【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO   作:MYON妖夢

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 はい。SAO編完結します。
 と、言ってもALO書くんですけどもね。

2017/5/16 追記編集


第三十八話 最終決戦

ボスを死人なしでたおした。それを確認した仁は、その場に倒れこみたかったが、そうはいかない。ウィンドウをひらき、アイテムのチェックをしているように()()()()()、ヒースクリフのもとへと歩いていく。

 

「なぁ、ヒースクリフ……」

 

「む? どうかしたかね、ジンく……ッ!」

 

 仁はウィンドウを消さずに即座に腰の剣をそのままコピーしてある《紫電一閃》を発動させ、ヒースクリフに切りかかる。不意を突かれたヒースクリフは反応しきれず、ヒットする――はずだったが、それは紫色の障壁に阻まれ、大きな火花を散らした。

 

「仁、何をやって……えっ『破壊不可能オブジェクト』!? なんで……」

 

 いち早く反応してよってきたユウキが驚きの声を上げる。

 

「簡単なことだ、こいつが、こいつこそがこの世界を作り、多くの人を死に至らしめたんだよ。なぁ、茅場明彦」

 

 その場が一気にどよめく、ヒースクリフはそれを制し、言った。

 

「……君はどうやらずっと知っていたようだね」

 

「あぁ、知ってたさ。そしてこのチャンス、ずっと待っていたんだ」

 

「どうやらキリト君も知ったみたいだがね。君の攻撃が来る直前に彼も、かまえていたからね」

 

「……ジン。知ってたなら何で、教えてくれなかったんだ」

 

 そうキリトが問う。それに対して仁は。

 

「……教えられるわけねェだろ。俺がお前らにこのことを教えたら知ったやつらを片っ端から排除に来るかもしれねぇ……俺は、親しい奴や知ってるやつを、死なせたくなかったんだよ……!」

 

 そう、仁が痛切に言うと、キリトも押し黙ってしまった。

 

「さぁ……決着をつけようぜ、茅場明彦。ここで殺して……みんなを解放してやるよ」

 

「……しかたがない。本来なら君達とは百層で戦いたかったのだがね……」

 

 そういってヒースクリフが左手のウィンドウを操作すると、仁とキリト以外すべてのプレイヤーがその場に倒れる。

 

「なに、君達との戦いにほかのモノを入れたくないだけさ。彼らはココでは殺しはしないから、安心したまえ」

 

「そういわれて、安心する奴の方が珍しい気もするわけだがな」

 

「まさか一人で俺達二人を相手にするつもりじゃないだろうな」

 

 ヒースクリフがお互いのHPをレッドゾーンに入らないぎりぎりで固定する。原作通り、クリーンヒット一発で死ねるほどしかない。

 

「ああ、それこそまさかさ。君達ほどの実力者を相手にするのは一人ずつが限界だよ。だから……こういったものはいかがかな?」

 

 ヒースクリフがパチンと指を鳴らす。するとヒースクリフの隣にモンスターがポップする際と同じようなエフェクトが発生し、数秒後にはそこにはもう一人のヒースクリフが立っていた。

 

「なんでもありかよ……」

 

「ふふふ……始めようか。君達二人がどちらも勝利すれば私は死に、このゲームはクリアされる。片方残ったとしたら、その片方と君達の残ったほうと戦い……あとは言わなくてもわかるだろう?」

 

「……へっ。さぁ、ヘルタイムのスタートだ!」

 

 そういった仁は、キリトを置いていくように片方のヒースクリフに向かって三本の剣をフルバーストモードにし、一瞬で距離を詰めた。そのスピードは災禍の鎧使用時までとはいかないが、すでにヒースクリフの目で追いきれるものではなかった。それゆえヒースクリフへと飛ばされる一撃目のガードはかなりきわどいものとなった。

 そして息もつかせぬ連撃が開始される。その連撃はステータスの限界をすでに超える速度で振られているように見える。恐らくは彼が無意識に心意による強化を施しているのだろう。

 

「らぁ!」

 

「ぬぅん!」

 

 仁が左での攻撃を繰り出そうとした刹那。ヒースクリフの右手の剣がひらめき、仁の剣をはじく。そしてそのままその剣はライトエフェクトによって光り輝く。前に一度使われた神聖剣ソードスキル。《ディバイン・クロス》二連撃。それを仁は一発目の水平切り払いを右手の剣でそらし、二発目のきりおろしを体をひねることで回避する。続けて連続でヒースクリフはスキルを使ってくる。その剣の刀身が血の色に染まる。とっさに《ドッペルゲンガー》で仁が分析する。

 

