GOD EATER ~The Broker~   作:魔狼の盾

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ダウンフォースだ!!


mission78 蒼い光弾

-ラボラトリ-

 

 蛇型アラガミを倒した後、ユウキ達は一時帰投して報告とコアや素材をペイラーに渡した。その後短い休憩と補給を受けてすぐに別の超弩級アラガミを倒しに再出撃していた。

 ユウキ達が再出撃して時間がたった後、ペイラーはラボラトリで渡されたコアと素材の調査をしていた。

 

(う~む…これは…)

 

 アラガミの画像とコアの一部解析して蛇型アラガミの行動指針、個体の構成情報が解明され、ペイラーはその情報を元にパズルの様に蛇型アラガミについて仮説を立てていく。

 

(旧世代で存在していた蛇と同様、低温環境には弱いみたいだね。さらには本能的に火を恐れる所も同じと…)

 

 蛇は気温が下がると冬眠し、火を見ると一目散に逃げ出すと言う。コアを解析して得た情報とこう言ったモデルにした動物の特徴と一致しているところがあるため、弱点属性の考察は強ち間違いではないだろうとペイラーは結論付ける。

 

(体表面の鱗により破砕攻撃以外には強く、銃弾は全面的に効きにくい。その他は腹は切断、咥内は貫通が有効…)

 

 ここはモデルとなった動物の上位互換となっているようだ。オラクル細胞の塊のアラガミと言う時点で防御力は上がっている。これも今までのアラガミと同じ特性だった。

 

(そして何よりもこれだ…)

 

 しかし、ここまでは通常のアラガミと大して変わらないため、深く調べるまでもなく予測できた。そのためこのアラガミのコアを調べた際、一際異質な特性がペイラーの興味を引いた。

 

(かなり強力な神経毒…作用としてはテタヌス毒素と同じようなものではあるが…)

 

 テタヌス毒素…平たく言えば神経伝達物質のタンパク質を分解することで神経伝達を抑制するものだ。それが人間に取り込まれると、痙攣性麻痺が起こると言うわけだ。

 しかしオラクル細胞の塊であるアラガミには、人間に使うような薬品や毒は本来通じない。しかし、この蛇型アラガミの毒は注入したアラガミのコアに到達するとテタヌス毒素と同じようにコアからの指令を抑制するように進化した毒を自身で生成するようだ。

 今まではホールドでアラガミの動きを一時的に止める事例はあれど、毒で動きを恒久的に止める様なアラガミは現れなかった。

 

(蛇の姿をしたアラガミか…『ナーガ』と名付けて本部に報告しておこう。)

 

 これまでに無いタイプの蛇型アラガミにナーガと名付けてペイラーは本部に向けてメールを打ち始める。

 

(それにしても…)

 

 報告用のメールを打つ傍ら、ペイラーの頭の中を占めていたのは別の事だった。

 

(ユウキ君が発現させた…私も、リッカ君も知らない…仕様にはないプレデタースタイル…取り敢えず『霞ノ扇』と名付けたが…)

 

 ペイラーは第一部隊から報告があったユウキの神機について考えていた。左右どちらの神機も仕様外のプレデタースタイルを発現させたという。空中で振ると浮かび上がるプレデタースタイルなど設計段階でも、実用化した後でも組み込まれていなかった。

 取り敢えず神機のログをペイラーが、本体をリッカが簡単に調べた結果、捕食口を展開した状態で神機を振ると空気が下に流れて身体ごと浮き上がる程の浮力を生み出す事は分かった。そして何故ユウキにしか発現しなかったのか、思い当たる理由は1つしかない。

 

(これもブレイクアーツの1つなのだろうか…?)

 

 神機をより自由に扱えるブレイカー…彼らにのみ発現するブレイクアーツ、この力が神機をより強力に進化させたのだろうかと考えながら、ペイラーはメールを打ち続けた。

 

 -外部居住区外 荒野-

 

 一方、ユウキ達が次の超弩級アラガミと戦っていた頃、リンドウとサクヤは車に乗ってはいたもののアリウス・ノーヴァに追われていた。そう、今まさにリンドウを餌にして神機更新の時間稼ぎをしているところだった。

 

  『バンッ!!』

 

 そんな中、ジープの荷台に乗っているサクヤのテラスウォームか狙撃弾が放たれてアリウス・ノーヴァの頭に直撃する。

 

「どうだサクヤ?!当たったか?!」

 

「当然でしょ!!でも効いてる様子はないわね!!」

 

