【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO   作:MYON妖夢

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 はい、始まります


第十八話 終結

 俺は走りながらほむらのステータス窓を開き、ユニークスキルの確認をする。それは『絶対時間(アブソリュートタイム)』という名だった。スキルはそこまで多くないがそれぞれの性能の良さが極端に高い。正直かなりのチートだと思う。神さんやりすぎだぜ……。

 そして俺はボスに意識を戻し、両手の新しい剣を握りしめる。

 

「……行くぜ?」

 

 そう俺はひとり呟き、両足に力をこめ、一気に開放する。そのまま一気に接近。そして両手の剣を交互に打ち出す。

 右、左、右、左、右、左……。俺の連続攻撃は確実に金角にダメージを蓄積していく。しかし相手も黙って受け続けるわけもない。俺と同じほどの速さで二刀を打ち出してくる。しかしそれは後ろからユニークスキル絶対時間のスキル《トランスムーブ》によって連続ワープしてきたほむらに受け止められる。さらにユウキも加わりそれをはじき返す。そしてさらに――

 

 ドシュンドシュンドシュン!!

 

 毒属性付加“弓”スキル《ヘイルパレッド》が奴の体をとらえる。俺はSAO内でそれを使える人物を一人しか知らない。俺の最初の世界軸で知った唯一の弓使い。

 

「援護は任せて!」

 

 俺がこの世界に来て二回目に救った人物――シノン。

 彼女が弓を手にしたのは五十層に到達して、武器屋を覗いていた時に見つけたことから。そしてそれをシノンが持った瞬間にスキルウィンドウに現れた《射撃スキル》。そしてそれを急きょ練習しまくった。それを今まで使わなかったのは出し惜しみではない。それは単に不安だったんだ。

 自分の弓がみんなに迷惑をかけないか。皆に当たって殺してしまわないか。シノンはそういう優しい子だ。そして今度は俺たちを守るために弦を引いてくれた。なら俺は――。

 

「みんなのためにも……期待に応えるしかねぇよなぁ! らぁぁあぁぁああああ!」

 

 俺はほむらたちに剣をはじかれ、数瞬の硬直時間に囚われた奴に向かって《ジ・イクリプス》を放つ。短い間でも硬直時間さえあればさっきのようにあい打ちでの相殺はされない。たとえあいつが途中で放っても俺はほむらたちがフォローしてくれると信じている。信じているから今打てる!

 

「おぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!」

 

 俺の連撃があいつをとらえる。さらに後ろからのシノンの弓が連続で打ちこまれる。それが当たるたびに奴のHPはガクンガクンと削れていく。

 そして奴がついに動き出す。奴がチョイスしたのは《スターバースト・ストリーム》。16連撃が俺に叩き込まれる――前に停止する。ほむらのユニークスキル内のスキル。《シングルストップ》。敵を一体最大で五秒間うごきを止める。今のほむらの熟練度はほぼないから留めていられる時間も1秒程度しかない。が、十分だ。

 

「せぇややああ!」

 

「やあああああ!」

 

その剣にほむらは《居合切り》。ユウキが《バーチカル・スクエア》をたたきこむ。その結果、時間が動き出した瞬間に奴の右の剣が大きくはじかれる。左の剣だけでは二刀流スキルは発動できない。必然的に奴のスキルは中断され、長いディレイに課せられる。俺は止まらない。《ジ・イクリプス》の続きをさらに叩き込む。

 

「らあああああああああ!」

 

 最後の27発目。その攻撃で減った奴のHPの残りは最後の段に割り込んだところで止まった。俺はほむらの《トランスムーブ》で後ろに飛ばされ、ほむら自身もとんでくる。そして全員が下がったとほぼ同時のタイミングで。

 

 ガァアアアアアァァァァアアアア!!!

