【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO 作:MYON妖夢
僕がかけていない間にお気に入り400、感想100突破!皆さん本当にありがとう誤差います!!
「十二人……チッ、めんどくせぇな」
「どうする?」
「どーするってたってなぁ……アルン目指してるシルフ部隊ってわけでもねぇよなぁ……まぁ、さしずめサラマンダーが俺らをつぶしに来たと考えるのが妥当ってとこだろうな」
そういって仁は背中の紫色の翅を確認する。彼はインプであるため洞窟内でも飛ぶことができる。
「一気にルグルーまで走るか、隠れるか。だな」
その仁の意見にはリーファが反論する。
「さすがにここからルグルーまで走るのは無茶だよ……いったん隠れてやり過ごそう?」
「私は隠れても無駄だと思うんだけど……。どうする?」
「しゃーなしだ。さすがに俺も三人抱えて飛ぶわけにはいかねぇからな」
話についていけていないキリトをほっぽって話が進んでいく。
仁が近くの岩陰に身を隠すのを見たシノンが仁に続いて岩陰に隠れる。少し遅れてリーファがいまだに頭の上に?マークを浮かべてるような表情のキリトを引っ張って岩陰に走った。
「俺はまだこの世界来たばっかりだからな。どっちか隠蔽系魔法頼む」
「わかった」
シノンが二言三言口の中でつぶやく。すぐに水色の薄い膜のようなものが岩の端っこから横に伸びてきて、四人の身を向こう側からかくす。
「へぇ……便利なものがあるんだな」
キリトが感嘆するように声を上げた。
「そりゃそうだ、ここは魔法の世界だからな。どーせお前は魔法つったら回復系と攻撃系のもんくれぇしか……あ?」
「どうしたの?」
「……いや、索敵スキルになんかが引っ掛かった。こいつは……サーチャーだ!」
仁が叫ぶと同時にリーファが水色の膜から身を躍らせる。体制をととのえていないうちに魔法の詠唱を始めた。
「お……おいなにを」
「火属性……サラマンダーか。リーファが奴をつぶしたら走るぞ!」
「だからなんなんだって!?」
「サーチャーよ! 潰さなきゃこっちの場所が明確にばれるわ!」
シノンがキリトの問いに叫んで答えると、キリトの顔つきも戦闘中のそれになる。
キリトが遅れて走り出したと同時にリーファの指先から黄緑色の針が連続で放たれる。コウモリが数に圧倒されて落ちるのを確認したリーファもそのまま後ろを見ずに走りだした。
「……っていうかおいてかないでよー!」
先頭の仁と一番後ろのリーファの距離はかなり離れている。実質見捨てたようにしか見えない。
リーファが何とか追いついたころにはルグルー手前の橋に差し掛かる少し前だった程に。
「ッ! 後ろぉ!」
仁がそう叫ぶと同時に橋に足がかかった。
後ろから飛んできた魔法弾は仁たちの頭上を越え、ルグルーへの出口の穴へと着弾する。その着弾点から岩の壁がせりあがる。
「チィ!」
仁はそれを見て急ブレーキをかけ、後ろに体を向ける。他の三人もそれにならう。
「おおおぉぉぉおおお!!」
……訂正。キリトを除く二人は急ブレーキをかけたが、キリトは走った勢いのまま岩に剣を突き立てた。当然その体は弾かれ、岩から吹き飛ぶ。
「……キリト君? それ物理攻撃きかないよ?」
「くっそー……」
「おい、コントしてる暇はねぇぞ。敵さんのお出ましだ……」
仁の言葉通り向こう側の穴から真っ赤な装備を付けた連中が現れた。数は十二。ユイの報告通りの人数だ。
原作通りの位置にあの岩が発生すれば、多少無理してでも仁が三人を抱えて飛ぶことで戦闘が回避できたが、今回は出口だ。飛んでも無駄となる。
「しゃーねー。やるっきゃねぇか」
そういって背中のレーヴァテインを引き抜く。そこまでの回数使っていないはずのその炎剣は、なぜかとても手になじむ。
装備している間は仁のHP防御力共に低下しているのだが、それを考えることなく、それをふるう。
仁が武器を取ったのを見たシノンがいつでも弓矢を放てるように軽く矢を弓につがえる。
「――セイッ!」
キリトが我先にと引き抜いた剣を構え、地面を踏みしめる。その体はその推進力により前へと飛び出す。
それを見たサラマンダー部隊はどこまでも冷静だった。前に出てきた三人が巨大な盾を前に突き出すことで十二人を完全に覆い隠す。キリトの剣は横なぎに盾にぶつけられ、はじかれる。
「かてぇか……」
仁はもはや逃げに使う必要性のない羽根を展開する。紫色の翅は背中からすらりと伸び、わずかな光を放つ。
その羽は振動を開始する。仁の体は中に浮かび上がり、サラマンダー部隊の居る橋を飛び越え、反対側の橋から飛翔して襲い掛かる。
「な……にぃ!?」
仁の戦いはサラマンダーには一度も見られていない。そのせいかインプであるという情報もなかったようで、後ろには盾部隊を用意していなかったらしい。
しかし、流石の状況判断により、すぐにメイジの隊長らしき男が高速詠唱による火炎弾を放ってくる。
「邪魔だ」
仁はそうつぶやくとともにその一撃を簡単に回避する。仁が回り込んでいたことを視認していた数人のメイジが前のキリトを盾部隊にガードさせながら後ろへと連携した火炎弾を放った。