 神聖剣ソードスキル《デッド・ストライク》五連撃 使用者【ヒースクリフ】

 

 重攻撃 一撃目にあたると一気に飲み込まれる。

 

 という情報が読み取れた。仁はその攻撃にすぐに引き戻した左の剣と右の剣でクロスして一撃目を受け止める。続いてやってくる二撃目は大きくバックステップをすることで距離を取る。しかし三撃目は突進系だったようでその距離を一気に0にしてくる。

 

「ッ……なろっ!」

 

 体術スキル《月輪》それによる右横水平蹴りによりヒースクリフの剣を大きく左にそらす。それは軌道修正が不可となったようだ。ライトエフェクトが消滅する。同時に仁は《月輪》の二発目である左水平蹴りでの追撃をかける。それはヒースクリフのとっさの判断の体をそらすことによりクリーンヒットはしなかったが、確実にあたり、ヒースクリフの体を吹き飛ばす。

 

「その程度かぁ!? いうほどのもんじゃねェなぁ! てめぇもよぉ!」

 

 仁はそう叫び、思いきり地面を蹴り、右の剣を閃かせる。《ヴォ―パルストライク》。前世でも愛用していたスキルだ。それはヒースクリフの盾に阻まれ、大音響を散らす。

 続けて左の剣が《バーチカル・スクエア》を発動する。それに大してヒースクリフは三発目までステップで回避し、最後の一撃を剣での切り上げで迎え撃つ。

 それはその瞬間におこった。

 仁の左の剣が砕け散る。もとよりフルバーストモード中は剣の耐久力が果てしないスピードで減っていくのだ。むしろ残っている右の剣が特殊だった。

 

「くっそっ!」

 

「さて、どうするかね、ジン君」

 

 ヒースクリフは分かっていたといわんばかりにたたずむ。いや、実際わかっていたのだろう。そしてタイミングを見計らって壊した。そしておそらくクイックチェンジでさえ発動する暇はないだろう勢いで剣をふるってくる。

 それに対して仁は右手の剣一本で必死にガードする。

 

「さすがに一本で私に勝てるとでも思っているのかね」

 

「さてなぁ、ケドよぉ……まだ死ぬわけにはいかねェンでなぁ!」

 

 仁が左手に紫の光を宿す。《奪命撃》それは剣がなくても発動できる心意であることを、仁は知っていた。

 その閃光はヒースクリフを思いきり吹き飛ばす。が、再びダッシュで迫ってくるヒースクリフ。そしてそのままソードスキルを発動する。それは先ほどと同じく《デッド・ストライク》。一撃目を右手の一本で受けてしまう仁。そしてそのスキルは重攻撃だ。二撃目に耐えきれずに弾き飛ばされる。

 

「やっべ……」

 

「終わりだ」

 

 体勢を崩した仁へ、三発目の突進が襲い掛かる。右は大きく振られており、使えない。

 切られる――誰もがそう思った瞬間。仁は自分の左手に新しくいきなり現れた感触に気付いた。とっさにそれを自分の体の前に出す。それはヒースクリフの剣を受け止めた。

 仁はその瞬間思いきり左腕を強振し、ヒースクリフを弾き飛ばし、それを確認する。

 常に発せられている紫のどこかまがまがしいオーラ。そして鋼色に輝く刀身。その刀身から発せられる冷気は忘れようもない。『霊刀・レイゲンノタチ』だった。

 

「ほむら……」

 

 ふいにほむらの方に視線を向けると、彼女は微笑んでいた。倒して来いと言わんばかりの強い視線と共に。

 何があったのか、仁はすぐに理解した。彼女のユニークスキル《絶対時間》の中のスキル《トランスムーブ》は体だけではなく、アイテムを指定した座標に送れるのだ。しかしそれは多大な時間がかかる。恐らく仁の剣が壊れた瞬間からその演算を始めていたのであろう。

 

「サンキューほむら。ぜってぇに勝ってくるからよ……」

 

 ヒースクリフは必中だったはずの一撃をはじかれ、無表情だった表情を驚きという感情に染めている。

 

「さぁって……“あれ”で終わらせるとするか……」

 

 そうつぶやき、構えを取る。

 

「きぃつけな。次のスキルはほむら以外にゃ見せたことねぇ。いくらおまえでも……知らねェスキルには対処できねぇだろ!」

 

 そう叫び、前方へ思いきり踏み出す。

 

「これで、終わらせる! 《インフィニティ……モーメント》ォ!!」

 

 まず一発目は、懐に潜り込んでの右の剣で右水平切り。続けて左の剣でおなじ軌道を回転しつつ切り裂く。さらにその回転の勢いのまま、下段。中段。上段を同じように切っていく。

