超次元ソードアイズ ネプテューヌBS   作:アポロ雄将

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 ゲイムギョウ界
 
 現実世界とは異なる電脳世界。有機物、無機物ほぼ全てデータ化されて形になり、どんな物であろうとも概念があれば再現される。
 ゲイムギョウ界に入る方法は未だに不明。



17Nep「神速の女神、今ここに来たり」

 炎の竜巻から逃れるため、ノワールの逆方向へと飛び込んだわたくし―――――――ベールは巻き込まれることなく避けることが出来ましたわ。

 怪我はないのはいいのですがノワールとはぐれてしまいましたの。

 もしスピリットとの戦いでわたくしは不利ですし、一刻も早くノワールと会って例のスピリットを探さなくてはなりませんわね。

 

 そう悟ったわたくしは急ぎ足で例のスピリットを探しますが、この瓦礫の中で見つけるのは困難―――――――――おそらくカード化して身を潜めているをわたくしは思いますが――――――――

 

 『誰か……いるのか……?』

 

 息が荒いこの声――――――誰かがわたくしの魂に直接問いかけるような感じがしました。

 辺りを見回しても誰もいない。まさか逃げ遅れた市民が!?

 わたくしが異国の女神だとはいえこの状況は放っておけませんわ!早く助けないと命に関わる可能性がありますわ!

 

 「どこにいますの!?」

 

 危険を感じたわたくしは数多くの瓦礫をどけていきますが人の気配が全くありません。一体、どこに埋まっているのですの!?

 

 『……ここだよ』

 

 足元から老年の方の声が聞こえる……。足元の瓦礫をどけると、一枚のカードが挟まっていました。

 そのカードには緑のカマキリの怪虫の絵が描かれていましたの。

 

 『いやぁ、なかなか見つけてもらえんかったかったからこのままここで暮らすことになるかと思ったぞ。しかし、女子(おなご)のパンツを見れるならそれはそれでよかったかもしれんな』

 

 余計な一言のせいでわたくしは掘り出したことを後悔しました。

 いっそのこと埋めなおそうとした動きを取ろうとした時――――――――

 

 『待った!待った!冗談だ!!』

 

 冗談はほどほどにしろと言わんばかりにため息をつき、埋めなおすのをやめて岩場に座りましたの。

 

 『しかし、よくワシの声を聞きとれたの。本当ならカードを持つ者しか聞こえんはずだが……』

 

 「そうですの?」

 

 『如何にも。もしやお主、まだスピリットを仕えておらぬのか?』

 

 わたくしは老年のスピリットの質問に対して頷きました。

 

 「もしそれが本当でしたら、わたくしはこうしてあなたと会話が出来るのが不思議に思いますわ」

 

 『そうだろうな。ワシもそう思ったところだよ』

 

 心当たりのある記憶を探ってみますがなかなか見つかりません……。いつわたくしがカードを手に取ったかも思い当たりませんし。

 

 『このまま下手に逃げても捕らわれるだろうし、ワシはこの美しい女子の手で羽休めとするかの』

 

 手の平の上で虫を休めるのは変な気分ですわ。カードですが。

 

 『ところでお主、ワシのように立派な趣味はあるかの?』

 

 人のパンツを見るのが趣味のおじさまはあまり立派とは言えませんわよ?と、言いたいのですがここは心の中にしまっておきましょう。

 

 「そうですわね……やっぱりオンラインゲームですわ」

 

 『おんらいんげぇむ……?聞いたことがないの』

 

 スピリットにはそういう文化がないようですわね。ならここで説明しておかなければゲーマーの名が恥じますわ!

 

 「オンラインゲームは、電子機器を使って娯楽を楽しみながらコミュニケーションを取るんですの」

 

 『ふむ……まるで白の世界だな。』

 

 「ゲームですので何度やられてもやり直せますし、本当の戦いのように傷つくことがほとんどないので安心してプレイできますわ!」

 

 「そんなのがこの世界にあるのか」

 

 少し興味を持ってくれたのでしょうか?それなら奥深さを話す必要が――――――――

 

 『そんなことよりも、なにか臭うが?』

 

 自分で聞いておいて別の話に逸らされるのはショックですわ……。

 それに臭う?このおじさまなんなんですの?デリカシーというものがありませんの!?

