役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
ちょっとこちらの執筆時間が取れていないため、今後は週1ぐらいの更新ペースでやっていくつもりです(;´д`)
ふむ。知途社大学との練習試合を終えて整備エリアに帰って来た大学選抜チームの様子を物影からこっそり見ているのですが……やはりチーム内にわだかまりがあるようです。
特に愛里寿君とチームメイト間に。
まぁ、愛里寿君もあまり社交的な方ではないですし、年齢差などもありますからね。
しょうがないと言えばしょうがないです。
出来ることであるならば今すぐにでも彼女達の間を取り持つ助けをしてあげたいのですけれど、劇場版を控えたこのタイミングでするわけにもいきませんし。悩ましい事です。
……さて、観察は十分しましたし。愛里寿君の元へ行きますか。
「あの場合アズミはもう少し早く右翼へ展開するべきだったな。メグミはいいタイミングでアズミの支援態勢に入れていたが、前に出すぎだ。あれではルミとの相互支援が――おじさま!!」
「え!?」
「た、隊長!?」
「どうしたんですか!?」
「オグッ!?」
私の姿を視界に捉えた途端、愛里寿君が満面の笑みを浮かべてすっ飛んで来ました。
鳩尾にいいのが……グフッ……。
「ちゃんと来てくれたんですね!!」
私の胸に頬擦りしていますが……まるで子犬ですね。
「え、えぇ……」
「最近どうして顔を見せてくれなかったんですか?」
「あ、いや、少し仕事が立て込んでいましてね」
仕事があったのは本当の事ですが……しかし……言えません。
劇場版に変な影響が出ないように若干避けていたなんて言えません……。
あと“あの話”の事もあって。
「仕事?あぁ、大洗の廃校の件。いろいろと大変だった様ですね。っと、それよりおじさま。この後時間はありますか?よければまたボコミュージアムに連れて行って欲しいのですが。それに“あの話”を断った理由を教え――」
不味いッ!?
「驚いた。コーチの前だとそんな顔を見せるのか」
「フフッ、コーチの前だと隊長も女の子なんですね」
「私達の前だと、あまり笑ってくれないのに」
「お前達……」
ふぅ……ナイスタイミングでアズミ君、メグミ君、ルミ君の三姉妹がやって来てくれました。
というか、いつの間にか大学選抜チームの子達に周りを包囲されていますね。
しかし……学園艦巡りをしていたせいでこの場にいる全員が顔見知りという。
「お久し振りですね。アズミ君、メグミ君、ルミ君。それに皆も元気そうで何より」
「「「「はーい。元気でーす!!」」」」
「コーチもお変わりなく」
「しかし、前はちょくちょく顔を見せてくれたのに今回はずいぶんと間が空きましたね」
「という訳でコーチ。宜しければこの後皆で食事でも如何です?」
アズミ君、食事のお誘いは嬉しいのですが色気を出しながら私にしなだれかかるのは止めてくれませんか。
完全に分かってやっているんでしょうけど……君のナイスバディががががが――メグミ君とルミ君も便乗して近寄って来なくていいから!!
前後左右を取り囲まないで!!
「……ムッ」
「うっ!?」
イタァイッ!!愛里寿君!?
踏んでます!!踏んでますよ!!
っ!?君の踵で私のつま先をグリグリしちゃダメですッ!!
「コーチ?どうかしました?」
「い、いえ……何でもないですよ。食事ですか、いいですね。今度社会人チームとの試合を行う予定だとも聞いていますし。壮行会を兼ねて盛大にやりますか。……もちろん私持ちで」
「「「「やったー!!」」」」
「あーあ。またそんな事言っちゃて。懐が寒くなっても知りませんよ?」
「それは学生のルミ君が心配する事ではありません。気にせず楽しむように」
「……まだ学生扱いか」
「……お互いに道のりは遠いわね」
「うん?何か言いましたか?ルミ君、メグミ君」
「「いえ、何も」」
さて。皆が浮かれる中1人拗ねているお嬢様のフォローをしておきますか。
「ボコミュージアムならまた今度連れて行ってあげますからね」
「2人だけで?」
「……2人だけで。だから今日は皆で楽しみましょう」
「分かりました」
……何だか大変な約束をしてしまったような気がしないでもないですが。
全て気のせいという事にしておきましょう。
お知らせ。
秘夜の後書きにフラッシュの正体を追加しておきました。