役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜   作:トマホーク

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※お知らせ。

今回の話の流れはいつもと違い2人の視点で構成しています。

役人視点の後、日本戦車道連盟の理事長である児玉七郎視点に切り替わりますので(当初の予定には無かったのですが、希望があったので入れてみました)ご了承を。


そしてもう一つお知らせ。

もっと前に言えよ。と言われるかも知れませんが……今後の展開的に劇場版を見ていないと話の流れが分からなくなるかもしれません。(視点や場面の切り替えが多いため)
[壁]ω・)スマヌ

なるべく分かるようには書いていきますが、見て頂いた方がより分かるかと。
(;´д`)


包囲網は着々と

……昨日は本当に大変でした。

 

みほちゃん達を振り切って逃げた後、愛里寿君はずっと不機嫌ですし。

 

携帯の着信は夜まで鳴り止まないですし。

 

正直あの対応で良かったのか悩む所ですが、下手に何かを言って原作の流れに悪影響を与えるよりはマシでしたかね。

 

「局長、角谷さんがお越しになりました」

 

「そうですか。では通して下さい」

 

さてと。また“役人”に徹しなければ。

 

「……失礼します」

 

杏ちゃんが入室しました。

 

「今日はどういったご用件でしょうか?」

 

「もちろん、大洗の廃校についてです」

 

「廃校の件は既に決定しているんです」

 

順調に行けばもうすぐ撤回されますけどね。

 

しかし……近々待ち受けているしほさん来襲が怖いです。何か滅茶苦茶な事を言ってきそうで。

 

「ですが、優勝すれば廃校は免れるという約束をしたはずです」

 

「口約束は約束では無いでしょう」

 

「判例では口約束も約束と認められています。民法91条97条等に記されています」

 

「よく調べたようですが……こちらとしても可能な限り善処したんです。ご理解下さい」

 

「……分かりました」

 

ふぅ……杏ちゃんが退室。原作通りに話が進んで何よりです。

 

……まぁ、原作通りに進めば進む程、私は嫌われるんですがね。

 

児玉side

 

「文科省が一旦決定した事は、我々にもそう簡単には覆せないしなぁ……」

 

というより、裏で色々と動いていた彼でさえ覆せなかった事を我々が覆すのは事実上不可能なんじゃないのかなぁ。

 

まぁ、この一件は全て自分に任せてくれとあの彼が言っていたのだから、悪いようにはならんと思うが。

 

しかし……話を上手く進めるためとは言え、何も悪役をかって出なくてもいいのに。

 

相変わらず彼は不器用だなぁ。

 

「向こうの面子が立たないという事ですか」

 

「そういう事になるかなぁ」

 

「面子という事であれば、優勝するほど力のある学校をみすみす廃校にしてはそれこそ戦車道連盟の面子が立ちません」

 

「そうは言ってもなぁ……今回の一件を蒸し返すと文科省は彼を出してくるだろうし……正直な所、彼と事を構えるのだけは避けたいんだよ」

 

教育界は元より政界や財界との繋がりまであるらしいからなぁ、彼は。

 

それに各学園艦のOG達や戦車道の各流派との太いパイプがあるし。

 

敵対なんてしたら連盟そのものが潰されてしまいかねんよ。

 

最も彼はこちら側の人間だから対立したとしてもそれは表向きだけの事で心配するような事はないのだが。

 

「しかし、そんな事を言っていては!!」

 

「蝶野君も連盟の強化委員会の1人なんだから知っているだろう?彼がどれだけ戦車道連盟、引いては戦車道の発展に寄与してきたか。最近の出来事だけでも安全基準の大幅な引き上げ、加えて戦車道をより安全に運営するために必要な技術開発への国家予算投入を認めさせた大元も彼だし、諸外国の有能な選手を多数引き抜いてきて日本戦車道の活性化にまで貢献している。そんな彼と事は構えられんよ」

 

個人的な事を言えばワシが戦車道連盟の理事長に就任出来たのも彼のお陰だしなぁ。

 

彼が全国の戦車道チームを倒すという偉業を成し遂げたお陰で戦車道における男の地位が向上し、結果としてワシが理事長に就任出来たんだし。

 

彼が偉業を成し遂げる前なら男のワシが連盟の理事長を務めるなんて事は考えられなかった事だからなぁ。

 

「それは分かっています。ですが理事長。今回ばかりは辻局長と事を構えることになったとしても致し方ありません。それに何より今回の一件は戦車道に力を入れるという国の方針とも矛盾します」

 

「……うぅん……」

 

そもそも文科省内で戦車道に力を入れるという方針を打ち出して、それを国の方針にまで押し上げたのが彼だしなぁ。

 

というか、あれ?何か蝶野君……怒ってないかい?

 

あぁ、もしかして……蝶野君は彼に事情を説明してもらってないのかな?

 

……あり得る。彼は自分に責が及ぶ事には無頓着だが、自分の身の回りや他の人に責が及ぶ事を嫌うからなぁ……。

 

大方、今回も全部1人で抱え込むつもりだろう。

 

「私達は優勝すれば廃校が撤回されると信じて戦ったんです。信じた道が実は最初から無かったと言われ引き下がる訳にはいきません」

 

「しかし、今文科省は2年後に開催される世界大会の事で頭が一杯だからなぁ。誘致するためにプロリーグを発足させようとしているぐらいだから、取り付く島が無いよ」

 

まぁ、世界大会の誘致やプロリーグの発足は彼の願いでもあるだろうしなぁ。

 

「プロリーグ……それですね」

 

「ここは超信地旋回でいきましょう♪」

 

「へ?」

 

何か嫌な予感が。彼がまた苦労するハメになるんじゃなかろうか……。


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