【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO 作:MYON妖夢
俺はずっと刺さったままで継続ダメージを発生させている長剣を勢いよく引き抜き、空中でゴールドトマホークの抜きざまの一撃で四散させた。
続いて回復結晶でHPを全快させてからボスに向き直る。
「……行くぜ!」
リリカをほむらに任せてから思いきり地面をけりとばす。
「システムコール! ジェネレート・サーマル・エレメント!」
アスナが新しい神聖術の詠唱に入った。恐らく炎系の術だろう。俺は両手の剣を強く握りしめアスナの援護を受けながらボスに向かって走る。
「フォーム・エレメント・アローシェイプ!」
アスナが左手を退くと五本の矢が形成される。
「フライ・ストレート・ディスチャージ!」
火炎の渦が巻き起こる。同時に五つの炎の矢がボスに向かって真っすぐに飛んでいく。
それらは全てがボスに当たり、火花を大きく散らす。俺はその火花の中をひたすらに突っ走る。そのあたりでアスナがとてつもなく長い語句を詠唱し始めた。俺は俺を意識に入れないようにしてボスを剣の間合いに入れる。
「おらぁあああ!」
右の剣を大きく振りかぶり、相手が振ってきた剣にぶつける。それによりお互いノックバックが起こる。俺はすぐに踏みとどまり、左手の剣を引き絞る。《ヴォ―パルストライク》の構え――。
そのヴォーパルストライクは相手の防御をすり抜け、体に当たり、ダメージを与える。そのあたりでアスナの詠唱が最後の一単語になったようだ。
「エンハンス・アーマメント!」
武装完全支配術かよ!?
と驚く間もなく、アスナのランベントライトが光を散らす。その光は剣に収束し、一本の長い細剣をかたどる。どうやらあの剣の属性は光のようだ。
その剣をアスナが引き絞り、《リニアー》の構えを取る。それを確認した次の瞬間にアスナの細剣が光の速さで突き出される。その突き出された剣からほとばしる光がさらにのび、ボスの体を奴の防御に回された剣ごと貫く。それにより相手のHPが一気に削れていく。
さらにアスナは《スター・スプラッシュ》八連撃につなぐ。三連続の突き。往復する薙ぎ払い。そして最後の二連突きが剣を振るごとに宙を割く光の刃がボスの体をとらえ続ける。それに伴いボスのHPがガクン、ガクンと削れていく。
「なんツー威力だよ……」
アスナの連撃が止まると同時に細剣からほとばしっていた光が収まる。効果時間はまだ短いようだ。その時点でボスのHPはすでに四段目に入るという威力を誇っていた。
ボスが咆哮を上げる。同時にすべての剣が飛んでくる。
「またそれか!」
「システムコール!」
俺とアスナの声が重なった。
「ジェネレート・クライオゼニック・エレメント!」
アスナの両手に凍素の光が輝く。
「フォームエレメント・ラージシールドシェイプ・ディスチャージ!」
アスナが詠唱を終えるとともに俺たち攻略組の前に巨大な氷の盾が現れた。奴の剣は全てがそれに当たり、威力をそぐ。
アスナが一瞬迷うようなそぶりを見せるが、すぐに思いを固めたようで言葉をつなぐ。
「システムコール! ジェネレート・アンブラ・エレメント! ディスチャージ!」
待て待て待て! それ原作ではそのまま開放するとあたりの空間をごっそり削ってくって書いてあったぞ! おい!
俺の心配をよそに解放されたエレメントは一つ。さすがに加減はしたようだ。その闇素が氷の盾にぶつかっていた剣を氷の盾ごと包み込み、消滅させた。チャンス!
「ナイスだ! アスナ!」
そう叫んでからおれは思いきりダッシュ。さすがにあそこまで神聖術を使ったためかアスナが若干疲れを顔に出している。これ以上の神聖術はちょっと控えたほうがよさそうだ。
俺は一気に距離を詰める。そしてさっきアスナが使った炎の矢の形成に入る。正直コピーできるか不安だったができたようだ。
「システムコール! ジェネレート・サーマル・エレメント! フォームエレメント・アローシェイプ・フライストレート・ディスチャージ!」
俺が放った矢はボスにかわされ、向こう側の壁に突き刺さり、火花をまき散らし消滅した。しかしこれはおとりだ。俺はその間にも距離を詰め、ボスを間合いに入れていた。
「喰らいやがれ!」
俺は宙高く飛翔する。そのまま空中で向きを変え、両の剣を引き絞る。OSS《メテオ》。
俺が放った流星群のごとき連続の突きはボスに確実にダメージを与えていく。さらに俺は宙で体勢を立て直し、《ライトニングフォール》を真下に向かって放つ。それによる範囲攻撃でボスにダメージが重なる。
俺がさらに連撃を重ねようとしたところで後ろからほむらがトランスムーブで飛んできた。
「……もう何言っても戻るきねぇだろ」
「当たり前よ」
ですよねー。ほむらがトランスムーブで連続ワープによってヒット&アウェイを繰り返し始めた。俺も負けてらんねぇねぇ。
「らぁ!」
俺はほむらがタゲを取っている間に右の剣で《バーチカル・アーク》を打った。そしてそのまま軌道に逆らわず《スラント》につなげる。さらに左で《ヴォーパルストライク》を放つ。そして右で《バーチカル・スクエア》。それが終わり、俺は長いディレイが科せられる。しかし俺には通用しない。《ディレイブレイク》――
俺はディレイブレイクでディレイを無効化する。そしてボスのHPを一瞬みて確認。俺は賭けに出る。
「い……っけぇええええ!」
《ジ・イクリプス》。27連撃で削り切れるか微妙だ。だけどあえて放つ。ここで決めきれ!
