外文録なこの世界 ~あるオリ主たちの狂宴~   作:あんにん

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二人目の主人公、ゼロの使い魔出身です


第二話 ハルケギニアの狂人 ~Knights of the Berserk~

 

 

 

 

俺は天才だ

 

 

魔法、錬金術、秘薬の開発は勿論

 

剣術、格闘術、芸術、政治、そして神より授けられた能力

 

あらゆる点に置いてその実力を開花させてきた

 

 

 

それと同時に過去の俺は神の能力以外は平凡だった

 

平凡な男が天才と呼ばれるまで成長する、如何に成長期と言えど

 

その大いなる壁を超えるのは容易ではなかった、幾度も挫折しかけた

 

 

その苦痛とも呼べる経験故に、胸を張って言える

 

 

『真の天才となるに必要なものは、神の奇跡などではない!!

 泥水をすすり、血の池へ浸かって尚挫けない黄金の精神だ!!』

 

 

そんな天才の俺でも死ぬ、死とは逃れられないものだ

 

延命の妙薬を作る事は出来たが、不老不死には届かない

 

 

 

俺があの世界で唯一残した未練、それは神の奇跡『不老不死』を作れなかった事だ

 

 

 

「ふっ、どうせそんな薬を使ってまで生き延びる気はなかったがな」

「使う気がないのに作ろうとするって…マスターは本当に無駄な事が好きですね」

 

「無駄…甘美な響きだ、この世は無駄で溢れている

 無駄な努力、無駄に洗練された無駄のない無駄な動き…

 この世から無駄がなくなるならば、それは俺という存在が消滅する時だ」

「舌の根も乾かないうちに『無駄な努力』って言いましたよね!?

  黄金の精神は何処へ行ったんですか!?」

「嫌だなシルクよ、人の黒歴史をほじくり返すものじゃあないぞ」

「認めるんですね!?黒歴史だって認めるんですね!?」

 

 

この青髪ロングヘアーの少女は『シルク』、俺の騎士

最初の頃は従順でもう少し可愛げがあったのに

年を経るにつれて俺にまでツッコミを入れるようになってしまった

あぁ、お父さんはそんな風に育てた覚えはないぞ…

 

 

「言うなればこの会話だって無駄だしな」

「いいえ、無駄じゃないです!

 我ら騎士団にとってマスターの元気な声が無駄な筈がありません!!」

 

 

……そうだったな、こいつらには心配をかけた

最後の方なんてろくに会話も出来なかったからなぁ

 

 

「確かに、これは無駄じゃないな

 すまんなシルク、お前の忠誠を汚すような発言をしてしまった」

「いえ、こちらこそマスターに口答えなど失礼をしました」

「………………」「………………」

 

 

むっ……空気が重いな、何とかして会話をそらさねば

ピキューン!! ま、マスターが話をそらそうとしている!私が何とかしないと!!

 

 

「そ、そうだマスター!この世界の皆にはマスターの言葉が通じるんですよね!?」

「あ、あぁそうだな!ハッハッハ!!サイトが帰ってから約150年振りか?

 ともかく久しぶりにお前ら以外とまともに会話することになるな!!」

 

 

空気の読める騎士で何時も助かるよ

シルクたち騎士団はハルケギニア語が話せなかった俺の通訳をしてくれていた

あの頃は大変だったなぁ、開発した翻訳ポーションは何度も事故でなくなったし

 

 

ハルケギニア語が喋れなかった理由?神の奇跡とやらじゃないのか?

 

 

 

 

 

「ここみたいですね」

「『国立外文録学園』…確かに此処みたいだな」

 俺とシルクは学園の入口らしき場所に居る

 民間人に聞いてみたが、軽くこの国の10分の1位はこの学園内にあるらしい

 

 

「トリステイン魔法学院が軽く20は入りそうだな」

「世界中の転生者が集まる学校ですから…それにしても広いとは思いますが」

 

 

 

学業に関しては知識も引き継げたので問題ないが、現在の俺の年齢は13歳だ

最低でもあと三年は義務教育を受ける必要があるが普通の学園では

シルクたち騎士団を連れて行けない

神に相談した結果、返ってきた台詞がこの学校へ行けば良いとの事だった

 

 

何でもこの学園はある6人の最古の転生者が創立した

転生者のための学園らしい、何でもその中のひとりはあの神の後継者との事だ

 

 

 

「迷子にならないように手を繋いでいくか?」

「え、えぇっ!?ま、マスターが構わないのなら…」

 

まったく、うやむやになったとは言え仮にも結婚した仲だというのに

一々反応が初々しいやつだ、別に嫌いじゃあないが

 

 

俺はシルクと手を繋いで学園中を歩き回った

馬鹿みたいに広いせいで結局迷子になったけどな!!

 

 

「此処どこだよ……?」

「どうみても森ですねぇ…

 はっ、まさかマスター、二人きりになるのを狙って!?」

「安心しろ、それはない」「ショボーン…」

 

 

しかし参ったな、これじゃあ校舎に着くどころか森からも脱出出来んぞ…

学園生活を送る前に餓死とか酷すぎる

「仕方ないな…、あまり見せびらかしたくないんだが

 シルク、ちょっと飛んでどっちの方角が出口か見てきてくれないか?」

「畏まりました、ちょっと待っててくださいね?」

 

 

スゥッ シルクが剣を鞘から抜く  バサァッ!!

