GOD EATER ~The Broker~   作:魔狼の盾

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ようやくソーマが絡み始めた…ここまで長かった…


mission25 化物

 就任パーティー後に食器と破壊された調理器具を片付け、アリサを部屋に送った。その時、腹の調子が少し良くなったコウタが、自力で部屋に戻ったのを見かけた。その後、医務室で胃薬をもらってコウタに渡しておいた。

 そして翌日の朝になり、任務に行くために着替えようと、制服を積めた段ボールを漁りに行く。その時、横に置いておいた紙袋が目に付いた。

 

(そう言えばパーティーで忘れてたな…中身はなんだろう?)

 

 ツバキからの昇進祝いと言うことで渡された紙袋の中身を見る。そこにはフェンリルのエンブレムが背中に入った黒いシックなスーツジャケットと左の太股部分にベルトが付いた黒いスラックスがそれぞれ3着入っていた。さらには足首の上辺りからベルトが3本並んで付いている黒いブーツも3足入っていた。隊長への昇進祝いと言うことは、ユウキ専用の隊長服のようなものだろう。

 

(ありがとうございます…ツバキさん。)

 

 ツバキに感謝しつつ、渡された隊長服に袖を通す。どれも細めにデザインされており、実際に少し体を動かしてみたが、動きにくさなどは特に感じなかった。

 どちらかと言うとユウキ自身細身であるため、太すぎず細すぎない、体本来のラインを際立たせるデザインとなっていた。

 そんな真新しい制服を纏ってエントランスに向かった。

 

 -エントランス-

 

 何か急を要する任務が無いか確認するため、ユウキはヒバリの元に向かう。

 

「おはようございます。あ、服が新しくなってますね!」

 

「はい!ツバキさんから昇進祝いに貰ったんです!」

 

 そう言うとユウキは両腕を広げて、『似合いますか?』とヒバリに聞いてみた。

 女顔と言うこともあり、その仕草が女子にしか見えなかったヒバリは、ユウキにバレないように『ふふッ』と微笑み、ユウキを見た感想を述べる。

 

「はい。よく似合ってますよ。ちょっと落ち着いて大人な感じに見えますね。」

 

「ありがとうございます。」

 

 そんな話をしていると、館内放送が極東支部内に流れる。

 

『第一部隊各員に通達します。エントランスに集合してください。繰り返します。第一部隊各員はエントランスに集合してください。』

 

 その放送を聞いたユウキは出撃ゲートの前に向かい、他のメンバーが揃うのを待っていた。

 すると、第一部隊よりも先にカノンがエレベーターから降りて来た。

 

「おはようございます。カノンさん。」

 

「おはようございます。あ!神裂さんが着てる服って、もしかして新しい隊長服ですか?」

 

「そうですよ。昇進祝いで貰ったんです。」

 

 そう言うと、ヒバリの時と同じように両腕を軽く広げた。

 

「なんだか雰囲気が変わりましたね。大人っぽいです。」

 

 そうやって話をしているうちに、タツミとブレンダンがエレベーターから降りて来た。

 

「よう、おはよーさん!これからはお互い隊長同士だな。最初のうちは隊長職ってなんぞや?ってなると思うから、分からない事があったら聞いてくれよな!」

 

「ありがとうございます。その時は遠慮なく質問させて貰いますね!」

 

「これから大変だろうが、俺に出来ることがあれば力になろう。遠慮なく使ってくれ。」

 

「はい!頼りにしています!」

 

 それだけ言うと、タツミはブレンダンとカノンを連れて、外部居住区周辺の警戒任務に出だ。

 その後、5分も経たずに再びエレベーターが降りてきて、その中からサクヤとアリサが現れた。

 

「あら、ユウキ。おはよう。」

 

「おはようございます。」

 

 サクヤとアリサがユウキに気付いて、それぞれ挨拶をする。そして、ユウキもその挨拶に対して返事をする。

 しかし、まだ第一部隊のメンバーは揃っていない。その間に世間話に興じる事にした。

 

「その服…ひょっとして隊長用の?」

 

「はい。ツバキさんからです。」

 

「へぇ…よく似合ってるわ。」

 

 サクヤが素直な感想を述べ、その後『ね?アリサ?』とアリサにも話を振る。

 

「そうですね。スーツタイプの制服なので、大人っぽく見えますね。」

 

 そんな話をしているとツバキがエレベーターから降りてきた。

 

「おはよう。」

 

