【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO   作:MYON妖夢

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はい、始まりました五十五層攻略。


第二十二話 千本の腕

 ラフコフ討伐戦から一週間ほどたってボス部屋が発見され、偵察隊が送られた。そしてその結果が今この攻略会議で明らかになる。

 

「諸君。五十五層ボス会議をはじめさせていただいてもいいだろうか」

 

 ヒースクリフがそういうと同時に視線が集中する。

 

「今回攻略の主催を任せられたヒースクリフだ。諸君。よろしく頼む」

 

 正直嫌だなー。奴は確かに今は攻略にしっかり乗り込んでるけどどうなるか知らねえし。

 

「それではまず焦らしてもしょうがあるまい。非常に言い難いことだが……偵察隊10人のうち8人が死亡した」

 

 ……は? クォーターポイントじゃないこの層で偵察隊がほとんど全滅だと……?

 

「おい! ヒースクリフ! そりゃぁどういうことだ!」

 

「君は……ジン君だね。生き残りの二名に聞いたところ、油断はしていなかったし動きも問題なかったと聞いている」

 

「ならなんで!」

 

「それほどまでにボスが強いのだろう。情報では無数の腕とその腕全てに握られた剣。そしてそれらが反撃のひまもないほどに連続でたたきこまれるそうだ」

 

 チッ……。無数の腕……。そして無数の剣……。厄介だな。

 

「それでは改めてボスの情報だ。ボスの名前は《アシュラ・ザ・ヴァシュラ》取り巻きはなし。武器は先ほど話した通り無数の片手用直剣だ。特殊攻撃については不明。そしてこれ以上の犠牲を出さないためにも偵察隊は危険だ。これほどまでに不安定な戦いは初めてだろうが諸君。頑張ってくれたまえ」

 

 そして俺たちは一度解散した。

 

 

 

------――――――――――――――

 

 

「チッ。茅場のやろぉ……。ここはクォーターポイントじゃねぇんだぞ……」

 

「確かに……クォーターポイントのむずかしさを超えているわね」

 

 今回はとにかく死者をへらさねぇと……。ちょっとばかし無茶してでも一人でも減らしていかねぇと……。

 

「思いつめないで」

 

「!?」

 

「そんなに思いつめるなんてあなたらしくもない。あなたはもっと強く構えていないと。そうじゃないと私が好きになったあなたじゃないわよ」

 

「ああ……そうだな。けどよ……俺は原作以上に死人を減らさなきゃなんねぇんだ。そうじゃなきゃここに来た意味がねぇ……」

 

「またあなたは一人で背負いこむ」

 

 ほむらに何度か聞いたその言葉をピシッとした声でたたきつけられる。

 

「何度も言わせないで。あなた一人でここに来たわけではないでしょう? 私もいる。仁の目的は私の目的。あなたが苦しんでいるのに私が苦しんでいないわけがないでしょう。しっかりしなさい! 欄間仁!」

 

 思いきり叱咤されてまたも気が付かされた。

 

「ああ。そうだ、そうだよ、そうなんだよ。俺は一人じゃねぇ、ほむらもいてくれる。なんでこんな重要なことを失念してたんだか。だから……」

 

「何?」

 

「これからも力を貸してくれねぇか? ほむら」

 

「当然よ。私のすべてはあなたに託しているのだから」

 

 そして俺たちは眠りについた。

 

 

 

 

  ――翌日――

 

「諸君よく集まってくれた。それではこれからボス攻略戦に向かおうと思う」

 

 ヒースクリフはそういい、ためらいもなく腰のポーチから取り出したコリドークリスタルを握りしめ。

 

「コリドー・オープン!」

 

 そう叫んだ。その瞬間にその結晶は砕け散り、ヒースクリフの目の前に渦ができる。その奥に見えるのはボス部屋の扉。そしてヒースクリフはその渦に入っていった。

 

「みんなヒースクリフに続け」

 

