【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO   作:MYON妖夢

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 はい、第五十層ですね。


第十六話 第二のクォーターポイント

 今のおれたちは第五十層――クォーターポイントもしくはハーフポイント――の迷宮区を疾走している。なぜか? それは――

 

「なんでボス部屋前までマッピングして転移結晶出そうとしたときに周りに大量ポップするんだよ!」

 

 言葉の通り大量にモンスターがポップし始めたのだ。

 

「知らないわよ! 逃げててもこのままじゃ意味ないわよ」

 

「そうだよ! 仁どうにかしてよ!」

 

「いや無理だろ! 俺一人置いてく気か!?」

 

 薄情すぎるってもんだろ! おい!

 

「それじゃその方向で」

 

「うぉぉい! シノンもそりゃねぇぞ!」

 

 シノンまでもかよ!? もうこうなりゃやけくそだ!

 俺は右の剣を肩口に引き絞り、スキルの立ち上がりとともに勢いに任せて突き出す。片手直剣スキル《ヴォ―パルストライク》

 俺の一撃は数体を貫き絶命させる。俺は硬直が解けるとともに新技を放つ。

 

「《光輪斬》!」

 

 心意による攻撃範囲拡張系技。《光輪斬》。指定したほうの腕に光の円形の物を出現させる。そしてそれを片足を軸にして回転する。左腕を突き出して。

 

「おらぁあああ!」

 

 連続回転。イメージ的には《タイフーン》と同じ感じだな。

 俺の攻撃を食らった相手はHPが0になり、絶命する。が

 

「ッ! そっちいったぞ!」

 

 数匹がほむらたちのほうに流れていく。そして敵の標的はほむら。不幸な敵……。

 次の瞬間ほむらの腕が腰の刀に伸びていく。そして柄を握ると同時にライトエフェクトが発生する。

 

「……ふっ!」

 

 一瞬の気合いとともに腰から視認不可能な速度で刀が振るわれ、瞬きをし、目を開けた時にはすでにほむらの刀は鞘に戻っている。そして敵は真っ二つになっている。

 刀スキル《居合切り》。かつて俺たちを追い詰めた第十層ボスの得意スキルだった。さすがにあの時のように構えの間HPが回復するということはないが威力と速度は見ての通りだ。(しかも速度に関しては敏捷多めの振り方をしてるほむらだから相当の速さだ)

 

「ふぅ……とりあえず転移! アルゲード!」

 

 俺たちは第五十層主住区に転移した。

 

 

 

「これガ、第五十層ボス部屋までのマッピングだナ?」

 

「ああ。そうだ。さっさと帰らせろ」

 

「キー坊もそうだガ、ジン坊も珍しいもんだナ」

 

「なにがだよ」

 

「マップデータの無料配布だヨ」

 

 ああ。それか。攻略に参加してる以上マップデータで商売しても意味ないと思うんだがなぁ。

 俺は考えたことをまんまアルゴに伝える。すると。

 

「お人よしだナァ」

 

「勝手に言ってろ」

 

 そういって俺は転移門へと歩く。すぐに歩いたからか

 

「……ほんとにお人よしでやさしいヨ。ジン坊ハ」

 

 アルゴのつぶやきは聞こえなかった。

 

 

 

 

  ――コラル、仁とほむらの家――

 

「たぶん明日にはボス攻略会議が開かれるだろうな」

 

「そうね。クォーターポイントだけあって精鋭をとにかく集めたほうがよさそうね」

 

「ああ。生半端なレベルじゃ間違いなく死ぬ。予想外のことが起こりやすくなってるんだからな」

 

 そうだ。俺というものの干渉により、この世界ではいろいろと変わってしまっている。これから何が起こるかは大まかなことは分かっても、細部のことは全然俺にもわからない。

 

「なんにしても……明日わかることよ」

 

「ああ」

 

 そして俺は意識を手放した。

 

 

 

 

  ――翌日――

 

「やっぱり開かれたか」

 

 俺が今いるのはもはや恒例となったボス攻略会議をするところ。今回はリーダーをヒースクリフが務めるらしい。

 

「それでは諸君。攻略会議を始めるとしようか」

 

 その一言には大きさはないが、明らかな威圧感が混ざっている。当り前だ。相手はゲームマスター。確かこの層で《神聖剣》が発現するんだったか。倒すチャンスを結局ここまで見いだせなかった……か。

 

「この層のボスの名前は《ザ・シルバーホーン》。HPバーは三段だ」

 

 は? HPバー三段?

