役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
「おじさま!!おじさま!!次はボコのショーを見に行きましょう!!」
「はいはい。あぁ、愛里寿君。そんなに急ぐと危ないですよ」
ボコミュージアムに到着してからというものハイテンションな愛里寿君に手を引かれながら、館内をグルグルとエンドレスで回っています。
もう何回も何回も休憩無しで色々なアトラクションに乗りまくっているため疲労感がハンパないです。
ふぅ。私の体がかなり鈍っている事を差し引いたとしても……若いっていいですね(遠い目)
うん?電話です……高島君から?これは困りましたね。
私の携帯に掛けてきているなら後で掛け直すのですが、仕事用の携帯に掛けてきている以上今出ないといけません。
「愛里寿君、申し訳ない。仕事の電話が入ったので少し外しますね」
「……分かりました。先に見に行っています」
そんなにしょんぼりしないで下さい。すぐに戻ってきますから。
「もしもし?」
『もしもし、高島ですが休日の所申し訳ありません。今よろしいでしょうか?』
「えぇ、大丈夫ですよ。どうかしましたか?」
『実は……旧大洗女子学園の生徒会長の角谷さんから先ほど電話がありまして、局長にどうしても会って話したい事があるという事でして……』
杏ちゃんから面会の要請?……あぁ、原作であった抗議ですね。
『何でしたら、私が対応しておきますが』
「いえ、大丈夫です。明日の正午を開けますので、角谷さんにもそう伝えておいて下さい」
『よろしいのですか?明日の正午は上から呼び出しを受けていたと思いましたが』
「問題ありません。少しぐらいは融通が効きますから」
上から呼び出し――私の昇進に纏わる雑事なんかよりも杏ちゃんの方が優先です。
それにどうせ昇進は無くなるのですし。
『承知致しました。その様に伝えておきます。それと局長、×工業の――』
まだあるんですか!?で、電話が切れない……。
「しまった……電話がかなり長引いてしまいましたね」
すぐに戻る予定でしたが……この分だとショーは既に終わってしまっていますし、早く愛里寿君と合流せねば。
こっちからだとこの正面玄関の前を通った方が早い――って……あ、あれ?
あれあれあれあれ?
駐車場に停まっているあの戦車って……もしかしなくても……みほちゃん達のⅣ号戦車!?
不味いッ!?すっかり忘れていましたが、みほちゃん達もボコミュージアムに来るんでした!!
あわわわわ……現状でみほちゃん達と顔を会わしたりした日には……ゴクリ。
どうにかこのまま顔を会わさずに逃げないと。
「おじさま?」
「っ!?あ、愛里寿君でしたか……」
みほちゃん達に見付かったかと思って心臓が止まりそうでしたよ。
「どうかしたのですか?顔色が悪いですけど」
「い、いえ。大丈夫ですよ」
大丈夫と言いつつも流れ出る冷や汗が止まらないです。
……うん?愛里寿君が激レアのボコのぬいぐるみを持っていますね。
という事は既に愛里寿君はみほちゃん達と遭遇した後という事ですか。
だったらここで私がみほちゃん達と遭遇しなければ全てが丸く収まります。
よし。ちょうどお昼の時間ですし食事のためと言ってここを離れましょうか。
「ところで、愛里寿君。そろそろお昼を食べに行きましょうか」
「分かりました」
「何か食べたい物はありますか?」
「目玉焼きハンバーグが食べたいです!!」
「そうですか、なら目玉焼きハンバーグを食べに行きましょう」
「やった」
ふむ。手を差し出されたので思わず握りましたが相変わらずちっちゃい手ですね。
さ、このままボコミュージアムを出れば原作通りに――
「――それにしても、西住殿はよくここを知っていましたね」
「うん。ボコが好きだって言ったらおじさんが調べてくれて、小さい頃によく連れて来てくれてたの。ほら、あんな風に手を繋いで一緒に――え?おじさん?」
…………終わっ……た。
次回、みほ達と遭遇してしまった役人はどうなるのか!?
(次回の題名の予定が『修羅場』だけれど)果たして無事に生還出来るのか!?
お楽しみに〜
(´∀`)ノシ
……8月から連続――おっとこの先は言えない。