役人転生〜文部科学省学園艦教育局長に転生した私はどうしたらいいのだろうか〜 作:トマホーク
はー。やっぱり聖グロリアーナ女学院のある学園艦は大きいですね。
さて、予定も空いていたのでダージリン君からのお茶会のお誘いに乗って、こうして聖グロにやって来た訳ですが。
彼女とは学園艦巡りをしていた時にちょっと色々あったので、会うとなると少しだけ気後れしてしまいます。
彼女は何かと私を過大評価する癖?がありますし。
はぁ……せめて面倒な事にならないといいのですが。
ま、なるようになりますか。
「――それでダージリン君。今日のお茶会を開いた本当の目的をそろそろ教えて頂きたいのですが。ただのお喋りの為だけに私を招いた訳ではないのでしょう?」
「あら。殿方があまり女性を急かしたりするものではありませんわよ」
「……」
いやいやいや、ダージリン君。
もうお茶会が始まってから3時間が過ぎてるんですけど。
お腹が紅茶でタプンタプンなんですけど。
同席しているオレンジペコ君やアッサム君も若干呆れているような顔をしてますけど。
「……まぁ宜しいですわ。今日、辻局長をお招きしたのは他でもありません。我が校の戦車道チームにおける保有戦車の問題を解決するために幾つかお願いしたい事がありますの」
「お願い?なんでしょう」
「男性でありながら戦車道にも明るく、各学園艦の内情にもお詳しい辻局長でしたらご存知かと思いますけれど……我が校は英国との提携校であり、卒業生の方々から多くの支援を頂いています。そのため財政的には裕福ですが保守的な考えが強く、イギリス製戦車以外の購入は消極的……いえ、皆無となっていますわ」
「あぁ、その事ですか。確か戦車道OGの方々による3会派――マチルダ会・チャーチル会・クルセーダー会が存在していてイギリス製以外の戦車を購入する事に否を唱えているとか。そして、マチルダ会の方々の強い反対でイギリス製であるにも関わらずコメット巡航戦車やセンチュリオンなどの導入が遅れているというのはお聞きしています。それが何か?」
「それが問題なのですわ。OGの方々のお気持ちも分かりますが、このままではいつまで経っても我が校が戦車道大会で優勝することが出来ません。そこで……我が校の戦車道OGと深い繋がりのある辻局長にOGの方々を説き伏せて頂きたいのです。辻局長でしたら可能でしょう?いえ、恐らく辻局長にしか出来ませんわ」
うわ〜また厄介な話を……確かに仕事の関係もあって聖グロのOGの方々とは今もよく連絡を取ったりしていますが……。
なにぶん気品が高いというか、プライドが高いというか……そんな方々ばかりなので、出来ればお相手したくないのですがね。
最も……相手方からはしょっちゅう連絡が来ますが。
「買い被りすぎですよ。私にそこまでの力はありません」
「ご謙遜を……辻局長がお声を上げれば国すらを動かす事が出来ますのに。事実、前大会の決勝で発生した事故――III号戦車が川へ転落し黒森峰女学園が10連覇を逃したあの一件の後、辻局長が行動を起こして下さったからこそ、戦車道における安全基準の大幅な引き上げと見直しが行われ、また非常事の際に素早く救助隊が駆け付けられるような体制が作られたのではありませんか」
あぁ、そんな事もやりましたね。
全ての責任は我々大人にあるとしてみほちゃんの行動を正当化し、みほちゃんへ向けられる悪意を少しでも逸らそうと大々的に。
「その事でしたら、私が凄いのではなく。私にお力を貸して下さった方々が凄いのですよ」
「しかし、辻局長が動かなければ誰も動かなかったですわ」
「そんな事はありませんよ。私が動かなくても誰かがやった事です」
「……それではそういう事にしておきましょう」
何でダージリン君は若干不満げなんでしょうか?
口を尖らせてむーって顔してます。
可愛いとしか思いませんよ?
仕事が早く終わって余裕があれば、夜にもう1話更新します
(´∀`)