【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO   作:MYON妖夢

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ついに奴らが出てくるのだ!
そして前回の二十五層のほうは一回新規投稿で二回に分けようとしたんですが、二個目のほうが短すぎたので合体しました。合体前に読んでいらっしゃった方々はもう一度見直していただきたく思う今日この頃。


第十三話 第四十二層と奴ら

 第二十五層攻略からかなり時間がたった。あれ以降別世界からの乱入もなくごく普通な攻略をしている。そりゃ危ない時も死者が出るときもある。それにシンカー率いる軍はディアベルのほうと攻略と守りで別れてディアベルが攻略のほうに乗り出している。

 現在最強ギルド血盟騎士団は団長ことヒースクリフを中心に動いている。俺も速攻でヒースクリフをつぶしてクリアしたいのはやまやまなんだが……ログインしてるときは血盟騎士団のほうが守り硬いし。しかもログインしていないときのほうが多い。マジで困るわ。

 

 そして今の最前線は四十二層。不安要素はボスだけではなくなってきている。それは――

 

 レッドギルド《ラフィンコフィン》

 

 PoH率いるラフィンコフィンの殺害届が多すぎる。すでに奴らによる被害は五十人を超えている。そんなわけで俺たち攻略組にも被害届が来ていたり、ラフィンコフィンにより被害も出ている。そして俺はこの四十二層攻略戦に乱入して、被害を一気に増大にするんじゃないかと睨んでいる。もしそうだとしたらここでPoHを殺しておかなければならない。ここで殺しておかなければさらに被害が大きくなる。俺一人の手が血塗れるだけで済むならうれしいもんだ。

 

「仁。大丈夫? 目がすごい怖いことになっているけれど」

 

「ン……ああ。わりぃ。今はそれどころじゃねえよな」

 

 この層にはドラゴン系が多い。そして今も迷宮区内のレベル上げをしている。キリトとは最近一切あっていない。恐らく月夜の黒猫団だろう。黒猫団のみんなとはよくメッセージのやり取りをしていたことはあったが一切届かなくなった。それすなわち――

 

「キリトは今頃ひどいレベリングをしたり、悩んだりしてるんだろうな……」

 

 黒猫団からのメッセージの途切れ、キリトのフレンド追跡の不可能設定。それからか投げられるのは黒猫団が壊滅したということ。そしてキリトは最近のボス戦にもきていない。そして精神にも相当来ているんだろう。フレンド追跡ができない分どこにいるのかもわからない。

 

「よっ……ッと!」

 

 ザシュィウッという音とともに相手のHPが0になる。続いてカシャァンという破砕音。そして目の前に出てくる獲得経験値、獲得コルのウィンドウ。

 

「本当に大丈夫? 全然集中できてないじゃない」

 

「ああ……悪いな」

 

 同じ言葉しか返さない俺に対してのほむらの顔がどんどん曇っていく。

 

「悪い! 考え事してた!」

 

「……また笑う棺桶のこと?」

 

「……ああ。たぶん……いやほぼ確実にボス戦にあいつらは来る。だからどうやって対処するか考えてたんだよ」

 

「そんなに思いつめないでよ……」

 

「……そう…だな。だけどさ……あいつらは殺しをためらわない。だからほむらたちには正直次のボス戦には来てほしくない。手を血に染めるのは俺だけで……あ」

 

 言ってしまった。ほむらに隠し事をすると決まって――。

 

「なんで隠すのよ。そんな大事なこと! 手を血に染める? 俺だけで十分? 冗談じゃないわよ! あなた一人だけでそんなことさせるわけないでしょ!? だったら私も……」

 

「だめだ!」

 

「ツッ!」

 

「人を殺す……それは魔女狩りやMob狩りとは違うんだ。ほむらは人を殺したら絶対に罪悪感でしばらく動けなくなる。お前はそういう優しい子だ。何度も言うようだが俺はあんな奴ら相手に死ぬつもりはない」

 

「・・・・・・だけどいやよ。私はボス戦にはついていく。私はあなたと居たい」

 

 ……はぁ。てこでも動かねぇつもりだな……。

 

「……わかった。けど無茶はしないでほしい。PoHとやりあうのは俺だけで十分だ」

 

 今はこれしか言えない。そして明日開かれる四十二層攻略。そこにラフコフのスパイがいる可能性がある。用心深いやつのことだ。金で雇った奴を行かせて、そのあと情報を聞いた後に殺すんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

   ――次の日――

 

「……ディアベル。今回。まず間違いなく奴らが来るぜ」

 

「……ああ。来るだろうね」

 

「だから……俺にやらせてくれ」

 

 俺が言うといつもの優しいディアベルのことだ。決まって――

 

「またそういうことを言うのか!? いつも君はそんなに危ないことを……」

 

「おれには二刀流がある。奴との戦いには俺が適任だ。俺がいない状況でもボスとは戦えるだろう?

