはみ出した状態になっていた。
「今度は鳳翔さんにお願いしたらそうなっちゃったんでしょ?」
「ああうん……頭洗ってる途中に気持ち良くなって寝落ちしゃってさ、目が覚めたら超アフロになっててねぇ……」
「何でそれやり直しして貰わなかったのよ」
「いやそう言いたかったんだけどさ、周りが物凄くノリノリと言うか、賛美の嵐と言うか」
「給糧課の連中って美的感覚がちょっと……ううん、大分おかしくない?」
夕張が帰還したお陰で毛生え薬の精製が可能となり、やっと普通の髪型に戻せると喜び勇んで吉野が散髪を頼んだ相手は鳳翔であった。
何故散髪を頼んだのが鳳翔だったかと言えば、その時手が空いていた者の中で比較的色々とまともそうだったのが彼女という吉野的には単純な理由があった。
そんな安易な基準で散髪をお任せした結果、取り敢えずカット終了時の洗髪段階に於いて、オカンが心を込めたテクニックによって醸し出した優しい手付きと癒しの空気に色々安心してしまった髭眼帯がスヤァしてしまい、またおまかせという大任を受けた彼女が変に気を回し、
こうして髭眼帯(パゲ)は手間隙を掛け懇切丁寧な栽培結果を経て、髭眼帯(黒カリフラワー)として鎮守府へ出荷されるに至った。
「うちてっきりそれが提督さんの趣味じゃゆぅて思うとったんよ……」
「ファンキー司令官……これからの人間関係が物凄く……その、どうしようかって、不安が」
「ああうんゴメン、マジでゴメン……」
こうして新たに建造され着任の挨拶を交わすという神聖な場は、本来なら司令長官は威厳を、それを受けた艦娘は希望と使命感を以っての邂逅となる筈が、黒いアフロが原因で物凄く微妙かつ乾いた空気のまま執り行われつつも、取り敢えず終了となるのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「あー結局そっちはそういうメンツに収まった訳だ……ところで香取君」
「はい、何でしょうか提督」
「えっとその……うん、全員集合してんのはいいんだけどその、何であの格好と言うかうん……」
午前中に建造された駆逐艦二人と邂逅を果し、取り敢えずの手続きと鎮守府内の案内を陽炎に託した髭眼帯(黒カリフラワー)は、以前から準備中だった艦娘の自立支援施設である免許取得センターへ足を運んでいた。
施設自体は既に出来上がっていたのだが、その業務を回す人員が揃っていなかったのと、細々した機器の搬入を見送っていたせいでずっとそこは準備状態のまま稼動出来ずにあった。
そんな免許センターの教員予定であった者達は香取姉妹の実地訓練を受けた後、教官としての資格を各種公安委員会を通じて受験した結果、全員晴れて合格した為必要人員が揃った同施設の運用は可能状態となった。
そして現在髭眼帯(黒カリ)の前では、ニコニコとする香取と鹿島、その後ろには大鳳、比叡、サラトガ、ビスマルクという面々がピシッと整列している様が見える。
何故か全員香取姉妹と同じデザインのムチムチとした例の礼服に身を包んで。
「はい? 格好ですか?」
「うん、何で皆その……例の礼装着てんの?」
「あーそれですか、それはやはり教官という立場は教える者達の規範となる存在でありますし、その者達がバラバラの服装では示しが付かないでしょう?」
「なる程、うん、それは理解したけど……何と言うか?」
「提督はこの礼装に何かご不満がおありでしょうか?」
「いえ、そっちには特に問題は無いんだけど……」
微妙な表情の髭眼帯の向こうには、香取と同じヲナゴ教師的なピッチリしたタイトスカートに黒ストッキングというサラトガ、ビスマルクが、そして鹿島タイプの黒ソックス、ミニのフレアスカートという大鳳、比叡が見えている。
そのボディラインにピッチリした白い上着も相まって、約一名を除いて胸部装甲が無駄に強調されるシルエットはやたら扇情的かつヤバい雰囲気を醸し出していたが、免許取得を受ける者が艦娘と言う事であったので、取り敢えずビジュアル的な色々諸々の問題はスルーされた状態で制服関係は認可されていた。