青く光り輝く刃が空気に触れると同時にシルクの背中に白い翼が現れる

 

 

「では行ってきます」「迷子になるなよー」

 

 

 

数分後、シルクが戻ってきた

 

 

 

―――――黄色の生ものを背負って

 

 

 

 

「ふぅっ思ったより軽かったですね…」

「…なぁシルク、俺が何を聞きたいか分かるか?」

「へっ?ああはい、出口はあっちへ真っ直ぐ行くとありましたよ?」

シルクは自分の後ろを指差す、違う…そうじゃあないんだ

「誰だよこいつは…」

 

これが俺とアイツのファーストコンタクトだった

 

 

シルクが言うには、飛んでいる最中に木にぶら下がっていたコイツを見つけた

気絶しているらしく、放っておくのも忍びないので此処まで連れてきたとの事だ

「ZZZ…ZZZ…」「寝てるじゃん…」「寝てますね…」

木にぶら下がったまま寝るなんて中々神経の図太い奴だ

きっと心臓は毛がちょっとしたアフロになっている事だろう

 

「おい起きろ少女、今はまだ朝だぞ」ゆっさゆっさ

「んぅ~…あと5時間…」「もうお昼だよこんにゃろう!?」

 

 

駄目だこいつ全然起きる気がない

ふつー見知らぬ男の声が聞こえたら飛び起きるはずだろ?

誰だってそーする、俺だってそーする

 

「シルク、ちょっとティアに代われ」

「はぁ、何をするんですか?」

 

シルクの体が薄れていき、消える

そして新たに白髪ショートヘアの少女『ティア』が現れる

 

「お久しぶりです主…」

「久しぶりだなティア

 早速で悪いんだがこの馬鹿に冷水をぶっかけてくれないか?」

 

俺は地面にうつむいて寝ている馬鹿を指差す

流石に『寝耳に水』って言うくらいだから起きるはずだ

 

 

「それくらいなら主でも出来るはずでは…?」

「今の俺は制限で魔法が使えないんだよ、聞いてなかったのか?」

「それは失礼…では今の主は無能?」

その発言の方が失礼だ、俺は力いっぱいもう一人の馬鹿の頭をシバく

 

別に良いんだよ、魔法がなくても俺十分強いし

ワルド位なら剣だけで瞬殺できるし

あいつピンク髪と結ばれて良かったなぁ

正直俺が介入した中で一番ハッピーエンド送ってるかもしれない

まぁ今はそんな事どうでも良いんだけど

 

 

「早くしろ」「了解…」ヒリヒリ

 

ティアは痛がりながらも杖を取り出し冷たい水を発射する

 

ザバァン!!  「んぅ? 冷たっ!?」

 

寝ていた馬鹿が飛び起きる

「やっと起きたかこのスカタン」

「んー、誰?」「無能」「お前は黙っとれ」

 

今までうつむきだったから分からなかったが、改めて顔を見る

頭に葉っぱが付いて顔は泥が付いてはいるものの中々綺麗な容姿だ

でも確かこの学園の生徒は全員転生者らしいし、この位の顔は普通だろう

 

 

「まぁー、宜しく無能さん」

「誰が無能か、俺には『ルカ』と言う親から貰った名前がある」

「私はティア、今後とも宜しく」

「へー、私は杏(あんず)って言うんだ、よろしく」

「金髪碧眼なのに和名なのか」

「あんただって銀髪オッドアイの典型じゃない」

「うっさい、これでもちょっと気にしてるんだ」

 

くそっどうせならこれも変えてもらうべきだったか…

なんであの時の俺この顔を選んだし

 

 

「主、私はそろそろ帰って漫画の続きを読みたい

 シルクに交代するけど構わない? 返事は聞いてない」

「ん、あぁ分かった お前俺の中で漫画読んでたの!?」

質問に答える前にティアは消え、シルクが現れる

 

 

「戻ってきました、起きたようですね」

「ちょっと気になる発言を残して帰って行きやがった…」

「この人は誰?」「あっ、私はシルクって言います」

「私はアンズだよ、宜しくね」「はい、宜しくお願いします」

 

 

謎の転生者アンズ、何をしてくるか分からなかったので

若干警戒していたが、ただの怠惰娘らしい

だが漫画とかだとこういう奴に限って実は強かったりするから信用できん

 

 

 

 

森から脱出してシルクのナビゲータを頼りに

数キロほど歩くと、やがて学校の校門らしき場所に出た

 

 

「や、やっと着いたな…」ぜぇぜぇ

「ZZZ…ZZZ…」「あれ、いつの間に寝てたんだこいつ?」

「凄いですねこの娘、手を引いているとは言え

 途中から眠りながら歩いてましたよ?」

 

無駄な所で器用な奴だ、無駄は好きだがこれは好かんな

その器用さをもっと前向きに使えば世界が少し平和になるだろうに

 

