悪魔だけど平和に生きたい   作:ブレイカー

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お待たせしました!
遅れてしまって申し訳ないです。

昨日漸く大学のテストが終わり時間がとれるようになったので書き上げて投稿出来ました。




第19話

さて、参観日の翌日の授業も終わり帰ろうとしたら小猫ちゃんが俺を呼びに来た。

 

何でも引きこもり男の娘(ギャスパー)を旧校舎から外に出しても良い、とサーゼクスから許可を出されたらしい。

それで万が一にも神器の暴走が起こってはいけないので俺に来てほしいそうだ。

 

断る理由もないので即決返事を返して俺は無意識で小猫ちゃんの頭を撫でてしまった。

 

おっといけない。最近家に小さい女の子しかいないからついつい頭を撫でてしまう癖がついてしまっている。

早い内に何とかしなくてはセクハラ扱いされてしまうかもしれん。

これぐらいの歳の女の子は難しいって聞くからね。

 

だから、きっと俺が手を離した時に小猫ちゃんが少し残念そうな顔をしたのは俺の中の悪魔が見せた幻覚なのだろう。

惑わされるな俺。

 

小猫ちゃんと一緒に旧校舎まで歩いていくと既に俺たち以外のオカ研メンバーは全員いた。

どうやら一番遅くなってしまったらしい。

 

すまないと謝ると皆快く許してくれた。

助かる。これが我が幼馴染み(セラやサーゼクス)だったら俺は殺されていたかもしれない。

 

さて、早速封印を解いて引きこもりを出そう。

俺は封印の結界の術式に手を翳し結界を解除した。

 

それを見て苦笑いする面々。

一部は分かってないようだが本来結界というのは手を翳すだけで破れるような物ではない。

その程度で破れるような結界なんてヒビの入った今すぐ壊れそうな壁と大差ない。魔王の攻撃から何度も、結界で命を守ってた俺が言うのだ。説得力はきっとあるだろう。

 

まぁそんな無駄に結界に対して精通した知識を持ってしまった俺だからこそ簡単に結界を解除できるのだが、この知識を得る切っ掛けとなったのが幼馴染み(魔王)の本気の攻撃から身を護る為なので内心少し……いやかなり複雑である。

 

若干落ち込んだ俺をリアスちゃん達が心配そうにして見ていたのに気付き何でもないといい部屋の中に入る。

 

 

 

 

 

綺麗で埃一つない部屋。

 

その中央で優雅に紅茶を飲んでいる長い金髪の女性がいた。

 

その人物の紅茶を飲む動作の一つ一つが優雅な動作で思わず誰もが見惚れてしまっている。

 

その美貌や雰囲気のせいでいつも美少女をみたらでれでれしてしまう兵藤が口を開けてポカ~ンとしている。

 

が、すぐに正気に戻って兵藤が興奮しだした。

その様子を見てすぐそばにいた小猫ちゃんがボソリと気持ち悪いと言った。

うん。確かに。

 

俺は取り敢えず兵藤を落ち着ける。

だって(ギャスパー)に興奮している(兵藤)なんて気持ち悪いだけだから。

 

そう。

この人物こそがリアスちゃんの僧侶である『ギャスパー・ヴラディ』(♂)その人である!

 

俺の説明を聞いた兵藤がえっ?と首をギギギとこちらに向けてくる。

 

え?もう一度言ってほしい?

仕方がないなぁ。もう一度言うよ。

『ギャスパー・ウラディ』(♂)その人である!

……満足したか?

 

すると、兵藤は涙を流しながら地面をバンバン叩いている。

まぁ気持ちは分かるので今回は何も言わない。

 

その様子を見てギャスパーがクスクス笑う。

その動作もまた優雅だ。

泣きながら地面をバンバン叩いていた兵藤が叩くのを止めて一瞬見惚れて……また相手が男だった事を思い出して今度は壁にガンガン頭をぶつけ出した。

……忙しいやつだなぁ。

 

そんな兵藤をクスクス笑いながら見ていたギャスパーが兵藤を対象に神器を発動した。

 

すると兵藤がピタリと動きを止めた。

いや、止めたと言うよりは止められたと言うべきか。

 

俺や他のメンバーは見たことがあるのでそこまで何も思ってはいないが初めて見るアーシアちゃんやゼノヴィアが驚いている。

まぁ初見ならそうだよね。

 