 そう俺が言うとみんなが入っていった。

 そして俺も足を踏み入れる。次の瞬間に目に飛び込んできたのは重々しいボス部屋の扉。この先には五十層と同等……もしくはそれ以上のボスが待っている。そう思うと俺の背筋が急速に冷えていく。

 

「大丈夫よ。仁」

 

「ああ。さてと――みんな! ヒースクリフの指示に従い攻略しろ!」

 

 今回のサブリーダー(本当は全くやりたくなかったのだが)である俺が叫ぶとみんなが時の咆哮を上げる。そしてヒースクリフが扉を押し開ける。

 その扉が開ききった瞬間に明かりがともり、奥にいるボスの姿が明確に浮かび上がる。《アシュラ・ザ・ヴァシュラ》。情報通り無数の腕がうごめいている。

 

「総員――突撃!」

 

 そのヒースクリフの声を合図に俺たち前衛が飛び出した。同時にボスの剣が振り上げられる。

 

「おおおぉぉぉぉおおおおおお!」

 

 俺はそれを右にステップで回避し、連続で降り注ぐ剣をパリィする。

 そして無数の剣にライトエフェクトが宿る――ソードスキルかよ!

 

「みんな離れろ! ソードスキルが来るぞ!」

 

 ボスの剣が動き出す直前にみんなが動き出した。しかし間に合わない。ボスの剣が高速で打ち出される。

 

「チッ! はええ!」

 

 数人が剣の嵐に巻き込まれ吹き飛ばされる。HPを確認するとその一撃で一気にレッドゾーンまで減らしてるやつもいる。一番軽傷でもイエローに入り込んでいる。

 俺はいまだ続いている剣の嵐を両手の剣を全力で強振してその中の一本の剣を弾き飛ばす。しかしその衝撃で俺も後ろに吹っ飛ぶ。

 

「重いな……! くそっ」

 

 しかしそのソードスキルはやんだ。同時にディレイが――。

 

「はぁ!?」

 

 なかった。いや、正しくはディレイしている剣が動かずに使われていなかった剣が振るわれている。

 そしてさしものユニークスキル『虚像作製』であっても無数の剣のスキルをコピーすることはかなわない。どうする……。ディレイブレイクは一日に二回……そんなにむやみに使えねぇ。どうする……。

 

「……ほむら」

 

「ええ」

 

 俺たちは一言で意思を疎通する。ほむらが俺に《クロックダウン》をかけ、筋力を底上げする。そして敏捷値が半分になった俺はほむらの《トランスムーブ》でボスの前に飛ばされる。

 

「喰らいやがれ!」

 

 俺はほむらからコピーした《クロックダウン》をボスにかけ、動きを遅くし、《ジ・イクリプス》を放つ。奴のHPが一気に削れていくが相手に《クロックダウン》をかけるというのは相手の筋力値を上げるという意味でもある。はっきり言ってかなり危険な状態で俺は剣を振るっているということになる。

 

「らぁぁああああ!」

 

 俺のジ・イクリプスが終わると同時にボスのソードスキルが発動する。ボスのHPは一段目の半分が削れただけだ。俺はディレイブレイクを発動しようとした。が。

 

「はぁぁああ!」

 

「やぁぁぁああ!」

 

 ほむらの刀がボスの剣の一本をせき止め、ユウキが『絶剣』最上位重単発スキル《エクスカリバー》をたたきこみ、へし折る。同時にボスのスキルがキャンセルされる。理解した。

 

「ヒースクリフ! ディアベル! こいつのスキルは剣を思いきり弾くか、破壊するかでキャンセルできる!」

 

「了解した!」

 

「わかったよ!」

 

 そう叫んだあとおれはディレイが解けた体をボスにもう一度向ける。

 

「助かった。サンキューほむら、ユウキ」

 

「ええ」

 

「気を付けてよね!」

 

 さらに後ろからシノンの《エクスプロードアロー》五連撃がボスの体にぶち当たる。それによりボスが一瞬スタンする。その隙に俺たちはボスから離れる。

 

