時間が取れなかったのや……
では、どうぞ!!
鈴仙さんと薬を売り歩き、無事今日の分は全て売り捌く事が出来た。最初は重かった薬箱も今では軽くなっている。上白沢さんと顔を合わせた事以外はとても充実した一日だったと言えるだろう。
働くと言うもの良い。なにせ、それ以外の事に意識を向けなくても良いのだから。よっぽどの事がない限り仕事以外の事を考えなくてい。欲を言えば接客業よりも、室内で黙々と作業をする方が圧倒的にやり易くはあるが、そこは仕事があるだけで十分なのだ。これ以上を望めば我儘と言うもの。こればかりは慣れるしかない。
今後見ず知らずの人を相手に一人でも対応できるのだろうか。なんて不安を抱いていると、不意に鈴仙さんから声が掛かった。
「そう言えば、松さんはあのお家から永遠亭に通うのですか?」
「ええ。そのつもりです」
「そうなんですか」
「ですが、急になぜそんなことを?」
「宜しければ私から師匠に言っておきましょうか?住み込みで働けるように」
また急な話だな。確かに永遠亭に住み込みで働くことが出来るたら一々この竹林を抜ける必要も無くなるし、妖怪等に襲われる心配も無くなるだろう。だが……
「すいません。お気持ちは嬉しいのですが、お断りさせていただきます」
それは俺には重い。一ヶ月の間永遠亭に住んでいたとは言え、やはり息苦しいものは息苦しいのだ。
「ええ、やっぱりそうするべきなんですよ。そうした方が断然安全ですからね。そうと決まれば早く戻って師匠とハナシをしないと!!あ、姫様のケンでしたラ安心してクダさい私がゼッタイに守って見せますから松さんはなんの心配モしなくて結構ですヨどうせなら部屋も一緒にしてシマイましょうかそうした方が私も守りやすイですし将来の事も考えテオクならば絶対そっちの方がイイですヨええ絶対にソッチのホウガいい」
……どうやら俺の声は届いていなかったようだ。鈴仙さんは時折こうしてひとりでに暴走する。どうやら彼女の中で俺は既に永遠亭に住むことになっているようだが……後で俺から八意先生に説明しておかなければ。
『お前さえいなければ!!』
『私がゼッタイに守りますから!!』
『いいから!!早く何処かに行きな!!』
『心配なんていらないわ。大丈夫……大丈夫ヨ……』
まだ知らない。気付いてもいない。
だが、それは、その出来事は、俺と関わった人たちを歪ませていく。
それは紛れもない、俺自身の罪で、俺一人が背負うべきもの。
だから……
『お願い、できますか?―――さん』
みなさん。さようなら。もう、出会うことは、無いでしょう。
お読みいただき有難うございます!!
でっかいフラグを立てれて、ちゃるもん的には満足。
ただ、もう少し長く書きたかった。
誤字脱字、報告、感想があれば、よろしくお願いします。
ぶっちゃけると、もう内容半分越えているのよね……
では、また次回~