【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO   作:MYON妖夢

43 / 71
皆さんお久しぶりです。マインクラフトにはまってしまい、放置してましたw
 そっちの建築物が一息ついたので投稿します。どうぞ!


第二十八話 原作

 この世界独特の死んだときの音。ガラスの破片が砕け散り、はじけ飛ぶ音をBGMに俺は次の扉に向く。

 

「んん~~……はぁ」

 

 俺は思いきり体を伸ばして、戻す。

 長かった。ほんとに長かった。

 

「……やっとここまで来たか」

 

 そう、今俺たちは七十三層のボスを殺し、七十四層への扉を開いた。それすなわち――。

 

「……原作に入る……か」

 

 すなわち、小説版原作に突入したということだ。たぶんあと数日でキリトとアスナがラグーラビットのシチューでも幸せそうに頬張るんだろうな。

 

「いよいよ・・・・・・ね」

 

「ああ。本当の本番は……こっからになるんだよなぁ……はぁーー気が遠くなるぜ」

 

 実際ここまでが一年半くらいかかってるんだよな。そしてALOとか入れるともう二、三年くらいは覚悟したほうがいいか……。

 

「どうした? ジン。行かないのか?」

 

「ん、ああ、わりぃ、考え事してた。すぐ行くぜ、キリト」

 

 キリトが心配したようにこちらによってきて、話しかけてきた。それに俺はすぐに返す。キリトは俺の言葉を聞いて、すぐにみんなの後を追っていった。

 

「まずは《ザ・グリームアイズ》の撃破。これはディアベルは生きてるからすんなりいきそうだな。そしてクラディール……ある意味一番厄介だな……」

 

 ここからはしなきゃいけないことが一気に増える。特に……。

 

「茅場の撃破……一番めんどくせえ……」

 

 そうつぶやいた俺はすでに歩き出していたほむらたちを追い、七十四層へ向かった。

 

 

 

 

  ―-七十四層――

 

「ふぅ……着いたか」

 

 にしても、とボス激派の後に二時間くらい歩かないと主住区つかないってどうよ? もうこの時点で普通のゲームでやる気なかったろ、茅場。普通に時間ないやつ、途中でログアウトしちまうぞ。

 と、俺が心中でブツブツ言っていたら。

 

「仁! これで武器打ってよ!」

 

 ユウキだ。ユウキが差し出してきたのは――。

 

「……見たことねぇインゴットだな」

 

「うん、さっきのボスからドロップしたんだけど……」

 

 ああ、そういやユウキがLAとってたわ。うん、そりゃ見たこともねぇだろうけど。

 見た目は紫がかった藍色。ユウキが好きな色だな。

 

「ヴァイオレットインゴット……まんまだな」

 

 性能は作ってみないとわからねえが、ま、ボスドロップだし、いいのできるんじゃねえのかな?

 

「よし、わかった。作っといてみるわ」

 

「ありがとう、仁!」

 

 そういってユウキは七十四層観光に行った。完全に丸投げだなおい。

 

「仁」

 

「ン……どうしたシノン」

 

 次はシノンか。

 

「弓の修理を手伝ってほしいんだけど」

 

 実は何とも面倒なことに弓は鍛冶スキル所有者と裁縫スキル所有者が協力しないとできないのだ。ま、簡単にいうと俺が木の部分を作り裁縫スキルもちが弦を張るという感じになる。

 シノンはそれを知ってからすぐに裁縫スキルを所有スキルに入れ、俺と協力して作るようになった。

 ちなみに修理は作った者同士が協力しないとならない。より面倒くさいことになっている。だから露店と借りずに頼めないというわけで俺がやるしかないというわけだ。

 

「解った。すぐに取り掛かろう」

 

 ユウキのとは違って二人いないとならないから、俺はすぐに始めるように促す。

 

「ええ、そっちのほうが助かる」

 

 そういってシノンも俺とほむらの家にある鍛冶スペースについてきた。

 

 

 

  ――鍛冶スペース――

 

「ンジャ、始めますか」

 

 俺が手に持った鍛冶ハンマーで木をたたく。シノンはその横で弦を作成している。ただ単に黙々とした作業。“だった”少なくとも前回までは。

 

「ねぇ、仁」

 

「ん、なんだ?」

 

 シノンが今日は作業中にめずらしく話しかけてきた。

 

「……仁って、ほんと強いよね。まぁ、そんなことは昔に私を助けてもらった時からわかってたけど……心が強い。私なんかより……ずっと」

 

「まったく、まだそんなこと言ってるんですか? 朝田さん?」

 

 本来タブーだけど俺たちしかいねぇからいいか。

 

「……ほんと、俺がそんなに強いわけ、ないじゃないですか」

 

「え……?」

 

「俺が皆を守ってるのは、もちろんみんなのため、それもあるさ。けど、何より俺が失いたくないから。勝手な自分勝手さ。だから俺はみんなが心配してくれてんのにそれを振り切って前に出てギリギリの戦いをする。だったらそんな俺よりも、俺たちみんなを信じて後ろで戦ってるシノンのほうが全然強いよ」

 

「そんなこと……」

 

「いや、それに昔のことだってそうさ。普通朝田さんみたいなか弱い女の子が親を守るためとはいえ、トリガーをひけるわけがない。普通なら……動けずにただ見てるしかできない。俺もそうだったと思うよ」

 

 俺がそう続けると、シノンは俺に向かって放とうとしていた言葉を途中で飲み下し、俺のほうを見つめてくる。

 

「俺なんかより、あなたのほうが全然強い、ってことを俺は言いたいんだが……納得した?」

 

「……いいえ、できないわ。できるわけがないじゃない」

 

