歪んだ愛をアナタに(完結)   作:ちゃるもん

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投稿です!!

咲夜の能力の解釈が未だに定まらない。
あれどうなってるんや……

では、どうぞ!!


第15話 約束

 レミリアさんとの話も終わり館内を適当にぶらつく。……本当は迷っているだけなのだが……。

 

「……にしても…………本当に広いよなぁ」

 

 窓の外に映る景色を見ながら改めてこの館の大きさに圧巻される。そして、今言えることは、図書館は地下に存在している、と言うことだ。そう、『地下』に、存在しているのだ。だというのに今現在俺は中庭を上から眺めている。別に方向音痴と言うわけではないのだが、確か此方だったはずと道程に沿って歩いてみれば下り階段が見当たらず半場諦めの域に達しながら階段を上った。

 

「……取り敢えず、戻るか」

 

 どうせこのまま進んでも拉致が明かないのは明白だ。それならば戻って階段を降りた方が良いだろう。

 

『あ!!おじさん!!』

 

 もと来た道を戻っていると、曲がり角から少女が飛び出してきた。その顔には満面の笑みが浮かんでおり、此方も何だか救われた気持ちになる。

 

「こんにちは。吸血鬼は夜に寝ると聞いていたんだが……こんなところで何をしているんだい?」

『えっと、おじさんがあの後居なくなったから少し休んだ後探してたんだ』

「僕に何か用があるのかな?」

『うーん……用事ってより約束?契約って言った方が良い?それと、口調。そんなに固くされても私は嬉しくないよ』

 

 契約……?と言うと、あれか、外に出す代わりに守ってくれるってやつ。正直無かった事にしたいんだが……なぜなら、この契約は余りにも俺に得が有りすぎる。それは忍びないから、せめて内容をもう少し変えたいところだ。

 

「ねえ、じゃなくて…………なあ、もう少し契約の内容を変えたりってのは出来ないのか?」

『え?うん……そりゃあできるけど……どうしテ?』

「いや、内容がさ『俺が君を外に連れ出す』のと『君が俺を守る』ってのは余りにも不釣り合いだと思ってな」

『…………そっか。おじさんは優しいんだね。だから、一つだけ教えてあげる。願いの重みって言うのは、其々によって違ってくるんだよ』

「いや、まあ、確かにそうかもしれないが……」

『まだ引かない?だったら、今はまだ準備が出来てないから、さ?準備出来たら叶エて欲しいな』

「……分かった。俺にできる範囲でなら、どんな願いでも叶えて見せるよ」

『約束だよ?』

 

 俺は少し不安げに此方を見つめてくる少女に対し、確りとその瞳を見つめ頷いた。すると少女は小さく『ヤクソクだからね』と微笑んだのだった。

 

 

■□■□

 

 

 あの後少女は館内を探検に出掛けていった。俺は図書館に戻るべくぐるぐると適当に歩き続け、十分程さ迷った後、漸く図書館までたどり着いた。早く道を覚えないとな。せめて図書館とレミリアさんの部屋には行けるようにしておかないと。なんて考えながら図書館の奥、パチュリーさんが居るであろう場所まで進んでいく。

 しかし、その足は急に歩くのを止めた。それもそうだ。なんせ目の前につい先日自身を殺さんと刃物を投げ、突き刺してきた人物が居たのだから。

 

「お帰りなさい松。ほら咲夜、事情は説明したでしょう?松は貴女の父親ではないのだから、やることがあるでしょう?」

「…………」

 

 さくやと呼ばれた女性はゆっくりと、重い足取りで此方に近付き腰を曲げた。その肩は此方が同情するほどに震え、そしてピシャピシャと耳に届く水の音は彼女がどれだけ強い感情を持っているのかを実感させる。

 

「先日は……申し訳有りません、でした」

「いや、良いですよ。多少怪我はしましたが死んでいませんから」

「ありがとう、ございます」

「……良くできたわね。下がって良いわよ」

 

 パチュリーさんがそう言うと、目の前にいたはずの少女はふッと目の前から姿を消した。

 

「はぁ……ごめんなさいね。あの子小さい頃酷い虐待にあっていてね……ええ、まるで奴隷のような扱いをね。それで、その父親と貴方がそっくりなのよ。髪の毛の色とかは流石に違うのだけれど、それでもあの子には刺激が強すぎたみたい……」

「そうだったんですか……悪いことをしてしまったみたいですね」

「何言ってるのよ。顔の似てる似てないなんてどうしようもないんだから貴方が悪くなるなんてあり得ないわ。むしろ悪いのはレミィね、後でキツく言っておかないと……。それはそうと、今日から早速霊力の扱いについて教えていこうと思うわ。本当は約束も守られていないから此処まで義理立てする必要も無かったにだけれど、フランを救ってくれたお礼もあるしね。ビシバシ行くわよ」

「宜しくお願いします」

「とは言ったものの、霊力を操るだけならようは慣れの問題になってくるのよね~だから、私よりもエネルギーの扱いに長けている者が居るからそっちに行きましょう」

 

 

□■□■

 

 

 パチュリーさんに付いて行き、昨日の夜に訪れた門の前までやってきた。

 

『おや?パチュリー様が此処まで来るなんて珍しいですね。本日はどのような後用事で?』

「あの人間に霊力の扱いについて教えてくれないかしら?」

『それは良いのですが……パチュリー様が教えれば早かったのでは?』

「そうしても良かったのだけれど……魔力ならともかく、霊力なら私よりも扱いに長けているでしょう?」

『あの……私が扱うのは妖力と気なのですが……』

「それじゃあ私はあの木の下で本を読んでいるから、終わったら教えてちょうだい」

『あ、ちょ……聞く耳持たずですかぁ……私の方が年上なのに……』

 

 パチュリーさんと門番さんのやり取りが終わり、パチュリーさんは木の下で本を広げ、門番さんは此方に向き直った。改めて対面してみるとこの人かなり背が高い。目線が同じ……大体177前後か……デカイな……。

 

『えーでは……自己紹介をしておきましょうか。私は紅 美鈴。くれないと書いてほん、美しい鈴と書いてめいりんと読みます。以後お見知りおきを』

「これは丁寧に有難うございます。私は佐々木松と言うものです。しょうは松って書きます。よろしくお願いします」

「此方こそよろしくお願いしますね松さん」

 

 紅さんと握手をして自己紹介は終わり。

 

「それで早速で悪いのですが……意識が飛ぶと思いますがそれが手っ取り早いので、少し失礼」

「え?」

 

 握りあった手は離れることはなく、紅さんがそのまま俺の胸に手を置き―――

 

「カハッ!!!!」

 

 ―――とてつもない衝撃に視界は黒く沈んでいった。

 

 




お読みいただき有難うございます!!

修行(強くなるとは言ってない)
まあ、実際どうなるかなんて分かりませんが。なんせ、先なんて殆ど考えてませんからね!!

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

さて、美鈴をどうするか……だな。

では、また次回~

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