「おおぉぉぉぉぉぉおおおお!」
最後の27発目。奴のHPが少し残った。ボスが剣を広げ、再び範囲攻撃の構えを取る。こうなったら最後のディレイブレイクを――。
「する必要は、ねぇみてぇだな」
後ろからの神速の矢《ソニックショット》がボスの体に刺さり、貫通する。
「ナイスだ。シノン」
そしてボスの体はポリゴンとなり、四散した。
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「うあぁ……疲れた……」
「でしょうね。無茶をしすぎよ」
「わーってるよ。ったく」
俺とほむらは軽口をたたきながらリリカのもとへと歩いた。
リリカは精神状態は大丈夫そうだ。普通に立って、歩いている。
「ジンさん……」
「リリカ。怒らねぇからなんであんなことしたのか教えてくれよ」
リリカは俺の迫力に一瞬ビビったように体を揺らした。しかしすぐに俺の目を正面から見返してきた。そして口を開いた。
「……あたしは攻略組の皆さんにひどいことをしました。だから償いを……」
「……はぁ……」
俺はため息をついてからリリカにいう。
「ばっかだなぁ。あんなん怒ってるやつはもういねーっての」
「でも……っ!」
「だーかーらー。お前はPoHに脅されて仕方なくしたってのは知ってるよ。少なくともあの時を見てたやつはな」
リリカが黙り込む。
「もしリリカにグシャグシャ文句言ってくるようなめんどくせぇ奴がいたらすぐに俺に言え。すぐにそいつには身をもって知ってもらうことにしよう。それと……」
俺はリリカを抱きしめる。
「っ!?」
「……生きててよかった。俺の救済の範囲にはお前も入ってんだ。だから、こんなこと二度としないでくれ。もしお前が死んだら俺は永遠に後悔する……」
「……うん。うん……わかった」
リリカが声を殺して泣き出した。まだ小学三年生程度の歳でよくここまで我慢できたもんだ。一度死を経験した時点で普通なら泣くと思う。できた子だ。
まぁ、うん。向こうですごく嫉妬による殺気をだしているほむらさーん? とりあえず落ち着きましょうかー。うん。あ、ちょっと。刀の鞘もってこっち来ないで、怖い怖い。(鞘には攻撃判定がない代わりにノックバックがある)
「……はぁ」
何もなかった代りにとてつもなくいろいろとこもっているため息をつかれた。なんでだ……。
「リリカに言ってることをあなたにまったく同じ、一字一句余さずにもう一度言おうかしら?」
「ん?」
「あなたもいつもいつも無茶してるし、いつ死ぬかもわからないような無茶しないでくれるかしら。あなたが死んだら私はすぐ追うわよ」
「それは勘弁。ほむらを死なさないためにも俺が生き残る理由が増えたな」
苦笑しながら言い返す。ほむらの眼光がより一層きつくなった気がするけど、いいか。
こうして俺たちの五十五層攻略は終わったのだった。
はい、終わりました。
仁「アスナつえー……」
つよいねぇ~。武装完全支配術強いねぇ。
仁「強いって軸に収まり切らなくなりそうなんだが……」
うん、わかる。安心してくれ。ちゃんと能力には条件を付けるから。
仁「ならいいけどよ」
ほむら「お邪魔するわよ」
ほむらじゃないか。ここに来るなんて珍しい。
ほむら「いえ。ちょっとこの旦那にO☆HA☆NA☆SHIをしにきたのよ」
仁「えっちょっ待ってくれよ。ほむら。なんでこんなことになったんでせう?」
ほむら「問答無用よ」 サヤデソードスキルハツドウ
仁「ぎゃぁぁぁあああああ!」
Oh……なかなかシュールな光景。
では、感想、指摘、☆評価お待ちしています!
ギャァァアアアアアアア!
えー。仁君がOHANASHIをしてもらっているのでここは僕が。
次回もよろしくね!