前方と後方に同時に火炎弾がはなたれた。キリトの方は被弾したようでリーファの詠唱する声が聞こえる。
一方仁の方は――
「おせぇよ」
そういった仁がレーヴァテインを水平に横に振る。それを見たメイジが軽く笑う。ただの斬撃では魔法は撃ち落せないことを知っているからだ。
しかし、彼らの度肝を抜く事態が発生した。
「レーヴァテイン!!」
仁が叫ぶと同時、レーヴァテインの水平にないだ軌跡から真っ赤に光る炎が発生する。その炎は魔法弾をも飲み込みさらに燃え盛る。
それだけではなかった。仁が伸ばした右手に持っているレーヴァテイン自体もその赤い刀身を包むように莫大な量の炎がレーヴァテインからほとばしっていた。
「これが、レーヴァテインのエクストラ効果、《炎の刻印》だ。燃え尽きろ」
そう仁が接近しつつ言い放つと、サラマンダー部隊の約半数の顔が青ざめた。
さらに立て続けに何かの咆哮が発生した。その場にいたすべてのプレイヤーの視線がその地点へと注がれる。
「……グリームアイズ・ザ・ブラッドってか」
あれは、キリトが一つの自分を乗り越えた敵である。幻惑魔法を使う時に無意識にそのイメージが強く前に出てきたのだろう。
キリトが盾部隊をつかみあげ、地面にたたきつける。仁が後ろから炎をまとったレーヴァテインをふるい、数人のサラマンダーを切り裂き、焼き殺す。
「くそ・・・・・・くそおぉぉぉぉ!」
生き残っていたサラマンダーが二人に挟まれる。
橋から飛び込もうがキリトに掴まれるか仁にキャッチされるかのどちらかだろう。
「・・・・・・参った・・・・・・殺せ」
キリトが人間の姿に戻る。仁も羽根をしまい、レーヴァテインの炎を消して先頭体制をとく。
リーファやシノンも同様に武器は納めないにしろ構えを解いた。
仁は相手の転がっている武器を入り口付近に蹴っ飛ばす。
ユイはその状況でも『凄かったですねぇ~』などといっている。
「いや、殺しゃしねぇよ。そのかわり・・・・・・」
仁の表情が変わっていく。口の端をつり上げ、不適な笑いと共にいいはなった。
「情報をはいてもらおうか。誰の命令かどうかもな」
それを聞いたサラマンダーは顔をしかめて言う。
「誰が仲間の情報など・・・・・・」
そういって両手をかざして魔法を唱えようとした。・・・・・・したが。
「ならば、物は相談なんだが君」
真っ黒が近づいて左手を振ってウィンドウを操作し始めた。
「これ、今の戦闘で俺がゲットした装備と金なんだけどな。俺たちの質問に答えてくれるなら全部あげちゃおうかなー。何て思ってるんだけどなぁー」
「・・・・・・マジ?」
「マジマジ」
両者がニヤリと笑い会うなか、女性陣と男一人がため息をつく。
「お前ってやつは・・・・・・」
「なんか男って・・・・・・」
「なんというか」
「みもふたもないですよね」
「一緒にすんじゃねぇよ・・・・・・」
ひととおり笑いきったサラマンダーは、表情を引き締めて語り出した。
「作戦、ね。世界樹攻略じゃねぇでかいことっつーと・・・・・・」
仁が最後まで言う前に隣のシノンが言う。
「・・・・・・領主?」
「えっ!?」
その呟きに、リーファが声をあげる。
「さぁな。さっきも言ったが俺みたいな下っぱには一切と言っていいほどに情報がこないからな。・・・・・・さっきの話。ホントだろうな?」
後半はキリトにむけて放たれた言葉であろう。
「取引でウソはつかないさ」
そういってウィンドウを操作し始める。恐らくサラマンダーには入手したアイテム欄が見えているはずだ。
交換が終わったあと、サラマンダーはもとの方向に戻っていった。
「さっき大暴れした悪魔。キリト君なんだよねえ?」
「んー、多分ね」
「多分って・・・・・・」
「こいつは昔からこうなんだよ。ブチ切れると戦闘中のことなんかふっとんでんだよ」
「うわっ、こわっ」
「というか、それは仁にも当てはまるんじゃない?」
「・・・・・・かもな」
そういって苦笑する仁。そしてふと思い出したように。
「そういやリーファ」
「ん?」
「さっきのメッセ。なんだったんだ?」
「あ」
さも完全に忘れていた。と言わんばかりの顔をしたリーファは慌ててウィンドウを操作し始める。
「忘れてた」
「おい」
ウィンドウをしばらく眺めたあと、首をかしげて言う。
「何よ、寝ちゃったのかな」
「一応向こうで連絡とってみたら?」
「取り合えず、ルグルーまで行かないと、モンスターに襲われるかも知れないわ」
「ああ。幸いすぐ目の前だ」
はい。大変遅くなり、申し訳ない。
これと言うのも受験勉強が過酷になってきたから……と、言い訳をさせてください。
にしても、仁くんがまたチートになりそうです。まぁ、次回作はもっとチートになりそうな感じにプロットがくみあがってきています。そこのところは、ご了承ください。
高校に行けたら、執筆速度を戻していきたいですな。……昔みたいに1日一話出したいです。
物語の構成は出来上がっているんです。けどスランプと忙しさが相まって書けないんです。なので、いましばらく待っていて頂けると助かります。
では、次回も宜しくお願いします!