【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO   作:MYON妖夢

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はい、まずは仁君パートです。そのあとユウキたちです。さいごにほむらです。


第二十話 それぞれの戦い

「らぁぁぁああああ!」

 

「はぁぁぁああああ!」

 

 俺のPoHの剣がぶつかり合って火花を散らす。そのたびにお互いの顔が一瞬明るく照らし出される。俺のゴールドブレードとシルバーブレードの耐久値はほかの剣と比べかなり高い。しかし奴の魔剣メイトチョッパーもそれは言えること。相手の武器を壊すのは現実的ではない。

 

「……ククク」

 

「何がおかしい!」

 

「いやな……お前も俺たちと底のほうでは同じってことがわかるんだよ」

 

「……んだと」

 

「お前のその剣に込めた殺気。それは俺たち犯罪者と同じもんだぜ?」

 

「ッ! だまれぇ!」

 

 俺は両手の剣を思いきり強振する。その一撃で距離を取り、ソードスキルを発動させ一気に距離を詰める。《ジ・イクリプス》。

 

「あめぇよ! boy! それはもう何度も見た!」

 

 PoHがそれをかわす。連撃をかわしまくる。躱しきれないものはパリィでそらす。

 

「チィ!」

 

「終わりだ。boy」

 

 俺の最後の27発目をかわしたPoHはそのまま短剣を構える。

 

「なにもユニークスキルを持ってるのはお前やヒースクリフだけじゃねぇんだぜ」

 

 なにっ!

 

「見せてやるよ。俺の『悪心剣』を」

 

 その瞬間俺の意識がどういうことが一瞬なくなり、すぐに戻った。その時は俺の頭の中にいろいろな情報が入ってきていた。

 

「死ね! boy!」

 

 PoHの剣が振り下ろされる。俺はディレイで動けない《筈だった》。

 

「何ッ!」

 

 ディレイブレイク――。

 

 俺の体に重くのしかかっていたシステムという名の重荷が一瞬にして消え失せた。俺の首を両断するはずだった奴の一撃目が当たる直前に俺は縮地で離れる。

 さらに俺の頭にはデータが入ってくる。

 

 ユニークスキル『悪心剣』

 

 使用者『PoH』

 

 使用ソードスキル。悪心剣九連撃『ダークマター』

 

 ドッペルゲンガー起動。反撃――。

 

「なん……だとぉ!」

 

 俺の体はシステムに従い≪さっきのPoHと同じ腕の動きをし始め、同じスキルを発動させる≫。つまり俺は奴のスキルをそのまま返す――。

 そして俺の頭に入ってきた最後の情報。

 

 ユニークスキル『虚像作製(ホロウメイカー)』発動――。

 

 

 

 

 俺の腕は先ほどのPoHと全く同じ軌道を走る。それを戸惑いながら受けるPoH。しかしその戸惑いからか少しずつダメージが入る。

 

「チィ! どういうことだ! なんでてめぇが俺のスキルを!」

 

「知るかよ……どちらにせよお前はここで終わりなんだよ……PoH」

 

「shit!」

 

 さらにPoHは悪心剣のスキルなのだろう、剣に真っ黒なエフェクトをまとわせて切りかかってくる。俺はそれらを冷静になった頭で対処する。

 俺の両手の剣は攻撃だけではなく防御にも当然有効的だ。両手の剣を交互に最低限の動きで上下左右に振ることで奴の剣の切っ先をずらす。それにより俺の横をギリギリのところで通過するメイトチョッパー。

 やがてスキルが終わる。俺は再び体の感覚に任せる。

 

 使用ソードスキル。悪心剣最上位攻撃スキル十五連撃『ダークブレイク』

 

 ドッペルゲンガー発動――。

 

 俺の体は再びPoHと同じ動きを始める。ソードスキル特有のエフェクトをまとわせた剣をPoHに叩き込む。さすがのPoHも自分と同じソードスキルを使ってきた俺に驚愕の表情を顔に張り付けている。

 そして俺の攻撃はディレイ中のPoHに打ち込まれていく。PoHのHPはどんどん削れる。しかしレッドゾーンに入る直前でディレイが解け、距離を取られる。

 

「……チィ」

 

「てめぇ……何しやがった」

 

「想像に任せる」

 

 俺はダッシュし、飛ぶ。そのまま空中で真下のPoHに向かって両手の剣を引き絞り、交互に打ち出しまくる。

 虚像作製スキル『スキルメイカー』による前世からのOSSが復活。それによりOSS《メテオ》発動。

 空中より舞い落ちる30連撃。それをPoHはかいくぐっていく。

 

