【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO   作:MYON妖夢

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はい、今回は原作9巻以降のネタバレが多量に含まれます。それでもいいよという方はお願いします。


第二十三話 新たな力

 相手の残りHPは三段。以前状況は変わらない。近づかずけば危険すぎるし、かといって睨めっこをしていても勝てない。だから必然的に攻撃に移すしかない――のだが。

 

「チッ……やっぱ火力が上がってやがる……」

 

「ええ。近づくに近づけないわ」

 

 そう、火力が極端に跳ね上がっているのだ。だからうかつに近づけない。今はシノンが弓でダメージを与えている。しかしそれではシノンへのヘイトがどんどん重なってしまう。ボスが標的をシノンに変えるのは時間の問題……。

 

「行くしかねぇか……」

 

 そうつぶやいた俺は一気に踏み込み、背中のゴールドトマホークと腰のゴールドブレードを引き抜く。

 

「おらぁあああ!」

 

 ボスがほかのプレイヤーを追っているところに後ろから《ヴォーパルストライク》をかます。それだけでは俺へはタゲがまだ来ない。俺は左腕を引き絞り心意により威力を拡張させた《閃打》を打ち込み、その勢いで後ろに下がる。

 同時にボスのタゲが俺に移った。俺に向かって無数の剣を構えてくる。それに対し俺は両手の剣を構える。

 先に動いたのはボスだ。先ほどのソードスキルを放ってくる。俺はそれらの攻撃をかわしながら《ドッペルゲンガー》で技の解析を始める。

 

 『ソードスキル《サウザントショック》。使用者《アシュラ・ザ・ヴァシュラ》。

 ボス専用スキル。コピー不可。』

 

 なるほど、コピーはできない。次の情報の獲得に入る。

 

 『威力は全てのソードスキルの中でも最大級。重攻撃でもありとめなければ永遠に続く高速連続攻撃でもある。』

 

 止めなきゃどうしようもないスキル・・・・・・ね。武器を壊すかそらすか。その二択か。厄介すぎる。

 

「みんな! 解析が完了した! このスキルは威力がソードスキル中最大級! 武器を壊すか大きく反らすかしないと永遠に続くそうだ!」

 

 俺は叫び、奴のいまだに続く猛攻をかいくぐりながら隙を探す。

 ボスの攻撃が一瞬遅くなり、一本の剣がまっすぐ振り下ろされてくる。ここだ!

 

「喰らええええ!」

 

 その剣に全力でブーストをかけた《豪打》をぶち込み、ずらす。さらに心意による威力拡張をした《ダブルサーキュラー》をそれに叩き込み、へし折る。

 どうやら武器の耐久値は並み以下のようだ。そして再生はなし。と読んだ直後。その剣がポリゴンになって破砕する。同時にソードスキルが止まった。そこまではよかった、そこからだ。

 

「んな!?」

 

 ボスの何もなくなった手のひらから速攻で同じ剣がポップした。そしてその剣にはディレイが科せられているようですぐには飛んでこなかった。

 俺はすぐにその場を脱出。みんなのもとにダッシュでもどる。

 

「チッ……みんな! 奴の武器は破壊しても少しのラグの後すぐにリポップする! 気をつけろ! 破壊したからって言って気を抜くな!」

 

 さぁ……てどうするか……。ボスのHPはロクに減っちゃいない。それどころかまだ三段目のほとんどフルを保ってる。

 

「しょうがねぇか……」

 

 そうつぶやき俺は足に思いきり力を込める。そして走りだ――そうとしたところで足を払われた。

 俺の足を払った人物は俺が倒れる前に肩をつかみ自分の顔の前に俺の顔を持ってきた。

 

「……仁。また一人で無茶しようとしてたでしょう」

 

「……なぜばれた」

 

「バレバレよ。あなたの行動はさすがに覚えたわ」

 

「ですよね~」

 

 ま、止められるとは予想してなかったんだけどな。

 

「だから一人じゃなく二人で無茶しましょう」

 

「どういう理屈だそれ」

 

 ほむらは素知らぬ顔でポニーテールにまとめている髪の毛を払いながら続ける。

 

「さて。行きましょう」

 

「ああ」

 

