【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO 作:MYON妖夢
さて、今俺は第七十四層の転移門前にいる。なぜか? いきなりなぜか? なぜかというと……。
「……遅いなぁ」
今のは転移門の近くに腰かけているキリトだ。単刀直入にいうと血盟騎士団副団長様を待っているということだ。
はい、察しの通りだ。どうやらこいつらは昨日仲良くラグーラビットのシチューにがっつき、パーティーを組むことを共有され、なぜか俺たち(ほむらとユウキとシノン)も半強制的に巻き添えにされた。ということだ。
ま、もう原作に入っているのならば好都合だ。ディアベルは生きているのだからコーバッツたちが死ぬことはないはず。だから今日ボスに挑戦するということはない……筈だ。……なければいいなぁ。
「きゃあああああ! よ、避けてーーー!」
「うわあああああ!?」
あ、きた。原作通りにキリトに衝突。そしてあろうことか奴はその手を女の特徴部分にあてがい、手を開閉しだした(いや、本人はどかすために手を動かしたんだろうけどね?)。それを見ていたユウキがなぜか顔を軽く赤くし、凝視している。シノンは表情こそ変えないものの凝視している。おいおいお前ら……。ちなみにほむらは涼しい顔をしている。俺もだが。
「や、やーーーーー!」
ブッ飛ばされる。アスナは顔をSAOの感情繁栄の最大まで紅潮させ、キリトを睨みつけている。ここで言うのもなんだが、睨んでいるのにそんなに怖くないのはどういうことなのか。あ、そういうことか。察したよ。うん。
「や……やぁ、おはようアスナ」
さらにアスナの目がきつくなる。しかし怖く思えない。
そしてすぐに新しい転移光が発生する。それを見たアスナは速攻でキリトの後ろに回った。
「なん……」
「ア……アスナ様、勝手なことをされては困ります……!」
そこからはもう、原作のように自宅を監視だの護衛のためだのと。もうめんどいやつだよ。
そしてその人物――クラディールがアスナの腕をつかみ、転移門に戻ろうとする。俺はその前に無音で近づいていた。
「やめとけ」
俺は奴の腕をつかみ、犯罪防止コードが発生する寸前まで力を込める。驚いたクラディールが力を一瞬抜くとともにアスナがすぐにぬけだした。
「アスナは今日は俺たちと攻略だ。ギルドは活動日じゃないならお前の言い分も通らねぇぞ。今日はアスナは血盟騎士団副団長ではなく、一人の女剣士だ」
「き……貴様ァ……!」
「おー、怖い怖い。ま、安心しろ。アスナの安全は俺たち全員が責任を持って保証しよう。だから帰れ」
俺は最後の部分だけ声を低くし、威嚇の意味も込めて言い放った。
そしてなぜか流れでデュエル。とんがり頭ではないが、なんでや!
「ご覧くださいアスナ様! 私以外に護衛が務まるものがいないことを証明しますぞ!」
「いや、お前が護衛のほうがあぶねぇと思うぜ。ほんと」
「だまれぇ!」
そして騒ぎはどんどん広がっていく。挙句には『黒の旋風とKoBメンバーがデュエルだってよ!』とまでなってしまった。
「はぁ……やるか」
こいつ相手に二刀を抜く必要もなければ、意味もない。一本で終わらせてやろう。しかし今腰に刺さってる中で最弱の(最前線のクエスト武器よりは断然強いが)シルバーブレードを抜き放つ。
「貴様……なめやがって……!」
あ、わかるんだ。俺の今の最弱の武器がこれだと。まぁスモールソードでやってやってもいいんだがな。
そしていつの間にかカウントが過ぎている。構えをとる前に【DUEL!】という文字が俺らの前ではじけ飛ぶ。
クラディールがとったスキルは前作通りの《アバランシュ》。原作でキリトが言ったように、優秀な突進系スキルだ。だが――。
俺は軽く前に歩きながら剣を水平に一閃。それだけ、たったそれだけでクラディールの剣がへし折れる。これまたキリトが言った通り、クラディールの装飾に傾いた剣では耐久値が全然足りない。ちなみに今のは心意は使っていない。
俺の攻撃は剣をきれいにスパッと切っただけである。だから今消滅しそうな剣の切れ口はなめらかな傷になっている。だからこそクラディールの《アバランシュ》は止まらず、剣がないのにダッシュし、空気を腕で切り裂くという無様な結果で終わった。
俺はそのあとを《縮地》で追う。そして――。
「出直してこい。変態」
背中に軽く剣を突きさした。
デュエルのリザルトが空中に表示される。勝者はもちろん俺。
「口ほどにもねぇな。雑魚が」
俺はあえてあおる。奴の思考回路は狂ってるしな。あの事件が起こる時にすぐに解決するためにも。
そしてクラディールは原作通りに帰っていった。最後に見えた奴の目は本気でくるってるやつの目をしていた。
「さて、気を取り直して、いくか」
俺の言葉には全員がそれぞれの言葉で返してくる。戦闘はキリトで出発。
「……ってなんで俺なんだよ!?」
ツッコミはスルー。