これがギャスパーの神器。

停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)

能力は単純。視界に入った物の時間を停止させる能力だ。

しかし、単純が故に強力であり、人数が幾らいようと相手が自分よりも能力が下ならば纏めて時間を止める事も可能だ。

 

ギャスパーは昔、特訓……というか矯正の為に紅い館のカリスマ(笑)たっぷりの吸血鬼のおぜうさまに引き渡した結果、ギャスパーは館にいる喘息持ちの魔女に魔法を、時を操る完璧な従者により神器の制御と完璧な女子力(女装力とも言う)を身につけて帰ってきたのだ!

 

……俺的にはできれば男らしく矯正して欲しかったんだけどなぁ。

完璧な男の娘にしやがって……!

 

で?何で兵藤の時間を止めたの?

あのままにしてれば(気絶して)静かになっただろうに。

 

頭から流れる血を見て吸血衝動が出るのと部屋が血で汚れるのを防ぎたかった?

 

……できれば兵藤の心配をして欲しかったなぁと一応教師の身である俺は思ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

さて、あれから暫くして兵藤の時間を元に戻しギャスパーの説明をする。

 

ギャスパー・ウラディ。

本来ならリアスちゃんの実力では眷属に出来ない吸血鬼の男の娘だが、僧侶の『変異の駒』を使うことでリアスちゃんの眷属となっている。

 

因みにここに閉じ籠っている理由は、とある事情で吸血衝動が強くなってしまったので少しでもそれを抑えるためと、ただ単純に引き籠るのが好きなだけだ。

 

引き籠る為に高校を飛び級で卒業し、株で現在稼いでいる彼の引き籠る事に対しての熱意は本物だろう。

教師としては複雑な気持ちになるのだが。

 

ギャスパーはリアスちゃんに一緒に外に出るように言われるがギャスパー自身が引き籠りたがっているので当然拒否。それから話は平行線を辿った。

 

やがて、リアスちゃんが折れてギャスパーを外に出すのを諦めた。まぁ予想はできていたので苦笑いしてリアスちゃんを慰める事しか出来ない。

 

まぁ取り敢えず今日の予定は終わったぽいので帰ろうとしたらリアスちゃんに呼び止められた。

 

何事かと思ってリアスちゃんに尋ねると、今日会談の打ち合わせをするから一緒に行こうとの事。

 

……何それ?聞いていない。

 

えっ?まじで今日なの?来週とかじゃなくて?

 

俺が今の情報に余りにも驚いてフリーズしていると携帯が振動した。

どうやらメールらしい。この時点でかなり嫌な予感がした。

 

『今日会談やるからお前来い。お前に拒否権無いから予定あるなら全て断ってこい』

 

メールを読んで簡単に内容を纏めるとこんな感じだ。

もっとオブラートに言葉を選んで書いているが大体内容はあっているはず。

 

……フフフ、アノヤロウ。ブッコロシテヤロウカ?

 

その時の俺の殺気はリアスちゃん達曰く今まで感じた事のないような強さだったらしい。

 

ガタガタ怯えていた彼らを見て罪悪感が凄かった。

 

おのれ、この恨みは晴らさせてもらうぞ。サーゼクス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の名前は『メル』。

今年二十才になるグレモリー家にメイドとして雇ってもらっている者なのです。

 

今日は会談の準備のためにグレモリー家の執事とメイドが駆り出される事に成りました。

私はまだ雇ってもらってから一年しか経っていないので、館で先輩達と一緒にお留守番させられると思っていたのですがグレイフィアさんに指名されて今日はメイドや執事の精鋭の先輩達と一緒に連れてきてもらいました。

 

しかも今回の会談の責任者はあの『創成の魔導王』ことグレイ様だそうです!!

私、彼の大ファンなんです!

『魔法少女マジカル☆レヴィアたん』の予約限定版のシャワーシーンなんてもう。実にたまらんとです!(鼻血ドバー)

 

ゴホン。フキフキ。と、取り敢えず、この準備の会談で少なくとも話せるようになって、あわよくばお近づきに!