 俺とほむらは同時にダッシュを始めた。さらにほむらは俺と自分にクロックアップをかけ加速。しかしクロックアップは筋力値の半分までを敏捷値に加算するという効果なので攻撃力は下がる。しかしその分早くはなるからこういう時にはうってつけってわけだ。

 ま、話はここまでにして、俺はクロックアップをコピーしてストック(最大十個)してからほむらに続く。

 

「はぁぁああああ!」

 

「らぁぁああああ!」

 

 後ろからはシノンの援護射撃。さらにユウキがボスのタゲを取り、《パワードステップ》の上限まで達するまで回避をしている。俺らはそこまで追いつくとともに抜刀。ほむらがまず攻撃に移る。

 クロックアップが解けたと同時にクロックダウンで攻撃力を上げた状態で、そこまでの加速の勢いをすべて乗せた《紫電一閃》。ダッシュ速度も相まって一気にぼすのHPをごっそりともっていった。

 さらに俺もクロックダウンをコピーし、自分にかける。そのまま同じくダッシュの速度を載せた《ハウリング・オクターブ》八連撃。続いて左のゴールドブレードを閃かせる。《サベージ・フルクラム》三連撃。

 

「まだまだぁ!」

 

 さらに俺の攻撃は続く。右手に握りしめたゴールドトマホークを《サベージ・フルクラム》の勢いに逆らわないように下段に持ってくる。そして左手のソードスキルが終わると同時に《バーチカル・スクエア》四連撃をたたきこむ。そしてその状態では左手を少し動かすだけで肩に担ぐように構えることができる。《ヴォ―パルストライク》をさらに左手で打ち込む。

 原作でのキリトのスキルコネクトはここまでだ。だが俺は多少の無茶を顧みない。そのまま右肩に担ぐように構えられた右腕を少し動かし、再びスキルを発動させる。右斜めきり下ろしから始まる《スター・Q・プロミネンス》六連撃。

 

「続……けぇ!」

 

 俺はもう限界な体を無理矢理動かす。左のこしに引き絞るような形になった左腕を反転させる。そのまま左回転に持っていく。左水兵から始まる《ホリゾンタルスクエア》四連撃

 合計二十六連撃のスキルコネクト。俺は今までにないディレイを課せられる。当然俺に大量のヘイトも重なる。しかし――。

 

「いっけぇえええ!」

 

 絶剣ソードスキル《インフィニットブレード》六連撃。無限を描くように切る。そのあとに左水兵。そして切り下しにつなげるスキル。

 

「よっし!」

 

 俺はいまだディレイのとけない体でボスのHPを確認する。現時点でのボスのHPは三段目の3割を削ったところだった。

 俺が指示を出さずともみんなが下がった。俺もディレイが解け次第にすぐに下がる。ボスの変化は――。

 

「また……外見に変化なしか」

 

 二回目の変化も特に外見はなし。またパラメーターか?

 などと考えていたが不意にボスがすべての腕を開き、剣を手放した。

 

「何を……ッ!」

 

 ボスが手放した剣が宙を浮遊し始めた。そして次の瞬間にすべての剣がこちらに長広範囲に飛んできた。

 

「ヤベッ!」

 

 俺はすぐに両手の剣をクロスして完全防御状態を作る。皆がその体制をとり、なんとか耐えようとした。しかし。

 一発ずつがダメージが多すぎる、ガードを貫通してわずかなりともダメージが入っていく。タンクですらもガードしているのにダメージが通っている。視線を周りに泳がせるとHPがなくなりかけている奴もいる。そしてそういう奴は――。

 カシャァアアアアンという音とともにこの世界を去っていった。

 

「くそっ! どうすりゃ……」

 

 俺はまずボスの剣が速攻で再生するわけではないことを思い出した。それを期待してボスの腕を目を凝らして見つめる。剣の猛攻が続いている間は一切動かないようだ。そして猛攻が終わると同時に剣がチャージされる……。

 つまりこの剣の猛攻をかいくぐっていかなきゃいけないってことか……。

 

「どうする……」

 

 俺がそう悩みながらも回復を済ませたころにボスが再び剣を手放す。不味い……。

 俺は考え事を続けながらも防御態勢に入る。しかしそんな俺の思考をも断ち切ることが起こった。

 

「うあああぁぁああああ!」

 

