-独房-
ユウキが独房に拘束されて1週間が経った。ツバキは独房の鍵を開ける為に牢の前まで来た。
「これは…」
しかしその時の独房内の様子を見て、ツバキ驚きを隠せなかった。
「おい、ユウキ…これは一体何だ?!」
「…」
「答えろ!!」
ツバキが狼狽えながらも語気が荒くなるのも当然だろう。牢の中にはベッドや洗面台のような設備があった。それらが無くなり、まっさらで綺麗になった独房内でユウキが床に座っている状態だった。
「それより、早く開けてくださいよ。罰は済んだはずですが?」
「…開けたらこの状況を説明しろ。」
「分かりました。」
ユウキはこの状況を説明をする気は無いようだ。床に座ったままツバキの方を向いて早く出せと要求する。ツバキは独房から出す変わりにこの状況について説明する事を要求すると、ユウキは思いの外簡単に承諾した。そしてツバキが牢の鍵を開けると、ユウキは立ち上がり牢を出ていく。
「このまっさらな独房はなんだ?備品や設備は何処へいった?」
「腹が減って仕方なかったのでね、喰いました。」
ツバキが設備の行方を問うと、あっさりと喰ったと答える。
「なら言えば良かったではないか。我々もお前を餓死させる気はなかったのだぞ。」
「…それじゃあ罰にはならないでしょう?そんな事より、任務に行きたいので失礼させてもらいます。」
ツバキが少し呆れた様子でユウキの行動を咎めるが、ユウキはそれでは罰にならないと開き直る。ユウキはそのまま歩いて出ていった。
(アラガミさえ喰う男、こんなものを見せられたら信じるしかない…かもな。)
陶器や金属をも喰い、現状の独房の有り様を作り上げた事を考えても、ユウキがアラガミをも喰う事も有り得るのかも知れない。そんな事を考えながらエレベーターに乗って独房区画を出ていくユウキを見ていた。
-ユウキの部屋-
独房を出たユウキは真っ先に自室に向かう。すると自室の前にはアリサが扉に背中を預けて待っていた。
「お、お帰りなさい。」
「…」
「あっ?!ちょっ!!待ってください!!」
アリサがユウキに話しかけるが、ユウキは返事をせずにそのまま部屋の扉を 開けて自室に入る。しかし無視されるとは思っていなかったアリサは、ユウキと話がしたくて慌ててユウキと一緒に部屋に入った。
「…何の用だ?」
ユウキは部屋に入ると流し台の下からごみ袋と大量の大きな紙を取り出しながら要件を尋ねる。
「用事がないと来ちゃいけませんか?」
「…ああ。邪魔だ。」
「…ちょっと…話がしたい…です。」
記憶が戻り、以前と比べてやたらと冷たくなったユウキ。しかしそれはアラガミ化の件でユウキを人として扱う事さえしなかった人が大勢一緒にいたせいだと思ったアリサは、少し茶目っ気を出しながらユウキの元に来た。
しかし、ユウキが自身に向けた返事はそういった人達と同じ様な反応で、『邪魔』の一言で会うことさえ拒否した。ここまで冷たくあしらわれるとは思っておらず、アリサはかなり傷付いていた。
「えっ?!ちょっ?!まっ!!」
しかしユウキはアリサが傷付いた事を気にする様子もなく、床へ広範囲に紙を敷き、流し台にごみ袋を拡げる。そして作業作業が終わると次の瞬間にアリサは赤面する。
「ととと突然服を脱いでどうしたんですか?!」
アリサが居るにも関わらずユウキは上半身裸になったため、アリサは真っ赤になって両手で顔を隠した。しかし以前よりもシルエットが細くなったが、更に増大して筋肉がハッキリと隆起した身体を指の隙間からしっかりと覗いていた。
(ななな何で突然脱ぎ出すんですか?!も、もしかして『そういう事』をしちゃうんですか?!どどどどうしましょう!!私も脱いだ方が…でもでも初めてだし恥ずかしいし…どうしたらららら!!)