 

 『お主、錆びた剣を手にしたか?』

 

 「え?はぁ……確かに手にしましたが」

 

 そういえばノワールに妙な剣を見せる時、直接触りましたわ。

 

 『その剣、今どこにあるのかの?』

 

 もしかしたらあの妙な剣の正体のことをなにか知ってるかもしれませんわ。そう感じたわたくしはケースから妙な剣を外に出しました。

 

 『おぉ!これはまさしくワシ愛用のソードブレイヴではないか!』

 

 「やっぱりそれはソードブレイヴですの!?」

 

 おじさまの歓声と共にわたくしも喜びました。あの時――――――――草原で調査した時に持ち帰って正解でしたわ!

 

 「うむ。あとはソードブレイヴを元に戻すだけだが、肝心な剣眼を持つ者がいなければこの錆びは取れん」

 

 「剣眼……そういえばノワールがお持ちでしたわよ?」

 

 『残念ながら、あの女子ではこの錆びは取れん』

 

 「え?どうしてですの?」

 

 確かノワールはあのミッドナイトサンというソードブレイヴを使っているので、剣眼の力で錆びを取ることができるはずですが……。

 

 『ソードブレイヴの力を発揮させるにはどの色の剣眼でもいいというわけではない。闇の白のソードブレイヴには闇の白の剣眼を、闇の緑のソードブレイヴには闇の緑の剣眼を。このように鍵穴に合った鍵を挿し込まなければならないと同じことだ』

 

 「つまり、このソードブレイヴは闇の白ではないと?」

 

 『うむ、その通りだ。このソードブレイヴの錆びを取るには闇の緑の剣眼を持つソードアイズが必要なのだ』

 

 この事実を聞いてわたくしは困りましたわ。まだ闇の緑の剣眼を持つ方が見つかっていませんし、このままわたくしが持っていても宝の持ち腐れですわ。

 

 『ふむ、残念だがここに用事はないということだな』

 

 「行ってしまいますの?」

 

 「闇の緑の剣眼を持つ者がいない以上、ここに留まる必要はない。が――――――――――」

 

 突然—――――――誰かがわたくしの横を勢い激しく通り、その方は横に転がりました。その方は-―――――――

 

 「ノワール!」

 

 ノワールが傷だらけで倒れている姿がわたくしの目の前にいましたの。

 

 「まだ……終われない……!」

 

 『GATE_SHUT(ゲートシャット)

 

 コールと共に女神化が解除され、戦闘不能に追い込まれている状況になっているとわたくしはこの場で理解しましたわ。

 

 「思ったより大したことはなかったか」

 

 龍の鱗を纏った鎧の方が雄々しい腕で砂埃を払い除けました。

 

 「さあ、大人しくソードブレイヴを渡して貰おうか」

 

 仮面越しの威圧でノワールに迫ります―――――――――――――

 

 「断ると言ったら?」

 

 ノワールは腕を抑え、強気で言います。

 

 「殺してでも奪い取る」

 

 鎧の方はデバイスの銃口をノワールに向ける。

 

 「お主の名を聞いてなかったな。ワシはディアボリカ・マンティスだ」

 

 「ここで名前を明かしますの!?」

 

 唐突すぎて訳が分かりませんわ!

 いえ、まさかですがわたくしを試しているのでは?でしたら――――――――

 

 「ベールですわ」

 

 「ベール殿、お主はどうするのか?友を見殺しにするのか?」

 

 「それは―――――――――」

 

 決まっていますわ。

 

 わたくしはただここで黙って見るだけで終わらせませんわ。だから――――――――――

 

 「ディアボリカ。力を貸して貰えませんか?」

 

 「お主が闇の緑の剣眼であるならばの」

 

 それが条件――――――――もしわたくしが剣眼を持たなかったらノワールは死ぬ。

 

 「そんなのわたくしは……嫌に決まってますわ!」

 

 今までシェアを奪い合い、時には良き友人としてゲームを共にする方がいなくなるのはわたくしが許しません!だから――――――――

 

 その時―――――――不思議なことが起こりました。

 

 突然、錆びた剣が希望満ち溢れる光りを放たれましたの。

 

 「ん……?」

 

 鎧の方は銃口を下げ、様子を伺うように目線をこちらに向けました。

 

 「これは……?」

 

 突然の出来事で言葉を失う―――――――ですが

 友を失う寂しさから怒りに変えることで、錆びた剣の封印が解かれた――――――――――なんとなくそんな気がしますの。

 

 「やりおったのベール殿。どうやらワシも共に戦う義務を果たす時が来たようじゃの」

 

 戦う――――――――それがこの現状を覆す唯一の手段。

 

 「さあベール殿、ワシの力を思う存分に使いくだされ」

 

 ディアボリカがそう言い残した直後、彼の体と剣が闇に包まれてカードと化しました。

 それを手に取るわたくし―――――――――――この2枚のカードがわたくしに未来を託されました。

 

 「ベール!これを使いなさい!」

 

 ノワールから投げ渡されたのは、彼女が使っていたデバイス――――――――――――――ポタスピと38枚のデッキ。

 このデッキに剣とディアボリカを入れればデッキが完成され、わたくしは戦闘に加入することができる。

 

 早速二枚のカードをデッキに入れ、デバイスを腰に巻きました。

 ノワールがやっていた通りにやればわたくしも……!

