歪んだ愛をアナタに(完結)   作:ちゃるもん

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投稿です!!

ヤンデレが
少ない言われて
入れてみる
入れてみた結果が
このありさまだよ!!

では、どうぞ!!


第22話 狂人

 レミリアさんと話し、紅さんが手回ししていたのを知った。

 それを聞いて、俺は逃げ出した。情けない、情けない……一体何時から俺はこんなにも弱くなってしまったのだろうか……?

 前までは誰かを必要としなかった。自分一人で全部やって来た。だが、今はどうだ?誰かにすがろうとして、手を差し出されなかったら文句を募らせる。

 

 何時から俺は、こんな醜い存在になったんだ?

 

 外に出る。それと同時に雨が降ってきた。

 

ザァァアアアアアッ

 

 目の前が白く光り、大きな爆音が響く。

 

ゴロゴロ……ドォオオンッ!!

 

 そんな中を一人、歩いてみた。

 雨が痛い。時折響くあの音が煩い。そして、雨のお陰で狭くなった視界に、あの大きな正門が映る。そして、その門を守るように佇む一つの人影も……。

 

 固まった。何でか何て分からない……けれど、動けなかった。

 そして、人影が、女性が、紅美鈴が、俺の方を向く。そして、此方に走ってきた。表情は分からない。俺が目を反らしているから……今更、どんな顔をすれば分からないから。そして、こんな醜い俺を、見られたくなかったから……。

 

「松さん!?何してるんですか!!早く屋敷に……いえ、ここなら私の休憩室の方が近いのでそちらに行きましょう!!ほら、急いで!!」

 

 紅さんは俺の腕を掴み強引に引っ張る。俺はそれに何の抵抗もしなかった。

 

 紅さんに引き摺られ、小さな小屋に入る。紅さんは慣れた手付きで暖炉に火を付け俺に話し掛けた。

 

「ふぅ……急な雨だったので連絡が遅れましたね。申し訳ございません。今日は修行は中止です。それよりも風邪を引かないようにしなければ……って、聞いてますか?」

「え、あ……はい……」

「……何かありました?」

 

 ビクッ!!

 体が勝手にその言葉に対して反応してしまう。

 

「何かあったのですね?聞いてもいいですか?」

「…………」

 

 紅さんは優しく、諭すように聞いてきた。

 

 レミリアさんは言っていた『お前を助けたいと思っている奴が居る』と、そしてそれは『紅美鈴』だと。もしかしたら、俺自身が知らないだけであって、他にも居るかもしれない……だからと言って、その思いに甘えていいのか?これは、俺の問題、誰かにすがって、甘えてしまっても良いのか?分からない……分からない……

 

「…………すいません……もう少し……考えさせて下さい」

「……そうですか。分かりました。ですが、覚えておいてください。紅美鈴は、待っていると。松さん……誰かを頼る事に何か思うことがあるのでしょう。ですが、そんなことをしていたら……貴方、本当に押し潰されてしまいますよ」

「…………」

「今日の修行は中止です。明日も雨が降っているようでしたらのんびりしていてください。では、私は仕事がありますので」

「え?この雨のなか……ですか?」

「ええ。あ、大丈夫ですよ?気を調節すれば風邪も引きませんし、私は門番ですから。退くことは許されないのですよ」

 

 なんと言うか、眩しかった。太陽とは違う、直視していても眩しくない、けれど、何処か自分が惨めに感じる、そんな眩しさ……。

 

「では、私はこれで」

 

 紅さんは小屋から出ていった。

 

 ザァアアアアアアア

 

 静かな部屋に雨の音が響く。そして、そこに独り、無言で佇むことしか……俺には出来なかった。

 

 

□■□■

 

 

 

『おじさん!?どうしたのそんなびしょ濡れで!!』

「……気にしないでくれ」

『気にするよ!!あ、えっと、と、兎に角替えのふ、服を……で、でも何処に?』

「松、取り敢えずこれに着替えなさい。元々別の妖怪が着てたものだから少し大きいでしょうが……ま、大丈夫でしょう。そして、今日一日は部屋で安静にしてること。貴方が風邪でも引いたら小言を言われるのは私なの。良いわね?」

「……分かりました」

『おじさん大丈夫なの……?』

「………………」

 

キィィィパタンッ

 

『おじ……さん……』

 

 

□■□■

 

 

 松はフラフラと覚束無い足取りで部屋に戻っていった。

 一体何があったのか……少なくとも今分かることは、魔理沙に会わせたのは間違いだった。と、言うこと。何か適当に理由を付けて二人が会うのを長引かせなければなかった。

 

「大丈夫かな……」

「大丈夫では無いでしょうね。恐らく明日ゲホゲホッ言っているのじゃないかしら?」

 

 さて……風邪を引くのはほぼ確定……けれど、あの不思議な力が働かないとも言い切れない。一応観察しておきましょう。

 そんな事を考えていると、小さく、フランの声が聞こえた。

 

「そん……な……」

「ちょ、ちょっとフラン?」

 

 フランは小さく、聞こえないほどの何かをひたすらに喋っていた。その口は動きを止めることはなく、私が見たフランの目に、光は宿っていなかった。

 

『狂人』

 

 真っ先に浮かんできたのはその言葉だ。私の目の前にいるフランは狂っていた。私自身そんな思い捨て去りたい。けれど、どうしても、その言葉が頭から離れなくて、私は、フラフラと松の眠る部屋に向かうフランを見ていることしか出来なかった。

 

「……ぃ………………わた………だ…………わ…………のせ……だ……」

 

 




お読みいただき有難うございます!!

フランは情緒不安定。松が怪我や病気になったとき、『私をタヨッてネ?』と言う場合と『松があ!!私の松がぁあアアア!!』とか一回一回反応が違う。なんて作者に優しいのか

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

最近『問題児たちが異世界からやって来るそうですよ?』のssを書きはじめました。ただ、一巻を貸していたのを思いだし書けないって言うね。

では、また次回~

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