アリサが指の隙間からユウキの上半身を見ながら年相応にスケベな事を考えていると、ユウキが引き出しから『ある物』を取り出した。
「…髪を切るだけだ。」
単純に髪を切る為に服を脱いだだけだったようだ。ホッとした様ながっかりした様な不思議な感情を抱きつつ、アリサはユウキが取り出した物を見るとアリサはさっきとは違う意味で固まった。
「…ユウ、手に持っているそれは?」
「バリカンだが?」
髪を切ると言ってバリカンを持つ。それが意味する事は1つしかない。
「な、何故そんなものを…?」
「坊主にすれば少しは男に見えるだろう。」
察しはついていたが、ユウキの答えが予想通りだと分かるとアリサは何やら圧力のある笑顔を浮かべる。
「ダメです。」
「お前には関係のない事だろ。」
ユウキが坊主頭にする事を断固反対するアリサ。対して自分の髪型も自分で決めさせない気かとユウキは苛立ちを覚える。
「ダ・メ・で・す!!」
「…何故お前にそんな事を決められなければならんのだ?」
アリサもまた苛立つユウキにお構い無しに坊主頭にするのを阻止しようとするが、ユウキは何故反対するのか分からずに怪訝な顔をするしかなかった。
「絶対ダメです!!」
「…」
別にアリサを丸刈りにしようとしている訳でもないのに何故こうも必死になって反対するのか。理由を少しは考えたが結局分からず、面倒くさくなったユウキはため息をつきながらバリカンを机に置いた。
「前と同じような感じにする。それなら文句無いだろう。」
「まあ、それなら…」
以前の髪型にすると言うとアリサほ大人しくなった。そしてユウキは引き出しから普通のハサミとすきバサミを取り出して鏡の前に立つ。
「あ、何なら私が切りましょうか?」
「…自分でやる。髪を抜いて持っていかれるかも知れないからな。居るのなら部屋の隅へ行け。」
そう言うとユウキは目の前に鏡を立ててハサミでざっくりと長い後ろ髪を切っていく。そしてトップ、横、前髪と長すぎる部分を切る。黙ったまま髪を切る中、沈黙に耐えかねたアリサが口を開く。
「髪…真っ白になっちゃいましたね。」
「…」
ユウキがハサミを縦に入れて毛先を整える中、アリサは髪が白くなった事を話題にしたが、ユウキは返事をする事なく毛先を整え続ける。
「前の瞳や髪の色、綺麗な茶色で好きだったんでけど。あ、いや!!今の白い髪や赤い瞳が嫌いって言いたいのではないんですよ?!それに好きと言っても瞳や髪の色の事で!!あの、えっと…や、やだ何言ってるんでしょうか…」
「別に任務には支障はない。髪の色などどうでも良い事だ。いや…」
アリサは変わる前も後もユウキの目や髪が好きだと言ったが、気恥ずかしさから誤魔化した。会話がめちゃくちゃになりつつもアリサ一人で盛り上がるが、ユウキは冷静に髪や目の色など興味は無いと返した。
「偵察や隠密には目立ってしまって向かないな。その時はフードでも被るか…」
しかし頭が白いと偵察任務の様な隠密行動が必要な状況で暗闇に紛れる事が出来ずに目立ってしまう。そんな時は髪を隠せばいいやと考えながらすきバサミで髪の量を減らしつつ毛先の調整をする。
そして髪を切り終わると後ろ髪が跳ねていたため両手で押さえた後、その手を離す。
「…む?」
「ユウ?どうかしましたか?」
「…アラガミ化した影響か?後ろが跳ねる…まあいいか。」
手を離した後も、アラガミの時の様に後ろがボリュームのある跳ね方をしていたが特に気にしていない様子だった。
そして髪を切り終わって、身体に着いた髪を払い落として床に敷いた髪を丸め、流し台のごみ袋に捨てる。しかし次の瞬間にユウキがとった行動にアリサは驚いた。
「な、何をっ?!」
「…燃やしているだけだ。」
ユウキは流し台のごみ袋にライターで火を着けた。アリサが信じられないといった様子で見ていたが、火を放った当の本人は何かおかしな事でもしたかと言いたげにあっけからんと答えた。
「室内で燃やすって…それに髪を燃やした匂いが…!!」
「室内だから流し台で燃やしてる。それに換気扇は回ってる。今は臭かろうがそのうち匂いはなくなる。だいたい、匂いが気になるならお前が出ていけばいいだけだろう。」
室内でモノを燃やす非常識さにも驚いたが、アリサは髪を燃やした時の不快な匂いを嗅がないように手で口と鼻を塞ぐ。そしてそのうち匂いに耐えきれなくなったアリサはしばらくすると部屋から出ていった。
そしてユウキは燃え移らない様に見張るついでに新しく用意した細めの黒いスラックスに白いワイシャツ、黒のネクタイとカーディガンを着ながら火の番をしていた。
-エントランス-
ユウキがエレベーターに乗った頃、エントランスには少し人が集まり始めていた。そんな中、支部内を彷徨いていた神機使いが辺りを見渡しながら人を探していた。
「あれ…?なあ、ハルオミさん知らないか?」
「ハルオミさんなら『探してる奴が見つかった』って言って3日前に突然中東辺りの支部に移ったぜ。あの人、しょっちゅう色んな所へ転属してるみた…おい、アイツ…」
