歪んだ愛をアナタに(完結)   作:ちゃるもん

32 / 55
投稿です!!

最近lolやオーバーヲッチにはまっています。
全く関係ねぇ……

では、どうぞ!!


第30話 率直に

入院十日目

 

 足の治りは順調なもので、もう殆どくっついているらしい。なので、もう少ししたら歩行練習を行うそうだ。

 

「にしても、結構治りが早いですね。本当に人間ですか?」

「何で疑われるのか分かりませんが、正真正銘人間ですよ」

「仙人とかでもなくてですか?」

「違います」

 

 なぜここではこうも人間扱いされないのか。

 実際治りはかなり早いほうらしく、折れ方にもよるが大体が一ヶ月前後で治るところを二週間足らずで治っているらしい。まあ、元がそんなに複雑な折れ方はしていなかったらしいので、治りが早い、回復力が高い等と言った言葉で片付けられるのだが。

 

「疑っていても意味はありませんし、少し今後について話しておきますね。とは言いましたが、後一週間、早くて三日後辺りには歩行練習を行います」

「歩行練習ですか……具体的には何を?」

「壁に手を付いての歩行や松葉杖を使ったものですかね。難しいきとは無いですし、私か師匠、永琳先生が練習中は付いていますので安心してください」

 

 そんなものは必要ない。と思ってしまうが、やはり数週間全く動いていないと歩けなくなるものなのだろう。これを期に体を鍛えた方がいいかもしれない。

 取り敢えずは腕立て伏せや腹筋だろうか?体を鍛えようなんて自発的に考えたこともなかったから、いざやろうと思っても何をすれば良いのかがよく分からない。紅さんとの修行は霊力を扱うための修行だったので、体を鍛えるようなことは何一つしていない。かといって霊力を扱えるようになったのかと問われれば否なのだが……。

 

「と、ところで、ですね?」

「どうかしましたか?」

 

 鈴仙さんの改まった声に、一度思考をリセットする。

 

「以前の、ですね……その、話なんですが……」

「ああ、忘れた方が良いのなら忘れますよ」

 

 そう言うのは慣れている。そっちに思考を向かせず、表に出さないで、自分自身を誤魔化す。今までもやって来ていた事。簡単なことだ。それに、こっちもあんな重い話にどう反応すれば良いのか分からなかった所。渡りに舟、とは少し違うだろうが、何にせよ助かる。

 あの時は咄嗟の判断であんな事を言ってしまったが、後から考えれば、流石に無理だ。あんな重い過去を背負った娘の愚痴にどうやって付き合えと言うのか。

 

 等、色々前回の行動に文句を垂れ流しながら鈴仙さんの返事を待つ。

 そして、その口が勢いよく開き、今の自分には聞きたくなかった言葉が返ってくる。

 

「いや!!その、忘れてほしいとかじゃなくて……ですね?」

「はあ」

「その……どう思いました?」

「どう……とは?」

 

 何でこう、嫌な考えほど現実になってしまうのか。

 どう、とは戦場から逃げた自分、鈴仙さんをどう思うか……だろう。しかし、戦場どころか争い事にだって殆ど出会ったことのない俺に何を求めるのか、怖かったんだろうな。位の感想しか思い浮かばない。

 あれだ、会社に当て嵌めてみよう。戦場とはつまり、会議。俺は上司の付き添い兼補助。そして、会議当日。会議室で上司を待っていると、会議に出て発表したくないから会社辞める。

 と言った所だろうか?迷惑。率直に出た感想はこれだ。

 

「私は戦場から逃げました……私は死ぬのが怖かった……」

「戦場から逃げる私をどう思いますか。って事ですか?」

「……はい」

「そうですね……怖いのは分かります。そして、戦場に出たことも無い人間が言うことでもないですが、臆病者だと思ってしまいますね。それと、戦場に立った者からすれば邪魔だったのではないかと」

「そう……ですよね」

 

 本当に、俺が言えるようなことではないが、かといって相手を励ますような言葉がスラスラと出てくるほど饒舌でもない。だから、率直に言わせてもらった。

 

「師匠も姫様も、私を励ますことしかしてくれませんでした。怖かったのね、貴女は気にしなくていいわと。そして、何時からか私は思うようになったのです。私は悪くないって。それが最善の行動だったんだって。

 けれど、やっぱり違ったんですね。あの時、私は一般市民ではなく一人の兵士だった。けれど、私は逃げた。それは私が背負わなくてはいけない罪で、師匠や姫様に慰めてもらって悠々と過ごして行ってはいけない。

 今から戻って罪を償え、と言われたら、私は何も出来ません。ですが、それだけの覚悟が出来るようになったら、キチンとこの罪を償いたいと思います。

 私は何処かで、誰かに怒られると言いますか、侮辱?何て言えば良いのか分かりませんが、そんな事を言われたかったのかも知れませ。ありがとうございます。私の罪に気付かさせてくれて」

「いえ、お役にたてたのなら光栄です」

「ふふ、すいません。すっかり話し込んじゃいました。何かありましたら呼んでください。それでは、失礼します」

 

 そう言って鈴仙さんは部屋から去っていった。

 

 …………何だか良く分からないが、勝手に納得して帰っていった。まあ、本人がそれで良いのであればそれで良いのだろう。今度こそ、俺の出番は無くなったと言うわけだ。

 

「はぁ……なんか、どっと疲れた……」

 

 俺は一人となった部屋で、小さく溜め息を吐いた。

 

 




お読みいただき有難うございます!!

ああ、うどんちゃんにフラグが乱立していくぅ
ただ、マジで次の展開を考えていないって言うね。

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

もう一人をどうやって病ませるか……だよなぁ……

では、また次回~

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。