 

 ボスが咆哮を上げる。そして奴の剣が変化していく。そして変化が完了したときの剣の形は――。

 

「なん……だありゃ」

 

 ボスが持っている剣が大きく形を変え、両手剣からトマホークのような形――つまり一本ごとの刃の部分がふたつになり、実質四本の刃を持つ剣になった。

 

「厄介だな……」

 

 どうする……アンなので《ジ・イクリプス》を撃たれた日には俺はほぼ間違いなく死ぬ。さっきみたいにほむらたちにフォローしてもらうにも大きく湾曲してる刃の部分は片方を止めても、もう片方が襲いかかるような形をとっている。

 

「ディアベル……ヒースクリフ。片方の剣に付き、タンクを最低でも10人配置しろ」

 

「……どうするつもりだい」

 

「止めてさえくれりゃ俺が突っ込む」

 

「私は無茶だと思うがね。ジン君」

 

「無茶でも……やらなきゃいけねぇだろ! 二刀流を持ってる俺の役目は少しでも多くのダメージを与えることだ! そのためには無茶も……」

 

「仁!」

 

「……ほむら」

 

「いつもあなたはそうね……。いつも無茶して自分で背負いこむ。けどそれはあなたの自己満足になるわよ。もしあなたが死んだとき、残される人のことも考えて頂戴」

 

 ああ……そうだな。俺の自己満足だ。ほむらの言うことにも一理ある。なら――

 

「……力を貸してくれるか? 皆」

 

「ええ。当然じゃない」

 

「もちろんだよ! 仁!」

 

「また一人で行こうとしてたの? 本当に世話の焼ける……」

 

「お前ひとりに任せておけないからな」

 

「俺にもそれを背負わせてもらおうか。ジン君」

 

 ありがとうな。ほむら、ユウキ、シノン、キリト、ディアベル。

 

「サンキュな……皆! ンジャ……いっちょぶちかましてやりますか」

 

 そして俺は大きく息を吸い込む。前世からの戦いの前の決め言葉。

 

「さぁ! ヘルタイムのスタートだ!」

 

 それを叫び俺は全力で地面をける。

 

「タンクはヒースクリフの元奴の攻撃を止めろ! 最低でも10人がかりで行け! ダメージディーラーは俺とディアベルと、キリトに続きやがれ!」

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おおおおおおおお!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 皆の声が重なって俺の耳に届く。視界の端では負傷者をエイミーに指示して回復させているほむら。それが終わるとこっちに加わる。

 

「頼んだぜ、ほむら」

 

「そっちこそ。しっかりやってね」

 

「もちろん!」

 

 タンク隊が奴の剣を抑え始めたのを確認しておれはとびだす。そして同時に俺らの背中を一押しするシノンの精密な弓。それが当たると同時に俺らのHPは当たったものから回復していく。弓スキル《ヒーリングアロー》。

 

「いっけぇえええ! 特攻――開始!」

 

 俺は叫びながらまだまだ持ちそうな両手の剣をボスに向かって交互にたたきつける。そしてやつの両方の剣で系激できなくなった代わりの麻痺ブレスのプレモーションが開始される。しかしその時点でほむらは動いていた。エイミーに素早く指示を出す。それを聞いたエイミーはモンスター専用スキル《パラライズレジスト》。それが麻痺したものを速攻で治していく。――エイミーのスキルは《ヒール》以外はほむらのレベルが上がると同時にどんどん効果が上昇していっている。そんのためレジスト系スキルの効果範囲も広がった。――さすがにソードスキルがキャンセルされたものはディレイがあるが、それをカバーするように全員が動く。ここには攻略組の絆が築かれている。それは裏切り者が出ない限りは壊れない。

 

「タンク隊! はじけぇ!」

 

 俺の号令とともにタンク隊が振り下ろされた剣を盾でパリング。同時に奴は硬直時間が科せられる。

 

「E隊スイッチ! 行くぜA隊! スキルも使って構わねぇ!」

 

 その隙にスイッチをする。同時に俺たちのA隊が前に出る。そしてソードスキルのカラフルなライトエフェクトが乱れ咲く。

 

「ふ……ッ飛べ!」

 