 

「ちょっとまて! どういうことだ!」

 

「君はジン君・・・・・・だったね? おそらく何かしらの特殊攻撃。または特殊行動を持っているのだろうと推測できる」

 

 チッ。何かしやがったな……。原作ではここは銅像型のモンスターだったはずだ。俺の干渉かあいつの操作かはしらねぇがどういうつもりだ……。

 

「……銀の角? どういう意味かしら」

 

 銀角……おとぎ話の中での敵役か。西遊記とかの。……まて、どういうことだ……? つまりなんでHPバーが三段しかないのか……。それは兄の金角も……。

 

「ッ!」

 

 そういうことかよ……。ホントに悪趣味なやつだな。

 

「どうしたの? 仁」

 

「……ちょっとまずいかもしんねぇ」

 

「え?」

 

「いや……なんでもない」

 

 今は無駄に不安を与える必要もない。俺は口をつぐむ。

 

「それでは今回の偵察戦の参加者諸君。健闘を祈る」

 

 そうヒースクリフが言って偵察隊が迷宮区に向かっていった。

 

 

 

 

  ――さらに翌日――

 

「昨日送った偵察隊が全滅した」

 

「……は?」

 

 どういうことだよ……

 

「そのため情報はない。そしてもう一度偵察隊を送るわけにもいかない。では諸君。戦えるものは私についてきてくれたまえ」

 

 ンだよ……なんなんだよ! てめぇは! なんでそんなに淡々と語れる! 人が死んでるってのに……。

 今は押さえろ……あいつを殺せるチャンスが来るまで……。

 

「では諸君行くとしよう」

 

 そういってヒースクリフは歩き出した。俺たちもあとに続き、迷宮区への道をあるいた。

 

 

 

  ―-ボス部屋前――

 

 ここまでは前に出ていた血盟騎士団が近寄ってきた雑魚敵を速攻で切り落としていた。だから薬の消費も耐久値も問題ない。問題はここからだ。

 

「さて諸君。今回も苦しい戦いになるだろうがよろしく頼む」

 

 よくそんなことをいけしゃあしゃあと……!

 

「では……行くぞ!」

 

 そして扉が開かれる。その奥にいるのはいまだ未知の武器、薙刀を持った《ザ・シルバーホーン》。HPバーは三本。何かが起こる前に……。

 そしてボスが薙刀を右の中段に構えた。俺は即座に両の剣を引き抜き、相手の攻撃は薙ぎ払い系だろうと推測を立てる。

 ボスの薙刀が俺たちに向けて振られる。俺は両方の剣をクロスしてパリィする。幸い。この攻撃を受けた際に前に出ていたのは俺のみだった。しかし俺の受け止めた薙刀の衝撃が吸収しきれない。俺はボスが薙刀を振り切った瞬間に吹っ飛ばされる。

 

「ぐぁっ!」

 

 HPバーは1割ほどが持って行かれた。これだけを見ると全然今までのボスとは違わないステータスだ。しかし何かを持っているはずだ。

 俺たちはボスへと走る。俺を含めた数人のソードスキルがボスに炸裂する。HPバーの減り方も変わりはない。何の隠し玉もっていやがる……。

 俺たちがディレイで動けなくなった後すぐに相手の上半身がそらされる。ほかのモンスターでたくさん見てきたブレスのプレモーション。俺はディレイが終わると同時に縮地を使って離れる。まずはどんなブレスかの確認だ。

 そしてボスの口から“水色の”細かい粒子が吐き出された。

 

「なんだあのブレス……」

 

 しかし俺たちには見たことのないブレスだ。前衛に残っていた奴らのHPを確認する。見る限りではまったく減っていない。毒類か?

 などと考えているうちにブレスの色が薄れてきた。俺はブレスを浴びた奴らの状態を確認するために目を凝らす。すると――

 

「……凍ってやがる……のか?」

 

 氷の彫像と化したプレイヤーたちがいた。次の瞬間にボスが右足を振り上げる。何かやばい気がする。俺はそう考えた瞬間に走り出す。しかし。

 

 パリィィン!