元からエントランスにいた神機使いにハルオミの所在を聞いてみると、どうやら中央アジア支部に転属となったらしい。そんな話をしている中、エレベーターが開いてユウキが現れた。
「神裂…」
「行こうぜ。今はアイツとは関わりたくない。」
ユウキを認識するとさっきまで話していた神機使いはそそくさとその場を去って行った。
(真壁ハルオミ…アイツ自身が情報を持っていても問題はないが…誰かが俺の情報を狙いに来た時は中央アジア支部を消すか…)
ユウキが特異点持ちだと言う話をした後なので、ハルオミが周りに触れ回る可能性がある。しかしそうなったら接触してきた者と中央アジア支部の人間を皆殺しにし、支部そのものを消滅させればそれ以上は情報は拡散しないはずだ。
万が一、本部にも情報が渡っていたとしたら、その時はフェンリル本部と全ての支部を滅ばせばいいと考えながら、ミッションを受ける為にカウンターに向かった。
「あ…こ、こんにちは。髪切ったんですね。似合ってますよ。それはそうと、もう自由に出歩いても良いんですか?」
「…それより、現状で禁忌種がらみの任務はあるか?」
ヒバリがユウキに気が付くと話しかけるが、先日のユウキのあまりにも別人じみた変貌ぶりもあってよそよそしい態度となっていた。そんな中、早速切った髪の事やもう出歩いても良いのかを聞いてみるが、ユウキは非常に冷めた雰囲気で禁忌種の任務は無いか聞いてみる。
「え、あっ!!あぁ、そうですね…リストアップしてみます…」
ユウキの様子に面食らいつつも、ヒバリは要望通りに禁忌種討伐の任務の一覧を用意する。
「こんなところですね。どの任務に…」
「旧寺院一帯の任務…これら全てだ。」
「そ、そんな事許可できるはずがありません!!受けられる任務は1つです!!」
ヒバリの提示した任務のリストを見ると、旧寺院付近に禁忌種が集まっている様だった。ユウキは迷わずに全ての任務を纏めて受けると言うが、当然ヒバリは慌てて止める。
「…ならいい。これだけ受けて残りの任務は『偶発的』な戦闘として処理してもらう。」
「な、何言ってるんですか?!待ってください!!」
ユウキは悪びれる様子も旧寺院でのディアウス・ピターとプリティヴィ・マータの討伐任務を受ける事を伝えつつ、別の任務は不正に受けると言って出ていく。ヒバリは理解不能な理屈で勝手に任務を受けるユウキを止めようとカウンターから出て追いかけるが、その頃にはユウキはエントランスから居なくなっていた。
-神機保管庫-
任務を強引に受けたユウキが神機保管庫にやって来ると、丁度リッカがアリサの神機を調整をしている所だった。
「あ、ユウ!!これから任務?」
「…」
劇的に変わってしまったユウキにも、今までと変わらぬ様子で接するリッカだったが、それを無視して両手に2つの神機を掴むとそのまま出撃しようとする。
「ちょ、ちょっと!!無視しないでよ!!」
いつもの様に話しかけたリッカだったが、流石に無視されたのは頭に来たのか、怒った様子でユウキを引き留める。
「…これからは俺の神機には触るな。」
「何言ってるの?!整備班がやらないと誰がやるのさ?!」
「俺がやる。神機から情報が漏れるかもしれないからな。」
止められたユウキは唐突に神機に触るなと言い放つ。当然仕事をするなと言われたリッカは納得いかないとユウキに掴みかかりながら詰め寄る。
しかし、ユウキは意に介す様子もなく『自分で調整するから問題ない』と言い放って、掴みかかったリッカの手を軽い動作で振り払う。
「本気で私達の事も疑ってるの?!仲間じゃない!!」
「…知った事か…」
自分だけじゃない、仲間の事も疑っている。何故そんな風に仲間さえも疑うのか分からず、リッカは感情に任せて怒りを見せる。しかしユウキは『仲間だから何だ』と冷たく突き放してその場を去っていった。
-鎮魂の廃寺-
神機を受け取ったユウキは旧寺院を歩いていた。階段を登り、本殿へと向かう途中、最上階で2体のアラガミの気配を感じる。
(居るな…ディアウス・ピターとプリティヴィ・マータ…)
階段の影から標的の存在を感じとると、素早く飛び出して反対側の建物の影に隠れる。
(取り敢えずはコイツらでリハビリを…)
『『ガルゥァアアア!!』』
人の姿では久しぶりに全力の戦闘になる。慣らし運転程度にはなるだろうと思いながら物影に隠れたところで敵2体に見つかり、心の内で舌打ちをする。
(見つかったか…やはり髪や肌が白いと目立つからか…?いや、白い服を着ていれば嫌でも目立つか…)
ディアウス・ピターとプリティヴィ・マータがユウキの居る所に向かって走ってきた。ユウキは物影から飛び出して一気にアラガミの間を走り抜ける。その間に、両手で左側と後ろの腰に刺した神機を右手で順手、左で逆手で引き抜き、抜刀の要領で左側で走ってくるプリティヴィ・マータの左前足を両神機で軽く連続で斬り、そのまま回転してディアウス・ピターの右後ろ足も軽く斬りつける。しかしすれ違い様に敵を見たユウキは違和感を覚えた。
(コイツ…ディアウス・ピターじゃない?よく似ているが…近縁種か?)
