役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
なお、どうとでも取れるように全体的に曖昧な表現にしてあります。
アンチョビside
作戦会議をやるって言うから集まったのに。何なんだ、この状況は。
「フフフッ……」
みほは恐ろしげな笑いを漏らしているし。
……目が笑ってないぞ。
「……」
まほは無言で黒いオーラを放っているし。
……ただただ怖いんだが。
「レンタも意地悪な事を言うわよねー。ね、そう思うでしょ?ナオミ、アリサ」
ケイはこの場に居ないチームメイトに声を掛けてるし。
……大丈夫か?
「如何なる時も優雅……」
ダージリンは壊れてるし。
……紅茶を飲もうとしてもそのティーカップは空だぞ。
「あのバカメガネは!!何であっちの応援してるのよ!!私達の応援をしなさいよ!!」
逸見は怒りながらブツブツ言ってるし。
……ツンデレか?
「局長がカチューシャの事応援してない……」
カチューシャは落ち込んでるし。
……こんな弱々しい姿は初めて見たぞ。
「(カチューシャを悲しませた罪は万死に値します)」
ノンナは殺気を放ちながらロシア語で何か言ってるし。
……おい、待て。ここで撃鉄を起こすな。
「……」
継続の隊長は我関せずでカンテレ弄ってるし。
……よく見たら手が震えているな。
はぁ……集まっている各校の隊長と副隊長が揃いも揃ってこのザマなんて。
ま、やっぱりあれだな。みほとまほが聞いた――先輩が島田愛里寿を応援しているって言った事が皆ショックなんだな。
……先輩も複雑な立場に立たされているんだから私達の応援なんか出来ない事は承知の上だろうに。
しかし、この場にいる奴でまともな状態なのは私と杏と河嶋と西だけか。困ったもんだ。
「アンチョビ殿。1つ宜しいでしょうか?」
「何だ?西」
「ウィッグが逆立っておりますが、どうかされたのですか?」
「地毛だ!!」
「おぉ、そうでしたか。それは失礼いたしました」
全く……この状況でよくそんな事を聞けたな。
「えっと……西住ちゃん?そろそろ作戦会議始めないと時間無くなっちゃうよ?」
お、杏がようやく事態の収拾に動いたか。
「……っ、そうですね。では、まず部隊の編成を――」
やっと作戦会議が始まった。他のみんなも我に返ったようだし、これで何とかなるな。
「――ゴリゴリ作戦開始します!!」
「「「「オォー!!」」」」
3方向から力押しで積極的に敵戦力を削っていく作戦か。
しかし……さっきとは打って変わってみんなのやる気が凄いぞ。
目が爛々と輝いているというか……獲物を狙う獣みたいな目をしているんだが。
……会議の最後にダージリンが余計な事言うから。先輩も大変だな。
役人side
大洗の選手増員に対して愛里寿君が異議を申し立てるというイレギュラーを乗り越えられたのはいいんですが。
気掛かりな事が1つ。
電話口越しに愛里寿君を応援すると言った事をみほちゃんに聞かれてしまった可能性があるんですよね……。
「ただいま戻りました」
あ、蝶野一尉が審判部本部に戻って来ました。確認するのが怖いですけど事の真相を聞いてみましょう。
「あの……少しよろしいですか、蝶野一尉」
「はい、何でしょう?」
「つかぬことをお聞きしますが、先程の電話ってスピーカーモードだったり……します?」
「……最後の方は」
「という事は……つまり私が言った事は聞こえていたんですね?」
「……はい」
「や、やはりですか」
オーマイガー……危惧していた事が現実のモノに。
これはますますみほちゃんに嫌われてしまいましたね。
「えぇ。私とみほ選手、まほ選手には……その、辻局長が島田選手を応援すると言っていたのが聞こえていました」
え!?まほちゃんも聞いていたんですか!?
そ、そう言えば確かに原作では2人一緒にあの場に居た気が……。
これは思っていた以上に大変な事になりました。
あ……それにまほちゃんやみほちゃん経由でこの事がしほさんに伝わったらどうしましょう。
説教レベルじゃ済まないんですけど。折檻される可能性が……。
「ちなみに……その後のまほさんとみほさんの様子はどうでした?」
「それは……その何と言いましょうか。えーと……やる気……を出していました……よ?」
蝶野一尉がこれ程言葉を選ぶとは……やる気という単語が意味深過ぎて怖いです。
「そう……ですか」
「き、気を落とさないで下さい。辻局長のお立場ではあの様に言うしか無いのですし、彼女達も辻局長のお立場の事を理解さえすれば分かってくれるはずです」
あぁ、蝶野一尉の励ましが心に響きます。
「局長、試合開始10分前です」
「分かりました」
ふぅ。落ち込んでいる暇はありませんね。
あ、ちょうど両チームがスタート地点への移動を始めたようです。
双眼鏡で大洗チームの方を覗いてみましょう。
「……ふむ」
「合同の練習なんてしていないはずなのに……やけに綺麗な隊列を組んでいますね。とても急造チームとは思えません」
「フフッ、辻局長のご指導の賜物ですわ」
「何故貴女が自慢気なんです?」
「何か問題でも?」
「ま、まぁまぁ。お二方」
あのー私を挟んで火花を散らすのは止めてくれませんかね?高島君、蝶野一尉。
そして、児玉理事長。仲介に入ってくれるのはありがたいんですけど離れ過ぎじゃないですか?
そんな部屋の隅っこからでは……まぁいいです。
それにしてもみほちゃん達……みんな笑顔というか。
何か……嗤ってないですか?
あれ?こっちを見――
……みほちゃんと目が合いました。ぐ、偶然ですよね?
ここからみほちゃん達がいる場所までは2〜3キロ程度距離があるんですし、偶然ですよね?
あそこから私が見ているなんて分かる訳が……。
ッ!?
「局長?どうかされましたか?」
「……な、何でもないです」
みんな(私と関わりのある子達)がこっちをガン見しているんですが。
何これ、怖い。
次回、暗躍回の模様。
お楽しみに〜(´∀`)ノシ