 第一部隊が『おはようございます。』と返事をする。その後すぐに、ユウキが隊長服の礼を言う。

 

「ツバキさん、隊長服ありがとうございます。結構好評でした!」

 

「そうか。それはよかった。…やはり私の見立て通りだったな。最初は青にしようかと思ったが、お前には黒の方がしっくりくる。」

 

 一度話を区切ると、思い出したようにツバキが話を続ける。

 

「ああそれと…その服は防壁の技術を応用して、偏食因子を織り込んである。既存のアラガミであれば殴る蹴るをしても捕食されることはないだろう。その服を作ったリッカにも感謝しておくんだな。」

 

「は、はい。」

 

 何やらとんでもないものを貰った気がして、ユウキは今さらになって本当にもらってよかったのか心配になった。

 だが、そんな心配を余所に、ツバキは表情を引き締めて本題に入る…が…

 

「さて、あとは…あとはコウタだけか。」

 

 ツバキはやや呆れながらため息を付いた。その後、ユウキが呼びに行こうとエレベーターに向かって移動していると、不意にエレベーターの扉が開いた。

 

「だあぁぁぁすんません!!寝坊しましたぁ!!」

 

 中からコウタが慌てながら出てきた。衣服もボタンが閉まりきっていなかったり、愛用のニット帽が崩れていたりと相当慌てていたらしい。ちなみに、ユウキは集まりに戻った時に、コウタの社会の窓が全開になっていたのでこっそり教えてあげた。

 

「さて、揃ったな。では今回の任務の内容を説明するぞ。」

 

「ソーマさんは?」

 

 放送では第一部隊に召集がかかっていたはず…だがソーマが来ないまま話を進めたのでは不都合があるのではないかとユウキは懸念していた。

 

「ソーマは既に別任務で出ている。今回の任務の事は既に通信で伝えてある。」

 

 どうやら早くに任務に出たようだ。ソーマにとっては任務が追加される事になるが、その辺りも任務内容を伝えると同時に話をつけていたようだ。

 

「廃寺付近に中型種が2体…シユウとグボロ・グボロが現れた。珍しく群れを形成しているためか、現在作戦領域付近で足踏みをしている状態だ。比較的余裕はあるが、ここまでの進行ルートから恐らく居住区に向かうだろう。最低限、中型2体は排除するように。」

 

「「「「了解。」」」」

 

 全員の返事を聞くとツバキはアリサの方を向いて別の指示を出す。

 

「アリサは偵察班と動いてもらう。討伐任務終了後に周辺の警戒任務だ。」

 

「了解しました。」

 

「よし。では各員任務に迎え。」

 

 そして各々任務に向けて準備を始めた。

 

 -神機保管庫-

 

 いつものように神機の受け取りのため保管庫に向かうと、珍しくリッカが作業場に居なかった。

 隊長服の礼を言おうと思ったが、居ないのでは仕方がない。神機のロックを解除して持って行こうとすると、保管庫に隣接する倉庫の扉が開く音がした。

 

「あ!神裂くん。遅くなったけどリーダー就任おめでとう!」

 

 ユウキが後ろを振り向くと、工具箱を持ったリッカが居た。出撃前に隊長服の礼を言わなければ、と思っていたので今のうちに礼を言うことにした。

 

「ありがとう。この隊長服、リッカが作ってくれたんだって?」

 

「うん。ツバキさん直々の依頼でね。どう?動きにくくない?」

 

「大丈夫!軽く動いてみたけど、違和感とかは無かったよ。」

 

 『そう言えば、なんで俺の服のサイズ知ってるんだろう?』と思ったがリッカが楽しそうに次の話を始めたので、その疑問を頭の片隅に追いやった。

 

「そっか、よかった。私も新しい事に挑戦できていい経験になったよ。」

 

「っと…そろそろ行かなきゃ。隊長服、ありがとう。」

 

「どういたしまして。あ!最後にひとつ言っとくことがあったんだ!」

 

 神機を受け取り、保管庫を出るところで再びリッカに呼び止められる。

 

「プレデタースタイル『太刀牙』と『鮫牙』の開放許可が出たって報告をね。ただ、許可が出ただけで、まだ開放はできていないから使うことはできないからね。帰ってきたら説明するよ。」

 

「わかった。じゃあ、行ってきます。」

 

「うん。いってらっしゃい。」

 

