テスト期間?なにそれおいしいの(白目)
では、どうぞ!!
「さあ、上がってちょうだい。貴方の望みを叶えるためにはやらなければ行けないことがあるのだから」
八雲さんの後に続き、彼女の家へと上がる。
俺が彼女と出会ったの一ヶ月前。久しぶりに紅魔館へと行った帰りの時だった。
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「お邪魔しておりますわ。佐々木松くん」
家に着くなり紫色のドレスが女性が部屋に居座っていた。
だが、今はそんな事がどうでもなるぐらいに疲れた。もうこのまま雑魚寝してしまおうか……このまま死ねば楽になれるのに。
「あら?無視されちゃった」
女性が何か言っているがそれどころじゃない。
「残念ね〜貴方の望みを叶えるために此処に来たのだけれど。今日はお暇させてもらうわね。疲れているようだし」
気が付けば俺は気を失っていたみたいで朝になっていた。
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次の日、鈴仙さんに不老不死にならないかと提案された。
俺は自分の事を話、少し時間が欲しいと言った。そして、紅魔館の皆ともう一度話そうと決めた。
心残りがないようにと。
「あら、お出掛け?」
部屋を出ようとした時だ。後ろから声が掛かった。
後ろを振り向くと、昨日部屋にいた紫のドレスを着た女性がいつの間にかそこにはいた。
「あの、どちら様で?」
「私?私は八雲紫。この幻想郷を管理する者ですわ」
「それで?その管理者がこんな人間に何のようで?」
「そんなに警戒しなくても大丈夫ですわよ?別に取って食おうなんて考えていませんもの」
八雲紫はクスクスと口元を隠しながら笑う。
「それで、私の質問には答えてくださいませんの?」
「答える義務がありますか?」
「死に急ぐのでしたら止めようかと思いまして」
「別に、死にに行く訳では無いのですが」
彼女は手に持った扇を広げ、口元を隠した。
「本当かしら。紅魔館に住む住人に最後の別れを告げに行くわけではありませんのね?」
「ええ。まだ、死ぬつもりはありません」
「思い違いで良かったですわ。ここで貴方が死んだら、幻想郷はボロボロになってしまいますもの」
「……どういうことで?」
ボロボロ?幻想郷が?俺が死ぬことで?
「あら、貴方は自分の交友関係の深さを知らない、と?そうねぇ、吸血鬼の妹は貴方に懐いているわ。そして、この間貴方が紅魔館に行った時、あの子は既に制御が効かなくなりかけていた。なら、貴方が死んだのを知ったら?暴走するでしょうね。そして、それは吸血鬼の妹に
限った話じゃない。他の紅魔館の住人も同じ。最悪戦争になるかも知れませんわ。そして、紅魔館は敗れる。多勢に無勢ですもの。そしたら、今度は幻想郷のパワーバランスが崩れる。妖怪か、人間か……どちらかの勢力が強くなる。なり続ける。まあ、あくまで可能性の話ですが」
頭の中がごちゃごちゃしているが……要するに、俺は死ねない……
「けれど、貴方は死にたいのでしょう?それなら、私を頼りなさい。貴方が消えても大丈夫なようにしてあげる」
「どうして……」
「どうして?そうねぇ、乗りかかった船だからかしら。一ヶ月。一ヶ月後にまた来るわ。それまでに決めておいてね。それと、これからは自分の力で生き抜きなさいな」
そう言い残し八雲紫は消えた。
その後、紅魔館に行き、自分のやってきた事を確認した。そして、不老不死の事についても話してきた。
俺は、生涯この温もりを忘れない。
俺を受け入れてくれたこの幻想郷を。
俺を受け入れてくれた紅魔館の皆を。
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「それじゃあ、準備をしましょうか。心残りはないかしら?」
心残り……そう言えば、忘れていたな、渡すの。
「すいません、もう一度紅魔館に行きたいのですが」
「ええ、構わないわ。その隙間を通りなさい。何かあれば私を呼びなさい。帰るときもね」
「ありがとうございます」
彼女の隣に現れた紫色の隙間に身を通す。
そして、浮遊感の後目の前には大きな赤い館、紅魔館の姿。
これが、本当に最期の別れとなる。
胸に広がる別れの悲しみと、解放される喜び。そして、喜びに対する怒り……もはや、自分自身でも分からない感情たち。
ただ、一つ分かることは、俺は逃げたのだ。
目の前の現実から目を逸らして。
無様に逃げだしたのだ。
そして俺は、紅魔館の正門に向けて足を進めた。
お読みいただき有難うございます!!
これが、松くんにとって最期の帰宅になるのか……
それとも……
誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。
次回作をそろそろ考えなきゃな。
アンケ取ろうかどうしようか……
では、また次回。