【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO   作:MYON妖夢

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 はい、お待ちかね? のラフコフ討伐戦です。ボス戦と同じになっちゃいそうな感じがするZE☆


第十九話 迫りくる恐怖

あの五十層での激闘の後。俺は少女――もとい、「リリカ」を送り届けてから家に戻った。あの子はすごい子だ。あの後のボス戦にも毎回出ていた。何が彼女を突き動かすのか……俺にはまだ解らない。けどあの子からは年の割にはものすごい闘志を感じた。たぶん長年生きてきて、ほむらを守ろうとする俺よりもそれだけなら上に感じられる。

 しかし俺は失念していた。もっと深く考えておけば分かったことを――。

 

 

 

 

 現在の最前線は五十五層。そして今日はラフコフ討伐戦が開かれる。

 前に一度メッセンジャーを送ったのはいいが、話を聞くまでもなく殺された。そして今回はラフコフのアジトをアルゴが突き止めた。俺たちはそこからラフコフ討伐戦のプランを立ち上げた。しかし俺は不安でならない。なぜか。それは原作ではラフコフのメンバーが攻略組に紛れ込んでいたからだ。

 

「みなさん! それではこれからレッドギルドラフィンコフィンの討伐戦に向かいます! 今回は私、血盟騎士団副団長のアスナが指揮をとらせていただきます!」

 

 だ、そうだ。やはり原作通りヒースクリフは来ないか。俺たちでPoHたちを殲滅しろということだよな。

 

「それと……ジンさん!」

 

「……はへ?」

 

「あなたにも指揮をとってもらいます」

 

「はぁぁぁぁああああああああ!?」

 

 何々何々!? なぜに俺だよ!

 

「あなたはラフィンコフィンのリーダーであるPoHと二回戦って二回とも勝ち越しています。適任かと思って」

 

「アスナぁ……そりゃねぇぜ……」

 

 もうやけだやけ。アスナはこういうことになったらてこでも動かない。はぁ……

 

「……わかったよ。ったく。ンジャ、そういうことでもう一人の指揮官になったジンだ! 顔を合わせたことがある奴もいると思う! 今回は間違いなくきつい戦いになる。相手を殺すのもやむを得ないことになると思う。もし……殺したくない奴は抜けてくれ! 半端な覚悟じゃ間違いなく殺される。それと……現場で実際にその状態になった時、殺せなくなっちまったときは俺を呼んでくれ。罪をかぶるのは俺だけで十分だ!」

 

「……何言ってるの! 仁!」

 

 ほむらか……。

 

「わりぃな。ほむら、それにみんな。現場で殺せなくて逆に殺されてしかも回復させました。なんてわらえねぇ冗談だ。あいつらは自分が死ぬことも相手を殺すこともためらわない。だから俺を呼べ。血に濡らすのは俺の手で十分、お前らが気に病むこたぁねぇ!」

 

「ジン君! それは俺も同意しかねるよ!」

 

 今度はディアベル。

 

「そうだぜ! 黒い旋風! お前みたいな子供に全部取られちゃ大人の威厳がねぇ!」

 

 あー、いまいうべきことか知らんけどー。黒い旋風ってのは俺らしい。黒い服装で二刀流で切り裂きまくるところからつけられたらしい。

 

「ありがとな、お前ら。けどもしやばかったら遠慮せず呼んでくれ。行ける状況だったら手を貸す。それとこれは俺のわがままだ」

 

 俺は周りを見回し、息を鋭く吸い込む。

 

「……PoHは俺が殺る。これだけは俺のわがままだ。だけど付き合っちゃくれねぇか」

 

 一瞬その場が完全に沈黙に包まれる。

 

「……ジン君」

 

「解ってるよ。俺の命がすぐになくなる可能性もあるってのはよ……アスナ。けどあいつとまともにやりあえんのは今は俺だけだ。殺れるやつが殺る。これしかねぇんだよ」

 

 その状態で一度周りを見回す。するとかなり浮かない顔のリリカが見えた。どういう意味の顔かは知らないけど、何かをまだ隠している感じがするのはたしかなんだよな。

 

「……みんな。二時間後に集合してくれ」

 

 俺はそういって身をひるがえす。するとほむらがよってきた。

 

「やっぱり馬鹿ね」

 

「返す言葉もねぇ」

 

「まったく……」

 

 あきれられた。

 

