悪魔だけど平和に生きたい   作:ブレイカー

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忙しい中、暇を見つけて書いたお話です。もしかしたら誤字や矛盾があるかもしれません。あったら指摘をよろしくお願いします。

今回は主人公の視点どころか登場自体ありません。
なので他の登場キャラ視点でやろうと思ったのですが作者の文才の無さ故に原作キャラ視点は難しかったので今回は地の文がメインとなります。

それではどうぞ。


第14話

時は少し前に遡る。

 

コカビエルとの決戦に周囲の土地や人に被害が出ないようにシトリー眷属が結界を貼り、グレモリー眷属がコカビエルとその手下達を倒す為、戦闘に入っていた。

 

時間稼ぎの為に呼び出されたケルベロス二体をそこそこ苦戦しながらも傷を負うことなく倒した、グレモリー眷属と教会のエクソシスト、ゼノヴィア(この時、イリナは既にリタイヤ済み)。

 

しかし、エクスカリバーの統合する時間はきっちりと稼がれてしまいこの町に集められた五本のエクスカリバーの内四本を統合させてしまった。

 

そのエクスカリバーを手にしたフリードを木場とゼノヴィアとで挑んだがその能力故に苦戦させられていた。

 

その時にバルパーが幼い木場達への実験の真実を語った。

その実験の末に結果的に残った木場と、木場を想い続けた仲間たち。その想いで、木場はバランスブレイク『双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)』へと至った。

 

その光景を見て口の端を引きつらせる、フリードとバルパー。

 

「やー、バルパーの爺さん。俺っちあれから嫌な気配ビンビン感じるんで逃げちゃダメっすかね?ぶっちゃけ勝てる気がしないっすわ」

 

「な、何を言い出すのかと思えば。お前には七分の四とはいえ伝説の聖剣『エクスカリバー』があるのだ。負けるわけがない……だろ?」

 

「いや、俺っちに聞かんでくだせぇよ。しかも、自信なさげに」

 

「いや、結晶渡したの私だけど、まさかあんなことになるとは思ってなかったのだ。……しかし、妙だな。聖と魔は水と油の関係。本来なら混ざり合うことはないのだが」

 

なんかぶつぶつ言っているが木場にとってはそんなことは関係ない。

昔の仲間達の思いや願いを籠めてエクスカリバーを持つフリードを睨む。

 

「フム、聖魔剣とエクスカリバーか。ならば私もこの決戦に相応しくしなければな」

 

「いや、そこにいる金髪君だけでもヤバイからそのままゆっくりしてくれても」

 

「却下だ」

 

「Oh………」

 

「ペトロ、バシリウス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ……我が声に耳を傾けてくれ」

 

フリードが項垂れている間にゼノヴィアは詠唱する。

その横に突き出した手の先に魔方陣が浮かび光が漏れ出した。

 

その光と同時に現れたのは一本の封印の術式の籠った鎖に巻かれた剣。

しかし、その剣は鎖に巻かれてなお莫大なオーラを感じる。

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する!聖剣『デュランダル』!」

 

名を叫んだ瞬間、鎖が弾けとび、封印されていた膨大な聖なるオーラが溢れ出した。

 

その名を聞いて驚いたのはバルパー。

彼は驚愕と同時に叫んだ。

 

「馬鹿な! 私の研究ではデュランダルを扱える領域達していないぞ!!」

 

「悪いが、私はそいつやイリナとは違う数少ない天然物だ」

 

「完全なる聖剣適正者……真の聖剣使いだと言うのか!?」

 

ぐぬぬと唸りながら後退する、バルパー。

彼はかなりの高齢であり、ただの研究者でしかないので戦闘能力はない。

主であるコカビエルはこの状況を楽しんでいるのか、傍観に徹している。

この場で戦えるのはエクスカリバー(ただし七分の四)を持つフリード一人。

 

それに対して、相手側にはグレモリーの娘に雷を出す怖い巫女。それに怪力娘。

更には赤龍帝、聖魔剣、デュランダルといった武器が強力すぎる面子。

それに加えて回復要員も完備。

 

「なー、バルパーの爺さん。俺、本当に逃げ帰っちゃダメっすかね?この面子に俺一人で勝てっていうのは無理があるんすけどー?」

 

「……フリード。お前の死は無駄にしないぞ」

 

「ちょっ!?見捨てること前提っすか!?」

 

「当たり前だろ!私があんな奴等と戦えると思うなよ!」

 

「自信満々で言うんじゃねぇよ!俺だって無理だわ!」

 

