孤物語   作:星乃椿

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ハーメルン初投稿になります。
至らない点も沢山ありますが、どうぞお付き合いください。


001

高校一年から高校二年の狭間である春休み、俺は『彼女』に出会った。

『彼女』の名はキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。

非常に長ったらしい、外国人であってもいないであろう名前なのだが、彼女は外国”人”ではない。

怪異。

化物。

人外者。

彼女はかの有名な吸血鬼だった。

人の血を吸う鬼。夜の王。ヴァンパイア。

フランケンシュタインや狼男と並び、古来より『ドラキュラ』や『カーミラ』など数々の物語で恐れられる不死身の化物。

俺はそんな恐ろしい化物と出会ってしまった。

それも鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼。

怪異の王にして最強の怪異に。

現代において妖怪、もとい怪異、それも吸血鬼に出会ったなどと誰かに言えば鼻で笑われるだろうし、誰も信じてはくれないだろう。

面白い都市伝説やら、夏の夜を面白おかしく彩る怪談の一つとして片づけられるに決まっている。

俺とて『彼女』に出会っていなければ中二病だと笑っていたに違いない。

まぁ、そもそもそんな話する相手すらいないのだが。

話を戻そう。

そんな吸血鬼と衝撃的で壊滅的な出会いを果たした俺達は悲劇的な別れをした。

地獄を見たといってもいい。

そんな地獄の春休みは、もちろん地獄と言うくらいであるから、幸か不幸かで言えば不幸と言わざるを得ない。しかし、春休みすべてが不幸というわけではなかった。むしろ、幸福だったと胸を張って言えるだろう。

『彼女』、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと出会ったからこそ今の俺があるのだから。

今でも俺以外の人間が彼女と出会っていたらどうなっていたかと考えることがある。

けれど、結論はいつも同じで、俺以外の誰かが彼女と出会ったとしても同じ目に遭っていたなんてことは決してならなかったと、そう考えている。

別に奢っているわけじゃない。

俺が俺であるからこその悲劇で、俺だからこその喜劇なのだ。

俺だからこそ彼女と出会い、彼女もまた彼女だからこそ俺と出会ったのだろう。

そうある運命だったとさえ言える。

偶然ではなく必然と。そう断言できる。

別にロマンチストを気取るつもりはない。

ただ、会うべくして出会ったというだけなのだから。

ぼっちとぼっちが偶然出会って、ふたりぼっちになっただけの話。

春休みから俺達は、文字通り一心同体で一蓮托生のふたりぼっちになった。

これは孤独を恐れる小心者のぼっちが出会い、傷を舐め合い、そして死んだ。

ただそれだけの物語なんだと、そう思っている。

では、語ろうとしよう。

小心者の物語を。

終わりのない物語を。




1000字以上じゃないと投稿できないのかったのか・・・
修正したらなんともくどい分になってしまって申し訳ない限りです。

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