用途的にも統一性を考慮しても、教習所という場では目立つ白と独特の造りであるそれはある意味正解とも言えるし、吉野的にも別にこれと言って問題は無いと言えた、ある一点を除いて。
カトリーヌと会話をする髭眼帯(黒カリ)の視線は目の前の彼女にでは無く、少し離れた場所に据えられた例のティーテーブルでお茶をする一団、金剛、大和、榛名、加賀というメンツに注がれていた。
「ンー? どうしたネーテートクー」
「いえ、それは提督のセリフと言いますか……何で君達そんなトコでティーしちゃってんの? 香取スタイルで」
「提督」
「……ナニ?」
「五航戦の子なんかと一緒にしないで」
「いえ、五航戦の人達は香取コスしたままティーしないと提督は思います」
「榛名は大丈夫です!」
「何がどう大丈夫なのかという、主語と述語をちゃんとINして提督に理解できる様説明をして下さい」
「実はこの香取さんが着ているタイプの礼装は教導に特化された物と言う事で、拠点に於ける教導の任に就く者には最適の制服では無いかという意見が上がりまして、大和も試しに仕立てて頂きました」
「……明石に?」
「はい!」
パァァと華が咲く様な笑顔の大和から視線を逸らし、スッと流れる様にポッケからスマホを取り出した髭眼帯(Blackカリフラワー)は、明石酒保の番号をスタイリッシュかつ無駄なくピポパした。
「もしもし明石酒保? 自分自分、え? カリフラワーを隠蔽するのに軍帽はちょっと無理があるんじゃないかって? ナニ君ら情報早いね誰に聞いたのそれ!? ああいや明石居る? え? 留守? ナニ? セントローレンス米軍基地に出張!? アイツとうとう米軍にまでコナ掛けに行ったの!? ナンデ!? え? 夢を掴んだ奴より夢を追ってる奴の方が時に力を発揮するぅ? ナニソレどういうコト!? 真田のユッキーさんなの!? 家康さんチビらせちゃうの!? うんうん……うん、え、なにそれコワイ……うん……そっかぁ、うん、そーなのかぁ……」
日本海軍酒保部門総括明石、それは必要があればそこが深海棲艦のテリトリーであろうが、他国の領海であろうがいつのまにか潜入を果し、また扱うブツの多彩さから必ず契約を捥ぎ取ってくるという、エ○ア88のマッコイじーさん並みの仕入れルートと商魂を備えた艦娘であった。
そんなピンクのモミアゲのアクティブさにプルプルする髭眼帯(黒カリ)の
「ところで提督」
「……あぁうん大和君……どしたの?」
「この礼装がどれだけの効果が発揮出来るのかという検証をする為、一定量のデータ母数が必要になりまして」
「母数ぅ?」
「はい、その為皆で今日から暫く香取型礼装を着用してデータを収集する事になりまして」
「……みんなぁ?」
「なぁ提督さん」
怪訝な表情の髭眼帯が諸々を大和から聞こうとした瞬間後ろから声が掛かる。
その声に首を傾げ振り向くと、そこには今朝邂逅したばかりの青フレンチクルーラーが顔を真っ赤にしつつ、プルプルしてそこに立っていた。
鹿島タイプのピッチリとした礼装を身に纏って。
「……えぇと、浦風君? それは……」
「さっき部屋に行って荷物整理しょぉったら、酒保から届いた荷物の中にこれが入っとって……今日からこの制服を着てつかぁさいって書いとる書類が中に……」
「ああうんえっと、何と言うかそれは……うん……」
「これって提督さんの趣味なん?」
「チガイマスッ」
「でもこれにゃぁ提督さんのサインと捺印がされとるんじゃが」
「ウッソマジデェ?」
浦風から受け取った書類をマジマジと確認する髭眼帯(黒カリ)の脇では、元祖フレンチクルーラーがNew faceが登場したヨーと言いつつ手招きをし、未だ羞恥心でプルプルする水色フレンチクルーラーにボショボショと何かを告げるという、何やら怪しい空気が漂い始めた。
そして吉野の手にあるメモには大坂鎮守府司令長官の名と印、そして連名で艦隊総旗艦長門の名と、総務課総括大淀の名が刻まれていた。
それは誰がどう見ても大坂鎮守府発行の正式書類であった。
