役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
ふぅ。色々とありましたが何はともあれいよいよ待ちに待った試合が始まります。
……ッ。あぁ、不味い。
前世ではスクリーンに映っていたあの試合が今世では生で、それも特等席で見られるかと思うと興奮のあまり手が震えて来ました。
『両チームの代表者は前へ!!』
さぁ!!主審である蝶野一尉の指示でみほちゃんと愛里寿君が前に進み出て行きます!!
うぉおおおおッ!!み な ぎ っ て き たーーッ!!
「少し……よろしいですかな」
「どうかしましたか、児玉理事長?」
私の隣にいる高島君の事を頻りに気にしながら児玉理事長が小声で声を掛けてきましたけど……どうしたんでしょうか?
「あまりそのようにご自分を責める必要はないかと。いえ、理由はまだ言えないのですが……」
うん?児玉理事長……何か勘違いされてないですか?私はただ興奮で手を震わせているだけなんですが。
いや、そんな……ワシは分かってますから。みたいな優しげな目をされても困ります。
っと、そんな事より試合が始まりますね。
『ではこれより大洗女子学園対大学選抜チームの試合を行います。礼!!』
『よろしくお願い――』
『待ったぁあああーー!!』
キィィタァァアアアーー!!
まほちゃん率いる黒森峰女学園のティーガーI×1、 ティーガーII×1、パンターG型×2の計4輌!!
「なっ!?部外者が何故入ってきているのですか!!」
おぉう。高島君が早速大洗の助っ人にやって来たまほちゃん達の存在に噛み付いています。
「オホン、高島さん。その事についてなのですが彼女達は部外者では無いのです。短期転校の手続きを踏んで今現在は大洗の生徒となっていますから」
「短期転校ッ!?」
「えぇ、短期転校です」
児玉理事長の説明に高島君が唖然としていますが……手続き自体は正式な物ですからね。
引っくり返すのは不可能ですよ。
……いや、児玉理事長?そんなドヤ顔されても反応に困ります。
というか、貴方がドヤ顔するのはちょっと違うのでは?
それにそもそも私はこの事態を知っていましたからね?
「で、ですが!!短期転校で彼女達が大洗の生徒になったとしても黒森峰が所有しているはずの戦車まで持ってくるなんて反則です!!」
「みな私物なんじゃないですか?私物がダメってルールありましたっけ?」
「無いですね」
「そんな!?卑怯です!!――というか局長が何故擁護側に回っているのですかッ!!」
「ハッハッハッ」
「笑い事ではありません!!」
さてさて。高島君が怒っている間にも続々と来てくれていますよ。
ケイ君率いるサンダース大学付属高校の75mm砲搭載型のM4シャーマン×1、76mm砲搭載型のM4A1シャーマン×1、そしてシャーマン・ファイアフライ×1の計3輌!!
続いてカチューシャ君率いるプラウダ高校のT-34/85×2、KV-2×1、IS-2×1の計4輌!!
そしてそして!!
ダージリン君率いる聖グロリアーナ女学院のチャーチル歩兵戦車×1、マチルダ歩兵戦車×1、クルセイダー巡航戦車×1の計3輌!!
『大洗諸君、ノリと勢いとパスタの国からドゥーチェ参戦だ!!恐れ入れ!!』
更にアンチョビ君率いるアンツィオ高校のCV33カルロヴェローチェ1輌!!
『カバさんチームのタカちゃ〜ん、来たわよ〜』
僅か1輌。それも豆戦車ですが、我が母校の数的主力は伊達ではありません。
『こんにちは、みなさん。継続高校から転校して来ました』
更に更に、ミカ君率いる継続高校のBT-42が1輌!!
『お待たせしました!!昨日の敵は今日の盟友、勇敢なる鉄獅子22輌推参であります!!』
そして最後のトリを飾るのは!!
西君率いる知波単学園の九七式中戦車(旧砲塔)チハ×3、九七式中戦車(新砲塔)チハ×2、九五式軽戦車ハ号×1の計6輌!!
……いや、まぁ、実際には西君が勘違いして22輌という大所帯で来てますけどね。
『増援は私達全部で22輌だって言ったでしょ、貴女の所は6輌』
『すみません、心得違いをしておりました!!16輌は待機!!』
さてさて。ダージリン君の指摘を受けて知波単学園の16輌が待機に入ったので、これできっかり計22輌の増援が到着しましたね。
それにしてもこの一連のシーンは燃えますね〜。
……しかし、あの稜線の向こう側にいる戦車の群れは何なんでしょうね?
まさかみんないざという場合に備えて出せる車輌全部で来てたりします?
……何でそんなにみんな気合いが入っているんでしょうか。
それに西君。味を占めたのかは知りませんが爆雷装備は駄目ですからね。
後で外すように伝えておかないと。
「局長!!試合直前での選手増員はルール違反じゃないんですか!?」
「少なくともルール違反ではないかと」
「そうですな。異議を唱えられるのは相手チームだけですから」
「ぐぬぬ」
私と児玉理事長に言いくるめられた高島君が悔しげに唸っています。
高島君には申し訳ないですが、ここは譲れないですからね。諦めてもらう他ありません。
………あれ?おかしいですね。一向に試合が始まりませ――うん?蝶野一尉から電話?
どうしたんでしょうか?
「もしもし。どうかしましたか、蝶野一尉」
『そ、それが……島田選手が試合直前での選手増員に異議を申し立てると言っていまして』
……何ですとーッ!?
〜お知らせ〜
私としても大変不本意なのですが、いろいろな事が重なった結果……ちょっと長めに更新が開くと思われます。
(;´д`)