ディアウス・ピターと思われた禁忌種はよく見ると細部に違いが見られた。だがそんな事を気にする必要はない。ユウキは追撃しようとしたが、ディアウス・ピター似の黒いアラガミは後ろに跳びながら反転し、右の前足でユウキを切り裂く。
対してユウキは後ろに跳んで躱す。その間にプリティヴィ・マータが向きを変え、ユウキの足元から尖った氷塊を出現させるが、それを右に跳んで避ける。続いて黒いアラガミが連続で雷球を飛ばしてくる。それを前に走って避けつつ、プリティヴィ・マータに近づく。
「…」
ユウキが眼前に来たところでプリティヴィ・マータは咄嗟に右の前足で切り裂いてくるが、それを上に跳んで躱して右回転しながら右の神機で斬り、振り抜いたところで追撃の体勢になっていた黒いアラガミに向かって神機を投げ付ける。
『ガァアッ?!』
投げた神機は黒いアラガミの額に突き刺って敵が怯む。その間にユウキは回転を利用して左の神機でプリティヴィ・マータの背中を斬って後ろを取る。
するとユウキはプリティヴィ・マータの尻尾を掴んで素早く1回転するとプリティヴィ・マータが宙に浮いて回転し、もう1回転すると今度は黒いアラガミに向かって投げつけた。
『『ガルアッ?!』』
2体のアラガミが縺れ合いながら倒れると、すかさずユウキは2体の上に立ち黒いアラガミに突き刺さった神機を回収すると捕食口を展開する。ただし、右の神機は壱式と色が違う赤い捕食口、左の神機も同様に赤紫色の捕食口だった。
(思ったよりも簡単に新しいプレデタースタイルが作れるな。これもブレイカー…いや、ブレイクアーツのお陰か…)
『『グジュッ!!』』
神機を自在に操る力、ブレイクアーツで付加属性の能力を底上げする新たな捕食口を作り出し、赤い捕食口を『壱式・紛紅』と赤紫の捕食口を『壱式・躑躅』と名付けた事を心の内で考えながら、それぞれの捕食口が黒いアラガミとプリティヴィ・マータを喰らう事で、ユウキはバーストする。
(やはりそうか…前は何となくで感じてはいたが…)
ユウキはバーストした瞬間、神機を2つ使い初めてから感じていた感覚に確信を持った。
(右と左の神機、それぞれ独立してバーストして俺の身体を強化している…左右の神機でのバーストの重ねがけ…『クロスバースト』とでも言っておくか…)
右の神機と左の神機、それぞれがユウキを強化している事に確信を持つ。神機を2つ使い始めた辺りから、妙に身体が強化されるとは思っていたが、ようやく気付いた。ここで気付いた能力で一気に勝負をかけていく。
しかし2体とも体勢を直しかけていたので、ユウキは後ろへと跳び退きながら2体のアラガミから離れる。
『『ガルァアアアッ!!』』
体勢を立て直した2体が吠える。すると右の神機が『ボオッ!!』と勢いよく燃え盛る剣に、左の神機は強く大きく赤紫に光輝く光剣になる。
先の新たに作り出したプレデタースタイルの捕食により、付加属性が強化された事で、ブレイクアーツ『属性解放』が大きく強化されたのだ。
しかし2体は怯む事なく攻撃体勢を取る。先にプリティヴィ・マータが駆け出す。しかしその瞬間、ユウキが一気に左側のプリティヴィ・マータに接近して右の神機を振り抜く。するとプリティヴィ・マータが勢いよく燃え盛り、さらに次の瞬間には左の神機で斬ると、燃え尽きながらも光に侵食されてボロボロになっていく。さらにその場で回転して同じ様に黒いアラガミを斬ると、黒いアラガミも燃え盛る。ユウキは様子見のため一旦後ろへ跳んで離れる。
プリティヴィ・マータはその身体の大半が燃え尽き、炭の様になって崩れ落ちた。そして黒いアラガミがどうなったかを見ると、激しく炎が揺らめく。
『ガルァアアアッ!!』
黒いアラガミは炎を振り払い辺りにバチバチと紫電を放ちながらユウキに向かって吠えた。しかし、ユウキは表情ひとつ変える様子はない。
