レミリア様との会話です
では、どうぞ!!
扉を開き、中へと入る。
暗い部屋の中で一人の女性がティーカップを弄びながら黄昏ていた。
「久しい……という程でもないか。お帰りと優しく包容した方がいいのか……それとも、馬鹿野郎と罵りながら殴り飛ばすのが良いのか……」
「知っていたんですね」
「当たり前だ……と、言ってやりたいところではあるが、この間ふと見えただけでな。お前の辿るべき運命に一つの大きな道が増えたのが……正直、知らなかったよ。いや、気づけなかった。気付こうと努力もしていなかった」
「いえ、レミリアさんは何も悪くなんてないですよ」
そう、これは俺が勝手に感じているだけのもの。レミリアさんが負い目を感じる必要なんてないのだ。
「お前がそう言ってくれるのは分かっていたさ。けれど、私は当主なんだ。部下達を支え、導く立場なんだ。そして、私たちは家族だ。家族は支え合いながら進んでいくものなんだ。少なくとも私はそう思ってる。だかどうだ?私はそれを全うできているか?出来ていない。私は、私自身をそう断言できるよ」
そんな事はない!!
そう、否定したかった。けれど、出来なかった。
「本当ならここで無理矢理にでもつなぎ止めておきたい。けれど、それはショウのためにはならない。重荷を増やしていく一方だ。ショウ、お前がたどる運命は星の数ほどにある。その中でいちばん大きいのは、お前が思っているものとは少し違う。けれど、その中で、お前は笑っていた。泣きながら、笑っていた。けれど、その大きな流れの中に、脇道がある。そこに流れていくことを、私は願っているよ」
「俺は流されるだけです。だから……」
「なに、私は奇跡を信じているだけと言う話だ。さて、これが最後になるかもしれないんだ。少しぐらい付き合ってもらうぞ」
レミリアさんは将棋盤を取り出し、意地悪そうな笑を浮かべた。
「そうですね。最期になるかも知れませんから」
「そうこなくてはな」
「ああ、それと……これを」
「これは……お金?」
「はい。俺が紅魔館を出ていく時に貰った分です」
「まったく……返さなくてもいいというのに……まあ、有難く受け取らせてもらおうか。お前が帰ってきた時は、これで酒でも買って宴会でもおこなうか」
レミリアさんにお金を返し、駒を並べ始める。
この時は、何故だか重荷や、不安などの感情が一切無かった。ただ、純粋に、楽しかった。
やはり、貴女は当主にふさわしい。
貴女が家族だと言ってくれたからこそ、俺は沢山のものを知ることが出来たのだから。そして、今
ここに戻りたい。
そう思えるのだから。
だから、さようなら。
「……詰み。俺の、勝ちですね」
お読みいただき有難うございました!!
レミリアさんに一矢報いましたね。
誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。
では、また次回。