そんなメモと言うか正式な命令書にプルプルし始めた吉野の傍で、輪になってコショコショが続く集団からいつの間にかスススと音も無くスライドしつつ、殺意の波動を使うあのゴツい格闘家の様に、残像を残しながら間合いを詰めるという不自然な挙動で髭眼帯(黒アフロ)の隣へと移動してくる榛名。
それは見る人が見るとピカーっと画面がホワイトアウトして、いつ榛名の背中に『天』の一文字が浮ぶのだろうかと想像させる程に見事な動きであったという。
「あの……提督」
「ハイナンデショウカ……」
「榛名のこの姿なのですが、どうでしょうか?」
「エーソレハナカナカ……え? ナニどしたの榛名君?」
「はい、あのぉ……榛名はパジャマ以外洋装を殆ど身に着けた事が無いので、似合ってるかどうか不安で……」
阿修○閃空でスススと寄り添い、潤んだ上目使いの鹿島型礼装を身に纏う榛名。
そんな武蔵殺しを見つつ吉野は思った、榛名の言うパジャマとは、いつも身に着けているトラッ○ー的なアニモーな着ぐるみの事を言っているのかと。
もしそれが正解と言うのなら、彼女達の言う洋装とは何なのかと眉根を寄せた。
「榛名君のパジャマって洋装なんだぁ……んじゃさ、和装のパジャマって誰か着てたっけ?」
「和装……そうですね、武蔵さんのウサちゃんはヨーロピアンですし、ああそう言えば長門さんの亀は和装でしたね」
「か……亀が和装なんだぁ、それじゃ大和君のカッパも和装になるの?」
「え? カッパはチャイナですよ提督」
「チャ……チャイナなのぉ?」
「はい、春のチャイナフェア限定のパジャマですよアレは、ねぇ大和さん」
「そうですよ、ちょっと特徴的ですが、アレはチャイナタイプのパジャマになります」
そんなパジャマのカテゴライズを聞き首を捻る吉野の傍で、輪になってコショコショが続く集団からいつの間にかスススと音も無くスライドしつつ、殺意の波動に目覚めたあのハチマキを巻いた格闘家の様に、残像を残しながら間合いを詰めるという不自然な挙動で髭眼帯(黒アフロ)の隣へと移動してくる大和。
それは見る人が見るとピカーっと画面がホワイトアウトして、いつ大和の背中に『天』の一文字が浮ぶのだろうかと想像させる程に見事な動きであったという。
そして再び吉野は思った、和装に洋装、ヨーロピアンにチャイナ、色々なカテゴリ分けがされているが、一帯それの基準がどこにあるのかと。
「そう言えば日向さんのオーダーメイド瑞雲は確か去年の明石セレクション・デザイナーズの金賞を受賞してましたね」
「ズイウンがぁ? デザイナーズぅ?」
「えぇ、何でも今年はサマーフェスティバル瑞雲を出展して明石オブ・ザ・イヤーを狙うと聞いてますが」
「サマーフェスティボー? 明石オブ・ザ・イヤーぁ?」
再び怪訝な表情をするカリフラワーの両脇には、イミフな話題を真面目に論じつつも、何故かジリジリと距離を詰め、プルルンとした胸部装甲を腕に押し付けつつアピールする鉄壁と武蔵殺しという、ある意味大坂鎮守府でも最凶と呼べる布陣がそこに出来つつあった。
「あのー、提督さん」
「……うん、鹿島君どしたの?」
「こっちの視察はいつやるんですかぁ? 皆待っているんですけど」
「あ!? ごめんちょっと色々ありすぎてそっちほったらかしにしてたね、んじゃその辺り今から見せて貰おうか」
「えっとその前に……大和さんと榛名さんがそのままだとお仕事が出来ないんじゃ……」
「はい、榛名は大丈夫です!」
「旗艦大和、出撃します!」
「だーかーらぁ、提督さんにペットリしたまんまだとお仕事にならないじゃないですかぁ~」
「大丈夫です! 問題ありません!」
何故か周りには臨戦態勢に入った高速練習戦艦と、超弩級練習戦艦、そして練習巡洋艦に囲まれるという先程のウラヤマ状態が一変、一触即発になりつつあるクレイジーデルタにセットされてしまった髭眼帯(黒カリ)は、今までの経験則から危機的状況を素早く察知し、流れる様にその場から退避しようと行動を起こした。
しかし悲しいかな、両脇を二人の戦艦にサンドされた時点でほぼポジション的にそれはギリギリな状態になっており、更に退路として選択した僅かな隙間さえも、スススと突出してきた一航戦の青いのに塞がれてしまうという緊急事態がそこに出来あがってしまった。
