歪んだ愛をアナタに(完結)   作:ちゃるもん

42 / 55
投稿です!!

こう、松くんの決心的なものを書きたかったんや……
かなり、分かりづらくなっています。申し訳ない。

では、どうぞ!!


第40話 ごめんなさい

 

俺の寿命は残り三十年近く。つまりは、五十代後半まで生きることが出来る。

 

最初は驚いたさ。けど、目の前で実験と言っておきながら泣きそうになっている女の子が居るんだぞ?例え俺が他人に興味が無い。持てないとしても、その時には既に他人では無くなっていた。彼女は俺の右手を、取り戻してくれた。恐らく、他人の心が分からない男の勝手な妄想だが、罵倒されるのを覚悟していたのではないだろうか?他人の寿命を勝手に奪っているのだから。少なくとも、俺はそう思う。けれど、もし、あの時、右手が無かったら?俺は生きることが辛くなって、自殺していたかもしれない。いや、していたと思う。

 

彼女は、俺の人生を奪い、生命を救い、生きる決断をくれたのだ。

ああ、今だからこそ、素直にそう思える。俺は彼女に、パチュリー・ノーレッジに救われた。

 

彼女は俺の右手を奪った。それは、パチュリー・ノーレッジに直してもらった。しかし、彼女が俺の右手を奪った事に変わりは無い。けれど、もし、彼女が居なかったら、俺はこの世界でのたれ死んでいただろう。今でも、あの頃を思い出すと楽しかったと思える。その分、彼女には恐怖が残っているが。それでも、それ以上に楽しかったと言える。もし、今彼女に会えば、彼女はどのような反応をするのだろうか?ちょっと見てみたい気がする。

 

アリス・マーガトロイド。俺が初めてこの世界で出会った存在。人として満足出来る時間を、初めて与えてくれた存在。

 

魔法使いは、俺を救ってくれた。死にかけていた俺を救ってくれた。パチュリー・ノーレッジは、彼女を弱いと言ったが、俺はそうは思わない。彼女は強い。パチュリー・ノーレッジは彼女を止まっていると言っていた。だからどうした?止まって何が悪い。逃げて何が悪い?結局全て自分が抱え込まないと行けなくなるのだ。例え群れをなしても、誰かが一緒に背負うと言っても。結局の所、最後に動くのは自分だ。自分自身だ。彼女は立ち止まっている。けれど、前に進まないと。私が悪い、弱いからと。

 

俺に彼女の事は分からない。けれど、彼女は強い。たちどまっても、逃げ出しても、忘れようとしていても。それでも、目の前の誰かを必死で助けようとする強さを、彼女は持っている。

 

吸血鬼達は美しかった。眩しかった。一緒に居てはいけない。そう思った。けれど、吸血鬼達は離れることを許してくれなかった。家族だと、そう、言ってくれた。守ってみせるから。そう言って見せた。眩しかった、羨ましかった、そして、嬉しかった。家族を持つ者の温もりが眩しかった。家族を持つ者の温もりが羨ましかった。家族の温もりを、俺にもくれた事が、その差しのべられた手が、嬉しかった。例え、それが彼女達の計画だろうと、策略だろうと、これから、裏切りが待っていたとしても、それだけは、変わらない。変わることの無い、俺の美しく、暖かい、そして、だらけてしまいそうに甘く、優しい、記憶として。

 

レミリア・スカーレット。その瞳から流れた雫は、家族の大切さを語っていた。

フランドール・スカーレット。その握った手の温もりは、家族の大切さを感じさせてくれた。

 

出会った瞬間ナイフを突き立てて来たメイド。俺よりも、圧倒的なトラウマを持ちながらも、そのトラウマに立ち向かう勇敢な少女。吸血鬼に助けを求め、そのトラウマに立ち向かう姿は美しかった。だからこそ、俺は彼女を責めた。初対面の相手に一体何をしているんだ?と。一方的に、虐めるように。今でもそれが悪い事だとは思えない。けれど、その行動は非難されるべき物なのだろう。彼女は勇敢だ。トラウマに立ち向かい、殺そうとしてまで這いずり回る。

 

十六夜咲夜を責めて、俺は生きていると実感出来た。この場所に俺は、存在しているのだと。

彼女のように、トラウマに立ち向かう訳でもない。ただ、彼女を責める事によって、生きていると実感する事が出来たのだ。

 

紅美鈴。彼女は太陽だ。俺が生きる理由、意味だ。何でかなんて分からない。どうしてそうなったのかなんて、分からない。他の人にも、同じ感情を抱いたかもしれない。他の人にも、似たような感情を抱いているかもしれない。それでも、彼女は、紅美鈴は、俺にとっての太陽だ。命そのものだ。それ以上でも、それ以下でもない。

 

ああ、俺は彼女を、紅美鈴を愛している。

それが、どんなに歪んでいても、俺は彼女を愛している。

だからこそ、俺は彼女を頼れない。どれだけ、頼って欲しいと言われても。

これが、惚れた弱みと言うやつなのだろう。

 

「けれど、彼女達が助けたのは、救ったのは、家族だと言ってくれたのは……そして、紅美鈴を愛した、愛しているのは、この、人間なんだ。人間でなくなったら、俺は俺じゃ無くなっている。

皆は、それでも良い。一緒にいたい。って、言ってくれたけど。それでも、俺は、人間として、彼女達から貰った物を、この命と共に亡くしたい。

こんな、支離滅裂で、訳の分からない事を納得出来ないとは思う。だけど、そんな、支離滅裂で、訳の分からない事に、俺は納得しているんだ。

だから、ごめんなさい。俺は不老不死になるつもりはありません。

それに、今更俺が不老不死になって紅魔館に戻ったとしても……俺が原因だとしても、俺自身があれを元通りには出来ない。だったら、大人しく死ぬのが良いんだよ」

 

目の前に座っている彼女は、悲しげに微笑みを浮かべるだけだった。

 

 




お読みいただき有難うございます!!

まあ、そういう事です(どういう事です?)
それぞれが、松くんに何かしらの影響を与えていた。と言うのを書きたかったんや……
新年1発目から暗い&分かりづらい話ですまない。

誤字脱字、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

さて、挨拶が遅れましたが
新年、あけましておめでとうございます。
今年もちゃるもんをよろしくお願いします。

では、また次回お会いしましょう。
また次回〜

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。