「shit! どういうことだ!」

 

「……消えろ」

 

 メテオが終わると同時にラスト一回のディレイブレイク。そのまま一気に接近。

 

「じゃあな。もし茅場の言葉が嘘だったら向こうで会いに行ってやるよ」

 

 俺の最後のスキル。過去最高のスキル。

 

「《ギャラクシーΩ》!」

 

 右の剣で《バーチカル・スクエア》。左の剣で《ホリゾンタル・スクエア》。右の剣で《スラント・スクエア》。左の剣で《ヴォ―パルストライク》。右で《スター・Q・プロミネンス》。左で《ファントムレイブ》。そして右で組み込まれている《緋扇》。そして――。

 

「終わりだ」

 

 両方の剣で《マザーズロザリオ・クロスブレイク》。

 合計50連撃。それらはPoHのガードをいともたやすく破壊し、その体を射抜いていく。そしてPoHのHPは確実に0になった。

 

「……HAHA。やっぱりお前は俺たちと……同じ……」

 

 ガラスの破砕音とともにPoHはこの世界から消え去った。

 

 

  ――仁sideout――

 

  ユウキ第三者side――

 

「しねぇぇえああああ!」

 

 ジョニーが麻痺付きのナイフを振り回す。俺をクラインがはじき、ユウキが切る。そしてシノンが遠距離で打つ。そのサイクルが出来上がっていた。

 

「チッ! 死ねってんだよぉ!」

 

「うるさい!」

 

 ユウキがその短剣を弾き飛ばす。ジョニーが新しいものを出す前にクラインとシノンが攻撃する。

 そのサイクルによりジョニーのHPが順調に減っていっていた。が、そのサイクルも均衡が破れる。

 

「リーダー! 手を貸してください!」

 

「くっ……おめぇら」

 

 クラインが迷い始める。

 

「いいよ! いって!」

 

「嬢ちゃん……」

 

「持ちこたえて見せるわ。だから早く!」

 

「……サンキュー! ンジャちょっといってくらぁ!」

 

 そう言い残してクラインが走っていった。

 

「あのおっさんを向こうに行かせたのは失敗だったんじゃねぇのかぁ? 俺の力を失念しすぎだぁ」

 

「うるさいってば!」

 

 ユウキが切りかかる。ジョニーはむちゃくちゃな方向に投擲をし始めた。そしてユウキの攻撃がジョニーに当たりHPをごっそり減らす。が。

 

「きゃっ……」

 

 シノンの声。ユウキが反射的に後ろを向くと、シノンがむちゃくちゃの放たれた投剣にささり、麻痺をして崩れ落ちていた。そして後ろを向いた隙を見逃すはずもなくジョニーが《アーマーピアース》でユウキを突きさし、麻痺させる。

 

「あっ……」

 

「残念だったなぁ。餓鬼ども」

 

 どう考えてもジョニーのほうがガキっぽいのだが言わないでおこう。

 

「さぁて。まずはそっちの厄介な弓使いからだ」

 

 そういいジョニーはシノンのほうに歩いていく。

 

「おっと。抵抗しても無駄だぜ? その毒は現時点最高レベルだ。あと10分は麻痺が抜けねぇよ」

 

 そしてジョニーがシノンの体に短剣を突きさす。

 

「うあっ……」

 

「ヒャハハハハハハハあはは! いいねぇ! その恐怖に満ちた顔!」

 

 その短剣を刺したままひねる。

 

「あぐっ……」

 

「ククククククッ」

 

 さらにぐりぐりとねじり、シノンのHPがどんどん削れていく。

 さらには両手に短剣を持ち、連続で交互に突きさしだす。

 

「あうっ……うう」

 

「く……そぉ」

 

「あはははははははははは!」

 

 シノンのHPがイエローからレッドに移り変わる寸前まで来た。しかしジョニーはあえて通常攻撃で突きさしまくる。恐怖を感じさせて終わらせたいらしい。

 ついにシノンのHPがレッドの後一撃で死ぬところまできた。

 

「くそ……ボクは……ボクは……」

 

「ひゃはハハハハハ! 死ねぇ!」

 

「ボクにだって……守りたいものがあるんだぁぁぁぁああああああああ!」

 

 ジョニーが短剣をシノンの体に振り下ろす寸前。ユウキのHPバーに現れていた麻痺のマークが一瞬にしてブレ、消えた。同時にユウキが跳ね起き、黒曜石の片手直剣を右肩に担ぐように構えた。

 

「ンだ……とぉ!」

 

