歪んだ愛をアナタに(完結)   作:ちゃるもん

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投稿です!!

実際あれを着こなせる人ってこの人だけだよね。

では、どうぞ!!


第27話 夢

え?おじさん出ていっちゃうの?なんで?どうして?フランがおじさんを守れなかったから?

 

 男は首を振りそれを否定した。

 

ならどうして?おじさんはフランをお外に出してくれるんでしょ?一緒に居てくれるんだよね?

 

 男は小さく"ごめんな"と呟いた。

 

謝るなら行かないで?ね?フラン頑張るから、頑張っておじさんを守るから、もう、おじさんが危ない目に合わないようにするから……ッ!!お願いだから……行かないでよ……おじさん……

 

 男の手が少女の金色の髪を優しく撫でる。そして"ごめんな、また戻ってくるから"

 そして、男は少女に背を向け部屋を出る。

 

 それは、少女にとって死刑宣告と同じような物だった。

 

おじさん…………何処に行っちゃうの?フランを置いて何処に行っちゃうの?イヤだよ?また独りなりたくないおじさんがいなくちゃ私はまた独りになっちゃういやだよいやダイヤだいやダイヤだイヤだイヤだイヤだだだだダダダいやいやヤヤヤヤヤダダイイイイイや……だ……

 

 少女は呟いた。既に答えを返してくれるものは居ないのに、まるで、その事実を認めたくが無いように。けれど、言葉を溢して幾度にそれが現実だと理解させられた。

 

 そして、彼女は糸の切れた人形のようにピクリとも動かなくなった。けれど、時折聞こえてくる"おじさん"と言う声は、まだ彼女が生きていることを静かに告げていた。

 

 

■□■□

 

 

 真っ暗な空間にうっすらと差し込む眩しい光に目が覚める。

 ここは一体何処だろうか?見たことのない部屋に戸惑いながら、何があったのかを思い出していく。

 

 ……そうだ、永遠亭と言う場所に向かう途中で変な液体を掛けられたんだ。そして……落とし穴に引っ掛かって……足首が折れて……

 

 以外とアッサリ思い出すことができ、誰かに助けてもらったのだろう。と言うのも分かった。

 だが、一つだけ引っ掛かるものがある。

 夢、さっき見ていた夢はなんだ?妙に親近感のある二つの影、会話の内容までは覚えていないが、片方が何処かに行った後、もう片方は崩れ落ちていた。

 

 あれが、俺と少女だとしたら……もしかしたら、少女は今頃どうなって……?

 

「そんな……まさか、な……?」

 

 頭を振り、そんなことはないと否定する。

 けれど、胸のなかに残るもどかしさが晴れることはなかった。

 

 

■□■□

 

 

 頭の整理を無理矢理終わらせた所でこの場所が何処なのかを考えよう。とは言っても、この点滴をされていることから十中八九病院に違いない。

 そうだとしたら、ここは永遠亭なのだろうか?にしても、和室で点滴されるとは、なかなかに不思議な感覚だ。

 

 そんな事をぼんやりと考えていると『失礼するわ』と声がかかり、部屋の扉が開いた。

 

『あら、生きてた』

 

 出会い頭早々にかなり最低な事を堂々と言う人も居たもんだ。

 

 扉を開き入ってきたのは、上下左右の色が赤と青のみの色で構成された奇抜な服を着こなした銀髪の女性。

 

『ちょっと失礼するわね』

 

 女性は俺の腕をとり、人差し指と薬指を手首に押し当てる。恐らく脈を計っているのだろう。

 

『脈は安定してるし……顔色も悪くはない。これなら大丈夫そうね。足の方はッと』

 

 女性が布団を捲り、包帯で巻かれた右足首を軽く動かす。

 

「ッ」

『まあ、四日程度じゃ治る筈もないわよね。ごめんなさいね、起きて早々こんなことして。私は八意永琳。ここで医者をやっているわ。好きなように呼びなさい。貴方は?』

「自分は佐々木松です。この度は助けていただき有難うございます八意先生」

「それは私にじゃなくて貴方を見つけた子に言ってあげなさい。それで、少し話を聞かせてほしいのだけれど、大丈夫かしら?」

「分かりました」

 

 俺は、あの落とし穴に落ちるまでの経緯を覚えている範囲で話した。すると、八意先生は悩ましげに額に手を当て溜め息を吐いた。

 

「はぁ……ごめんなさいね……多分、その子はここに住んでいる兎の悪戯……いや、悪戯で済ませたら良い範囲でもないわね。後でその子にはキチンと言っておくから……取り敢えず、今回は此方から迷惑掛けてしまったしまったようだし、入院代は貰わないから安心して。それと、何かあったら言ってちょうだい。多少無茶なお願いでも聞いてあげるわ。例えば……夜の相手が欲しいときとか……ね?」

 

 流石にそれは冗談でも酷いのでは無いのだろうか?

 

「そうでもないわよ?なんせ、兎は年中発情しているんだから。むしろ相手してくれた方が大人しくなるかもしれないわ。あら?それなら毎日入れ換えで向かわせれば……」

「止めてください」

「冗談よ」

「それは安心ですね」

「まあ、なんにせよ、その右足首を治さないとね。結構酷い折れ方をしているから時間は掛かるでしょうね~ま、気長に治していきましょ」

 

 それじゃあ、安静にね。と言い残し、八意先生は部屋から出ていった。

 正直に言おう、疲れた。と。

 

 




お読みいただき有難うございます!!

えーりんえーりんたすけてえーりん
えーりんに甘やかされたい

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

Twitterって難しいですね。
何を喋れば良いのか分かんない。

では、また次回~

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