その青いのを見ると、何故かニヤリとした笑いを顔に貼り付けて腕を組み、更にはその隣にはジト目で睨み上げる浦風が並んているという
当然その二人も香取、鹿島タイプの礼装を着用しており、ポンヨポンヨした殺意が蔓延する魔の三角地帯に焼き鳥練習母艦とパイパイ練習駆逐艦が参戦という、正に狂ったゾーンが完成してしまった。
「……なぁ提督さん」
「いやちょっと浦風くん、ちょちょーっと提督そこ通して貰いたいんだけど……」
「この衣装なんじゃが、チチのデカいモンにだけ着用義務があるってどがぁなことじゃ?」
「え? 何? チチ? 何の話?」
「加賀さんはうちのチチがデカいから、提督さんの命令でこの服を着んといけんってゆぅとるんじゃが……」
浦風の言葉に吉野が睨むと、加賀はサルミアッキガムをムーチャムーチャし始めプクーっと塩化アンモニウム臭がやたらとするデコイを膨らませ視線を撹乱させようとする。
「浦風ちゃん……」
「うん? 姉さんは誰なんか?」
「その礼服はね、オッパイはオマケで、腰から尻に流れ脚線美に至るラインを愛でる為の服なのよ?」
「え、脚線美?」
「そう、体をぴったりとパッケージングしつつも肌を殆ど見せない上着と比較して、アンバランスなまでにギリギリを攻める素のフトモモ、若しくはスリットが入ったピッタリ腰に纏わり付くタイトスカート、この下半身に重点を置いた礼服は全ての視線が流れる様に腰からフトモモへ誘導するという計算され尽くされたデザインになっているの、それが香取型礼服の真骨頂なのよ!」
「ちょっとそこのタウイタウイ新人におかしな事吹き込まないで!」
「それってチチがシリやフトモモになったばっかしで、提督さんが好き者って事は変らんのんじゃあるまぁか?」
「いいえ浦風ちゃん、乳房に性的イメージを寄せるのは人間が二足歩行になり、視点が上がった事で生殖に必要な性的アピールポイントが仕方なく胸へと変化したという経緯があるんだけど、このフトモモからヒップに掛けてのラインと言うのは、原初の頃四足歩行動物が最も女を感じていた部分なのよ、進化上仕方なくという形でそうなった乳房とは違い、シリとフトモモは本能に訴えるアピールポイントなの、だから提督がシリとフトモモを愛でるのは雄としては極普通の性癖と言えるわ」
「じゃけぇそりゃあ提督さんが助平って事にゃぁ変らんじゃろう!?」
「チッパイ正当化理論を押し通す為に提督の性癖を捏造するのはヤメテフェニックス! むしろ提督助平じゃないからね!? マジ違うから!」
「Hey、提督ぅー! 触ってもイイけどサー、時間と場所をわきまえなヨー!」
「触ってないから! てか君らグイグイおしくらマンジュウするの禁止! 何か言いたい事があるならちゃんと言って! 無言で囲まれると提督マジ泣きしそうだから! お願い!」
こうして艦娘免許取得施設、通称香取免許センターのお披露目及び視察の為に髭眼帯(アフロヘアー)が訪れた筈だったのだが、何故か途中で練習艦用礼装装備艦が増殖するに至り、更には殺意のポヨンポヨンした波動が飛び交い、じゃけぇじゃけぇと青フレンチクルーラーがプルプルするというカオスが展開するサマーフェスティボーへと変貌してしまったのであった。
尚調査の為に配布されたそれの影響で、一時期鎮守府所属の艦娘総練習艦という状態が数日続いたのだが、『他人のフンドシで相撲を取るのはどうなのか』という調査理由にはカスりもしない理由で殆どの者が通常の制服を着用する事になり、結局香取型の礼服を着用するのは免許センターの教官のみになったのだという。
誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。
ただ言い回しや文面は意図している部分がありますので、日本語的におかしい事になっていない限りはそのままでいく形になる事があります、その辺りはご了承下さいませ。
また、拙作に於ける裏の話、今後の展開等はこっそりと活動報告に記載しております、お暇な方はそちらも見て頂けたらと思います。
それではどうか宜しくお願い致します。