「やあああああああああああ!」

 

 左上から右下への神速の五連突き。ジョニーは防御を取る間もなく全ての攻撃をまともに食らう。

 しかしまだ終わりではない。もう一度右肩上に構えられた剣から刺突が放たれる。右上から左下への同じ神速突き。それは×を書くかのように打ち込まれる。

 ユニークスキル『絶剣』。上位スキル《マザーズロザリオ》

 ここまでの銃連撃によりジョニーのHPはすでに風前のともしび。

 しかしユウキは止まらない。シノンを殺そうとしたジョニーへの怒り、そして何より自分への怒り。それを抑えきれずに最後の中心突きをはな――とうとしたが紅い刀に弾かれた。

 

「……なんで邪魔するの……クラインさん」

 

「それは嬢ちゃんみたいな子がやっていいことじゃねぇんだ」

 

 見るとジョニーの体は麻痺により硬直している。後ろからクラインが切りつけたのだろう。

 

「だけど……だけどっ!」

 

「いいか。嬢ちゃん。怒ってるのは分かってらぁ。けどな、怒りに任せて人を殺したらそれこそこいつらと同じになっちまう。こういう汚れ仕事は、手を血に染めるのは俺ら大人の仕事だ」

 

 そういってクラインは刀を構える。

 

「幾ら憎くても、絶対に人は殺さないでくれ……頼むぜ……嬢ちゃん」

 

 クラインの刀がジョニーの体を切り裂く。同時にHPバーが完全にグレーに染まり、ガラスの破片となって爆散した。

 

  ――ユウキ第三者sideout――

 

  ――ほむらside――

 

「し、ね!」

 

「お断りよ」

 

 私はザザの攻撃を《THE WORLD》を使って躱す。

 

「こ、の!」

 

 そのあとの攻撃は《トランスムーブ》による連続ワープで躱し続ける。さらに隙を見つければ《トランスムーブ》で近づき切り裂く。その繰り返し。

 

「甘いわね。あの時より圧倒的に弱い。あなた、これだけ弱かったかしら?」

 

「ほざ、け!」

 

 あおっていると敵の攻撃は単調になる。そして単調に大振りになった攻撃になど当たらない。これじゃあ使い魔より全然弱いわね。

 そろそろ本気でいこうかしら?

 私は『絶対時間』スキル《クロックダウン》を発動して相手の敏捷値を一時的に極端に下げた。それにより攻撃速度はのんびりとしたものになった。

 さらに《クロックアップ》により一時的に敏捷値を上乗せ。《トランスムーブ》を発動して近づく。そしてザザのエストックを加速した刀で弾き飛ばす。さらに《シングルストップ》を発動させ、ザザの時間を止める。その状態のまま連続で切り裂く。敏捷値が上がっても攻撃力が下がったわけではない。

 五秒がたって《シングルストップ》が解けると同時にザザのHPは停止した時間の中で受けたダメージをまとめて受けて一気に削れる。

 

「な、んだと!」

 

「私は、仁にあだなすものを絶対に許さない」

 

 いまだにクロックダウンによって動きが遅いザザにクロックアップで加速した刀をたたきつける。それによりHPがほとんどグレーになる。

 

「さようなら。赤眼のザザ」

 

 《THE WORLD》を発動して再び私以外の時間を止める。そのまま刀スキル最上位連撃スキル15連撃《乱れ桜》を発動させる。

 右きりおろしからその軌道を戻って左きり下ろし、そしてまた軌道を戻る。さらに右回転切りを誤解。高く飛翔。そのまま落下の勢いをつけた垂直きり下ろし、切り上げ。いったん鞘におさめて居合切り。逆手もちに持ち替え、左回転切りを二回。そして回転の勢いのまま水兵にザザの脇腹に突きさした。

 乱れ桜が終わると同時に停止していた時間が動き出す。同時にザザのHPが完全に0になる。

 

「さば、きを」

 

「二度と私の前に現れないで」

 

 そしてザザはガラスの破片となって四散した。




終わりました。一番ひどい殺し方はほむらですね、はい。

ここで説明しましょう。

ユニークスキル『虚像作製』

 バッシブスキル《ディレイブレイク》
    一日に二回だけ技後のディレイを無効化する。

 《スキルメイカー》
    OSSを作成できる。前世でのOSSも復活した。

 《ドッペルゲンガー》
    相手のスキルを“同じものは一日に一度だけ”そのまま発動して返す。保存可

 いまはこのくらいですね。はい。

それでは終わります。
感想、指摘、☆評価よろしくお願いします。

仁「次もよろしくな!」

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