悪魔だけど平和に生きたい   作:ブレイカー

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あれ?気付いたら前回投稿から一ヶ月経ってるぞ(困惑)
それに前見たときからお気に入り数が二百人以上増えてるし。

と、取り敢えずお待たせしました。

今回は本編ではなく輝姫さんをメインとした北欧のお話です。

これからの物語に結構深く関わっていきそうな、番外編なのでしっかり読んでおいてください。


番外編その三『一方その頃北欧では』

私、輝姫は現在、雑用係(ラーク)を連れて北欧にいる。

 

理由?ここには疑似授肉した英雄の魂(エインヘリヤル)戦乙女(ヴァルキリー)といった強者が集まる場所だから、修行の場として最適だから。

後は、技を試せる絶好の的があるから、かな。

 

「あの……すみません。その的って僕の事ではないですよね?」

 

金髪のショタが何かほざいてます。

全く、失礼な人ですね。

 

「貴方は的ではありませんよ。サンドバッグです」

 

「何がどう違うのかなぁ!?」

 

「的は一度当てると砕けるじゃないですか。貴方なら砕けることはありえないので何度でも試せます。一家に一人は貴方(ストレス発散機)が欲しいですね」

 

「待て待て!?確かに僕の肉体は壊れないかもしれないけど痛みは感じるんだよ!?っていうか『貴方』のルビ降りおかしいから!?」

 

全く、うるさいショタですね。少し黙ってもらいましょうか。

私は最近オーディンのお爺さんにもらった剣をショタに向かって降り下ろした。

 

「うわぁぁぁ!?ちょっ!?それ!?」

 

「む?やっぱり使いなれてない剣では剣速が落ちますね。やっぱり日本刀が一番使いやすいです」

 

何時もなら避けきれずショタの脳天にガツンとあたる一撃がかわされた。

ちょっとショック。

 

「そんなことはどうでもいいよ!?そんなことよりその『ミストルティン』一体誰にもらったのさ!?」

 

「オーディンのお爺さんに貰いました」

 

「あのスケベ爺!!」

 

どうやら私が貰った剣の名前はミストルティンと言うらしい。セクハラの慰謝料がわりに何か寄越せと無茶ぶり振りをしたのだが、中々強力な魔剣だからこれ使ってみ。と言われて渡された。早速その効果を試してみようとしたのだが、彼にはこの剣は天敵らしい。

いつになく真剣な顔で怒っている。

 

「とにかくその剣で僕を斬るのは駄目だ。他の剣ならいざ知らず、その剣で斬られると僕は普通に死ぬ」

 

「……仕方ないですね。サンドバッグがいなくなるのは私が困ります。この剣で斬ることは諦めましょう」

 

「や。斬ること事態を諦めてくれてもいいんだよ?」

 

「それはないです」

 

「ですよねー」

 

全く。このショタは何を当たり前な事を言っているんでしょうね。

不死……ではないけど、ヤドリギを除いて『あらゆる物で傷を受けない』恩恵を受けている彼を斬れるようになれたら、即ち事実上斬れない物を斬れる存在になると言うこと。

私の目標であるグレイに勝つにはそれぐらいできなければならない。

 

……む?

 

「どうやら的の方が飛んできたみたいですね」

 

「え?的?……っておいおい。あれは……」

 

バサバサと飛んでくるのは鳥などではなく龍。それもいつものに比べたらかなりの大物です。しかし、あんな一直線にしか飛んでこない龍種なんて雑魚です。

私は腰に下げていた修練用の刀を振るい斬撃を放ち龍を切り裂いた。

うん。やっぱり雑魚ですね。

 

「いやいや!?確かにあれは模造品だけど、少なくとも五大龍王の一匹である「終末の大龍(スリーピング・ドラゴン)」ミドガルズオルムの模造品だよ!?」

 

「雑魚は雑魚です。空飛ぶ蛇なんて放っておいても危ないだけですからね。早めに駆逐するに限ります。ほら、一匹見たら百匹いると思えと昔から言いますし」

 

「いや、そんな台所の隅から出てくる黒光りする害虫を駆除する感覚で龍殺し(ドラゴンスレイヤー)されても」

 

