スランプ脱出!!
…………何てことは無かった!!
では、どうぞ!!
入院二十六日目
昨日の少女は一体何だったのか。
あの恐怖、気持ち悪さ、心地好さ。何でそんなものを感じてしまったのだろうか。
そんなことばかりをずっと考えていた。けれど、答えなんて出てくるはずがなかった。
少し頭を冷やそうと立ち上がる。外の風に当たれば多少はマシになるだろう。そうして、扉に手をかけたその時、扉の向こう側から声が投げ掛けられた。
「松さん、今大丈夫ですか?」
鈴仙さんだ。俺は扉を開き鈴仙さんに挨拶を返す。
「おはようございます。ええ、大丈夫ですが。何かありましたか?」
「いえ、どうやら姫様に会っていたみたいなので少しお話に。外に出ようとしていたんですよね?付いていていってもよろしいですか?」
「構いませんよ。にしても、良く私が外に出ようとしていると分かりましたね」
「そりゃあ分かりますよ」
当然だと言わんばかりに胸を張る鈴仙さん。
直ぐに扉を開けたのが原因だろうか?布団と扉にはそこまで距離は空いていないが、立ち上がるのに結構時間は掛かる。それなのに直ぐ扉が開くのは可笑しい。後は、鎌でも掛けられたのだろう。
こうして考えると、上手く鈴仙さんに遊ばれた気がして少し恥ずかしいものだ。
「それじゃあ行きましょうか」
「はい!」
鈴仙さんは元気の良い返事を返してくれた。
『全部……全部分かってマスよ……』
□■□■
外に出て一つ大きく伸びをする。竹林が日差しを遮り体全体でとまでは行かないが、なかなかに気持ち良いものだ。ここに来る前は、太陽の光が鬱陶しい炎天下の中でも歩いたり走ったりしたものだ。
「気持ち良さそうですね」
「ええ。今まで鬱陶しい位にしか思っていなかったのですが、案外良いものでした。それで、何か話が有ったのですよね?」
「はい。昨日姫様に会いましたよね?」
姫様……と言う人物が誰なのかが分からないが、恐らく昨日の夜に会った彼女のことだろう。
「出会っていると思います……多分……」
「昨日の夜。部屋の手前にある曲がり角でぶつかっていた相手です。そのお方が私達の主人、蓬莱山輝夜様です。一つ忠告しておきます。いえ、警告の方が良いでしょう。姫様に不容易に近付かないでください。あの方の持つ魔性は人間である松さんにはキツすぎる。あの時は偶々助かったから良かったですが、万が一あのまま取り付かれたら……思考を殺されます。姫様以外を考えられなくなってしまう。もしそうなったら……私が貴方を殺さないといけなくなる」
何を言っているんだろうか鈴仙さんは。確かにあの少女を前に良くわからないまま色々な感情を抱きはしたが、そのままその感情達は消えていった。
確かに死にたくはい。けれど、そんな事が有るわけもない。
「分かっています。分かっています。貴方が死にたくないと思っていることも、そんな事が有るわけがないと思っていることも。ですが、事実なのです。だから、どうか、出来る限りで良いので、姫様には近付かないようお願いします」
「…………分かりました」
訳がわからない。訳がわからないまま俺はその場を去った。
この後は八意先生から薬の種類についての講座が残っているのだ。唯でさえ昨日の分でも頭がこんがらがっているのに、それに加え姫様と呼ばれる少女。魔性がどうとか言って近付かないでほしいと言ってくる鈴仙さん。頭がパンクしそうだ。
けれど、魔性については一概に否定はできない。なにせ、この世界ともとの世界は違うのだから。魔性と言うものが存在しても可笑しくないのだ。妖怪と言う存在のように、霊力と言う不思議な力のように。
だから、今は極力近付かないようにする。と言うことだけを覚えておこう。今はそれよりも優先するべきものがあるから。
『大丈夫デす……ワタシがマモりますカラ…………ズット……ズッと……見守ってイマスからネェ……』
お読みいただき有難うございます!!
ウドンゲちゃん覚醒。
やったねちゃるもん!!ヤンデレが増えるよ!!(オイバカヤメロ
誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。
別の奴を書いて気分転換でもしてみようかな?
では、また次回~