PoHは殺しをためらわないものばかり集めている。だったら俺は殺す覚悟と死ぬ覚悟をもってあいつらを止めておいてやるよ」

 

 ディアベルはいつも通り俺にはもう止めても意味がないと悟ったのだろう。あきらめた表情で。

 

「……わかった。死なないでくれよ。俺の英雄」

 

「へっ! 英雄か……いいじゃねえか。どうせなら攻略組全員の英雄になってやろうじゃねえか?」

 

 ボス部屋の扉についていた。それは重々しく。威圧感を放っている。

 

「行くぞ! 諸君!」

 

 その気合いのこもった一言とともにヒースクリフが扉を押し開ける。その奥にいるのは第四十二層ボス《ザ・ソードドラゴン》。名前の通り体中にはするどい刃がはえている。

 

「総員! 行け!」

 

 まだ神聖剣を持っていないヒースクリフは簡素な盾を使っているが、それでも存在感が大きい。その言葉に全員が活気づき攻撃を開始する。俺は背中の二本の剣を同時に抜き放つ。今回のおれの役目はラフコフの殲滅と取り巻きの排除だ。

 

「ふきとべェ!」

 

 二刀流全方位攻撃《エンドリボルバー》。それを使い周りの雑魚を切り裂く。硬直時間中に生き残りの取り巻きが攻撃してくるがそれらはすべてほむらとユウキとシノンにはじかれる。そして俺は冷却中の《エンドリボルバー》の代わりに片手剣スキル《ホリゾンタル》で薙ぎ払い、倒す。

 

「次!」

 

「ジン君! 来たぞ!」

 

 その言葉だけで判断する。きやがったな……。

 俺は一人で外に出る。そこに待ち構えていたのは――。

 

「やっぱりboyが出てきやがったか、二刀流。待ってたぜ」

 

「PoH!? なんでお前が!」

 

「HAHAHA! 三下どもになど任せておけるか? こんな最高のshowtimeを!」

 

 そうだな……そういう奴だよお前は!

 

「さぁ。はじめようじゃないか? it’showtime!」

 

「ヘルタイムのスタートだ!」

 

 そう同時に叫び,さらに同時に切りかかる。俺は剣をクロスし、受ける。PoHは右手に持っている短剣。『メイトチョッパー』を短剣の特徴である小回りの良さで連続で切りかかってくる。それを俺は受け流す。

 

「ガードしてばかりじゃ勝てないぜboy!」

 

「黙れイカレポンチ!」

 

 俺は左手の剣で切り下しをする。それをステップで回避し、短剣を突きだしてくるPoH。それを俺は右の剣でそらし、そのまま両手の剣をクロスし、下から切り上げる。そしてそれをPoHは短剣を退き戻しはじく。そして蹴りを入れてくる。俺はそれをバックステップでかわす。

 

「剣筋が甘いぞboy!」

 

「うるっせぇ! お前こそ威力がのってないぜ!」

 

 俺はそろそろぶちかましておこうかと《シャインサーキュラー》を打ち込む。

 

「くっ! shit!」

 

 それらをすべてはじけはしないようだ。ステップを使ってよけようとするが、シャインサーキュラーの流れるような剣技はステップなどでは躱せはしない。少しずつはいるダメージ。PoHはいい加減にイライラしている。

 

「やるじゃねーか! boy! だが甘いな!」

 

「へっ! 本気で気やがれイカレやろう!」

 

 そういうとPoHは短剣スキルの《インフィニット》を発動してくる。一発目の縦切りを水平切りでそらす。二発目の右斜め切り上げを左きり下ろしではじく。三発目の縦切りをバックステップでかわす。最後の左斜め切り上げを二本をそろえた右斜め切り上げで全力でぶっ叩く。

 

「チィッ!」

 

「ハッハ! どうした! そんなもんか殺人者!」

 

 俺が狙うのは怒りで攻撃が単調になる瞬間だ。その瞬間に決める!

 さらにPoHは《トライ・ピアース》を発動。三回の少しずつ間のある突きをステップでかわす。そして硬直時間中に右手の剣で《ヴォ―パルストライク》を発動し、数瞬の間の後、左の剣で心意《ライジング》(攻撃距離拡張)を放つ。

 

「シィィィィッィイィィット! 調子に乗るなよboy!」

 

 ヴォ―パルストライクを短剣でふせぎ、ライジングを回避する。そしてさっきまでとは比べ物にならない連続攻撃。

 それらを俺は弾くはじくはじくはじく。強い火花が目の前ではじける。

 実力だけなら俺のほうが上だ。ただいつ奴の仲間が来るかで決まる。

 

「一人できたのは間違いじゃねーのかぁ!? 自分の力を過信しすぎたなァ! 森のぷーさんよぉ!」

 

「shit up! 小僧!」

 

 余計に攻撃が単調になっていく。リズムも単調。これなら今の集中力が前回のおれがかつ!