 リンドウがハンドルを握りながらバックミラー越しにサクヤの様子を伺う。そこにはサクヤと同時に狙撃弾を受けたにも関わらず追いかけてくるアリウス・ノーヴァが映っていた。

 するとアリウス・ノーヴァの真上に赤紫色の結晶が浮かび上がる。

 

「右!!」

 

 サクヤが曲がる方向を指示すると、リンドウは迷わずにハンドルを右に切る。すると結晶が飛んできてリンドウ達の居た場所に突き刺さる。

 すると今度はアリウス・ノーヴァの周囲に多数の結晶が展開され、それを一気に飛ばしてきた。

 

「クッ!!次から次へと!!」

 

 サクヤが悪態つきながらも次々と結晶を撃ち抜いて破壊していく。

 

「右15!!その後左8!!」

 

 銃身がスナイパータイプのものとは思えない程の速さで狙撃弾を連射し、10個程の結晶を破壊したが、ここで2発破壊し損ねた。サクヤがハンドルをどれだけ切れば良い指示を出すと、リンドウはその指示通りにハンドルを回して車を左右に振って結晶を避ける。

 

「あとは任せなっ!!」

 

 リンドウはバックミラーを見て、ハンドルを左右に大きく切つて残りの結晶を避けていく。その間、サクヤも荷台の上で振られながらも、ジープに近付かれないようにアリウス・ノーヴァに狙撃弾を撃っていく。

 

  『ガコンッ!!』

 

 リンドウがすべての結晶を避けた頃、サクヤの神機からオラクルが殆ど無くなり、薬莢を排出してリロードする。

 

「リンドウ!!」

 

「はいよっ!!」

 

 サクヤが呼び掛けると同時に、それなりに大きい薬莢を、リンドウに投げて寄越すと、リンドウは右手で難なく受け止める。

 それを確認したサクヤはアリウス・ノーヴァの方を向き、銃口をアリウス・ノーヴァに向けて構える。

 そしてリンドウはバックミラーを見ながら狙いを定め、サクヤから受けとった薬莢をアリウス・ノーヴァに向かって投げつける。

 

「当ててみせる!!」

 

  『バァンッ!!』

 

 アリウス・ノーヴァの眼前でサクヤが薬莢を撃ち抜く。すると薬莢はスモークを噴き出しながら爆発し、アリウス・ノーヴァを怯ませると同時に視界を奪う。さらに、これにはもうひとつの狙いがあった。

 

「よぅし!!マーキング成功!!ヤツが怯んだ隙に離脱する!!回収してくれ!!」

 

 噴き出したスモークには強いオラクル反応を示す細胞が含まれていた。そのためこのスモークに触れるとオラクル細胞が体表面に食い付き、対象の反応を一時的に追いかけられると言う仕組みだ。ただし、それだけのオラクル細胞を充填するため、普段よりも撃てるオラクル細胞が少なくなるが、サクヤの腕ならば心配する事は無いだろうと言うことでこの方法がとられた。(もっとも第二のノヴァであるアリウス・ノーヴァにはマーキング効果のあるオラクル細胞も短時間で喰われてしまうだろうが。)

 アリウス・ノーヴァがスモークを浴びたのを確認するとリンドウは通信で上空に居るヘリに縄梯子を下ろしてもらい、車を走らせたままサクヤと共に離脱する。

 怯みから回復したアリウス・ノーヴァは運転手の居なくなった車に結晶を放ちながら追いかける。何発か外した後結晶は車に直撃して、アリウス・ノーヴァは車の残骸を捕食し始めた。

 

「さぁて、あとはアイツらが何処までやれるかだな。」

 

「あの子達なら大丈夫よ。信じましょう。」

 

「そうだな。」

 

 車を喰い散らかすアリウス・ノーヴァをヘリの中で見ながら、リンドウとサクヤはコアを回収しているユウキ達が上手くやっているかと心配していた。

 

 -嘆きの平原-

 

 リンドウとサクヤがアリウス・ノーヴァを引き付けていた頃、ユウキ達は旧ビル街に来ていた。待機ポイントで最終確認中も感じる存在感を今は無視してユウキが任務内容のせつめいを始める。

 

「今回の相手は旧ビル街に現れたウロヴォロスだ。通常の種とは違い白い甲殻を背負っているようだ。」

 

 ユウキは第五部隊から報告があった今回のターゲット、超弩級アラガミ扱いのウロヴォロスについて説明し始める。

 

「現時点では通常のウロヴォロスと比べても大きな差異は無いと報告されている事から、今回のターゲットはウロヴォロス堕天種と認定された。だが大きな違いは無いとは言え相手はノヴァの影響を受けた超弩級アラガミだ。油断はするな。」