 一人の小さな影がボスに向かって突っ込んでいく。ダメージを食らいつつ。HPを、命を刻一刻と減らしながら。

 その影は俺も知っている一人の少女――リリカだった。

 

「ば……っかやろぉ!」

 

 俺は防御を捨て、縮地で一気に距離を詰める。こうしている間にもリリカのHPが燃えつきそうなほどに減っている。

 

「間に……あえええええええええええ!」

 

 クロックアップを使用し、さらに縮地を使いかつてないスピードで走る。

 その俺の抵抗は――。

 

「間に合った……」

 

 俺はリリカを思いきり上に放り投げる。そして走るためにいったん閉まった剣を、背中に手を回す暇を惜しみ、両腰のゴールドとシルバーのブレードを引き抜き体をひねる。そのままの勢いでその場で円回転。

 

「《タイフーン》!」

 

 剣を逆手に持った状態での円回転により、飛んできていた剣を弾き飛ばす。スキルが終わると同時にリリカをキャッチする。リリカのHPはもう数ドットの割合でしか残っていない。俺はそのままみんなのところへと走ろうとした。その矢先だった。

 

 ドスッ

 

 という嫌な音とともに俺の背中から奴の剣が貫いた。そしてそれは抱きかかえられているリリカの体にも……。

 

「くそっ……くそっくそっ!」

 

 リリカのHPが0になる。俺は回復結晶をつかみだし叫ぶ。しかし俺の目の前に浮かぶのは【効果がありません】という無機質な文字だけ。

 守れなかった……。くそ……。

 リリカの体が細かいポリゴンへと変わっていく。その体に俺以外の手が載せられた。その手はほむらよりは白くはないが繊細な細い腕――。そしてその腕の持ち主から腕と同じようにきれいな声が流れる。

 

「システム・コール」

 

 ……え?

 

「トランスファー・ヒューマンユニット・ディラビリティ・ライト・トゥ・レフト!」

 

 それは……。

 

 その人物の腕からポリゴンになり、破砕しかけていたリリカの体に光が流れ込む。リリカのHPがそれに伴って回復していく。馬鹿な……。

 俺は顔を上げる。そこにあるのは顔の整った美少女――アスナだった。

 アスナのHPはどんどんと減っていく。しかしその分リリカに流れ込んでいく。

 

「死を覆す……ユニークスキル……?」

 

 ヒースクリフの顔を見ると彼の顔も驚愕に染まっている。は……はは。やってくれるじゃねぇか……神さんよぉ。

 俺は一度ドッペルゲンガーで確認する。

 

『ユニークスキル《神聖術》使用者アスナ。

 《トランスファー・ヒューマンユニット・ディラビリティ・ライト・トゥ・レフト》

 その効果はHPが0になったプレイヤー。またはHPが減ったプレイヤーに使用者のHPを明け渡し、死を覆す。しかし効果とはうわはらにこのスキルはかなりの集中力が必要。そして使う際には平常心を保っていないと発動しない。』

 

 術って……ここは剣と盾の世界ですよー。神さんよー。

 

『いいんじゃよ~』

 

 もうめんどくせぇ。完璧にアスナは俺ら以上のチートキャラに生まれ変わりましたぁ~。

 

「アスナ……ありがとな」

 

「いえ。私はこの子のことをよく知らないけど、あなたがあそこまで必死になるんですもの。渡しだってこれくらいは……」

 

 リリカも無事だったってことで……。

 

「《アシュラ・ザ・ヴァシュラ》。お前のこれからの運命は死だけだ。それはぜってぇに履がえせねぇ。消え去りやがれ。さぁ、ジャッジメントタイムを始めようか」




 アスナがチートになりました~わ~パチパチ。

仁「パチパチじゃねぇよ!」

 よ、

仁「よじゃねぇ! どうしてくれんだよ! ゲームバランスグッシャグシャだよ! 死んでんのになんでだよ!」

 いいじゃん。条件厳しくしたんだから。

仁「そういう問題じゃねえええ!」

 はいはいワロスワロス。

 シュリーン

 えっちょっ。

 ドスッドスッドスッドスッドス
 ぎゃぁぁぁあああああああ!

 キュイ~ン ザシュイン!

 「」

仁「感想、指摘、☆評価頼むぜ。次回もよろしく!」

生きてるからねぇ~

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