 どうやら許可は出たが開放はまだされていないとのことだ。詳細な使い方を聞いてないので、恐らくは間違って使おうとはしないだろう。

 そんな話をして、ユウキはリッカに見送られて出撃した。

 

 -鎮魂の廃寺-

 

 現在、廃寺の待機ポイントにて、ユウキ、サクヤ、コウタが別行動中のソーマが到着するのを待っている。その間に、ユウキはふと思い出したようにコウタに話しかける。

 

「あ、作戦区域に来てから聞くのもなんだけど…腹は大丈夫?」

 

「おう!薬も飲んだし大丈夫!!」

 

 先日のパーティーでアリサの料理を口にしてから、体調を崩したコウタだったが、事情を話してルミコから貰った胃薬が効いたようだ。

 たが、昨日のパーティーの内容を知らないサクヤは顔を引きつらせながら何があったのか聞いてみた。

 

「…薬を飲まなきゃいけないようなパーティーって…貴方達何してたの…?」

 

「ちょっとアリサが飯テロ(物理)を起こして…」

 

 ユウキの返事を聞き、サクヤは『ああ、そう言うことか…』と思いながら、何があったか察して生暖かい目でユウキとコウタを見たた。

 すると、今度はコウタが思い出したように話をする。

 

「あ、飯テロで思い出したけど、最近の配給品…明らかに質が落ちてるよね?贅沢言ってらんないのは分かるけどさ…もうちょいどうにかなんないかなぁ…?」

 

(なんで飯テロでその話に行きつくのかしら…?)

 

 話の繋がりに疑問には思ったが、配給の質が落ちたせいで味も悪くなった事が、アリサの料理が不味かった事と繋がったのだろうか?とサクヤは考えていた。

 

「ほら、プリンとかもろに体に悪そうな感じじゃん?砂糖が溶けきってないのかわかんないけどさ、やたらでっかい塊が出てきたりするんだよね。」

 

「そう?あの砂糖の塊の甘さ結構好きけど…」

 

「…ユウキ、貴方いつか糖尿病になるわよ?」

 

 どうやらユウキは甘党らしい。砂糖の塊の味を好きだといっている辺り、かなりのものだろう。だが、砂糖の塊を食べると血糖値が上がり、糖尿病になる可能性が高まる。サクヤはその心配をしていた。

 

「そうだ!昨日は人があまり集まらなかったし、リーダー就任祝い第二弾やらない?サクヤさんしばらく予定ある?」

 

「ええ、いつでも良いわ。」

 

 期待通りの返事が来て、コウタはガッツポーズをした。すると、他の任務で別行動をしていたソーマが待機ポイントに合流した。

 ソーマが来たことに気付いたコウタがすぐに話しかける。

 

「あ、ソーマ!今度ユウキのリーダー就任祝い第二弾に皆で飯食わない?空いてる時間ある?」

 

「…断る。俺には関係ない…」

 

 だがソーマの返事は素っ気ないものだった。しかし、ソーマはこう言った集まりには来ないイメージなので、予想通りと言えば予想通りではあるが…しかし、それでもコウタはソーマを誘う。

 

「え~…そう言わずにさぁ…」

 

「馴れ合いならお友達同士で勝手にやれ…」

 

「ソーマ。言い過ぎよ。」

 

 サクヤは辛辣な言葉を言ったソーマを嗜める。だが、ソーマは『ふん…』と鼻を鳴らし、出撃命令が出る前に待機ポイントから飛び降りる。

 

「ちょっと強いからってエリート気取りかよ!!だからお前はボッチなんだよバーカ!!」

 

「コウタ…抑えて…」

 

 ユウキが宥める事でコウタも渋々落ち着いた様子を見せる。だが、それでも怒りは収まらないのか、ソーマに対して陰口を言う。

 

「ん…でもなんだよあいつ!前もそうだったけど、断るにしてももうちょい言葉を選んでほしいっての!」

 

 ユウキの端末から任務開始を知らせる電子音が鳴る。

 

「コウタ、任務開始時刻だ。気持ちを切り替えて。」

 

 そう言うと、ユウキの雰囲気が変わり険しい表情になって、そのまま今回の任務内容を確認する。

 

「最終確認です。今回の任務はグボロとシユウの討伐…余裕があれば小型種も殲滅します。よし…任務開始!」

 