  

 キィン! ガィン! キキキン! ガガガン! 

 

 あいつの攻撃は全てが楽に防げる。次はこっちの番だ!

 

 ギュイン!

 あいつの攻撃が俺の剣によって後ろに受け流される。そして思い切り体が泳ぐ。ここだ!

 

「はぁあああああああああ!」

 

 《ジ・イクリプス》! ここで……ッ!

 笑ってやがる……ここまでよんでいて誘われた・・・・・・のか!?

 

 キキキキン! ギンギギギギン! ガギギギギギギギン! キィーン!

 

 一瞬後ろに飛ぶところで狙い打たれる。《アーマーピアース》

 

「くっ!」

 

 俺は咄嗟に体を動かす。スキル途中なのでそこまでは動かせないため腕を短剣がえぐる。しかし単発技なのが功を奏した。スキルはキャンセルされたがあいつはまだ硬直中! 

 

「これでも……喰らえ!」

 

 《シャインサーキュラー》十五連撃。しかしまた笑うPoH。ここで確実に決めるってことかよ!

 

「終わりだboy」

 

 それをすべてさらに加速した短剣ですべて弾かれる。そして硬直中に《シャドウステッチ》を打たれる。

 一発目の中段水平切り。HPバーが2割ほど削られる。二発目の足払い。それにより体が浮く。そこをさらに回し蹴りで吹っ飛ばされる。

 

「ぐっ!」

 

「まだまだだぜ!」

 

 さらに《トライピアース》。三発の短剣による刺突。おれは必死に体をひねる。一発目、脇腹をかする。二発目は腕を抉り取る。この時点でHPは1割。次を食らったらまずい。

 

「bye boy」

 

 しかし簡単にやられるつもりはない。ようやく硬直が解けた俺は

 

「……縮地!」

 

 ギリギリで離れる。縮地によるダメージが重なって少しまずいな……レイドHPをついでに確認するとまだ死者は出てない。

 

「shit! しぶてぇboyだ!」

 

「こちとらしぶとさが取り柄なんでね!」

 

 バトルヒーリングで少しずつ回復していくHPは全然心もとない。後一発を食らえば通常攻撃でさえまずいだろう。

 

「《ライジング》!」

 

 左手の剣でライジングを使いさらに距離を取る。このままだとまずい。しかし回復する暇はない。どうする……。

 

「今度こそさらばだ! boy!」

 

 短剣最高レベルの剣術《エターナル・サイクロン》下から連続で切り上げながらの攻撃だ。

 

「仁ーーーーー!」

 

 ほむらっ!? くそ!

 

「来るな!」

 

 そうはいったがほむらは走ってきている。そしてPoHは短剣を切り上げ――ってあれ? なぜに止まっていらっしゃる? とりあえず距離を取る。

 

「ッ!?」

 

 俺が交わした数瞬後に動いたPoH。しかし俺という標的を見失っているようだ。どういうことだ? これじゃあまるで時間停止……まさか!

 これがほむらのユニークスキルなのか? だとしたらチートじゃねぇか! けど無意識に発動したみたいだ。本人も自覚していない。

 俺は気配をけし――隠蔽スキルだが――PoHを後ろから《スターバースト・ストリーム》で切り裂く、

 

「shit! どういうことだ! いきなり目の前から消えやがって!」

 

 やはりそうか。そしてスターバースト・ストリームはPoHのHPを一気に減らしていく。最後の十六発目。これが決まればPoHを屠ることができる。

 

「消えろ! PoH! 消え去れェェェえええ!」

 

「させるかよ! ヘッド!」

 

 俺の最後の一撃は何か袋を被った子供に弾かれる。ヘッドと呼んでいたことからジョニーブラックか。

 

「チッ!」

 

「助かったぜ。ジョニー」

 

「ヘッド。ここはいったんひきましょう。分が悪い」

 

 そういって二人が転移結晶を出す。

 

「逃がすか!」

 

 俺は転移結晶の転移準備中に攻撃を仕掛ける。投擲スキルで左手と右手の剣を同時に《ダブルシュート》で投げる。しかし。

 

「させ、るか」

 

 くっ! ザザか!

 

「じゃあな。boy。また殺しあおうじゃねえか」

 

 そういってPoHが転移をし終わった。

 

「くっそ……」

 

「仁。今はボスを」

 

「……ああ」

 

 次は仕留めてやる……。




終わりました。
なぜ仕留めなかったかというと、この後にもPoHを出さないとならない予定があるのです。ラフコフ討伐戦とかね。

仁「なんでや! って言いたくなるぜまったく」

まぁまぁ。

 感想、指摘、☆評価お願いします

仁「次もよろしく!」

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