 

 『Standby……』

 ポタスピの起動ボタンを押してデッキを挿入、そして―――――――――

 

 「アクセス!」

 

 掛け声とともに再度ボタンを押す―――――――――

 これにより自動的に女神化状態になり、プロセッサ・ユニットが闇に包まれて黒緑(こくりょく)の蟲の王を連想させる装備に変わる。

 

 「これがわたくしのカードバトラーとしてディアボリカ・マンティスの力を統合した姿、女神グリーンハート……マンティスフォーム!この力が闇に変わろうとも、守護女神としての義務は変わりませんわ!」

 

 手元に槍が召喚され、わたくしは戦う姿勢に構えました。

 

 「まずはそっちのほうをお手並み拝見としようか。こいつはいつでもソードブレイヴを奪える」

 

 標的をノワールからわたくしに変わり、鎧の方は飛び込んで襲い掛かる。

 振り下ろす龍の鉤爪に対し、神の加護を受けた槍で向かい打つ――――――――

 

 互いの勢いから衝撃が発し、弾かれる。

 

 その隙を見過ごさずわたくしは後ろに回り、槍を振り上げる。

 

 鎧の方は不意を突かれた瞬間を受けきれず、尻餅を着く。

 

 その瞬間を狙い、迅速の一突きで狙いを定める。

 

 鎧の方は右に転がり、見事避けました。

 

 「さすが戦闘に長けていることだけありますわね、ならば!」

 

 デッキからカードを4枚引き、【ダーク・マッハゾー】【ダーク・ディオマンティス】を召喚。

 

 二体のスピリットは相手に容赦なく叩きのめし、特攻をかけましたの。

 

 「ちぃ!目障りな虫けらが!」

 

 その隙にもう一枚――――――――闇の緑のソードブレイヴ【黒蟲の妖刀ウスバカゲロウ】を召喚しました。

 

 「さあ、行きますわよ!」

 

 ウスバカゲロウを手に取った途端――――――――槍とウスバカゲロウが光りだしましたの。

 

 「これはもしや!」

 

 わたくしの勘をそのまま行動に―――――――妖刀と槍を繋ぎ合わせました。

 

 「完成ですわ!神器化!【妖の長刀(あやかしのなぎなた)ウスバカミキリ】!」

 

 女神のみ使える神器化―――――――まさかこのように使えるとは!

 

 攻撃面積が広がったこの武器で、立ち上がった瞬間を狙って切り裂く―――――――

 

 「こんなもんッ!」

 

 鎧の方はバク転して避け続ける―――――――――でしたら!

 

 「もう一体!」

 

 さらに【ダーク・マッハジー】を召喚して追い打ちをかけるまで!

 

 「甘い!そんな小細工で勝てると思ったら大間違いだ!」

 

 Uターンして背後から迫るダーク・マッハジー。

 

 「てやっ!」

 

 後ろにバク転し、ダーク・マッハジーを踏み台にして高く飛び上がる―――――――

 

 「これで終わりだッ!」

 

 勢いに任せて鉤爪を振り下ろす鎧の方――――――――この瞬間にわたくしはデッキからカードを一枚引いた直後、カードの力を発揮―――――――

 

 『Flash!』(フラッシュ)

 

 マジックカード【ストームアタック】で相手を吹き飛ばしました。

 

 「この女神ッ悪運が強いぜ……ッ!」

 

 相手が無防備な体制を晒している隙を狙い、ウスバカミキリが放つ緑の光刃(こうじん)が体を切り裂く。

 

 「やばいッ!」

 

 危機感を感じた鎧の方は前腕で刃を防ぐが―――――――――

 

 切り裂いた次の瞬間―――――――――――腕が切断され、体に大きな傷を付けることになってしまいました。

 

 「あっ……!しまっ……!?」

 

 やり過ぎたと気づいた時―――――――鎧の方の正体を知ることになりましたわ。

 

 本来なら血が噴き出すはずですが、この方は違いました。鎧の方は腕から無数の線と断線して火花が散る光景をわたくしはこの目で見ましたの。

 

 「ふむ、あなたの正体がまさか人間ではないとは驚きましたわ」

 

 人間ではない―――――――それ以外の正体――――――――――それはわたくしが今まで見たことのない最新鋭の戦闘型ロボットですわ。

 

 「フッ……これを見られちゃ仕方ねぇな。そうだ、俺は見ての通りロボットだ。人型以外のスピリットがこの次元の社会に溶け込めるように試験段階で特別に試させてもらっているんだよ」

 

 社会に溶け込めるように……試させてもらっている……?