 そしてユウキ、サクヤ、コウタは待機ポイントから飛び降りる。そして廃寺内を左に回り探索する。

 突き当たりの階段を登ろうとすると、小型種のオウガテイルが居たので、壁に隠れて一旦待機する。

 だが普通のオウガテイルは白いはず。そこに居たオウガテイルは暗く、濃い青色の体をしていた。

 

「サクヤさん。あの青いオウガテイルって…」

 

「あれは『堕天種』ね。」

 

「堕天種?」

 

 ユウキの質問に対して、サクヤは『堕天種』という初めて聞く単語で返す。この聞き慣れない言葉を聞いてコウタが聞き返す。

 

「ええ。アラガミ生物学上は同じアラガミだけど、生息地の環境や別方向に進化したものね。あのオウガテイルは寒冷地に適応しているから、氷属性の攻撃をしてくるわ。」

 

「あ!もしかして炎属性が弱点だったり?」

 

「そうよ。炎属性のバレットを装備しておくといいわ。」

 

 どうやら堕天種というのは、アラガミが発生した環境に適応して長所、短所が最初に発見された個体と変わった個体の事らしい。

 

(そのあたりの勉強もしていかないとな…)

 

 リーダーになった以上、基礎的な知識である堕天種の事も知らないと言うのはあまりに情け無さすぎる。

 そんな事を考えていると、『ザク…ザク…』と足で雪を踏み潰している音が聞こえてくる。

 

(!!…居る!…計3体か?)

 

 聴覚でオウガテイルの位置を探る。だが、聴覚だけではザイゴートのような浮遊しているアラガミは察知できない。そこで、サクヤがユウキとコウタの背後を守り、ユウキとコウタでオウガテイルを排除する作戦をサクヤとコウタに伝えて作戦を開始する。

 まずコウタが階段から飛び出し、スタングレネードを準備して、その後すぐにユウキがチャージ捕食『ミズチ』を展開できるように準備する。

 しかし、コウタがスタングレネードを破裂させる前に、オウガテイル堕天種が尻尾を振り、針を飛ばしてくる。

 

「うわっ!!」

 

「ちっ!!」

 

 反撃の早さに驚きはしたが、ユウキもコウタも危なげなく躱す。標的を失った針は地面に刺さる。

 

(なにっ!!)

 

 針が刺さった場所を見ると、凍りついていた。これが寒冷地に適応したオウガテイルの特徴なのだろう。

 そんな事を考えていると、コウタがスタングレネードを破裂させる。オウガテイルの動きが止まり、その隙にユウキがミズチを展開する。だが、その後ろにはグレネードの爆破音を聞き付けたザイゴートがいた。

 

「サクヤさん!」

 

「任せて!」

 

 サクヤの神機から放たれたレーザーがザイゴートの特徴的な目を貫き、そのままコアを破壊した。後ろの安全が確保された事で、気兼ねなくミズチを捕食体勢に移行する。

 

「喰い尽くせ!!」

 

 巨大な捕食口のミズチが3体のオウガテイル堕天種を纏めて喰い殺した。堕天種と言っても、もう大型種と渡り合えるようになったユウキやコウタにとって、小型種など敵ではなかったのだ。

 小型種を一掃した後、ソーマを探しに本殿へ向かう。途中の階段を登った辺りで戦闘音が聞こえてきた。

 本殿前の広場でソーマがグボロ・グボロと戦っていた。既にグボロ・グボロはボロボロで、虫の息となっていた。

 

  『グオオォォオ!!』

 

 さっきまで居なかったシユウがソーマの背後を取る。

 

「ソーマさん!」

 

 ユウキがシユウに向かって一気に走り、シユウを蹴り飛ばす。ソーマを引き裂こうと翼手を広げていたシユウは不意を突かれて盛大に吹っ飛んだ。

 その隙にソーマがグボロ・グボロに止めの一撃を入れて叩き潰す。その間にユウキがシユウの右翼手を一瞬のうちに切り落とす。その痛みでシユウの動きが一瞬止まる。

 

「くたばれ!」

 

 いつの間にかシユウの眼前に来ていたソーマがシユウを上下に切り分けた。

 

「ぜああぁ!!」

 

 切り分けた上半身がユウキに向かって飛んでくる。その上半身を咆哮と共にコアごと切り裂いた。

 その後、周囲の警戒のため各自が作戦領域内を巡回した。集合の時間になって、ユウキとコウタとサクヤは集まったが、ソーマがいつまで経っても戻って来なかった。

 

「遅いね…ソーマさん…」

 