 

と、思っていたのだが……

 

「『魔界粧・轟炎(まかいしょう・ごうえん)』!!」

 

「『滅殺の魔弾(ルイン・ザ・エクスティンクト)』!!」

 

片や物凄い魔力の籠められた魔法の炎で相手を焼き尽くさんと。

片やその魔法を滅びの魔力を使い上手く捌いている。

 

その戦闘は当に死闘と言っても可笑しくはないレベルの戦闘であった。

 

「はっはっはっ。大人しく当たってくんないかな~♪サーゼクス♪」

 

「嫌だなぁ。そんなもの食らったら丸焦げじゃすまないじゃないか」

 

「俺はそれを願っているんだよ?だ・か・ら・くたばれ!!」ゴウッ

 

「嫌だといっているじゃないか」ズドーン

 

そんな軽い会話をしながら私なら入るまでもなく致命傷を負いそうな攻防を繰り広げる魔王様とグレイ様。

 

それを先輩達は気にせず会談に使う道具や書類。紅茶などを用意し、リアスお嬢様達に試食をお願いしている。

 

「えっと……グレイフィア様。あれ止めなくていいんですか?」

 

私は恐る恐るグレイフィア様に尋ねた。

 

「大丈夫です。あれぐらいならばいつもの光景ですので」

 

あれで!?なんかドラゴン討伐ぐらい余裕でできそうな魔法を放っているんですけど!?

 

「あの二人にとってはそれぐらいは幼馴染みとしてのスキンシップを行っているようなものです。レヴィアタン様なんて更に強力な魔法を照れ隠しで彼に(一方的に)繰り出してますよ」

 

あのレヴィアタン様が!?

さ、流石は魔王様と創成の魔導王様と言ったとこなのかしら?

 

「でも、グレイフィア様?なんかお二人の放つ魔法の威力段々向上してきません?」

 

「久し振りのスキンシップ(死合い)ですからね。お二人とも熱が入ってきているんでしょう」

 

そんな物なんでしょうか?

でもお二人と長年付き合われているグレイフィア様がそう言うのならそうなんでしょう。

 

「……でも、そうですね。これ以上はお遊びではすまなくなりそうですね」

 

そう言ってグレイフィア様はサーゼクス様の元へ飛んでいった。

何をするんだろう?

 

「サーゼクス様」

 

「ん?なんだい?グレイフ『パーーーーン‼』へぶ!?」

 

ビ、ビンタ!?

さっきまで物凄い魔法放っていたグレイ様ですら動きを止めてしてしまうぐらいの大きな音でしたよ!?

 

「何をやっているんですか『パーーン』?サーゼクス様『パーーン』?私言いましたよね『パーーン』?事前に『パーーン』ちゃんとグレイ様に『パーーン』連絡をいれといてくださいって『パーーン』」

 

「へぶ!? グ、グレイフィア『パーーン』ぶっ!謝る!謝『パーーン』ば!ゆ、ゆるひて!」

 

「謝る相手が『パーーン』違うのでは無いですか?『パーーン』」

 

「ぶっ!グレイ様申し訳ありませんでした!!」

 

う、うわぁ。

容赦ないビンタの応酬にサーゼクス様の頬が数回受けただけで腫れ上がっているよ。

あまりの威力に受けてない筈のグレイ様も頬を抑えて引いているよ?

 

「グレイ様。本人はこの様に言っているのですが許していただけるでしょうか?」

 

「え?あ、う、うん。まぁそこまで言うなら許してあげよかな。……なんか少しサーゼクスが可哀想に思えたし(ボソッ」

 

「何か言いましたか?」

 

「い、いえ!何でもありません!!」

 

「そうですか。ではそろそろ会談の準備を始めてもらいましょう。私は仕事が残っているので帰らなければなりませんが……サーゼクス様サボらないでくださいね(ゴゴゴ」

 

『イエスマム!!』

 

謎の黒いオーラを出しながらグレイフィア様はそう言って転移魔法で帰っていった。

 

あまりの迫力に言われたサーゼクス様だけではなくその場にいた全員で敬礼してしまった。

 

こうして私達は会談の準備を始めた。

 

……少し休もうとすると謎の悪寒が走ったのは余談なんでしょうね。きっと。




これからは大学が夏休みに入るので確実に前より早い時期に投稿できるようになると思います。

これからもこの作品をどうかよろしくお願いします!

……感想をくれてもいいんだよ?

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