「それに……ほら」

 

「ん?」

 

私はある一点を指差した。

その方向に目を向けた彼は、動きを止め固まった。

 

「あれ、どう見ても百匹超えてますよね?」

 

うじゃうじゃと山のように飛んでくるミドガルズオルムの模造品。

う~ん。こうやってみると気持ち悪い。

 

私がそんな事を考えていると隣でショタが震えだした。もしかして……

 

「トイレですか?」

 

「違うよ!」

 

違ったらしい。

 

「……あれ絶対、ロキの仕業だよ!昔からあいつは僕に嫌がらせしてくるんだ!例えば食事にヤドリギを仕込んできたりとか、爪切りの刃に削って鋭くしたヤドリギを仕込んだりとか!」

 

「随分規模の小さい悪戯ですね」

 

何でしょう?北欧の神々は暇なのでしょうか?

オーディンはセクハラ、ロキは規模の小さい悪戯、バルドルはショタ。全く持ってましな神がいない。

私がそういうと彼は、ジト目でこちらを睨んだ。見た目が幼いので全く恐くないけど。

 

「君にとっては規模の小さい悪戯ですむかもしれないけどね。僕にとっては死活問題さ。いつ気付かずに暗殺されるかと思うと夜も安心して眠れない」

 

「じゃあいっそのこと永遠に寝て見たらどうです?いや、やっぱり駄目です。貴方のようないいサンドバッグを探すのは中々めんどくさいので死んでも生き返って私に斬られてください」

 

「……君って時々本当に無茶な要求をするよねぇ」

 

あきれられた目で見られた。

イラッとしたけど取り敢えずこのショタは無視。

あの蛇を斬ることが優先だろう。

 

取り敢えず横に一閃。

それだけで半分ぐらいの空飛ぶ蛇が斬られ、回りの蛇も何体かその衝撃の余波で墜ちそうになってた。

ふむ。

 

「張り合いが全くないです」

 

「いや、君にとってはそうかもしれないけど僕はもうかなりお腹一杯だからね?龍種を剣を一振りしただけで数十体纏めて墜とすって普通は無理だから」

 

「神の癖に情けないですね」

 

全く神ならばあの程度楽勝で落として欲しいです。

 

その後、僅か二分でミドガルズオルムの群れは全滅した。本当に張り合いがない。

 

それにしても、ロキですか……。ロキと言えば確か大層な剣を持っているって話でしたね。

……お土産に丁度いいかもしません。

 

「よし、ショタ。今からロキの所にいきますよ」

 

「いや、なんでさ!?っていうか僕の名前はショタじゃなくてバルドル!!ショタって言うな!小さいの気にしてるんだからさ!!」

 

「うるさいですよ。貴方みたいに不壊の加護ぐらいしか特徴のないちび神なんてショタで十分です」

 

「酷くない!?」

 

事実ですからしょうがないですよね。

文句を言うぐらいなら特徴の一つや二つ作ってきて欲しいです。

 

「ああ、それとロキの所に向かうのはちょっと最近はっちゃけてる(調子に載ってる)みたいなので少しお仕置き(調教)ついでに宝物でも頂戴しようかと思いまして」

 

「恐っ!?でもあそこには神喰らいの狼(フェンリル)がいるんだけど」

 

「大丈夫です。私、犬の調教には少し自信があります」

 

「はっはっは。僕、もう突っ込むのも疲れてきたよ……」

 

はて?そんな疲れる要素があったでしょうか?

流石はショタです。体力も子供並みとは。

 

「それでは行きましょう」

 

「ああ、うん。もうどうにでもしてくれよ……。ところで今日はラークはどうしたんだい?何時もなら僕と同じようにサンドバッグにするだろう?」

 

おや?自分からサンドバッグと言えるようになるとは。どうやらようやく私のサンドバッグという自覚が出てきたみたいです。

いい傾向ですね。

 

「ラークなら今日は休みをあげたので、きっと今頃町で最近見つけたって言ってた幼子に軟派しに行っているんじゃないでしょうか?」

 

「いや、それ問題だよね?警察にお世話になる事案じゃないかな?」

 