「けどな。あいつは俺がけじめつけねぇといけねぇんだ。あの時俺が取り逃がしてさえなきゃまた被害が出ることもなかったんだから……」

 

「なんであなたはいつもそう背負い込むの……」

 

「しゃーねーわ。癖なんだから」

 

 そういって俺は二時間後に備えて準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

  ―二時間後―

 

「みんな! 集まってくれてありがとうな!」

 

 今集まっているのはさっき集まった人数とほぼ同じ人数だ。ありがたい。

 

「俺たちはこれからラフコフの討伐に行く! アジトについたら入る前にみんな対毒系のポーション飲んどけ!」

 

 そういって俺は歩き出す。アルゴから送られてきたマップデータの見ながら。

 

 

 

 

 

 

 

「ここ・・・・・・か」

 

「ええ。そうみたいね」

 

 単なる洞窟。けどこの先には本物の殺意が待っている。

 

「頼んだぜ、エイミー」

 

 エイミーがレジスト系魔法を片っ端から使っていく。少なくとも俺とほむらの範囲はレジスト範囲内だ。

 

「いくぜ! 皆!」

 

 俺はそういって洞窟に入る。

 中は鍾乳洞じみたじめじめした嫌な感じが体にまとわりついてくる。

 そして索敵範囲内には何もない。……いや。一つオレンジカーソルか。

 

「とまれ」

 

 俺は一回みんなを止める。

 

「さすがに隠蔽つかってなきゃすぐばれるな。ようこそboy」

 

「……PoH……!」

 

 奴は確かに今一人だ。狙うなら今だと誰しもが思うだろう。しかしそこが奴の狙いなのだろう。

 

「なんだよ! 一人じゃねぇか! 囲んでやっちまえ!」

 

「なっ! 馬鹿! やめろ!」

 

 誰かの一声が引き金となりPoHを囲む――前に何かに切られた。

 

「がぁ!」

 

「HAHAHAHA! 用意してないわけがないんだよ! 情報など筒抜けだ! さぁ、it showtimeだ!」

 

 PoHが音高く指を鳴らす。すると隠蔽が解けたオレンジどもが続々と出てきた。

 

「チッ!・・・・・・っ!」

 

 俺は舌打ちをすると同時に背中に違和感を感じた。後ろを振り向いてみるとそこにいるのは――。

 

「リリカか」

 

「なんで!? なんで麻痺にならないの!」

 

 なるほどね。大体の予想はかなり大雑把にだがあっていたってわけね。

 

「エイミーのレジストは使ってから数分はレジストが続くんだよ。リリカ」

 

「功績を……功績を立てないとお姉ちゃんが……」

 

 聞いてねぇなおい。こんなことをしている間にも戦いが始まっているし、背中に刺さった短剣で継続ダメージが来ている。バトルヒーリングですぐ全快だけど。

 

「なるほどな。ねぇちゃんを人質に取られたか」

 

「……どうすれば……どうすればいいの……」

 

「リリカ!」

 

「ッ!」

 

「怒ってねぇからそんな反応しないでくれ……傷つく」

 

「ご……ごめんなさい」

 

「姉ちゃんを人質に取られたんだな?」

 

「……うん」

 

「で、しょうがなくこれをしたと」

 

 俺は背中の短剣を指さす。

 

「……うん」

 

「解った。ンジャ……」

 

「ッ!」ビクッ

 

「手伝うぜ」

 

「……え?」

 

 意外そうな顔をするリリカ。

 

「手伝うって言ってんだよ。俺はPoHを殺すのが目的だ。そのままPoHを殺せりゃリリカの目的も達成できる」

 

 俺はそういい、すでに索敵で確認済みの目の前のPoHに視線を移す。

 

「そういうことだ。リリカの姉ちゃんおとなしくかえせ」

 

「別にいいぜぇ? おい連れてこい」

 

 ずいぶんあっさりだな。気分がわりぃ。

 

「お姉ちゃん!」

 

「リリカ!」

 

 あの人か、リリカの姉ちゃんは。HPはレッドゾーンに入っていて、後一発の投擲でも0になりそうだ。

 

「ほらよ!」

 

 PoHが彼女をこちらに突きとばす。次の瞬間PoHの右手には――

 

「ッ! 伏せろ!」

 

 俺は叫び同時にダッシュを始める。しかしその間にPoHが右手に握っていた短剣が放たれる。

 

