【完】転生者と時間遡行者~Everlasting Bonds~IN SAO 作:MYON妖夢
あれからまた一年がたった。そしてβテストの期間が近づいていた。
俺がβテストのたった千人の枠に入ったのは絶対に神さんの仕業だと思っている。なぜ偶然と言わないか? ほむらもうかっているからだ。普通に考えておかしいだろーこれは。
そして今はユウキとほむらと俺と中学生になったシノンで帰っている。まぁいつも通りなんだよな。いつものことだが周りの視線が痛い。そしてなんで毎日シノンと会うのだ。
「んー! 今日もよく寝た!」
「ガッツリ寝てたよね。仁は」
ユウキにツッコまれる。
「だってよぉ。今の範囲楽すぎてなぁ……。ほむらもそう思うだろ?」
「……そうね。確かに簡単だわ」
俺たちは実際同じ授業を受けるのはほむらが二回目。俺が三回目なわけだから楽に決まっているんだよな。
「そんなこと言ってられるのも、今のうちよ? 二人とも。中学生になると結構難しくなってくるんだから」
「元々頭いい朝田さんがそういうんだもんなぁ……はぁ。ボク、来年から大丈夫かなぁ」
「そういうユウキも成績結構いいじゃんかよ」
「そんなことないよー。仁は寝てるから通知表は悪い代わりに点数が高いっておかしいよ」
そんな他愛ない話。それは家につくまで続いた。
――数日後――
「ん。きたか」
俺の前には【ソードアート・オンライン βテスト用ソフト】が入った段ボールが入っている。そして俺はそれを開き、流行的な感じで買っておいたくっそ高いナーヴギアにセットする。事前に集合場所やキャラネームは教えてあった。とりあえずベットに寝そべりナーヴギアを被る。
さて、今回のβテストの目的は桐ケ谷和人ことキリトと知り合い仲良くなることだ。これがあるないでは後々変わってくる。
そしてもう一つはできるだけ高い層まで行くことだ。製品版で変わっている可能性は限りなく高いがそれでも上まで登って装備品やクエストを確認しておくのは必須になってくるだろう。
俺はこの二つの目的をしっかりと確認した後。自分の意識を仮想世界に飛ばすコマンドを唱えた。
「リンクスタート!」
俺の意識が空中に浮いているような浮遊感を覚える。そして五感が少しずつリンクされていく。5つのマークが右端に並んだところで俺は目を開く。
次にするのはキャラ設定。まずは名前。ここには【Zin】ジンと打つ。めんどうだからなぁ。次はキャラの姿だ。どうせ製品版ではリセットされるのだからリアルの姿でいいだろう。と考えた俺はリアルの姿をそのまま反映した。
すると――
【welcome to SWORD Art online!】
との文字列が視界に映った。そのまま俺は再び浮遊感に身を任せる。そして強い光に思わず目を閉じる。次に開けた時には――。目の前にはポリゴンで構成されているとは思えないほどクリアな第一層主住区【始まりの町】の景色が目に入った。
しばしその景色に見惚れていると隣に新しいアバターが形成された。その姿は――何年も見て完全に覚えたほむらの姿だった。
「なんだ。お前も現実の姿で来たのか」
「そういう仁こそ。名前も【ジン】なのね」
「ほむらこそ【ホムラ】じゃねぇかっての」
まぁいい。とりあえず最初キリトはソードスキルの練習でカカシに約二週間打ち込み続けたそうだ。そんなことをしてもいいがあいにくさっさと攻略に入りたい。まずは外に出るか。
――フィールド――
「ほぉーう。あれが『フレンジーボア』か。この世界最弱のスライム相当の青イノシシか」
「スライム相当には見えない姿しているのだけれどね」
「まぁ、いいじゃないか。ほむらも慣れてるからソードスキルは余裕だろ?」
「前の世界で使ってたのだから当然よ」
そしてお決まりの髪をファサッとやるポーズ。なかなか様になっていてしかも美しいという。
俺は気を取り直して。
「ンジャあいつを仕留めますか」
ちなみにすでにパーティーを組んでいるので左端にはほむらのHPが追加されている。
俺はソードスキル《スラント》の発動に入った。
すると刀身が光出す。よかったこっちの世界と前の世界完全に同じだ。《メテオ》とか《マザーズロザリオ》とか使えないのが痛いけど。
そして俺は普通に初心者とは思えないほど早くスキルを立ち上げる――原作のキリトは二秒ほどだったな――。その発動までの間。実に一秒。さらに発動と同時にソードスキルにブーストをかける。原作では弱点だった首筋に当たるように少し誘導し蹴り足を強くし威力を高める。
結果。一発でこの世界から退場した。
「ふーん。レベル1じゃこんなもんか。お次はほむらどうぞ」
「ええ。それじゃあ……」
ちなみにお互い片手用直剣である。使い慣れてるからな。
ほむらが発動したのは《バーチカル》。弱点ごと真っ二つにし、一発で葬った。
「さっすが」
「なじむわね。この感じ」
「そうだよなー。この世界のほうが前の世界よりもなじむ。適応できたんじゃね? この世界にさ」
少なくともこの世界で動きずらいということはないようなのでよかった。
俺たちはそれからもしばらく狩りを続けた。『ウルフ』やらも出てきたのでイノシシとは違いアクティブモンスターは優先的につぶしていたりしたら案外楽だった。結果的にお互いレベル3という無茶苦茶な速さだ。