(活性化したか。だが翼は生えないみたいだな…やはり別種か…)
黒いアラガミに攻撃が振り払われ、活性化したにも関わらず、ユウキは至って冷静だった。活性化の際にディアウス・ピターと違う反応をしている事を確認するついでに、敵の身体を確認した所、火傷や崩れたところがある為、全く通じてないと言う事はなさそうだ。
初めてブレイクアーツを覚醒させた時のヴァジュラと比べれば、攻撃が通じるのであれば大した問題ではない。ユウキは属性解放を解除すると、黒いアラガミが向かって来たので迎え撃つ。
黒いアラガミが飛び掛かってくると、ユウキは右側に避けつつ黒いアラガミの横を通り過ぎるついでに軽めに斬りかかる。
『『ギンッ!!』』
(活性化前より全体的に硬いな…まあ…)
しかし先とは違い、軽いとは言え斬撃が通らなかった。かなり硬くなり攻撃が通りにくくなっている様だったが、それでもユウキは慌てる様子はなかった。両足で急ブレーキをかけると、ユウキは反転して黒いアラガミに向かって行く。
対して黒いアラガミは離れつつも反転し、自身を防御する様に周りで高速回転する雷球を展開する。
ユウキはギリギリのところでジャンプして躱し、雷球が守るラインの内側に侵入する。すると捕食口を展開しつつも黒いアラガミの眼前に滑り込む。雷球を展開している間は動けないのか、黒いアラガミはユウキが眼前に居るにも関わらず未だに雷球を回転させている。その間に右の神機で頭の後ろに赤い角を生やした龍の頭の様な捕食口『天ノ咢』を展開する。
そして黒いアラガミが雷球を発射すると同時に天ノ咢で捕食する。するとユウキはバーストレベルをLv3に引き上げる。
(関係無いがな…)
黒いアラガミが眼前のユウキに噛みつこうとするが、ユウキから左の神機による先制攻撃が入り、追撃は失敗する。その間にユウキはその場で回転し、バーストLv3となった右の神機を振り抜いた。
『ズシャァッ!!』
ユウキが神機を振り抜くと、黒いアラガミの顎を基準にして上下に別れ、上半分が空高く宙を舞った。
戦うだけの力を失った黒いアラガミはその場に力なく崩れ落ち、少しすると上半分が空から鈍い音を発てて落ちてきた。
(…)
ユウキは倒したプリティヴィ・マータと黒いアラガミを眺めていたが、少ししてユウキはプリティヴィ・マータの元へと歩いていく。そして神機を足元に置くと、プリティヴィ・マータの右の前足を掴む。
『ブチィッ!!』
前足を引きちぎり、かぶり付く。すると血が抜けてないため、ユウキはグチャグチャと音を発てて喰い始める。右の前足を喰った後は左の前足、次は後ろ足、頭、最後に胴体…コアを残してプリティヴィ・マータの全てを喰い尽くす。そして黒いアラガミも同様に、コア以外は全て喰った。
喰うものが無くなったからか、丁度腹がいっぱいになったから分からないが、ユウキは立ち上がると、最後の仕上げにユウキは両手で神機を掴む。そして神機にコアを喰わせる。その後、興味が失せた様にその場から去っていった。
To be continued
あとがき
お盆休みが終わる…働きたくないでござるorz皆さんはどんなお盆休みを過ごしましたか?
それはそうと小説の中身は…うん、うちの子が色々頭おかしいです。でも頭のおかしさではまだまだ先があるんですよね。
アリサやリッカ、ヒバリにツバキさんと色んな人に噛みついて不信感を持たれてたり持たれていなかったりと周りとの関係もほぼ180°変わっていきます。
それから、もうお気付きかもしれませんが、DLCで追加されたプレデタースタイルはブレイクアーツと言う形で発現させています。残りのプレデタースタイルはこのスタイルで発現していくと思います。
ついでに前にも描写したと思いますが、うちでのアリサは年相応に性に興味があったりとそれなりにむっつりスケベです。