【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO   作:MYON妖夢

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 はい。久しぶりですね。投下します。


第四十二話 ルグルー回廊

「邪魔だぁ!」

 

「おおおっ!」

 

 彼らの現在地はシルフ領の北東に位置する古森。そこでエンカウントした【イビルグランサー】と戦っている……のだが。

 

「なんていうか……」

 

「あの二人が相手だと……」

 

「「もはやむしろ敵モンスターが可哀想……」」

 

 女性陣のそんな呟きを余所にエンカウント→速攻殲滅の流れを繰り返している二人。カース系の魔法を使う暇すらない。使ったとしても次の瞬間には切り落とされていると言うイビルグランサーに同情したくなる状況が出来上がっている。

 

「あーもの足りねぇ。弱すぎる」

 

「まあ、最初の辺りの敵じゃこんなもんだって」

 

「お疲れ」

 

「なんていうか……無茶苦茶な戦いかたね。二人とも」

 

「自覚してらぁなけどこれが一番俺にゃあってるからな」

 

「俺も。一気にやるほうが早く終わるし」

 

「仁は前からそんな感じだよね。リスクを背負って戦うって言うか」

 

「重々承知してるよ。ほむらにもそれでしょっちゅう怒られてたしな」

 

 そう言って苦笑する仁。そしてその会話を聞いているリーファは前にどんなゲームをしていたのかが気になった。

 ここまでの戦闘技術はリーファもあまりお目にかかることがない。このゲームではプレイヤー本人の運動神経と反射神経がキーになってくるため、前のゲームも戦闘系考えをつけた。

 

「でもね。今回みたいに一種構成のパーティーならまだしも、近接と遠距離とか、プレイヤーのパーティーと戦闘になったりしたらどうしても魔法で狙い打たれるから気を付けないと」

 

「魔法ってのは回避できないのか?」

 

「一口に魔法っていってもたくさん種類があるのよ。キリト」

 

「ああ、威力重視のは一直線のが多かったりすっから比較的避けやすいわな。だがホーミング性能だったり広範囲だったりすりゃまず無理だな」

 

「うん。だからその場合は高速移動しながらタイミングを計る必要があるの……ていうかジンくんは初心者なのによく知ってるね」

 

「情報収集は基本だろ。こいつがやってねぇだけだ」

 

「む……前までやってたゲームには魔法なんて無かったからなぁ……覚えることが多そうだ」

 

「あのな……俺もシノンも同じゲームやってただろうが」

 

 そう雑談しながらも飛翔している四人の前には森がそろそろ消えかかっていた。

 

「そろそろ翅が限界かなあ。あ、そこの草原に降りられそうだね」

 

 リーファはそう言いつつ滑空し始めた。仁達も翅を畳み、着陸体制に入る。

 全員の足が地面についたところで仁は両手を組んで上に伸ばしながら言った。

 

「んー。あれがルグルー回廊か……。つーことは文字通り翅休めか」

 

「そうだね。途中に中立の鉱山都市が合ってそこで休めるらしいけど……みんな時間大丈夫?」

 

「……リアルだと夜七時か。俺は大丈夫だよ」

 

「俺も問題ねぇな」

 

「私も、まだ大丈夫そう」

 

「そう。じゃあもうちょっと頑張ろう。ここで一回ローテアウトしよっか」

 

「ろ、ろーて?」

 

「お前なぁ……とことんだな」

 

「交代でログアウトして休憩することを言うのよ。ここだとすぐに落ちられないから、残ってる人がアバターを守る形になるわね」

 

 シノンが説明すると、キリトは納得したという感じで頷いた。

 

「なるほど、了解。誰から落ちる?」

 

「だれでもいいぜ。けどここは女性陣を先に落とすのが礼儀ってもんじゃねぇの?」

 

「それもそうか。それじゃあリーファとシノン。お先にどうぞ」

 

「じゃあお言葉に甘えて。二十分程よろしく!」

 

 リーファがログアウトして、待機姿勢になったのを見たシノンが続けて左手を振った。

 

「それじゃよろしくね」

 