「チィ……厄介な野郎だ。スキル後のディレイが通用しねぇなんて……」

 

「ええ。これまでと比べると企画外よ。いつものスキル後を狙うという作戦は成り立たない……」

 

「けど殺るしかねぇよな……。進むには……」

 

「そうだよ! ボクたちが倒さないと進めないんだから!」

 

 そういったあとユウキが飛び出す。好戦的すぎんだろ!」

 

「ちょっ!待てって……」

 

 ユウキがボスの攻撃を華麗なステップでかわしまくる。ユウキにはほむらの《クロックアップ》がかかっているようでうごきがいつもより早い。

 

「俺たちも……負けてらんねぇな」

 

「ええ。行きましょう」

 

「ああ! ヘルタイムのスタートだ!」

 

 そう叫び俺も足に力を込め。一瞬で爆発させる。同時にユウキが大きく跳躍して《マザーズロザリオ》を放った。

 その攻撃は先ほどのおれのジ・イクリプスと変わらない威力を誇っている。武器の性能や筋力値では俺が上回っている。ならなぜか? それは――

 

 ユウキのユニークスキル『絶剣』のバッシブスキル『パワードステップ』。

 これは相手の攻撃をかわすたびにユウキの攻撃力が上がるというものだ。その上限回数は10回。10回以降は躱しても攻撃力に変わりはないが、10回かわした後の威力が通常の二倍を超えているという代物だ。しかし弱点があり、相手の攻撃を一発でも喰らってしまうとそのかわした回数がリセットされてしまうのだ。しかしそのデメリットをユウキはもともとのキリト並みの反応速度でカバーしている。

 

 ユウキがディレイしたと同時に俺が飛び込み、ヘイトを稼ぐためにユウキからコピーした《マザーズロザリオ》をほむらの《クロックダウン》による支援をもらい、叩き込む。やはりというかなんというか、俺のマザーズロザリオはユウキに少し劣っているようだ。ま、それは置いといて。

 俺は右の最後の突きと同時に後ろに大きく引かれた左で《ヴォ―パルストライク》を放つ。

 さらにもう一度大きく後ろにひかれた右で少し方向補正を無理やり行った右下からの切り上げで始まる《バーチカル・スクエア》につなげる。

 次はまた後ろにひかれた左の剣をそのまま《スラント・スクエア》につなげる。

 合計23連撃のスキルチェイン。その煉獄こぐ駅によってボスのHP一段目が消え去り、二段目の4分の1ほどが削れた。

 

「一回離れるぞ!」

 

 そう叫んだ俺は思いきり後ろに飛ぶ。敏捷値が戻った体で数回後ろに飛んでディアベルたちのところに戻る。

 

「さすがだね。圧倒的だ」

 

「そうでもねぇよ。結構ギリギリだぜ? あれでも」

 

「俺らの出番が来るかが不安だよ」

 

「来させないで楽させてやろうか?」

 

 俺は真顔でそういいかえした。するとディアベルも。

 

「助かる」

 

 と真顔で返してきた。同時にボスが吠える。視線を集中しフォーカスシステムを使い、奴の変化を確かめる。いたって変化はない、パラメータ系か?

 

「みんな! おそらくパラメーター系統がパワーアップしてる! 気をつけろよ!」

 

 俺の言葉に大声で返してきた皆。俺は身も心も引き締めてボスと相対を始めた。




はい、ぴったし4000文字。終わりました。

仁「このボス戦いつまで続くの?」

結構続きそうだねぇ。一話で一段ってw

仁「フザケナイデクレマスカー」

ふざけてないって。ボクだって早く原作はいりたいんだ。

仁「ここが終わったら次は?」

六十七層攻略しようかなと。原作では「我々も死者を出すところだった」とヒースが言ってた気がする。だからたぶん整竜連合あたりから少しくらい出てるんじゃないかと思うんだ。

仁「なーる」

ということで頑張ってもらうからね。

仁「へいへい」

 それじゃ、感想、指摘、☆評価お待ちしています!

仁「次もよろしく!」

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