 

 簡潔にターゲットの情報を伝える。超大型、さらには超弩級アラガミと言うスペシャルなセット内容に全員の表情が強張る。特にコウタはかなり緊張している様だった。

 

「ウ、ウロヴォロスか…何時だったかソーマが1人2人は死ぬって言ってたっけ…」

 

「だがあのときよりも俺たちは明らかに強くなっている。負ける理由なんて無い…だろ?」

 

「ええ。いつも通りに、かつ油断せずに行きましょう。」

 

 第一部隊全員がルーキーの頃と比べると比べ物にならない位に強くなったのは間違いない。その事を仲間達から聞いたコウタは『そっか…そうだよな!!』といつもの様に明るく笑った。少しずつ落ち着きも取り戻し、そこには緊張した様子は無かった。

 

「よし、任務…開始!!」

 

 コウタの士気を取り戻した事を見届けると、ユウキの指示で任務が開始される。待機ポイントから飛び降り、隆起した地面を周って反対側に向かうと、ウロヴォロス堕天種と鉢合わせた。

 

「デ、テケェ…」

 

「こ、こんなに大きいなんて…」

 

 コウタとアリサは初めて見たウロヴォロス堕天種の大きさから来る威圧感に思わず息を飲む。

 

  『ヴォォォォオ!!』

 

「グッ!!」

 

「うぅっ…」

 

 見た目通りの声量で吠えてきたウロヴォロス堕天種の咆哮に圧倒され、コウタとアリサは無意識に後退りする。しかしその2人の横から黒い影が飛び出し、迷わずに前触手に斬りかかる。

 

「何してる!!早く後方支援しろ!!」

 

「相手の大きさに呑まれるな!!このくらいの修羅場ならいくつも越えてきただろ!!」

 

 ウロヴォロス堕天種の前触手を斬ったソーマとユウキが檄を飛ばす。その最中に前触手が持ち上がり、ユウキとソーマに向かって振り下ろされる。

 

「クッ!!」

 

「チィッ!!」

 

 舌打ちをしながらユウキは左、ソーマは右に跳んでそれぞれウロヴォロス堕天種から離れる。

 

「へへっ…それもそうだな!!」

 

「ですね!!これだけ大きければただの的です!!」

 

 ユウキ達を攻撃したために出来た隙を突いて、コウタとアリサはウロヴォロス堕天種の頭に弾丸を撃ち込んでいく。

 ウロヴォロス堕天種はそれを受けながらも、特に避ける事もせずに頭の角を光らせ始める。

 

「っ!!レーザーが来るぞ!!」

 

 レーザーの発射体勢になった事で、動きが止まったウロヴォロス堕天種の前触手を駆け上がりながら、ユウキがどんな攻撃が来るかを教える。

 

「であっ!!」

 

 ユウキが指示を出すのと同時にソーマが前触手に斬りかかる。

 

「クッ!!止まらない!!」

 

 しかし圧倒的質量差の前ではソーマの一撃もかすり傷の様なものだった。当然ウロヴォロス堕天種は止まる事なく明後日の方向にレーザーを発射する。全員が『何処を狙っているんだ?』と思った瞬間、レーザーの軌道が前方をなぎ払う様な軌道になった。

 

「ちょちょちょっ!!」

 

「クッ!!」

 

 突然の軌道変更に対応できず、コウタは狼狽えて右往左往したが、アリサが剣形態に変形しながら間に割って入る。レーザーが当たる直前でなんとか装甲の展開が間に合った。

 

「キャアッ!!」

 

「うわっ!!」

 

 しかし構えが完全でなかったために、アリサはレーザーを受け止め切れずにコウタを巻き込んで後ろに転んでしまう。そして転んだ後、突然アリサは動揺して顔を真っ赤に染める。

 

「ちょっ?!ど、何処触ってるんですか!?」

 

「へぶっ!!?!」

 

 倒れた拍子にコウタがアリサの内腿を触ってしまっつため、アリサが振り向き様に強烈なビンタをコウタに浴びせる。

 当然コウタは奇声をあげて首が限界を越えた領域にまで回され、頬には綺麗な紅葉が咲いた。

 

「何してる!!早く戦闘に復帰しろ!!」

 

 コウタとアリサのゴタゴタが目についたユウキが2人に戦闘に集中するよう伝えるながらウロヴォロス堕天種の上に飛び上がる。

 

「は、はい!!」

 

「了解!!」

 

