歪んだ愛をアナタに(完結)   作:ちゃるもん

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投稿です!!

良かった、新しい原作キャラを出せた(出番が多いとは言っていない)

では、どうぞ!!


第43話 おやすみなさい

あれから一週間近くが経とうとしている。

 

鈴仙さんとは特に変わりなく過ごしている。が、ぼっーとしている事が多くなった。体調が悪いのかもしれないとも思ったが、特にそんなこともないようだが……大丈夫なのだろうか?

 

それと、八意先生と仲が悪くなっているようだ。薬を受け取る時、八意先生に噛み付かんばかりに睨みつけていた。

 

恐らく、俺が不老不死にならないからだろう。鈴仙さんは俺の意思を尊重してくれたのに対し、八意先生は……貴重な男の労働力が無くなるのが惜しい。とか、その辺だろうか?

 

なんにせよ、彼女達の仲を壊してしまったのは俺なのだから、責任は取らねばなるまい。

 

……水が少なくなって来たな。

 

ここ一週間の事を思い出しながら水瓶の中を覗き込む。水瓶の中は、既に底が見え始めていた。

 

「男の一人暮らしだからそこまで大きな物でなくも問題ないと思ったんだが……汲みに行くか」

 

水瓶の隣に常備してある桶を手に取り、外の井戸へと向かう。外は既に暗く、妖怪達の時間だ。里の中とはいえ、監視の目をくぐり抜けた妖怪がいてもおかしくはない。

 

外に出るための扉をそっと開き、様子を伺う。今日は雲がない為か満月の明かりだけで歩く事が出来る。しかし、同時に妖怪達が活性化しているので、どちらにせよ注意して進まなければならない。

 

耳に意識をやりながら、長屋の裏手に回る。

 

「あれ?こんな夜中にどうしたの?」

 

そこには、既に先約がいた。赤いマントを羽織って井戸の縁にバランスよく座っている。俺の隣人である赤蛮奇さんだ。

 

「こんばんは赤蛮奇さん。水瓶の中が少なくなりまして」

「汲みに来たと。でもいいのかなぁ〜?私みたいな悪い妖怪に食べられちゃうぞ〜?」

 

両手で威嚇するように爪の形を作り、がおーと言ってくる赤蛮奇さんを尻目に水を汲んでいく。取り敢えず一杯分もあれば明日の朝まで大丈夫だろう。

 

「相変わらず連れないね、チッぇ」

「そんなことよりも、頭痛は治まったんですか?」

「私からしたら、驚きってのは死活問題なんだけど……まあ、頭痛はまだ我慢出来るけど、一向に良くなる気配はないかな」

 

彼女は最近頭痛に悩まされているらしい。頭痛薬や、痛み止めを試したりはしているようだが、効果は現れないようだ。

 

「里、と言うよりこの長屋から離れれば頭痛は消えるんだが……。それでも、たまに痛くなることがあるんだよねぇ。一応、あたりは付けたんだが……どうなる事やら」

「まあ、なんにせよ、体には気を付けて下さい」

「ああ、そうさせてもらうよ。それじゃあ、おやすみ」

「……おやすみなさい」

 

笑顔を浮かべ手を振る赤蛮奇さんに挨拶を済ませ、部屋へと戻る。

桶の中の水を水瓶に移し、ひと掬い喉へと流す。地下で冷やされた水が口から喉へと入り、喉を下って胃の中へ入っていくのが分かる。

 

明日も朝早い。それに、明日の午後の予定は決まっている。

 

布に包まれた簪を見て、布団に潜る。

 

彼女は、喜んでくれるだろうか……それとも……

 

明日のことに思いを馳せ、

 

「おやすみなさい」

 

襲い来る睡魔に身を委ねた。




お読みいただき有難うございます!!

次回、松くんの運命の日となります。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

リア友が松くんの絵を描いてくれました。


【挿絵表示】


松くんカッコイイ。
これにスーツと手提げカバンがあれば、出来るサラリーマンですな。
絶対にモテてたなコイツ……

では、また次回〜

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