今日はなんの日か知っていますか?え、知らない!?..... なんということでしょう、俺も知りません!!
まぁ、誰かの誕生日だとして祝ってあげましょう!おめでとさん!いや、ここで祝っても意味がないのか... 。
俺の目の前には禍々しいほどの赤色をしたポーションがある。先程俺がミスって出来たある意味究極のポーションだろう。いや悪い意味でだが... 。
さて、このポーションをどう処理しようか。やっぱあれかな?取り合えずこれは捨てて神様に新しい材料を提供してもらうか?くれなそうだけどなぁ...
てか返事くれるかもわからねぇし... これは多分無理そうだ。
え?飲めばいいじゃんって?お前が飲めよ。俺はどうなっても知らないが、別に大丈夫じゃね?って思ってるんだったら飲んでみろよ。きっと答えが見つかるから。
あー、もし意識が一生戻らなくても大丈夫だよ?骨は拾ってあげるから... ってなに言ってんだろ俺。
「やっぱ飲むしかないのかなぁ... 」
やはり飲みたくはない... 飲みたくはないんだけども、そんなことをしているともうどうにでもなれと飲みたくなってきた。
実際、ここにはあんまりとどまりたくはない。だから飲むのが最適なんだろうが、俺の心が断固拒否する。が、いい加減喉が乾いてきたのでここはなんとか押し止めてイッキ飲みした。
まぁ... あれだよあれ、ゴーヤを200倍くらい苦くしたみたいな味だった... あれを味と言っていいんだろうか?
「にがぁ... 水がほしい」
喉が乾いてきたから飲んだのにこれじゃあ本末転倒、苦すぎて喉がえげつないことに。
「ぐっ!?」
その時だった... 俺の体に今まで味わってきたことがないほどの激痛が走ったのは。
「がぁぁぁあ!?いだい、いだいいだいいだいいだいぃぃ!!?しぬ、しぬ、死んじゃうぅぅぁああ!!!!」
激痛、ショック死一歩手前の痛みが俺の体を襲う。それは直ぐに収まるのか?そんなことを考えている暇など俺にはなかった。
痛みにのたうち回る俺は──忘れていた、すぐそばは崖だということを。
不意に浮遊感が俺の痛みや思考を一瞬だけ止めた。だがその一瞬で十分だった。俺がこの状況を理解するのには... 。
落下──只でさえ痛い体に更に風圧が加わってくる。終わった... まだ薬の効果は効いていないが、あんな失敗作だ、どうせこのまま効果が発動することはないだろう。諦めの気持ちが俺を蝕んでいく。
その一方、俺は少しずつ冷静になり始めていた。そして自分の心に反抗する。──まだ、まだ終わってない... 。
その時からだろうか、背中の変化に気づいたのは。
「あっ... 」
気付けば痛みも引いていて、背中には違和感の塊があった。それは違和感であるが神経等が繋がっているのか、自由に動かせ、まるで元々存在していたかのような感じだった。
俺は驚きつつも安心していた。これは恐らく薬の効果で、俺が想像したのと全く同じだった。いや、少しグレードアップしているのかな?
しかし何よりも助かる... そんな安心感が俺を包み込んだ。
バサリと俺はソレを使って落下の速度を著しく緩める。また2回、3回とやればそれは落ちているというよりは浮いているという方が正しいまでにスピードは緩まっていた。
その光景はまるで鳥、地上から見てたら間違うほど動きが似ていた。
そのままゆっくりと地面へと降りていく。その際背中がいやに疲れるが、気にしてはいられないし、気にする必要もない。俺は助かったんだから。
コゴォゴゴッッ
上の方から音がして慌てて上を確認すると、さっきまでいたであろう浮島が、どこか別の巨大な浮島と衝突して、綺麗さっぱりと粉々に砕け散っていた。その際出た破片は落ちてこず、中空を漂うように浮いている。
あのままあそこに居れば、恐らく死んでいた。痛みに助けられたと思うと少し複雑だが、感謝する。痛みを生み出したこのクソポーションに、それを作った馬鹿な俺に。
地上に降り、その背中を確認する。
──翼だ。禍々しいほどの赤色をした翼が俺の背に堂々と存在していた。
後に俺はこの背中をみた客に、血濡れの天使などと呼ばれるなんて、今では想像すら出来なかった。
誤字、脱字等があればよっろしく~♪