 シノンが首を横に振り、なぜか少し涙ぐんでる瞳を俺に向ける。

 

「……だって、仁は一回死んだじゃない・・・・・・なのになんで、普通に戦えるの? 私たちを守ってくれるの? それこそありえないわよ。普通、蘇生できたとしても恐怖でもう前線……いえ。闘いにも出れない」

 

「……ああ。そうかもな」

 

 俺はシノンに結構痛いところを突かれ、一瞬言葉に詰まる。

 

「なんで戦えるの? 私はそれがあの時から聞きたかった……」

 

「……なら、今答えるよ。それはな……。勇気をもらったんだ」

 

「……何に?」

 

「神さま……って言っておくか。いや、実際そうか。神さまであって……友達だ。『次はほむらを置いてきたら承知しない』ってさ」

 

「……それって勇気じゃなくて、脅し?」

 

「さぁなぁ……昔からつかみどころのないやつだし」

 

 俺は神へと昇華した彼女のことを思い出す。といってもほんの数か月前に死んだときにあったが。

 シノンは納得できなそうな顔でこちらを見てきていたが、やがて諦めたのかため息を一つつき、作業に戻った。

 

 

 

  ―--------

 

「できた」

 

 弓が修理完了。案がい剣より時間がかかるのが面倒なところだな。弦張り替えないといけないし。

 

「ありがとう。久しぶりにゆっくり話せてよかった。それじゃあ」

 

「ああ。それじゃ」

 

 そういや最近シノンやユウキと話す時間がとれてなかったりするな。今度そういう時間儲けるか……たぶんこっちではもう無理か。向こうでとろう。

 

「さてと……ユウキの剣も打っちまうとするか」

 

 俺はそうつぶやき、インゴットを炉に放り込む。

 

「にしてもなぁ……なんで戦える……かぁ」

 

 俺はシノンに言われたその言葉を考察する。

 

「……やっぱまどかに言われたのもあっけど……ほむらに心配かけたくねぇってのもあんだろうなぁ」

 

 実際俺はほむらに心配を今までですらかけ始めている。そんな俺が前線から離れたり、戦わなくなったらその分ほむらに負担も少なからず増える。そして彼女の性格からいって、心配してやまないだろうし。

 

「それに、ほむらにユウキやシノン。キリトやアスナたちを守らなきゃいけねぇ。そのためには俺が弱くちゃダメなんだ。俺が強く。もっと強くならないと……」

 

 原作では最後にキリトとアスナは一度俺のように死を経験する。シノンは死の恐怖を味わう。そしてユウキは……。

 くそっ。このことはもう考えんな! この世界は違う! ユウキは死なせやしないし、シノンもキリトもアスナも一度も死も、その恐怖もあじわわせねぇ。俺はそう決めて、ここに来たんだろうが……!」

 

 俺は自問自答し続ける。しかし癖で炉からインゴットを取り出しそうになる。

 だめだ。今のこと状態で剣を作っちゃ……。この世界の剣には精神状態も左右される……。今これを打ったら最悪な出来上がりになる。結局ユウキは悲しむ結果だ。今はシノンの言葉について考えておこう。

 そう考えた俺はインゴットをストレージにしまい、思考を展開させ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

  ――数時間後――

 

「……ん! じ……! ねぇ、仁!」

 

 その言葉で俺の頭の中の展開が一瞬きえ、俺の意識はこっちに戻ってきた。

 

「仁! どうしたの!? ボーっとして」

 

「ん、ああ! なんでもねぇ! 考え事してただけだ」

 

 俺は右手を振り、メインメニューに表示されている時間を確かめる。うげっ、もうこんなに時間達てやがったのか。

 俺が唖然としていると。

 

「仁、本当にどうしたの? 今までこんなに呼んでも反応しなかったことなんてなかったわよ? ディスコネクションしたかと思った」

 

「あ、ああ。わりぃわりぃ。心配かけちまったな。もう大丈夫だ」

 

 俺は俺の鍛冶スペースに入ってきた人物――ほむらを見つめながら言う。

 

「え? なに? 何かついてる?」

 

 俺はそのまま誓う。ぜってぇほむらを危険なめに合わせねぇ。もう何度誓ったかわからねぇけどその数だけ俺はほむらを危険にさらしているといっても過言じゃない。次こそは……ぜってぇに守って見せる。

 ほむらの笑顔を、誰にも壊させやしない。

 そしてそれはほむら以外にも言えることだ。ユウキやシノン。そしてキリトたちにも言える。

 キリト、アスナ、クライン、エギル、ディアベル、シリカ、リズベット、その他もろもろのみんな。守って見せる。死なせるわけにはいかねぇ。

 

「もう、仁! 本当にどうしたの?」

 

 ほむらは顔が赤くなっている。どうやら俺はずっとほむらの顔を見つめながら考えていたらしい。

 

「いや、なんでもねぇよ。ああ、なんでもない。なんでもないんだ」

 

「……へんな仁。すぐにご飯にするわよ」

 

 そういってほむらは調理スペースに降りて行った。

 さて、俺はユウキの剣をうたねぇとな。今ならいいのができる気がする。

 そう思い俺は今度こそインゴットを炉に放り込み、作業に入った。




 はい、仁君誓いの回でした。

仁「はずいな」

 まぁまぁ、君には全員守ってもらうという仕事があるんだよ? 頑張ってね?(ニヤニヤ

仁「その顔やねい」 グーパン =))゜д゜)←MYON

 あべしっ! ひどいじゃないか。

仁「鬱陶しいわ」

 しょうがないなぁ……では。

感想、指摘、☆評価待ってます!

仁「次もよろしく!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。