「いやまぁ、問題ないでしょう。最近聞いた話ではお互いに親しい関係らしいので」

 

「既に手遅れ!?」

 

いや、あの時は本当に吃驚しました。

あのラークが幼子を胸に抱き抱えて甘い甘いピンク色の雰囲気を出しながら泊まっている宿に戻ってきたのですから。

思わず催眠魔法でも使って拐って来たのではないかと勘違いして本気で斬りかかった私は悪くないと思います。

 

「私は相思相愛ならば何も言うことはありません。後は彼等の問題なので両親と話し合い許可が出れば私は彼等を祝福してもいいとは考えてます」

 

「ふーん。君って意外と大人なんだ」

 

「失礼なショタです。私ほど大人な女性は中々いないと思いますよ」

 

「その失礼って台詞そのまま返すよ。それにしても彼と相思相愛の女の子かぁ……幸せになれればいいね」

 

「そうですね。()()()幸せになれれば良いですね」

 

「……え?生きて?」

 

?……ああ、そうか。

ショタには彼が誰の娘と相思相愛の関係なのか説明していませんでしたね。

 

「実はラークと相思相愛な関係の少女は戦乙女(ヴァルキリー)をやっていまして少女の名前は『スルズ』と言います」

 

「うん?その名前どこかで聞いたことがあるような?」

 

「彼女の父親は北欧の神々の中でも上位に名を連ねており、得物は巨大な鎚を用い得意である雷を使い敵を殲滅します」

 

「………その神ってまさか」

 

「はい。雷神トールです」

 

「うわぁお」

 

雷神トール。

その名は北欧最強の神として有名であり、彼の獲物であるミョルニルは一撃で他の神々をも地に撃ち落とす威力を持ってます。

彼と模擬戦をした時はお互いがお互いに必殺の攻防を繰り広げたことで地形が変わってしまい、オーディンのお付きの銀髪のヴァルキリーに止められ決着は着きませんでした。その後、私達はそのヴァルキリーに延々と説教されて、ヘロヘロになりました。

……私達を説教するなんて、それこそグレイ程の度胸と実力を持たないと不可能です。意外と彼女こそが北欧最強なのかもしれません。

今度模擬戦でもお願いしてみましょうか?

 

話が逸れてしまいましたがそんな最強の神であるトール様でも一つだけ弱点が存在しています。それこそが娘であるスルズです。

 

「……彼も可哀想に。あの娘を溺愛していると言ってもいいトールの娘と相思相愛になるとは」

 

「ええ。彼は、娘を護れて幸せにできたら相手は誰だろうと認めるとは言ってました。けど、トールの場合は護るのに必要な力の基準が高すぎます。前に聞いてみたところ最低でも彼を苦戦させられる位の力は欲しいそうです」

 

それ即ち、私やグレイレベルとまではいかなくとも、少なくとも強者ランキングの八千番以内位には入らないと難しいでしょう。

因みに今の彼は、ざっと一万六千番位。まだまだ先は長そうですね。

 

「それはそうと早くいきますよ。早く彼に痛い目に遭わさなければ」

 

「ちょっ!?いきなり襟を持って引き摺らないで!?っていうか何でそんなに急いでるの?」

 

「もふもふ……いえ、合法的に神と手合わせをするのはそれなりに手間がかかるので。この機を逃すわけにはいかないでしょう?後ついでに噂に聞いたロキの秘蔵っ子とやらの顔でも見に行きましょう」

 

「絶対に最後の秘蔵っ子とやらが目当てだよね!?なんか目が凄く輝いているんだけど!?あっ!?止めて!?引き摺らないでーーー!!」

 

その後、メチャクチャロキをボコボコにして犬に芸を教え秘蔵っ子と遊んで魔剣『レーヴァティン』をぶんどり……貰いました。

久々に楽しい一日を送れて満足です。

 

ショタ?犬に頭を甘噛みされて悲鳴のような歓声を上げていましたよ?全く、犬に甘噛みされて喜ぶなんて子供ですね。




次回投稿=未定。

少なくても二週間以内には投稿したいなぁ。

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