「ああ」

 

 それだけ言ってシノンがログアウトした。

 それを確認した仁が手ごろな大きさの岩に腰掛けつついう。

 

「キリト、ユイ。あそこに二人はいると思うか?」

 

 仁はルグルー回廊によって隠され、少ししか見えていない世界樹を指さす。

 

「……ああ。俺はいると思ってる」

 

「わたしにはまだあそこまでのマップデータはありませんが……いると思います。何となくですが……」

 

 二人の返事を聞いた仁は獰猛に口角を吊り上げながら言う。

 

「そうだな。俺もいると思ってる。……まあもしいなくても、どんな手段を使ってでもどこにいようと助け出す。そうじゃねぇと、俺たちはまだあの城に囚われたままだ。だろう?」

 

「ああ。ここで二人を助け出して、さっさとエギルの店でオフ会したいしな」

 

「お前は食うことばっかなのか?」

 

「んなっ!? そりゃないぞジン!」

 

 

 

 

 

 

 最初に帰ってきたのはシノンだった。

 ログアウトしてからわずか五分。

 

「……随分とはやいな」

 

 仁が若干驚いた様子で言う。

 

「特にすることもなかったからね。ご飯食べてきただけだから」

 

「そっか。んじゃ先おちるぜ。キリト」

 

「ああ、行ってらっしゃい」

 

 その言葉を聞いて、左手を振ってログアウトに触れた。

 周りの景色が薄れていくにつれて、意識と感覚が一度遮断される感覚に陥るが、すぐにそれも戻り現実へと帰還する。

 

「ん……」

 

 仁は起きると同時に体を伸ばす。

 

「さて、飯食ってもどるとしますかね」

 

 てっとり早く炊いてあった米をラップで包み、握る。特に中身は無し。

 

(正直。こんなことやってる暇も惜しいってのによ……)

 

 握った米に大口を開けてかぶりつく。そのまま食べながらタオルを取り出し、温水で湿らせる。

 食べ終わったら手を洗い、タオルで上半身を拭いていく。

 一通り拭き終わったらすぐに寝室へ向かう。そのままベッドの上に飛び乗り、ナーヴギアをかぶり、リアルで一つだけの魔法を唱える。

 

「リンク・スタート」

 

 その一言で仁の意識は再び仮想世界へ戻っていく。

 一瞬体の自由が消え。再び少しずつ戻ってくる。正直心地よいとはお世辞にも言えないが、こればっかりは仕方がない。

 

「はやっ!?」

 

 キリトが盛大に驚く。シノンも軽く目を見張っている。

 

「なんだ……リーファ戻ってきてねぇのかよ」

 

「あなたが早すぎるのよ……」

 

「そうか?」

 

 仁は一応装備品の確認を始める。これでリーファが戻ってくれば、キリトが落ちるだけですぐにルグルーに入るのだ。全身の装備の確認をしておくに越したことはない。

 防具は今もてる限りの最高装備。次は武器。左腰に装備している【炎剣・レーヴァテイン】。続いて右腰に装備している【霊刀・レイゲンノタチ】。

 レイゲンノタチは現在ではほむらとの唯一のつながりといえる。それを見た仁は目を細める。

 

「お待たせ! あれ、シノンちゃん速いね」

 

「速いっていうのはこの人のことを言うのよ」

 

「え……? っていうことはジン君ももう……」

 

「ああ。落ちてきた。シノンが戻ってくるのが早かったからな。すぐに落ちられた」

 

「それにしても速いよ……」

 

「それじゃ、次は俺が落ちる番だな。最後だけど」

 

「いってらー」

 

 キリトが落ちると、ユイとリーファで原作と同じ会話を始めだしたので、仁とシノンは離れたところで普通に雑談を始めた。内容が雑談といえるのかわからないが。

 

「あのさ……」

 

「ん?」

 

「やっぱり、仁って強いね。戦闘とかじゃなくて、心が」

 

 その言葉に仁は苦笑していう。

 

「……いや、俺は弱いさ。ほむらがいないと、本当に弱い」

 

