役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
(;´д`)
ちなみに、もろにリボンの武者の設定が入っています。
(´・ω・`)?
じゃあ、リボンの武者までやるの?
(´-`)
プロットはあるけど多分やらない。
((((;゜Д゜)))
『――来年も大洗でみんなと戦車道をやりたいから……だから、絶対に優勝してみせます!!』
「……そうですか。影ながら応援していますよ、みほちゃん。ではそろそろ切りますね。お休みなさい」
『ぁ、はい……お休みなさい』
ふぅ……心が痛いです。
大洗とプラウダの準決勝戦が終わったその日の夜。
やはりというか、みほちゃん、麻子ちゃん、優花里ちゃんの3人からそれぞれ電話が掛かって来ました……。
電話の内容は当然戦車道大会で優勝しないと大洗が廃校になるという件について。
みほちゃんには廃校をどうにか回避出来ないかと懇願され、麻子ちゃんには本当に廃校になるしかないのかと事実確認をされ、優花里ちゃんには廃校にしないでほしいと泣き付かれました。
この時点で全ての事を吐いて楽になってしまいたかったのですが……そういう訳にもいかないので、この一連の件は公務の一環で私個人の力ではどうする事も出来ない。しかし、みほちゃん達が大会で優勝し実績を築いてくれれば何とか出来るかもしれない。というような事を伝えた所。
皆、大洗の廃校を回避するべく闘志を燃やしていました。
私の言葉通りに自分達が勝てば大洗が救われると信じて。
……けれど私は最悪の形で彼女達の信頼を裏切り、熱意を踏みにじり、頑張りをぶち壊さないといけないという。
あぁ、なんてクソッタレな役なんでしょう。
はぁ……せめてもの償いとしてみほちゃん達のためにより一層滅私奉公(細かい意味合いは違いますが)に励みますか。
「――では、これで決まりという事で。他に何かありますか?」
「すみません、少しだけよろしいでしょうか?」
さて。大洗と黒森峰の決勝戦が明日に迫まる中、私は何をしているかというと。
大洗の廃校に向けた(させませんが)実務者会議をしております。
お相手は陸にある中学・高校を管轄している教育局長さん。
会議の内容は廃校になる(させません)大洗の生徒の振り分け先の学校の選定及び協議です。
「……またあの話ですか。これまで何度も言いましたがここまで計画が進んでしまった以上、途中で取り止める事は無理です。“そんな事”は貴方もよくご存知のはず」
これまでの会議で毎回廃校撤回の協力要請をしているせいか、話の内容を言う前に陸の教育局長さんに断られてしまいました。
「えぇ、“身をもって”承知しています。しかし、私の所とそちらの部署の連名でこの代案を上申出来れば一縷の望みが――」
「はぁ……貴方の状況はよ〜く聞き及んでいます。知らぬ間に責任者にされて望まぬ仕事をやらされている点などには同情しますが、貴方と共に危ない橋を渡る訳にはいきません。ご理解下さい」
チッ、やっぱりダメですか。
まぁ、陸の教育局長さんの立場ならそう言うでしょうけど。
誰だって危ない橋は渡りたくないですからね。
「……そうですか」
「ところで一度聞いてみたかったのですが、戦車道のプロリーグの設立やその後の世界大会誘致に向けた現状の動きは戦車道を盛り上げようとしていた貴方にとって長年待ち望んでいた悲願だったのでは?それなのに何故、大洗という目立った実績も無い学校のために全てを無に帰するような事をするんですか?代案があるとは言え、大洗の廃校を撤回すればプロリーグの設立や世界大会誘致にも少なからず影響が出てくるというのに」
「確かに……プロリーグや世界大会誘致が現実のモノとなれば戦車道は往年の活気を取り戻す事が出来るでしょう。そして、それは私が待ち望んでいたモノに相違ありません。しかし!!だからと言ってそのために犠牲が――悲しまねばならない生徒達がいることを看過する事は私には出来ません」
「……貴方はまだBC高校と自由学園の統合計画の事を悔やんでいるのですか?」
「さて……どうでしょうかね」
悔やんでいる……いや、引き摺っているんでしょうね、私は。
彼女達を救えなかった事を……だからこそ。何がなんでもみほちゃん達は救ってみせます。
「……自らに課せられた職務を完璧にこなす一方で、大洗の廃校を撤回しようと貴方が裏で各方面に働き掛けているのは知っています。その上で忠告しておきます。手段はなんであれ大洗の廃校を撤回した場合、貴方がここまで積み上げてきたキャリアは確実に無くなりますよ?それでもいいのですか?」
「その点については全て承知の上でやっていますから大丈夫ですよ。それに……キャリアが無くなろうが正直言ってどうでもいいんです。全ては生徒のためになるかどうか」
最早この立場に何の未練も無い私にはキャリアなどどうでもいいですからね。
それに正直に言うと後の事は手を打ってありますからどうとでもなるんです。
「……ここまで噂通りの人だとは」
「何か言いましたか?」
「いえ、何も。廃校撤回の件ではお力になれませんが、他の事で何かあれば喜んでお力になりますよ。では、これで失礼します」
ふぅ……やはりダメでしたか。まぁ、元より期待はしていませんでしたけど。
恐らく世界の修正力が働いている事でしょうし。
しかし、修正力が働いているからと言ってただ座して待つわけにもいきませんからね。
足掻けるだけ足掻きましょう。あの子達のために。
何故、電話の部分をカットしたァア!!と言われそうな気がするので、ちょっとだけ書いときます。(ここをしっかり書いて本編に入れると、後々の展開で齟齬が出てくる可能性が高かったのでカットになりました)
みほの場合。
『――廉太さん。大洗が廃校になるっていうのは本当なんですか?』
「残念ながら」
『……そんな……だったら、廃校を回避する方法は無いんですか?』
「今の現状だと私にはどうにもできません。しかし……みほちゃん達が戦車道の大会で優勝してくれれば、あるいは」
『私達が優勝したら廃校は無くなるんですね?』
「…………えぇ」
『分かりました。私は来年も大洗でみんなと戦車道をやりたいから……だから、絶対に優勝してみせます!!』
麻子の場合。
『本当に大洗は廃校になるしか無いのか?』
「えぇ、これまでの実績や生徒の減少傾向を鑑みると廃校は免れません」
『だが、私達が大会で勝てば廉太さんが何とかしてくれるんだろう?』
「…………えぇ」
『分かった。絶対に優勝してみせる』
優花里の場合。
『大洗が廃校になるなんて嫌であります!!私はもっと西住殿と一緒に戦車道がやりたいであります!!』
「そう言われても……残念ながら、私にはどうする事も出来ません」
『うぅ〜……分かりました。しかし、我々が大会で優勝さえすれば廃校は撤回されるのでありますよね?』
「…………えぇ」
『だったら絶対に優勝してみせるであります!!』