役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
m(__)m
今回は前話の裏側?的なお話です。
※角谷杏視点です。
杏side
……帰ってくれたみたいだね。しっかし、どうしてあの人は私達を庇うようなマネしたんだろ?
部下に嘘までついて。けど……現場を見られちゃった以上はこれで戦車達とお別れかな。
せっかく紛失顛末書まで作ったのに……悔しいなぁ。
「ヘイ、アンジー。何暗い顔してるの。早く戦車を積み込むわよ」
「あぁ、分かってるよ。でも……これでお別れなんだし、ちょっとだけ待ってくんないかな。もし処分でもされちゃったらもう会う事も出来ないからさ」
「お別れ?処分?何言ってるの、アンジー?」
「え?いや、だって……」
現場を見られちゃったんだから、もう戦車は文科省に運ぶしかないじゃん。
私達の所に戦車を届けたらケイ達が怒られちゃうんだし、運搬中に戦車を紛失したって。
そこまでケイ達に面倒をかける訳にもいかないしさ。
「何か勘違いしているみたいだけど安心して。この戦車達は貴女達の所に届けてあげるから」
「いやいや、そんな事したらケイ達が――」
「大丈夫よ、アンジー。ノープログレムだから」
「ケイ?」
「だって、レンタが全部お膳立てしてくれているんだし」
「は?何それ?」
レンタって……あの局長さんの事だよね?あの局長さんがお膳立てしてくれたってどういう事?
「気付いてないみたいね。ほら、よく思い出して。『くれぐれも飛行中に後部ハッチから戦車を落としてしまうような事がないように』ってレンタが言ってたでしょ?」
「……言ってたね」
スーパーギャラクシーの後部ハッチの不調がなんとかって、言った後にそんな事を言ってたような気もするけど。
それが何かこの話に関係あるの?
「実はね、後部ハッチの不調なんて嘘なの」
「へ?」
「だから、あれは運搬中に後部ハッチが故障して戦車を無くしたという事にしつつ、実際はアンジー達の所へ届けろっていう意味なのよ」
「いや、そんな訳が……」
あの局長さんだよ?私達の学園を廃校にした人がそんな事する訳ないじゃん。
「うーん。ま、レンタの事を知らないアンジーならそんな反応よね〜」
「ちょい待ち。例えそうだったとしても、私達に戦車を届けたら結局ケイ達が怒られるんじゃ……」
「大丈夫ですよ。会長」
「西住ちゃん?」
……何で西住ちゃんは嬉しそうにしてるんだろ。
すっごい笑顔。というか、こんな西住ちゃん初めて見たよ。
「おじさんが言ってたじゃないですか。『責任は私が取りますから』って。あれはケイさん達が私達に戦車を届けても(運搬中に戦車を無くしても)咎められないようにしてくれるっていう、そのままの意味です」
「あ、やっぱりミホも気が付いていたのね」
「はい」
「……えっと、つまりあの局長さんは自分が責任を負うから戦車を私達に届けろって言ったって事?」
そんなバカな……。
「イエスッ!!」
「……なんで?」
「なんでって……レンタだからよ」
「おじさんだからです」
あの人だからって……説明になってないよ。ケイ、西住ちゃん。
「でもさ、あの局長さんが大洗を廃校にしたんだよ?なのに、わざわざ問題になりそうなこんな事する?」
ケイや西住ちゃんが言っている事が正しいとしたら、あの局長さんの行動の説明がつかないんだよね。
やってる事が両極端すぎて。というか、自分の昇進の為に大洗を廃校にしたっていうもっぱらの噂がある人だし……。
それに事実、最近昇進が決定したらしいしさ。
まぁ、情けのつもりなのかもしれないけど。
「あ、その事なんですけど……」
「なに、西住ちゃん?」
「元々そんな気はしてはいたんですけど今回の事でハッキリ分かりました。立場上……大洗を廃校にしたのはおじさんかもしれませんけど、それを計画したのはおじさんじゃないと思うんです」
「あ、私もそう思う。大体戦車道大好きなあのレンタが戦車道大会で優勝した大洗を潰すはずがないもの(それになんたってミホがここにいるんだし)」
「西住ちゃん、どういう事?」
「大洗の廃校をおじさんが伝えに来た時、私達に直接説明をしてくれた女性に私が確認を取ったじゃないですか?おじさんが廃校にしたのか?って」
「あぁ、そう言えば聞いてたね、西住ちゃん」
あの時は何でそんな事を聞くんだろって思ってたけど。
「その時、あの女性……返答にだいぶ迷っていたので……恐らく即答出来ない理由があったはずなんです」
「即答出来ない理由?例えば?」
「例えば――」
「例えば、実はレンタが大洗の廃校の撤回をしようとしていたとか」
「……いやいやいや、それは無いよ。ケイ。だって、そんな事したら自分の首が絞まるだけじゃん」
さすがにあり得ないって。
「あら、どうかしら。レンタは以前にも似た事してたから。それに堅そうに見えるけどレンタって結構、アクティブなのよ?」
「おじさん、昔から無茶する人でしたから」
「……」
2人が正しいとしても……堅物が服着たような、あの人が仕事に私情を挟むとは私には思えないんだよねぇ〜……。
けど、あの人をよく知っているらしいケイと西住ちゃんが言うんだから事実なのかな?
いや、でもあの局長さんがわざわざ廃校の時期を早めたっていうんだから……やっぱり西住ちゃんやケイが言うような人じゃないと思うんだよね……。
「よ、よく分かんないけど、西住ちゃんとケイはあの局長さんと仲いいみたいだね」
「はい。だって、おじさんは私の家族ですから」
……何かケイに対して当て付けみたいな感じでそれ言ってない?西住ちゃん。
さっきケイと局長さんが喋っていた時に膨れっ面だったけど、それが関係してる?
「へぇ〜……“家族”ね。ミホも言うわね」
あれ?西住ちゃんとケイの雰囲気がおかしくなってきた?
「? 私何かおかしな事言いました?」
「別に〜。でも、中学の頃から一緒に戦車道に励んできた私も親密度なら負けてないと思うんだけどなぁ〜」
なんか……2人の間で火花が散ってる……ヤバい雰囲気だね。
「……なら、家族ぐるみの付き合いをしている私も廉太さんと家族という事になるな」
「でしたら、私も廉太さんとは……えと、その……マブダチであります!!」
あれ……冷泉ちゃんと秋山ちゃんまで参戦してきた。
「「「マブダチ……」」」
「酷いであります!!何でみなさん鼻で笑うんでありますか!?」
……何か、近くにいると巻き込まれそうだし、今の内にみんなに指示だしとこっと。
出来るだけ早く次話を投稿する予定ですが、仕事の状況次第ではまたちょっと空くかもしれません
(;´д`)