役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
(;´д`)
「局長、これが最後の書類です」
「……そうですか」
この書類にハンコを押してしまえば大洗の廃校手続きが全て完了し、みほちゃん達を悲しみのドン底に突き落とす事になります。
……順当に話が進めば後で撤回すると分かっているとは言え、そうそう簡単に押せるモノではありませんね。
しかし、悲しいかな。これもお仕事ですから個人的な理由で押したくないと言って押さない訳にもいきません。
「……」
うーむ。とは言え手が動きません。
「局長?どうかされましたか?眉間に皺が寄っていますけど」
「……いえ、何でもないです」
はぁ……押してしまいました。案の定凄まじい罪悪感が……。
「お疲れ様でした。それで局長?」
「うん?どうかしましたか、高島君」
「これで大洗の廃校手続きが全て完了した訳ですが、大洗にはいつ通知を?」
……そうでした。みほちゃん達に廃校になるという事を改めて言わないといけないんでした。
しかし、約束破りの裏切り者がどの面下げて行けばいいのやら。
……本音を言えば電話や書面での通知で済ませたいのですが、それだと原作(劇場版)から解離してしまいますし。
何よりケジメは付けないといけませんからね。私が行かねば。
「……来週、大洗や聖グロ、プラウダ、知波単といった各高校の戦車道チームが大洗の地に集まり、優勝記念のエキシビションマッチを行う事になっていますので、その際に私が現地に赴き直接通知を行います」
「承知致しました。その様に手配しておきます。――……最後まで廃校に抵抗しそうなあの娘達の対策として、退艦は通知を行った翌日という事にしておきましょうか。後は……万が一、抵抗するならば学園艦の住人達の再就職先の斡旋は無し。これでいきましょう」
……高島君がまた腹黒い事を言っていますね。
というか、最早高島君が原作における私の代わりを果たしていますね。
これが修正力というものですか……(棒)
「さて、私は用事があるので先に失礼させてもらいますよ」
「あっ、はい。お疲れ様でした」
それでは意識を切り替えまして、やらねばならない事をこなしていきましょう。
一先ず知途社(ちとしゃ)大学に急がねば。
それにしても……全く、千代さんも無茶を言ってくれます。
よりによってこのタイミングで飛び級して大学に進学した愛里寿君が大学の娘達と上手くやっているかどうか見てきて欲しいだなんて。
この件が万が一にもしほさんの耳に入ると西住流の人間が島田流の者と親しくするな!!と言った感じにネチネチと嫌みを言われるのですがね。
それに劇場版に影響を及ぼすような可能性がある行動はなるべく控えたいのですが。
……まぁ、断るor行かないという選択肢は毛頭無いですけど。
何故ならば千代さんが既に愛里寿君に私が行くと伝えてしまっているので。
加えて「貴方が来てくれると知って喜んでいたのに、来てくれないと知ったらあの子……悲しむでしょうね……」と脅しにも似た言葉を千代さんから頂きましたから。
「あらら」
さて。知途社大学に、もっと詳しく言えば知途社大学の戦車道演習場にある審判部本部に到着した訳ですが……。
うん。悲惨な状態ですね。現在、知途社大学戦車道チーム対大学選抜チームの練習試合が行われているのですが……知途社大学側の残存戦車がチハ1輌に対し大学選抜チームはM4シャーマンが28輌。
恐らくは30対30の殲滅戦形式の試合だったはずなので、知途社大学側は2輌しかシャーマンを食えていない事に。
まぁ、知途社大学は知波単学園の流れを汲む大学ですからね。
大方、開幕直後に無謀な突撃を敢行して大学選抜チームに鴨撃ちにされたのでしょう。
練度は高いのに戦術がお粗末なのは勿体ないですね。
おっ、最後の1輌となったチハが動きます。
……あぁ、やられてしまいました。試合終了です。
では、愛里寿君に会いに行きましょうか。
恐らくあと1話か2話やった後に劇場版へ突入出来るかと思います。
なお、次回の更新は2週間ぐらい先になる予定です。
(;´д`)