 

 「どういうことよ?まるで意味がわからないわ!」

 

 困惑しているのはノワールも同じようですわ。

 

 「俺は元々、【太陽凶龍アポロ・ガンディノス】という赤のスピリットだ。俺のカードは今、この体のソフトウェア―――――――つまり脳ミソとして頭に埋め込まれている。つまり今の俺は人間がいなくてもカードバトラーをやっていけるんだよ」

 

 そんな技術がいつの間にこのゲイムギョウ界に!?

 

 「いい時代になったよなぁ……?カードバトラーがスピリットでもやっていける時代になってよ!」

 

 まさか知らない間にこのような事態になっているとは思いもしませんでしたわ。

 

 「当然、俺以外にもいる。まだ数えるくらいだがな」

 

 「そいつらはどこにいるのよ?答えなさい!」

 

 ノワールは焦っているのか感情的になって問い詰めました。

 

 「さあ?俺は知らねえよ。あいつらも意思を持つんだ、勝手にどっかの国でドンパチやってるかのんびりしてるかのどっちかだ」

 

 「ま、そんな訳だから俺ら【スピリットロイド】を見たら相手にしてやりな」

 

 スピリットロイド……それが彼らの機体の名前……。

 

 「いいか?この世界ももう既にスピリットだらけだ。この世界に慣れてない俺たちは自ら国を立ち上げるため、お前たち女神が造った社会に溶け込む必要がある。この世界で生きるために必要なことを知るためにな」

 

 国を築き上げる?スピリットだけで?

 でも今更、国を築き上げることなんて不可能にしか思いませんわ。

 

 「今更国を築き上げるなんてできないだろうって思ってるんだろ?ま、今はそうだろうな」

 

 人の心の声を読み上げるように言って……!

 

 「だが一つ忠告しておくぜ!裁きの神剣の封印が解かれたときが本当の闘いが始まることをな!その時はカードバトラーがお前たち人間や女神だけじゃねぇってことをよ!」

 

 捨て台詞を吐いた瞬間――――――――鉤爪で砂埃を起こして姿を隠し、収まった時は既に消えてました。

 

 「あいつが言うには、ソードブレイヴとソードアイズが集まっただけじゃ終わらないらしいわね」

 

 ノワールは立ち上がり、あのアポロ・ガンディノスが今まで述べた言動を考察し始める。

 

 「とにかく、裁きの神剣の存在は封印されたソードブレイヴを解く鍵になるスピリットやソードアイズだけが知ってるわけじゃないことは明確ね」

 

 さっきの言動を思い返せば、そうなりますわね。

 

 「ですがなんの為に裁きの神剣を?」

 

 「それよね。世界を創り直せるとはいえ、まさかリセットまではいかないでしょう」

 

 もし仮にそんなことをすれば、いったい何のためにこの世界にスピリットが送られてきたのか疑問になりますわ。

 

 「とりあえず、闇の緑の剣眼を持つソードアイズも見つかったことだし、これで3人目ね」

 

 そうでしたわ。こうしてディアボリカがわたくしに力を与えてくれて、ソードブレイヴの封印がわたくしの手で解かれたのでわたくしが闇の緑のソードアイズだということになりますわ。

 これで3本目のソードブレイヴが復活し、残りのソードブレイヴが9本になりましたわ。

 この先、どうなるかわかりませんが早いところ終わらせなくてはなりませんわね。

 

 Save_The_Data……

 

 





 久々に投稿出来ました!アポロです!
 もう1話を投稿してから3年経つのか……早いもんだなぁ……。神煌臨編が始まってから約3ヶ月!キーワード能力が新たに追加されてネタに困る!そんな感じでキーボードを無心に叩きますがどうしてもやりたいシリーズがあるけど、段階をちゃんと1歩ずつ踏み出さないと話が付いていけない……。
 それはさておき、まだネプテューヌ編は終わっていませんが新シリーズのプロジェクトの開始も考えてます!終わるかどうかは……わかりません!が、終わらせるつもりで頑張っていきますのでよろしくお願いします!ターンエンド!

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