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さて、原作と違い、軍にも遭遇しなかったわけで迷宮区に無事到達したわけだが――。
「正直言って、俺ら、いるのかな」
「おそらく、不要だと思うわ」
「だよねー、あの二人でサッサと倒しちゃうもん」
「なんで私たちは来る羽目になったのかしらね」
俺たち、後付けメンバーはみんなが今の状況に感想を述べる。
「はぁ!」
「せぃ!」
と、まぁ、あの二人恐ろしいほどに息の合ったコンビネーションで敵を葬り去っているわけだ。
もう帰っちゃおうかなーと思ったが、ボス部屋も近いので自重する。
「ん、オブジェクトが重くなってきたな」
「ああ、もうそろそろ……あれだ」
キリトが指をさす。指さす方向にはボス部屋特有の重々しい雰囲気を醸し出している扉が。
「……のぞいていく?」
「俺はどっちでもいいが、皆はどうだ?」
「私は特に、仁が行くなら行くけど」
「ボクは見てみたいな。どんな奴かきになるし!」
「私はどっちでもいいよ」
「俺は見ていきたいな。理由は、ユウキと同じだ」
多数決により、のぞくに決定。
「転移結晶用意しておけよ。ま、すぐに逃げりゃ問題ねぇがな」
そういって俺は扉を一瞬だけおす。それだけでボス部屋の扉は開かれた。
真っ暗だ。何も見えない。俺が索敵スキルをマックスにしようと思った矢先――。
ボッ。という音とともに青白い光がともされる。それはどんどん数を増やし、ついにボスの姿を照らし出した。
《ザ・グリームアイズ》輝く目。原作通りの青い悪魔。それは俺たちを確認すると同時にものすごい勢いでこっちに走ってきた。
「うわあああああああああああ!」
「きゃあああああああああああ!」
「わわわわわわわわわわわわわ!」
「……!」
前の二つは原作の二人。器用に『わ』を連続してるのがユウキ。無言で全力疾走しだしたのがシノンだ。
「ったく。おいてくかねぇ。普通」
「薄情なものね」
俺たちは安全なのを知ってるので、あくまでものんびりと歩く。あとであいつらはO☆HA☆NA☆SHIだな。(キリトとアスナ。ユウキとシノンは……許す。年相応だし。)
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「ったくお前らは……ユウキやシノンならまだわかるが、お前らもう高校生くらいの歳だろう!? なにビクッて逃げてんだおい! 挙句の果てにはおいていきやがって! うんぬんかんぬん……」
それからクライン一行が来るまで永遠に俺のO☆HA☆NA☆SHI☆は続いた。
その時のクラインの反応は「うおっ!? なんだこりゃどういう状況だよおい!? っていうかアスナさん! なんでこんなところにいるんですか!? そしてなんでジンは説教してんだよ!?」だった。
「ちっ。まだいいたりねぇってのに」
「クライン! 助かったありがとう!」
キリトがクラインの手を握って上下に激しく動かしている。それだけうれしかったってことだろう。しかし残念ながらまだあとで続くのさ……ククッ。
続いて新しく入ってきた。索敵スキルの反応はあったから気づいていたが。
「よぉ、コーバッツ。久しぶりだな」
「これはジン殿ではないか! こんなところで会うとは奇遇ですな」
俺とコーバッツ。実は地味に仲がいい感じなのだ。
「今回はまたどうしているんだ?」
「今日はディアベルさんが六十層に《解放軍攻略隊》の拠点を立てたということで、シンカーさんとこれからの方針について話しているため、攻略が我らに任せられたのだ」
そう。シンカーが作っていた始まりの街の本部とは別に、攻略隊のほうの本部をディアベルが最近立てた。そして自分がいけないからコーバッツたちを送ったと。
「なるほどな。それじゃあ一緒に攻略しないか? キリトやクラインもいいよな?」
「ああ、俺は構わない」
「おれも大丈夫だぜ! 人数は多いほうが心づええしな!」
「と、いうことだ。あ、マップデータ渡しておく」
ということで。俺たちは攻略を始めた。あれ、まて、これボス戦はいっちまうんじゃ……。
「この人数なら偵察戦ができそうだな。どうだ? 皆。やっていかないか?」
という提案をキリトが出した。余計なことをするなよな……。
そして多数決でボス戦ということになってしまった。
―-ボス部屋前――
「それじゃ、いくぞ」
次はキリトが扉を押し開けた。そしてその奥にはグリームアイズがいる。
「はぁ……。不本意だが……やるか」
ボス戦(一応偵察戦)が始まった。
はい、最近シノンサブヒロインのタグを追加しました。
ちなみにユウキは仁のことは友達どまりです。恋愛感情は持ってません。普通の友達として接していきます。
仁「Minecraftはまりすぎだろ。こっちもかけよおい」
すまないね。面白いんだからしょうがないだろう。
仁「ったく、これだから駄作者は……」
自覚している。
感想、指摘、☆評価お願いします!
仁「次もよろしくな!」