 

「おらおらおらああぁああああ!!」

 

「む……ぅ」

 

 それらの仁の攻撃はすべてヒースクリフの左手の盾によって防がれた。しかし当然そこで終わりではない。

 両方の剣を前から後ろへ、後ろから前に回転させ、頭上を越えるようにふる。その攻撃はヒースクリフの剣と盾を真上に跳ね上げそうになるほどの威力で振られている。そして三回目の回転の勢いをつけたまま真後ろに跳躍する。着地すると同時に思いきり地面を蹴り、両の剣をそろえて右水平を繰り出す。

 続けて垂直きりおろし。左ななめきりおろし。そして右斜めきりおろしをいずれも剣をそろえて繰り出し、最後に二本を合わせて腰だめに構えた後につきだす。この時点で十九連撃が撃ち込まれている。

 さらにその状態からクロスさせるようにきりおろし、膝蹴りを打ち込み、クロスするように切り上げる。そしてその場で回転し、左できりおろしを放つ。返す刀でそのまま右で切り上げを放ち、左で突く。

 次に殺到した右の三連撃を受けたヒースクリフの剣が、嫌な音を発した。

 ミシッという音と共にへし折れた剣は、ポリゴンの破片となって砕け散って行った。

 

「な……!」

 

 驚く茅場。しかしむしろ盾が残っている時点で不思議といってもいいのだ。ここまで彼の心意強化状態の剣撃を三十連撃受けていたのだから。

 しかしいまだに続く彼の連撃は、ヒースクリフを休ませない。

 

 左と右の剣を交互に突き、切りこんで行く。その連撃はそこから十二連撃分続いた。

 その間ヒースクリフはまさに必至といった表情で左手の盾を旋風どころか台風のごとき勢いで振られる剣へと向け、ガードするのが精いっぱいだった。

 そこに仁が右の剣で垂直きりおろし、左の剣で左水平。右の剣で垂直切り上げ、左の剣で右水平を放つ。周りから見ているものからすればその黒と紫に輝くライトエフェクトはきれいな四角形を彩っている。そしてその中心に右の剣で突きを放つ。それによりヒースクリフの体がわずかに硬直した。

 その瞬間、仁は心意で最高強化した右の足を全力で振り切った。その勢いで吹き飛ぶヒースクリフ。そこにものすごい勢いでダッシュする仁の姿は、死刑を宣告する死神のようにも見える。

 

「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」

 

 両の剣をそろえ、ダッシュのスピードをのせた突きが放たれた。わずかに間に合ったヒースクリフの盾は、ガラスの破片となって砕け散る。そしてその音は一つではなく、仁の右手からもなっていた。

 仁の相棒であったゴールドトマホークは、その役目を終え、はかなく砕け散った。

 しかし次の瞬間。左手に握ったほむらの刀『霊刀・レイゲンノタチ』がヒースクリフの心臓を貫いた。同時に0へと急速に向かっていくHP。それを確認することなく、ヒースクリフはもはやほとんど動かない体のうち、手をわずかに動かし、音が鳴ったのかもわからない称賛の拍手を送り、その世界から消滅した。

 同時に仁がチラリと隣を見ると、同じくキリトがヒースクリフの胸を貫いているのが見えた。そして誰の声かもわからない声が鳴り響く。仁はその薄れゆく意識の中で一つの言葉を聞いた。

 

「ゲームはクリアされました―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

 仁が次に目を覚ましたのは病室などではなく、夕焼けに染まる空だった。

 一応原作知識で何が起こっているのかは分かっているが、とっさに周りを確認する。すると――

 すぐに何らかの衝撃が体に発生した。

 その衝撃は何かが自分の体にぶつかった衝撃。それを確認した仁はその衝撃が発生した部位――腹を見下ろすと――

 ――抱き着いている、ほむらがいた。

 ほむらは、涙を流していた。決戦の前も、そのあとも涙を流していなかったのに、なぜと思った仁だが、それはすぐに本人の口から発せられた。

 

「良かった……無事で」

 

 ほむらは、決戦が終わると同時に仁の命が、体が存在することを確認し、喜びと安堵による涙を流していた。

 

「……悪いな。また無茶しちまってたなぁ……」

 

「……本当よ……だけど」

 

「だけど?」

 

「生きてて……良かった」

 

 そういってほむらは仁に抱き着く力を一層強めた。確実にそこに仁がいることを確認するように。

 

「……って、いたいいたい。俺はココにいるから少しでいいから力弱めてくれ」

 