「けど、仁がいてくれたから今の私があるのよ? あの時、仁が助けてくれたから……」

 

「……確かに、そうかもしれねぇけどさ」

 

 一呼吸おいて言う。

 

「それでも。俺は俺よりシノン……いや、詩乃さんの方が強いと思う」

 

「だけど。だけど私は……」

 

「励ましてくれるのはうれしいけどさ。自分を下に見るのはやめてほしいんだよな」

 

「そんなこと……」

 

「あるさ。詩乃さん前からそうだよな。前から自分より周りを持ち上げようとする。もっと自分に自信を持ってくれてもいいのによ」

 

「そう……かな」

 

「ああ。少なくとも俺はそう思う」

 

 その言葉は、仁の予想以上にシノンに響いたようで、シノンの目にいつもの光が戻る。

 

「ありがとう。やっぱり仁は、私にとってのヒーローだね」

 

「ヒーローって……そりゃ言い過ぎだろう」

 

「そんなことないよ。私にとっては、仁がヒーローなんだから」

 

「……そっか」

 

 二人が戻っていくと、ちょうどキリトが動き出した。

 

「行くか」

 

 その言葉には三者三様の言葉が返ってきた。

 

「……ん?」

 

「どうした?」

 

「いや……なんか誰かに見られてたような気が……」

 

「見られてたような……ね。ユイ。プレイヤー情報は」

 

 少し目を閉じたユイだが、すぐに申し訳なさそうに

 

「いいえ。反応はありません」

 

「じゃートレーサーかねぇ」

 

「トレーサー?」

 

「追跡魔法の一種よ。使い魔を召喚して、術者にその情報を送るっていうもの」

 

「言っとくけど、解除は厳しいかも。術者の魔法スキルが高いととれる距離も増えるからね」

 

「そうか……まあ気のせいかもしれないしな。とりあえず先を急ごうぜ」

 

「言われなくても、だ」

 

 仁が一足先に前を歩いていく。

 すぐに視界が暗闇にさらされる。

 

「……暗いな」

 

「キリト。魔法スキルあげてる?」

 

「あー。初期設定の奴だけ……」

 

「洞窟とかはスプリガンの得意分野だから。明かりの術もいいのがあるはずだよ」

 

「えーと。ユイ、わかる?」

 

「お前なぁ……スペルの暗記くらいしとけってーの」

 

「というか。マニュアルも読んでないでしょう?」

 

「うぐっ……」

 

 そして娘に指導されながらたどたどしくスペルを唱えていく親。すごく情けなく見える。

 とりあえずキリトがスペルを使えるようになるまではケットシーで視界補正のあるシノンに前を歩いてもらっていく。幸い敵は少なく、ほとんど出くわしていない。

 すると、少し経ったら視界が一気に明るくなった。

 

「おせーぞ。苦戦しすぎだろ」

 

「こういうのは苦手なんだよ……」

 

 そしてまた歩き出す。どうやら洞窟の序盤はモンスターがほとんど出ないらしい。

 

「あ、メッセージはいった。ごめん。ちょっとまって」

 

 リーファがアイコンがあるのであろう位置をタップする。そのメッセージを読んだ感想が。

 

「なんだこりゃ」

 

「どうした」

 

 リーファが口を開いた。しかし次の言葉は言えなかった。

 

「パパ、にぃ。接近する反応があります」

 

「モンスターか?」

 

「いえ――プレイヤーです。多いです……十二人」

 

 戦慄が走った。




仁「執筆ペース少し戻ってきたか?」

最近やっとすることが少なくなってきたからね(ゲームとかゲームとかゲームとか)

仁「勉強しろよ馬鹿」

馬鹿なのは否定しないがいろいろしたいことがあるのさ。
さて、リーファが空気になってまいりました。そして今回の仁とシノンの会話。書いた覚えがある。どこか思い出せないけどすごく似た言葉を書いたことがある気がする。

仁「やっぱり馬鹿だったか」

今回もっと進むはずだったのに……なんだこの進まなさ。

感想指摘、☆評価お願いします!

仁「次回もよろしくな!」

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