 ユウキの声で、アリサは気持ちを切り替えて神機を銃形態に変形する。コウタも『わざとじゃないのになぁ』とビンタされた事に不満を抱きつつも戦闘に参加する。

 そしてユウキは両手の神機を逆手に持ち変え、そのまま2つの神機から真下に向かってトゲのある捕食口を展開する。

 プレデタースタイル『パニッシャー』を展開すると、超重量の捕食口により勢いよく落下してウロヴォロス堕天種の背骨を捕食して、結合崩壊させる。

 

「ソーマ!!コウタ!!」

 

 そしてユウキは飛び降りながら銃形態に変形して受け渡し弾をソーマとコウタに受け渡し弾を3発ずつ渡して、リンクバーストLv3に引き上げる。

 

「よっしゃぁ!!」

 

 コウタが右側から連射速度を上げてウロヴォロス堕天種に神属性の爆破弾を撃ち込み、アリサは左側から神属性の爆破弾を撃つ。しかしウロヴォロス堕天種の両肩には爆破弾は効果が薄いらしく、ウロヴォロス堕天種は気にした様子もなく姿勢を落として、空中に居るユウキへ追撃しようとする。

 

「おぉぉおあっ!!」

 

 ユウキが着地するまでの隙を作るため、ソーマが神機を振り上げて真正面からウロヴォロス堕天種に斬りかかる。

 

  『ヴォォォォオ?!』

 

 ソーマの一撃がウロヴォロス堕天種の頭に当たり、ウロヴォロス堕天種を怯ませる。その間にユウキが着地して体勢を整える。

 

  『ヴォォォォオ!!』

 

 しかしウロヴォロス堕天種は活性化して、すぐに身体を捻り反撃のに入る。

 

「全員跳べ!!」

 

 ユウキが叫んだ瞬間、ウロヴォロス堕天種が身体を回転させて、前触手を振り回す。それを全員がジャンプして躱す。

 ユウキとソーマは当然躱し、コウタとアリサも先の気の抜けるやり取りのお陰か、身体の固さは無くなっていて、動きのキレが良くなっていたため、容易に避ける事が出来た。

 さらにウロヴォロス堕天種は前触手を前に広げながら上体を倒して、目の前のソーマとコウタ、アリサを押し潰そうとする。コウタとアリサは横に跳び、ソーマは後ろに下がって躱す。

 その間にユウキは左の神機を鞘に納めて、ウロヴォロス堕天種の横からチャージ捕食を展開する。しかし、本来ならウロヴォロス種を相手にするときによく使う、ミズチを展開するつもりだったが、何故か展開されたのはアルダ・ノーヴァとの戦いで偶然発現した全体的に紫色に着色されて所々淡い紫色に発光している三股の捕食口だった。

 当然ユウキは驚いたが、気にしている余裕はないのでそのまま捕食する。しかしチャージ中に上体を起こしたウロヴォロス堕天種が体勢を変えて前触手で捕食口を抑えて捕食を妨害する。

 

「グッ!!く、クソッ!!」

 

 受け止められた事で相手を喰う事が出来ず、膠着状態になる。

 

「ユウ!!そのまま展開しておいて!!」

 

 コウタが銃口をウロヴォロス堕天種に向ける。

 

「いっけぇぇぇえ!!」

 

 コウタの咆哮と共に濃縮アラガミバレットLv3を発射する。細いレーザーがウロヴォロス堕天種の前触手の先をを貫通する。ウロヴォロス堕天種の力が弱まり、少しずつ捕食口がウロヴォロス堕天種を潰していく。そこにアリサが爆破弾を撃ち込み、ウロヴォロス堕天種の力を削いでいく。

 しかし最後の一押しが足りない。そんな中、ソーマがウロヴォロスの下でチャージクラッシュの準備をしていた。

 

「くたばれ!!」

 

 ただし構え方はいつもと違い、下から上に振り上げてウロヴォロスの胴を下から切る。

 遂に抵抗する力を失い、ウロヴォロス堕天種は大きく仰け反り捕食を許してしまう。仰け反った事で本来の狙った場所ではなく胴体の下を喰い千切った。

 さらにはもう一度チャージ捕食を展開する。しかしまたしても逆立ったトゲが生えた見たことの無い捕食口が展開された。

 何なのかは気になるが戦闘中である以上気にしている訳にもいかない。ソーマとコウタとアリサが怯んでいる間にウロヴォロス堕天種を袋叩きにする。その間にユウキは即座に捕食する。

 すると捕食口が再度展開され、捕食口から極太のレーザーを発射する。

 