「「いくぞ!!」」

 

「「止めろ!こっちくんな!?」」

 

何とも敵側(コカビエル陣営)が決戦とは思えない雰囲気となっているが主人公側(グレモリー眷属)からしたらそんなことは関係ない。

木場とゼノヴィアはフリード目掛けて突撃した。

 

フリードは真っ正面からでは勝てないと判断し懐から煙玉を取り出した。

そして、地面に叩きつけようとした瞬間、強力なオーラを放つ聖剣が下に叩きつけられようとした煙玉のみを削り取り地面に突き刺さった。

 

「全く。面白いことしてるわね。私も参加させて頂戴」

 

『ジャンヌさん!?』

 

グレモリー眷属にとっては師匠の一人で尊敬する先生の眷属の一人。デュランダル使いにとってはある意味トラウマの象徴である、見た目金髪幼女の最上級の実力者がこの場に現れた。

 

それを見た瞬間、フリードは「勝ちどころか一矢報いることも不可能だなー。あっ蝶だ」と現実逃避していた。

 

「ほう。この町に『創成の魔導王』と『斬姫』がいるとは聞いていたから奴等が現れると思ったが、まさか貴様が現れるとはな。『聖剣乙女』」

 

「…その呼び名辞めてくれない?前にその二つ名を変な勘違いで性剣(意味深)と思われた事があるから」

 

「むっ?ならばこの場では『龍の魔女』と呼んでおこうか。それで?貴様が来るということは奴等もいるのだろう?早く奴を出せ」

 

「生憎と我が主と彼女は不在よ。それに、貴方程度私が相手で充分よ」

 

その台詞にコカビエルの額に青筋が浮かぶ。

どうやら癪に触ったらしい。

膨大なオーラを発している。

 

そのオーラに、グレモリー眷属はおろか、味方であるフリード達も固まっていた。

しかし、肝心のジャンヌは全く気にしていない。

それが更にコカビエルを苛つかせる

 

「ほ、ほ~う。言うではないか」

 

「事実だからね。ぶっちゃけ、今のうちの眷属の中で貴方に勝てないのは最近眷属になった堕天使とその使い魔位ね。後、グレイと輝姫からしたら多分戦いどころか遊びにすらならないわ」

 

「はんっ!こちらこそお前ごときそこにいるフリードで充分だ!お前を倒し奴を引きずり出してやる!」

 

「ちょっ!?コカビエルの旦那!?俺を巻き込まないで!?」

 

「あらそう。なら取り敢えずフリード(雑魚)からやらせてもらおうかしら」

 

「うわーい。こっちくんな、このばけものどもー。っていうか投降するからゆるしてちょ」

 

「それはダメだよ、ジャンヌさん。彼は僕らの獲物だからね」

 

「そ、そうだぞ」

 

「むっ?そういうことなら仕方がないわね。じゃあそっちの相手は任せたわ。私は老害(バルパー)の方やるから」

 

「な、何故私の方に!?って今老害って言った!?」

 

「っていうか、俺の投降は無かったことにされてんのね。泣いていい?」

 

色々とグダグダである。

そして、フリード。第三者が冷静になって見れば君は泣いていいだろうと誰もが言うだろう。

しかし、残念なことにこの殺気が溢れる場に冷静な人物など一人しかいない。

 

その一人が率先して場をかき乱そうとしているので、どうしようも無いだろう。

 

「さあ!フリさん!バルさん!やっておしまい!」

 

「いや、旦那。俺等は逆だからな。寧ろボコボコにされる立場だから」

 

…案外こいつら楽しんでいるのかもしれない。

殺気が無ければそう思える光景であった。

 

「それにしても久し振りね、バルパー。私はあの日から一日たりとも貴方の事を忘れた事は無かったわ」

 

「っ!?まさか、あの事か!?」

 

「当たり前じゃない!貴方が私から奪った物は取り戻せない。だけど、許せるわけがないじゃない!!」

 

ジャンヌとバルパーが向き合った事でようやくシリアス方向に展開が戻ってきた。

その場にいる全員は先程の木場の件があったので、ジャンヌもバルパーに何か大切な物を盗まれたのかもしれないと怒りの目でバルパーを睨む。

 

「ええ。絶対に許せないわ貴方が奪った、大切な、大切な………

 

 

 

 

 

 

 

私のケーキを食べた貴方を!!」

 

『そんなことかよーーー!!?』

 

全員の心が一つになった。

何しろ先程、木場の悲しい過去の話を聞いたばかりだったのだ。

その流れでいえばシリアス風に誰か大切な人を失った~、とかが来て当然だと考えても仕方がないだろう。

 