「ほら、起きてくださいアンズさん」ゆっさゆっさ

「んぅ……朝?」「ずっと朝ですよ」

「さて…ここに看板がある

 その看板には『新入生は職員室(ココ)まで!』

 と地図と一緒に書かれてある、俺とシルクは今からそこへ行くがお前はどうする?」

 

「シルクにお任せするわー」「へっ?わ、私ですか!?」

「そうか、じゃあ職員室まで行くぞ」「はい!」「りょーかーい」

 

 

 

地図を頼りに校内を歩き、10分ほど経って職員室に辿りついた

 

「まだ~…?」「駄々っ子かお前は」「ほらほら、もう着きましたよ」

「じゃあノックしますね」 コンコンッ

 

 

シルクがノックをして5秒後「どうぞー」という女性の声が聞こえた

 

さっきも言ったがここは転生者たちの楽園だ

 

前の性別がどっちかなんて分からんから、見た目じゃ判断できない

 

だがまぁ、あの声は間違いなく女だ

 

 

「失礼します」ガララッ

 

「いらっしゃい、制服じゃないって事は…貴方たちは新入生ね?」

俺たちに声をかけた女(多分)は水色の髪と赤目で長身な、何と言うかスレンダーな女性だった

 

 

「…?おや、どうやら其処の甲冑ちゃんは違うみたいだね?」

「はい、私はマスター この方の能力です」

「へぇー…」ジッ 「な、なんでしょうか…?」

 

 

「中々面白い人生を歩んできたようね」

「?」「(今の見透かされたような感じ…何かの能力か…?)」

心を読む能力…それかそれと同じようなことが出来る能力だろう

この世界で争う気は毛頭ないが、敵に回すと厄介そうだ

「そして其処の金髪ちゃんは…あら、あなたは私と同じ世界出身なのね?」

「同じ世界?」「教えてもいいかしら?」「別にー」

「そう、私とあの子は『ハリーポッター』の世界から来たのよ」

 

 

ハリーポッターか、魔法体系こそ違うが同じ魔法世界出身だったとはな

コイツが魔法を使ってるところとか想像できん

 

 

「あなたも………まぁ、うん………凄いっちゃぁ凄いわね

 学園長とどっこいどっこいの面倒くさがりだわ」

「なん…だと…!?こいつと同格の奴がもう一人居るのか!!?

 世界の……終わりだ…」 ガクッ

「マスター、幾らなんでも失礼過ぎませんか?」

 

「へぇー神様が言ってた同じやつって学園長なんだー」

「ふふっ、興味ある?」「ないです」「そ、そうよね」

 

 

と言った感じで教諭と話を交えながら階段を上り

2階にある『1-20』というクラスの前で止まった

「教諭、まだ先に教室があるようなんだが…

 一体一年生だけで何クラスあるんだ…?」

「56クラスね」「そんなに校舎広かったですか?」

「それは私ともう一人の先生の能力で空間を広げているからよ

 そうね、自己紹介が遅れたわ

 

 

 私の名前は『ザラスシュトラ・スカーレット』

 

 

 皆は親しみを込めて赤先生と呼ぶわ」

「宜しく赤せんせー」

「スカーレット…という事は

 『運命を操る程度の能力』若しくは

 『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』を持っているんですか?」

「いいえ、私が持っているのは

 『レミリア・スカーレットと十六夜咲夜の良い所を合わせた肉体』

 つまり『運命を操る程度の能力』と『時を操る程度の能力』ね」

 

 

「なんてこった、そんな抜け道があったとは…」

「マスターだってちゃっかり私たち騎士団全員連れてきてるじゃないですか」

「むっ、そう言えばそれに関して何も言われなかったな」

 

「あの神様は以外とその辺寛容よ?

 神様を納得させられる理由がある場合だけだけど

 私の場合は二つとも『自分の肉体』で一括できるからOKって事ね」

「ふわぁ~ふ…」ウトウト

「いけない、長話になっちゃったわね

 さぁ、早く教室に入りましょ?

 貴方たちの自己紹介は其処で聞くことにするわ」

 

 

 

桜咲いたら一年生、そう言われているが

 

この学園に集まった者たちは二度目の死を受け入れたもの

 

言わば『桜が三度咲いた一年生』だ

 

この学園が俺にどんな刺激を与えるのかはまだ分からない

 

だが一つだけ言っておこう…………

 

 

「俺の名前はルカ、ルカ・ベルセルクだ

 容姿の事は気にしてるんだから触れないでくれっ!!」

 

 

以上だっ!!

 

 

 

 

続く

 

 

 




黄金の精神・・・ゴールドエクスペリエンスと読む

黄色い生もの・・・この話のメイン主人公(この話の登場人物は全員主人公です)

赤せんせー・・・スカーレット先生のあだ名、紅先生だとNARUTOになってまう

桜が三度咲いた一年生・・・尚、後にルカの黒歴史となった模様

銀髪オッドアイ・・・テンプレだけどこれを選ぶともれなく踏み台にされる呪い付き




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