「そうね。ソーマがやられる何て事はないだろうけど…」

 

 ソーマの実力は全員良く知っている。向かってくるアラガミを1撃、2撃で倒せるほどの強さ…それはついさっきも見たので、ソーマが倒されたとは考えにくい。

 

「俺とコウタで探しにいきます。サクヤさんは回収班が来たときの状況説明をお願いします。」

 

「わかったわ。」

 

 サクヤが待機を了承すると、ユウキとコウタは待機ポイントから飛び降りてソーマを探しに行った。

 その頃、ソーマは何かの気配を感じて本殿に入る。

 

「…誰だ?姿を見せろ!」

 

 辺りを見回すが、気配の主と思われる者は見当たらない。

 

「居るのは分かってるんだ!!」

 

 以前街で感じた気配と同じものをより強く感じる。少なくとも近くにはいるはずだ。そう考えてソーマはもう一度周囲の気配を探る。

 すると、後ろから気配か近づいてくる。後ろを取られたと思い、即反転して横凪ぎに神機を振る。

 

「っ!!」

 

  『ギィン!!』

 

 ユウキとコウタ目掛けて攻撃されたが、ユウキが咄嗟に前に出て金属音を鳴らしながら刃の部分で受け止める。一瞬でも力を抜けばそのまま引き裂かれそうな程の力で攻撃されたので、ユウキは内心物凄く焦っていた。

 

「うわっ!!待て!!俺だって!!!!」

 

 ユウキが攻撃を受け止めてから、やや遅れて反応したコウタは、驚きのあまり腰が引けながらも神機を前に出してガード(?)していた。

 

「チッ…何しに来た?」

 

 ソーマは神機を降ろし、いかにも不機嫌な様子で用件を聞く。

 

「何しに来たじゃないよ!集合時間になっても来ないから探しに来たんだよ!」

 

「知ったことか。俺は俺でやらせてもらう。」

 

 ここだけ聞けばただ気に入らないから反発しているだけのようにも見える。しかし、この発言はユウキをリーダーとして、共に戦える人間だと認めていない、あるいは今の第一部隊では共に戦えるとは思えないため反発しているとも捉えられる。

 だが、ユウキはその可能性に行きつく事ができずに、そのままの意味で捉えて反論する。

 

「今は部隊で動いてるんだから我が儘言わないで下さい。それに、俺たちは同じ部隊の仲間でしょう?」

 

「ふん…少し小突かれたらくたばっちまうような…おちおち背中も預けられない仲間なんざ必要ない。」

 

 ソーマの刺しかない発言を聞いてコウタも我慢の限界が来たのか、声を荒げ喧嘩腰な口調になる。

 

「ああそうかよ!確かにあんたは強いよ!!『特別』なヤツだよ!!!お高く止まりやがって…もう勝手にしろ!!俺は帰るからな!!」

 

「コウタ!!」

 

 ユウキの制止も聞かずにコウタは待機ポイントに帰る。その結果、ソーマとユウキがその場に取り残される事になった。

 

「ソーマさん…最後のはi」

 

 『言い過ぎ』と言うつもりだったが、ソーマの意味深な言葉で遮られた。

 

「お前も…俺みたいな『化け物』に関わるな…」

 

「…え?」

 

 それだけ言うとソーマは待機ポイントに帰っていた。

 

(化け物って…何の話だ?)

 

 1人取り残されたユウキはソーマの言葉の意味を考えたが、結局理解できなかった。だが、自らを『化け物』と言った時のソーマの寂しいような、悲しそうな表情がずっと頭から離れなかった。 

 そしてユウキは、今まで白い影がそのやり取りを見ていた事に気付かずに帰投した。

 

To be continued




はい。と言うわけで(どう言うわけだ?)ようやくソーマが話に加わり始めました。ここまで長かった…このあとは原作でも彼が中心になって進んで行くので、仲間との衝突は避けられないでしょう。そのあたりの話を1話か2話程入れたいですね。
 それはそうと、ソーマが前線に出るとイージーモードになってしまうので戦闘が薄くなる…もういっそ大量のアラガミを相手に無双するスタイルにしようか悩みます…
 隊長服のイメージは、リーパースーツとクリムゾンサタンです。背中にフェンリルのエンブレムが入っている以外は大体同じです。
 リアルではGWに入ってそれぞれ楽しんでいるかと思いますが、体を壊さないように気を付けてくださいね。…リア充になりたいorz

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