「うわっ!!」

 

 手に入れたアラガミバレットをいきなり発射するとは思っていなかったので、せっかくの極太レーザーを明後日の方向に撃ってしまう。しかも突然の事だったのでユウキは体勢を崩してしまう。

 

「まずいぞ!!」

 

「ユウ!!」

 

「早く!!立って!!」

 

 ユウキが体勢を崩した隙にウロヴォロス堕天種は体勢を整えてユウキに向かって突進してきた。

 

「クッ!!」

 

 ユウキは左の神機を抜刀しつつ、右の神機を銃形態に変形して、銃口をウロヴォロス堕天種に突きつける。先程コウタが前触手にダメージを与えたので、そこを狙えば一瞬でも動きを止められる可能性があると考えての事だった。体勢を整えきる前に後ろに跳びつつも狙撃弾を撃つはずだった。

 

  『バァァアンッ!!』

 

 しかし爆音と共に発射されたのは狙撃弾とは似ても似つかない蒼い極太のレーザーだった。蒼い極太のレーザーを放った瞬間、ユウキは勢いよく吹き飛び、ウロヴォロス堕天種の胴から下を貫いた。

 

  『ダァァァアンッ!!』

 

 さらにウロヴォロス堕天種を貫いた場所の周囲を弾け飛んで、ウロヴォロス堕天種の下半身を粉々に吹き飛ばした。

 身体半分を失ったウロヴォロス堕天種は動く事さえ出来なくなった。対して自身でも予測してなかった強力な攻撃をした事に、ユウキを始め第一部隊全員が驚いていた。

 

「な、何だ…?これは?」

 

 ユウキは過剰な威力のレーザーを放った事に放心していた。

 

「か、貫通したと思ったらウロヴォロスが爆発した?!」

 

「と言うより、貫通したあと周辺を破壊していた様にも見えましたが…そ、そのバレットは何なんですか?」

 

 コウタのアリサがユウキの放ったバレットについて質問攻めにする。

 

「わ、分からない…ただの狙撃弾で気を反らすつもりだっただけ…なのに…」

 

  『ヴ、ヴォォォォ…』

 

「とにかくその話は後だ。ヤツがまだ生きてるならさっさとコアを回収するぞ。」

 

「あ、ああ。」

 

 あまりに突然の事だったのでわすれてしまっていたが、今はウロヴォロス堕天種との戦闘中なのだ。ウロヴォロス堕天種が動けなくなっている間にとどめを刺すようにソーマが言う。

 その声に従いユウキは立ち上がり、ソーマと共にウロヴォロス堕天種の元に向かうが、ユウキはそれをただ見ているだけでいつまで経っても剥き出しになったコアを捕食しようとはしなかった。

 

「何してるユウ?」

 

「…」

 

 ソーマの問いかけにも答えず、ユウキは何か苦虫を潰した様な顔になる。

 

「…チッ!!」

 

  『クジュッ!!』

 

「ぁ…」

 

 結局ソーマがウロヴォロス堕天種のコアを捕食した事で、ウロヴォロス堕天種は霧散して消滅した。それを見たユウキは小さく声を漏らした。

 

「ウロヴォロス堕天種のコアは回収した。任務を終了する。回収班を寄越してくれ。」

 

 ソーマは極東支部に連絡を入れると、ユウキを置いてそのまま踵を返してコウタとアリサの元に戻って行ったが、ユウキはウロヴォロス堕天種のいた場所を見つめていた。

 

(蛇型を狩った時の違和感…気のせいじゃなかったか。)

 

 帰る途中で、ソーマは先の戦闘の違和感が気のせいではないと確信を持った。そして、何故そんな違和感を持ったのかも、ユウキが何を考えているのかもこの時ようやく分かった。

 

(何を迷ってやがる…ユウ?)

 

 ユウキがアラガミにとどめを刺すことを躊躇っている。その事に気付いたソーマは、何故そんな風に迷うのか理解出来なかった。

 

To be continued




後書き
 今回は超弩級アラガミの一体、ウロヴォロス堕天種との戦闘回でした。その間のリンドウさんとサクヤさんの、活躍も少し書けました。
 気付いた人も居るかもしませんが、DLCで追加されたプレデタースタイルはユウキが独自に進化させたブレイクアーツの一種です。さらには破砕レーザーを撃ったりと、戦いの中で進化していきはするものの、俺tueeeeeなやりたい放題な感じになってきて面白いと感じてもらえるのかが心配な今日この頃…
 ※前回の話にナーガのイメージ絵と名前を加えて投稿しました。

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