The transmigration of Eagle   作:fumei

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後編

 クリスマスシーズンの混雑を避け、1月に入ってからダイアゴン横丁へとやってきたアルタイルだったが、それでもなお賑やかな横丁の様子を見て、早速これからの買い物が憂鬱になった。今日ダイアゴン横丁へきたのは入学許可証と同封されていた紙に書かれていた学校に必要なものを買うためだ。

 

 アルタイルはまずグリンゴッツへ向かい資金の調達をした。両親の残した遺産の管理のためにルシウス・マルフォイと共に前に一度来たきりだったが、道は覚えていた。父のレギュラスはもちろん、病死した母の実家もレイブンクローの名家だったためより大きな金庫へ移す必要があったのだ。

 

「こんにちわ。アルタイル・ブラックの金庫を開けてもらいたいのですが」アルタイルは手の空いている小鬼に話しかけた。

 712番金庫、そこがアルタイルの所有する金庫である。トロッコが扉の前で止まり、アルタイルは小鬼に続いてトロッコから降りた。小鬼が扉の鍵を開けると、そこにはうず高く積まれ今にも崩れそうな金貨の山がある。金貨のほかにも繊細な装飾のされたネックレスや厳重に保管され触れてはいけないとわかる闇の道具がひとまとめに置かれていた。

 アルタイルは十分にお金をバッグに詰め込むと金庫を後にした。再び高速トロッコに揺られ地上に戻ると、アルタイルはマダムマルキンの洋装店へ向かった。はじめに制服のサイズを合わせて、あとでできあがりを取りに戻れば待ち時間をほかの買い物に使えるからだ。

「いらっしゃい。坊ちゃんはホグワーツかしら?」ガラス張りされたドアを開けると愛想の良い、ふくよかな魔女が出迎えた。

「はい」

「じゃあこの踏み台にたって…そうそのままで」そう言って魔女はアルタイルに長いローブを着せかけ、丈を調節し始めた。

「一年生にしては大きいのねぇ」ところどころをピンで留めながら魔女が言った。

「すぐ背が伸びるだろうから大きく作っとくわね。はい、これで終わりよ坊ちゃん。あとで取りに来て頂戴ね」丈合わせはすぐ終わった。魔女に声をかけられるとアルタイルは礼を言い、店を出た。

 

 次にフローリシュ・アンド・ブロッツ書店へ向かった。リストに書かれていた教科書を手に入れると次にアルタイルは自分の自習用の本を探し始めた。既にO.W.Lレベルの勉強を済ませていたため、新しい参考書が必要だったのだ。

 加えて、アルタイルには以前より習得したいと考えている魔法があった。ただしその魔法はホグワーツに着いてからの方が効率が良いので、あくまで予習用だが。

 めぼしい書籍をいくつか購入すると、アルタイルは書店を出た。

 その後、魔法薬に使う錫の鍋や材料の補充、真鍮製の折り畳み式望遠鏡を買った(家にある望遠鏡の方が性能は高かったが、大きすぎて学校に持っていくのには向いてなかった)。

 最後にアルタイルはオリバンダーの店へ寄った。自分の杖の状態を見てもらうためである。以前来たときと変わらず、狭くみすぼらしい店内でしばらく待つと、奥の方から店主が現れた。

「こんにちわ」アルタイルはよそ行きの顔をして挨拶をした。

「六年振りかの? お久しぶりじゃ、ブラック家当主殿……。今回は杖の調整じゃろうか」

やはりというか、店主のオリバンダー翁は前回来たときのことをおぼえているようだ。

 

「はい」

 アルタイルは常に腰に携帯しているホルダーから自分の杖を取り出すと、オリバンダーに渡した。オリバンダー翁は杖を受け取ると表面に指を走らせ、傷や凸凹を調べた。

「そうじゃ、そうじゃ……イチイの木に一角獣の角、26センチ、緻密で堅い」

 次に長い指でクルクルと回した後、「エイビス!鳥よ!」と唱えると杖先から小鳥が数羽飛び出した。しかし、小鳥たちは窓から逃げていくことなく、逆にオリバンダー翁へと飛びかかった。翁は小鳥たちをエバネスコの呪文で消すと、「加えて頑固。そして恐ろしいほど主人に忠実じゃ。上々の状態を保っておる。にしても、前よりも強力になってないかね?」と言った。

 返された杖を受け取ると、アルタイルは曖昧に笑い返した。アルタイルの杖は()()我が強いのだ。

 杖を見てもらった礼を言い、オリバンダー翁に見送られ、アルタイルは店を出た。

 その頃には、空は薄暗くなっていた。アルタイルはマダムマルキンの洋装店で制服を受け取ると、急いで帰途についた。クリーチャーの作った夕食に間に合わないのは申し訳ないと思ったからだ。

 




…短いですね。次から頑張ります。

アルタイルの原作知識はかなり適当です。詳しいところとかは覚えてない。多分周りの人との話題作りのために軽く読んだっきりとか。賢者の石が預けられている金庫が713番で、シリウスが711番ですが本人はそんなこと知りません。

アルタイルの杖はイチイの木に一角獣の角。多分、ヴォルさんと同じ木だったり、ドラコやロンと同じ一角獣かも。そして、めちゃくちゃ頑固。主人以外が使おうとすると反抗します。

また、ブラックの家には強力な保護呪文がかけられているせいで郵送物が届きません。だから購入したものも全部手持ち……。なのでアルタイルは探知不可能拡大呪文と軽減呪文のかかったバッグを持って行ってると思います。
入学前はこれで終わり。次からはいよいよホグワーツへ向かいます。

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