 

 カラスの破砕音が聞こえた。

 

「……は?」

 

 HPバーを確認すると凍っていた奴らのHPバーがグレーに染まっている。HPバーは全員満タンだったはずだ……。まさか……

 

「即死系スキル……」

 

 ウソだろ……ブレスはまず躱さないといけない。そして浴びたものも氷なら解けるはずだ。俺はそう判断してまだ生き残っている氷の彫像を回収に行く。そして抱えられる限り抱える。そのまま縮地を使って戻ってくる。

 

「ディアベル……こいつらが解けるまで頼んだ」

 

「ああ……わかった」

 

 さすがのディアベルも驚愕は隠しきれていないようだ。しかし俺たちはあいつを倒さないといけない。驚いて止まっている場合じゃないんだ。

 

「みんな! 止まってても勝てない! ショックなのはわかるが戦うしかないんだ! 幸いブレスのモーションは分かりやすい! スキルを使わずにモーションを見たらすぐに離れるんだ!」

 

 そう叫んで俺は走る。横からはいつもの四人――キリト、ほむら、ユウキ、シノンもついてきている。

 

「せぇらぁ!」

 

 俺はまず一太刀を入れる。ダメージは少しずつだが通っている。さらに俺たちの後ろに覚悟を決めたプレイヤーたちが走ってきている。そして俺たちを一掃するためボスは薙刀を再び薙ぎ払いのモーションまで持ってくる。

 

「させるかよ!」

 

 ボスの薙刀が光の閃光をひきながら迫ってくる。それに対しておれは今度は受け止めずに片手直剣スキル《バーチカルスクエア》を使用する。相殺しきれなかったがほかのプレイヤーまではダメージが通っていない。そしてさらにボスはスキル使用によるディレイで動けない。

 

「今ならいける! 全力でスキル一本!」

 

 そう叫んだ瞬間待ちわびたように全員がソードスキルを立ち上げる。するとボスのHPが一気に削れていく。そのままの勢いでHPバーが二段目に突入した。それと同時にボスが再びブレスのプレモーションに入る。

 

「みんな! ブレスだ! すぐ下がれ!」

 

 俺は叫び、逃げ遅れがいないかの確認をする。大抵はいないが運が悪いと……

 

「あっ……」

 

 どこからともなく小さな叫び声が聞こえる。俺はそっちに顔を向ける。すると足を何かにひっかけたように倒れているプレイヤーが一人。

 

「チッ!」

 

 俺はそこへ走る。たどり着いたのは今のおれたちよりも歳が低いと思われる少女。どういう過程でここに……。

 そしてそこに今にもボスがブレスを吹き出しそうになっている。俺は少女を抱えて縮地で一気に離れる。

 

「大丈夫か?」

 

「は……はい」

 

 やっぱり近くで見るとよくわかる。確実に俺たちより1,2歳はしただ。

 

「なんだって君みたいな娘がこんなところに……」

 

「……探してるんです」

 

 へ?

 

「あたしがこの世界で何ができるか。この世界に押しつぶされないように戦えるようになる何かを……探してるんです」

 

「へぇ……っと!」

 

 ボスの薙刀が振り下ろされてくる。俺は《攻撃威力拡張》の心意により攻撃力を底上げする。その際にHPが2000ほど持って行かれる。そして少女を助けるときに鞘にしまった剣の代わりに右の拳を強く握り引き絞る。そして突き出す。体術スキル《豪打》。

 俺の拳はボスの薙刀を弾き飛ばす。しかし刃の部分に当たった俺のHPはさらに持って行かれる。しかしチャンスだ。

 

「みんな! いけぇ!」

 

 俺はそう叫んだあと。もう一度少女に向き直る。

 

「あなたこそあたしと同じくらいの年じゃないんですか?」

 

「……そうだな。ま、俺も君みたいなもんさ。この世界にゃ負けたくない。って思いで戦ってるのもあるし」

 

「……そう、なんですか」

 

 正直年齢は違うけどそれ以外は事実を述べた。実際俺はこの世界に勝たなければいけない。SAOに限った話じゃない。この平行世界に負けるわけにはいかないんだ。

 

「あ……」

 

 少女が呟いて俺の後ろのほうを指さす。俺もつられてそちらを向くとそこにいるのは――。

 HPを二段目の半分まで減らして薙刀を振るっている銀角と。

 新しく表れた両手剣を持った《ザ・ゴールドホーン》だった。




やばい……いつもの四人でさえ同時に書くの辛いのに新キャラ出しちまった……衝動書きって奴だよ……これは。

仁「馬鹿なのか?」

もう返す言葉もないよ……。

仁「馬鹿なの? 馬鹿なのか? 馬鹿なんですか?」

一方通行みたいに言わないでくれよ。結構響くから……

感想、指摘、☆評価お願いします。

仁「次もよろしくな!

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