その時だった。
「お~い。そこのお二人さーん」
なんだか聞き覚えのあるような無いような声が聞こえた。そしてそっちに視線を向ける。いまおれは索敵スキルを取ってるのですでに見えるところにいた。
そこにいたのは――
いかにも苦労して作ったとわかるとんでもなく勇者面をした少年だった。
これがキリトとの最初の出会いだった。
先ほどキリトにソードスキルのことを聞かれた。キリトが早く馴れるのはβでサッサと進むためでもあるし、製品版での勇者キリトの育成にもなる。だから俺たちは持てる限りのレクチャーと戦闘の実践を繰り返した。
にしてもキリトにもこんな時があったんだなぁ。アニメではクラインに教えてることは全部ここで覚えたんだから当たり前だけど微笑ましくなってくる。
「せい! はっ! 喰らえ!」
にしても……
キリト筋いいねぇ。すぐに慣れてボス攻略にも速攻参加できそうだ。とりあえず俺たちはキリトの修行にその日の時間は全て費やした。
ログアウトを終えた俺はとりあえず飯を食いに下に降りる。この世界の親とは同居しているので自分のリズムじゃ暮らせないから時間は守っている。
飯を食った後。もう一度ログイン。すでにフレンドリストのほむらの名前は光っているのでフレンド追跡をしてみる。その先ではキリトとほむらが修行している。
「おー、早いなー。飯とか大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。しっかり食ってるよ」
「私はログインする前に持ちやすい食材で軽く作ってあったし」
ぬ…さすがにぬかりないな。暁美ほむら。
そしてそのあとも修行を続けた。
―-一か月後――
現在の最前線は十層。本来俺たちがいないはずの世界でのβテストよりも圧倒的に速い。なぜか? それは俺たちがレベルをその層+15以上に保って。俺、キリト、ほむらでボスの様子を見に行くって言っているのになぜかHPを削って行動パターンを呼んでいるうちに倒れてしまうからだ。相手が。(ちなみにおれは一つボス戦が終わるたびにログアウトしてボスの特徴。武器などをメモする。ログインしてからも向こうの紙に書いて「鼠のアルゴ」に渡していく)
そして第十層攻略会議――っていってもほとんどボスの特徴とかを確認して適当な人数でレイドを組んで突っ込むだけなんだが――が開かれた。
なぜか俺が司会で
「あー。ここのフィールドボスは新スキルと思われる刀を使うことが討伐の際に確認されてるのがわかるな? そういうことはどういうことか。フロアボスやその取り巻きも刀を使う可能性が高いことを意味するんだ。だから刀を使う敵がまだほとんどいない分警戒して挑んでほしい。以上だ」
そんなこんなで毎回司会をさせられる俺はこんな風にまとめるわけだ。そしてレイド全員を引き連れてボス部屋前まで来る。すでに俺のログアウト時間まで1時間半。
「それじゃあみんな……行くぜ!」
そういった瞬間にみんなから叫びにも取れる雄たけびが発せられた。そして俺はボス部屋の扉を押し開ける。そこにいるのは第十層フロアボス『ヤマト・ザ・フリード』だ。予想通り刀を持っている。そしてポップしてきた取り巻きも持っている。
「やっぱり刀か……みんな! 刀スキルに注意しろ! 刀スキルが発動したらフィールドボス戦で刀スキルを覚えている奴が相殺してくれ!」
そういって俺はキリトとほむらと一緒に飛び出す。
俺たちはA隊。今戦っているのがE隊。スイッチに向かう。
「E隊スイッチ! HP回復しとけ! A隊行くぞ!」
そうしておれたちの激闘が始まった。
ボス戦が終了した。死亡者――といってもまだ本当に死ぬわけでもないが。ガラスの破砕音が聞こえると一瞬ビクッ!っとしてしまう。――はレイド48人に対して32人。最後には16人しか残っていない。
やばいな。こんなままじゃ……製品版で何人死ぬことか……。
そんな風にずっと眉をひそめて考えている俺の肩にポンと手が置かれる。日焼けをあまりしていない真っ白い手。それは何年も過ごしてきたほむらの手以外に間違えるはずもない。
「そんなに今思いつめないで。今はβテストよ? あなたのジンクスでしょ? 楽しむっていうのは」
「そう…だな。まだこんなに考えるときじゃ……ないか。サンキュ。ほむら」
そしてお互いにログアウトした。
終わりました。 ボスの名前は適当です。紅き魔法少女と黒き転生者 のほうで仁君たちが出ていますがこっちの世界ではすでにまどまぎ世界での一ヶ月が終わって戻ってきている設定です。
仁「こっちの世界ではまどまぎ世界を解決するのにかかる一ヶ月は一瞬にしか過ぎないって言ってたもんな。神さん」
神「そうじゃな」
えっちょっ!?神さま!? なんで!
神「恒例の暇つぶしじゃ。わしの転生して送り出した者たちが元気そうで何よりじゃよ」
仁「そうだなー。後で翔のほうにもいってやったら?」
神「そうじゃな。それじゃ行ってくるぞ」
仁「あとでって言ったんだけどな……ってもういねぇし」
とりあえずしめよう。
感想指摘、☆評価よろしくお願いします!
仁「次もよろしく!」