 ほむらの《紫電一閃》のながれによるようにほむらのスキルが終わった瞬間に《ジ・イクリプス》を立ち上げる。しかし――

 

「ぐわぁ!」

 

「すまねぇ!」

 

 奴の剣がタンクを無理やり弾き飛ばし、《ジ・イクリプス》を発動させる。その軌道は最初と同じく全く同じ。ぶつかり合う軌道だ。

 

「こんなとこで……やられてたまるか!」

 

 俺はきしむ腕と剣を無理矢理動かす。少し打ち負けているためHPが細かく削れていく。しかしそれはエイミーのスキル《リジュネ》により瞬時に全快する。俺は筋力値を振り絞り、最大のブーストをかける。その結果。俺のHPは減らず、逆に奴のHPがわずか数ドットだが削れた。

 

「うおぉぉぉぉおおおあああああ!」

 

 不意に俺の背中に何かやわらかく、温かいものがふれた。ほんのわずかなぬくもり、しかしそのぬくもりを介して流れ込んでくるその意識。

 

『頑張って』

 

 その言葉に最後の一押しをされる。俺の体はシステムの限界を超え、腕に力が入る。同時に俺のHPは恐ろしいほどのスピードで削れていく。それはエイミーのリジュネや、バトルヒーリングじゃ間に合わないほどに。

 これが最後の隠し玉。前に武器を押し返した程度ではない限界までの攻撃威力拡張の心意。少しの間爆発的な筋力値を手に入れる代わりにHPが5秒で5000以上持って行かれる。

 

「おおおおおおおらああああああああ!」

 

 俺の武器がついに奴の剣が弾き飛ばし、破壊する。すぐにボスは剣を生み出そうとするがその隙を見逃さない。俺の《ジ・イクリプス》はまだ終わっていない。俺の剣は奴の体を切り刻む。その間も心意は続いている。HPが驚異的に削れていく。代わりに一撃一撃の威力があり得ないほどのHPを持っていく。残りHPは20000を切った。あと15秒で仕留める!

 俺の《ジ・イクリプス》が終了する。俺の攻撃はそこで終わり――。いや。終わりのはずなのだ、しかし俺の体から重さが一瞬にして消える。俺はそれを意識せずに《スターバースト・ストリーム》につなげる。

 残り10秒! 

 

「削り切れええええええ!」

 

 最後の一撃。その寸前に心意が切れる。しかしその最後の一撃は奴のHPを完全に削り切った。俺の残りHPは1000を切っている。

 

「はぁ……はぁ……はぁぁぁぁあーーーー!」

 

 つっかれた。まじでつかれた。っていうかHPやばすぎる。

 

「……どれだけ無茶してるのよ」

 

 そういってほむらハイポーションを口に無理やり押し込まれる。

 

「ふぁふいふぁふい(わるいわるい)」

 

「……とりあえず飲み込むという選択肢はないのかしら?」

 

「んぐ……。ふぅ。サンキュー」

 

 俺はそういってから右をふり、LAを確認する。《ザ・ゴールドソード》ってこれもそのままかい。その下に見慣れない文字がある。確認してみる。説明欄には『ザ・ゴールドホーンの武器破壊ボーナス》と書いてある。名前は《ゴールドトマホーク》一応両手剣扱いのようだ。筋力値さえ足りていれば片手直剣として使えると書いてあるが――げっ! 必要筋力値これ無理だろー。

 それと最後のディレイが消えたのはなんなんだ? 新しいエクストラスキル? 一応確認してみるがそれといったものはない。まぁいつかわかるだろ。

 

 こうして俺たちの第五十層攻略は尊い数人の犠牲の上に成り立った。




終わった終わった。

仁「むちゃー!」



仁「死ぬじゃねーかよ! 何回殺しかけるんだよ!」

いいじゃん。時間ないからしめるけど。

仁「まてやこらー!」

 まぁ置いといて。感想、指摘☆評価お願いします。

仁「……納得いかねぇ。次もよろしくな」

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