 ペイン・アブソーバは働いていないのかよ。と心で毒づく仁だが、この痛みこそが生きているということであることを認識し、この痛みに感謝した。

 その空いている手を仁はほむらの頭へと伸ばし、なでようとしたところで――

 

「……いい雰囲気のところすまんが、いいかね?」

 

「……いい雰囲気だって思ってんなら、邪魔すんなよな。茅場」

 

 ヒースクリフではなく、茅場が話しかけてきた。

 

「本当に……よくやってくれたね、君は」

 

「皮肉かぁ? ったく……お前のこの世界のおかげで一回死んでんだぞ……この野郎」

 

「そう。それだ」

 

「あ?」

 

「この世界を作った際に、二十五層や五十層。そして六十七層のようなボスは、渡しは用意していないはずなのだが……」

 

 話がいきなり切り替わった。仁は改めて手をほむらの頭に乗せ、なで始めている。

 

「知らねェよ。俺が何かしたとして、さっきも言ったがそのせいで俺は死んでんだぞ」

 

「それはそうなのだが……まぁいい。いずれわかることだろう」

 

 最後の言葉を小声でつぶやき、仁たちの方へあらためて視線を戻した。

 

「さて、遅くなったが、ゲームクリアおめでとう。ジン君。ほむら君」

 

「そりゃありがたいこって。もうみんなのログアウトは始まってんだろ?」

 

「ああ、すでにこの世界で生き残ってくれたプレイヤーたち7371人は無事にこの世界からログアウトし、どこかの病室で目を覚ましていることだろう」

 

「……そうか」

 

 7371人。本来生き残っていた数よりもはるかに多きこの人々は、自分がこの世界でPoHたちを滅ぼし、守ってきた人数なのだと思うと、改めて転生してよかったと思える。

 

「さて、君達ももうすぐログアウトするわけだが……」

 

「あ? なんか問題でも?」

 

「……いや、何か不穏な予感がするのだよ。……ああ、そうだ。須郷伸之というという男には気を付けたまえ。私にも彼は何かをしようとしているとわかるのだ。君ならば彼を見ただけでもわかると思うがね」

 

「……ヘイヘイ。ンジャ……いい死後生活遅れや」

 

「むっ……なぜそれを……」

 

「大体分かった。おまえ、すでに電波体になってんだろ。つっても、つい最近」

 

「……よくわかったね」

 

「勘だ勘」

 

 そういうと、もう茅場は追及しては来なかった。

 

「さて……私はもういくよ」

 

「ああ……また、いつか」

 

「約束しよう。また、いつか」

 

 そういって茅場の姿は光に溶けるように消えていった。そしてすぐに仁たちの体も発光を始める。

 

「さて……何事もなく帰れたらいいんだがな」

 

「そうね。取りあえずリアルに戻ったら、鍛え直さないとね」

 

「ああ……鍛えずに骨折でまた入院。なんて冗談じゃねェもんな」

 

 そういい、苦笑する仁。

 

「それじゃ……お休みほむら」

 

「ええ。お休み、仁」

 

 その言葉を最後に、二人の意識は消えていった。




はい、終わりました! 今回このSS最高文字数達成!

仁「うっせぇ」

ALOでも頑張りたまえ、仁君

仁「いやでも戦わせるつもりだろうに」

 さて、じゃあ今回きりのいいところで、仁君の身体データでも載せますか!

 目と髪は黒。
 服は黒と紫をスタンダードにし、白のラインが入っているものを好む。
 髪型はごくスタンダードな方より少し上のバサッとしている感じの髪型(ただ、髪の中の一房が顔の左側から鎖骨ほどにまでかけて垂れている)
 身長は約170センチ(SAO編では160位) ちなみにSAOでのほむらの身長は150程度。小さくてかわいい。 精神年齢は高いわけだが。
 体系は平均よりほんの少し細い程度。しかし筋肉はかなりつけており、細いのにたくましく見える。
 常に折りたたむタイプの竹刀を護身として腰につけている。
 目は結構鋭いが、ほむらなどに向ける視線は普段のモノとは異なり、とても優しくなる。
 声は少し低めで、おこると他人と威圧するようなとても低い声になる。
 笑い方は優しく微笑むものと獰猛に笑うもの。人に恐怖を植え付ける笑などがある。



 こんなところかな

仁「案外考えてんだな」

 そりゃぁね。こういうものは頑張りたいタイプ

仁「ま、授業中話聞かないで考えまくってるくせによく言うぜ」

 いうな!



 感想指摘、☆評価よろしくお願いします。

仁「次回からも」

ほむら「よろしくね」

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