ジャンヌはそんな全員の様子を驚いたようにキョロキョロして見て首を傾げた。

 

「何よ、この空気。だって楽しみに取っておいたケーキを他人に食われたら悲しくなるでしょう」

 

「同感です」

 

「小猫ちゃん!?」

 

どうやらもう一人お菓子好きーな同類がいたようだ。

二人は仲良さげにハイタッチをしている。

 

「ふ、ふざけるな!ジャンヌ・ダルク!!貴様を教会から追い出したのは私だぞ!!そんな私が憎くないのか!!」

 

「いや、全く」

 

「即答!?」

 

あまりにも早い返しにバルパーが呆然としている。

 

「貴方達が教会から追い出してくれたから、今の主に出会えたの。まぁ結果的には良かったのだから貴方達、老害に感謝してあげても良いわよ」

 

「な、なん……だと………!?」

 

その返事に更に驚愕することになるバルパー。

他の者もジャンヌの言い分に驚愕や嫌悪と様々な感情を顔に出している。

 

ここで終わればそれでよかったのだがここでジャンヌはミスを犯した。

 

「大体、戦争で魔王と一緒に死んでる神なんて信仰しても無駄なのよ。それならグレイと一緒にいる方が遥かにましよ」

 

空気が凍った。

 

漸くシリアスに戻ってきたようで地の文(作者)も一安心である。

 

「……お、お前」

 

「あ、これって言っちゃ駄目な事なんだっけ?今のカットでよろしくね」

 

『できるかーー!?』

 

ほぼ全員の声がハモった。

アーシアやゼノヴィアは呆然とし、バルパーは聖魔剣が出来た理由が分かり満足した顔をしており、他の面子はそんな面々のフォローや対処へと回っている。

本当にシリアスとは何なのか。

 

「まぁいいわ。後で貴方達には(物理的に)記憶を失ってもらうとして取り敢えずコカビエル。バルパーが戦う気が完全に失せてるようだからやっぱり先に貴方を倒すわ。バランスブレイク」

 

ジャンヌがそう言うと同時に大量の神器で造り出した聖剣が次々に集まり、ドラゴンの形をとる。

 

一本一本の聖剣から放たれるオーラがかなり強力なせいで、初めて見るその場にいたコカビエルを除いた全員は目を見開き、そのドラゴンを畏怖の眼差しで見る。

 

「ほう…それが噂に聞く聖剣のドラゴンか」

 

「『断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)』これが私のバランスブレイク。今からこのドラゴンで貴方を倒すわ」

 

「ふん。そんな見た目だけのドラゴンに俺が負けるわけがないだろ。本物のようにブレスが放てれば話は別だがな」

 

「あらそう。じゃあそうするわ」

 

「へっ?」

 

コカビエルが間の抜けた声を出している間に『断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)』は大きく息を吸い込む動作をする。

 

「ま、まさか」

 

「殺りなさい。『断罪の咆哮』」

 

次の瞬間空に浮かぶコカビエルに向けて特大の聖なるオーラが放たれた。

 

コカビエルを、結界を、更には通りすがりの宇宙船すら飲み込み空の彼方に打ち出された一撃。

そのオーラが通った後には何も無かった。

 

沈黙が回りを支配する。

ふと思い出したかのようにジャンヌは呆然としていた面子に向かって振り向き、一言。

 

「あっ、此方の戦闘は終わったらそっちはそっちでさっさと終わらせなさい。後、三分以内に終わらせなかったらさっきの貴方達に向かって撃つんで」

 

「さあ、皆!一分で片を付けるわよ!!」

 

了解(ラジャー)!!』

 

「ちょっ!?お前ら!?一対六は卑怯だろ!?」

 

「お前ら人間じゃねぇ!!」

 

この後、きっちり一分でエクスカリバーを叩き折り、バルパーとフリードを倒して捕縛した。

 

後、ここにいるメンバーの大半は人間ではないのでバルパーの言うことはある意味当たっている。

 

こうしてグダグダのままコカビエル戦は終了したのであった。




ジャンヌの神器『聖剣創造』は原作で正式な手順で造られたオリジナルの聖剣より強い物は造れない事になっているので指摘が出るかもしれませんが、これにもちゃんとした理由があります。

今後の話でそこら辺についても説明する予定はあるので今後をご期待ください。

最後になりましたが感想、評価、アドバイスお待ちしております。

今後ともよろしくお願いします。

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