「間に合え! 縮地!」

 

 俺は縮地を使い、一気に距離を詰める。そして短剣は間一髪のところで俺の腹部に突き刺さる。

 

「へっ! 残念だったなPoH!」

 

「shit!」

 

 後ろではリリカが回復結晶での治療をしたところだ。

 

「なんでboy。お前は毒にかからねぇ」

 

「そんなん……秘密だ!」

 

 俺は叫ぶと同時に両サイドの腰の剣をつかみ、PoHに向かって走る。PoHも腰の短剣を抜き構える。

 

「今日でお前の野望は終わらせる! 消えろPoH!」

 

「ほざけ!」

 

 そして両者の剣がぶつかり合う。そこからは連続での攻撃の押収。クリーンヒットは全くなし、それどころかかすることすらも厳しい。

 

「ほむら! リリカ達を連れて安全なところへ!」

 

「ええ! わかったわ!」

 

 俺はほむらに叫び、リリカ達を避難させる。

 

「てめぇも俺たちラフィンコフィンの犠牲になりやがれ! boy!」

 

「黙れ! ンなもんなってたまるか!」

 

 

 仁sideout

 

 ほむらside

 

 仁から託されたリリカ達をユウキとシノンと外に向かって走りながら連れて行く。けど闘いの中では動きにくいわね。

 

「待ちやがれ! ジョニーブラック!」

 

 クラインの声がこちらに届く。ジョニーブラックか……。

 

「にがさねぇぞ! 裏切り者が!」

 

「ひっ……」

 

 そのままこっちの走ってきたジョニーブラックがリリカに向かってどなる。

 

「うるさいよ! リリカはもともとラフコフのメンバーじゃないよ!」

 

「ええ。あなたがとやかく言えることではない」

 

 ユウキとシノンが言い返す。

 

「ほむら。ここはボクたちに任せて早くいって」

 

「大丈夫なの?」

 

「ええ。なんとかするから。早く」

 

 ここはお言葉に甘えようかしらね。

 

「……気を付けてね」

 

「うん!」

 

「ええ」

 

 そして私は再び走る。

 

 ほむらsideout

 

 ユウキ第三者side

 

 ユウキとシノンは現在ジョニーブラックと向き合っている。

 

「やろぉ……じゃますんじゃねぇぞ! 三下が!」

 

「うるせぇよ。ジョニー」

 

 横から追いついてきたクラインが口をはさむ。

 

「てめぇの相手はこの俺だ。なによそ見してんだ」

 

「チッ。鬱陶しいんだよ! おっさんがぁ!」

 

「なんとでもいいやがれ」

 

 そしてクラインは刀を引き抜きジョニーに切りかかる。対してジョニーは腰の短剣を一本引き抜き、投擲する。そしてもう一本を引き抜き、構える。

 クラインは飛んできた投剣を刀ではじき、再び距離を詰める。

 

「手を貸すよ! クラインさん!」

 

「サンキュー!」

 

 ユウキは黒曜石のような輝きを放つ片手直剣を腰から引き抜き構える。シノンは弓を背中から取り出し、矢をつがえた。

 

「やぁぁぁぁああ!」

 

「はぁぁあぁあああ!」

 

 ジョニーとユウキたちの戦いが始まった。

 

 第三者sideout

 

 ほむらside

 

 もう少し……もう少しで出口に……

 

「ま、て」

 

「赤眼のザザ……」

 

 また厄介なのが出てきたわね……。ここまでくればトランスムーブも圏内のはず……。

 

「にが、さない。うら、ぎり、もの」

 

「うるさいわね」

 

 私は両手をリリカとリリカの姉さんに触れさせる。

 

「……これからあなたたちを外にとばす。外に出たらすぐに逃げて、漂白クエストを受けた後にすぐに圏内の宿屋に泊って鍵をかけて待っていて」

 

 そして私はトランスムーブを発動させ、二人を外にとばす。

 

「なにを、した……!」

 

「あなたにはしる必要もないわ」

 

 私は腰から刀を引き抜いて構える。ザザも腰のエストックを抜き出した。

 

「はあああああ!」

 

 私と赤眼のザザとの戦いが始まった。




終わりました。次からはそれぞれの殺し合いですね。まずは仁君から行きましょうか。
次回! 仁君の力が目覚めるZEEえええええええ!

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