規格外れの英雄に育てられた、常識外れの魔法剣士   作:kt60

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戦後処理・ミーユ編

(だきっ………!)

 

 屋敷に戻ると、マリナがいきなり抱きついてきた。

 

「ええっと、マリナ……?」

「………。」

 

 マリナはなにも言わなかった。

 

(ちゅっ………。)

 

 なにも言わずにキスをしてきた。

 

「したい………。」

 

 と言って、自身の巨乳をさわらせてきた。

 頬を赤らめ求めてくるのは、いつものマリナと言えばマリナだ。

 

 しかしあんな戦いがあったあとに『いつものマリナ』をしているというのは、やはり

おかしい。

 なにかを隠し、誤魔化そうとしている雰囲気もある。

 恐らくなにかあるのだろうが、マリナの意思を尊重した。

 寝室に入り、たっぷりと楽しんだ。

 

「はあっ………、はあっ………。」

 

 コトが終わった。

 マリナがオレにしなだれかかる。

 

(ちゅっ………。ちゅっ………。)

 

 そしてかわいくキスをしてくる。

 

「ご、ご主人さま……!」

「わたくしたちのことも、よろしければ……」

「今日はいっぱい、サービスするぜな!」

 

 ミリリたちもやってきた。

 五人でするにはすこし狭いベッドであったので、お風呂場に移動する。

 ミリリを抱いてリンを抱き、カレンにおっぱいで挟んでもらった。

 なにを挟んでもらったかは、想像に任せる。

 

 体を丹念に洗いっこしたあとは、湯船に入る。

 

 マリナとカレンが両隣に座り、ミリリがオレの足のあいだに納まる。

 オレはマリナを抱き寄せ言った。

 

「それでいったい、なにを隠しているんだ?」

(びくっ。)

 

 マリナの体が小さく震えた。

 

(………。)

 

 なにも言わずに、オレの肩に顔を押しつけたまま黙る。

 

(すりすりすり。)

 

 まるで誤魔化すかのように、顔をこすりつけてきた。

 

「話さないといけないことなら、話しておいてほしいんだけど」

「おこらない………?」

「怒らない」

 

「ぜったい………?」

「絶対」

「やくそく………。」

 

 マリナが小指を立ててきた。

 歌はなかったが、お互いに結び合う。

 

「………。」

 

 しばらくそのままでいたが、マリナは静かにオレから離れた。

 湯船からあがる。

 

「きて………。」

 

 と手を伸ばされたので、手を握る。

 

「浴場の掃除は、わたくしたちがしておきます……」

 

 全裸のリンが、デッキブラシを持って言った。

 行為の余韻で頬が赤らみ目はとろけ、股のあいだから垂れた精液が太ももを伝ったりはしているが、仕事は仕事でやるようだ。

 

「ミリリもしますです……にゃあ」

「任せるよ」

「はい……」

 

 脱衣所で服を着る。ゆっくりと歩く。

 向かう先は、ミーユの部屋として使っていた客間。

 マリナはノックし、ドアをあけた。

 

「ミーユ。」

(びくっ!)

 

 部屋の隅で影が動いた。

 うずくまっているせいでわかりにくいが、服と髪から、ミーユだろうな、と思った。

 部屋にいたリリーナが言った。

 

「しょ、少年か!」

「うん」

 

 リリーナに返事をしながらも、オレはミーユをじっと見ていた。

 マリナがオレの手を離す。ミーユに近づき、耳打ちをした。

 

(こしょこしょこしょ。)

「ほんと……?」

「うん。」

 

 ミーユがオレのほうを見る。

 不安に満ちたその目の色は、捨てられかけた子犬のようだ。

 

「えっと……、あの……、その……」

「うん」

「ボク……言ったでしょ? 赤ちゃんが……って」

 

「言ったね」

「それがどうしてそう思ったのかって言うと、毎月くるのがこなかったから……なんだけど」

「うん」

 

 そしてミーユは、ぽつりと言った。

 

「きちゃった……」

 

「え……?」

 

 オレは呆然とした。

 一般的な婦女子であれば、当たり前にくる月のもの。

 

 今月のミーユは、それが全然こなかった。

 ゆえにミーユは、できてしまったのだと考えていた。

 その報告を父母にした結果、絶縁されて学校をでて、戦争にまでなった。

 

 それらの経緯を考えた上での、『きちゃった』である。

 オレが呆然としていると、オレのミーユは、頭を抱えて地に伏した。

 

「ふえぇん……」

 

 リリーナが言う。

 

「話を聞いたところでは、ミーユは、避妊魔法を三重にかけていた。

 強力な術師がそれをすると、月のモノ自体が止まることがある。

 平凡な術師がやってもそうはならん上、強い魔術師がやっても体質差があるため一般的には広まっておらんがな」

 

 すこし前にした会話を思いだす。

 

『使ってたよね……? 避妊魔法』

『使ってたよ! 特に最近は激しかったから、解けないように三重で!!』

 

 オレやマリナに比べると一段劣るが、ミーユは強い魔術士だ。

 条件的には、完全に一致する。

 

「ふえぇん……」

 

 うずくまったミーユから、本日二度目の『ふえぇん……』が聞こえた。

 

「はははは……」

 

 オレの口から、乾いた笑いが漏れてきた。

 複雑な気分だ。

 

 怒りとかはないのだが、なんにもなしというのも違う気がする。

 だがしかし、悪いことをしたわけではない。

 ただちょっと、カンチガイをしただけだ。

 しかしなんにもなしというのも、どうかと思ってしまう程度には複雑だ。

 

「父さんには伝えた?」

「すでにわたしが伝えておいた」

「父さんは、なんて?」

「『我が息子レインを好いておるのが事実なら、ワシにとってはそれがすべてじゃ』と言っていたな」

 

 さすがは父さん。最高の父親だ。

 ただオレのほうは、そこまで人間ができていなかった。

 ミーユの月のモノか納まった時期を見計らって、ミーユを抱いた。

 避妊魔法を使おうとしていたが、邪魔してやった。

 

「ああっ、だめっ、だめぇ! 赤ちゃんできちゃう、ホントにできちゃうぅ!」

「だめだってばぁ! レイン! レインんッ!!」

「はあッ、あッ、あッ、もう……、だから……、だめっ、だめっ……。はあぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!!!」

 

 といった感じで喘いでいたが、容赦はしなかった。

 できるならよし。できないのなら、時期ではなかったということで諦める。

 そんな感じだ。

 結論から言うと、できなかったけど。


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